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所得税計算ガイド2023: ステップバイステップで収入別税率をマスター

私たちが毎日の生活を送る上で欠かせないのが税金の納付です。給与収入やビジネスから得られる利益に際しては、その所得に応じて税金の支払いが求められることになります。多くの会社員にとっては、勤務先が源泉徴収を行い、我々の代わりに税金を納めてくれているため、日々の生活に直接感じることは少ないかもしれません。しかし、所得税の計算方法や税金の具体的な内容について正確に理解している人は意外と少ないのが実情です。

ここでは、収入ごとの違いを踏まえ、所得税の基本的な解説から具体的な計算方法までを丁寧にご紹介します。簡単に使える速算表を用いて、あなたの所得税がどのように算出されるのかを見ていきましょう。

目次

所得税の基本

所得税は、消費税や酒税などの国民が支払う様々な税金の一種で、個人の所得に対して課される税金です。これには、給与収入、ビジネスによる収益、不動産の売却益など、所得となる項目は多岐にわたります。

このセクションでは、所得税の基本的な仕組みと、所得の分類について優しく解説していきます。

所得税の仕組み

所得税は、1年間(1月1日から12月31日まで)に得られる全ての所得から、各種の控除を差し引いた後に、定められた税率を適用して算出されます。年間で一定の所得があった場合、これを納税しなければならないことになります。

日本に住むすべての人は、得た所得全てに対して税金が課されることになり、所得税は主に労働者が負担する税金であるという点が他の税金、例えば消費税や相続税とは異なる特徴を持っています。

所得の種類

所得には、その性質に応じて10のカテゴリがあり、それぞれに特定の計算方法が設けられています。ここでは、所得の種類を一覧で紹介し、各々について簡単に説明します。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

このように所得の種類は多様で、それぞれに適した計算方式が存在します。この文書を通して、それらの計算方法についても詳しく見ていくことにしましょう。

収入階層ごとの所得税率と速算表の活用法

所得税の計算においては、あなたの年収に応じた税率が適用されます。この税率は、年収の区分に沿って累進課税される仕組みになっており、所得が高くなるにつれて税率も上昇します。複数の階層に分けられたこの体系を理解するには、以下に示す速算表が大変役立ちます。この表を使えば、ご自身の所得に対する税額を手軽に、そして迅速に見積もることが可能です。


課税所得金額
税率控除額
1,000円~1,949,000円5%0円
1,950,000円~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

この速算表は、平成27年度分以降に適用される所得税の計算に使われるものです。以前の平成19年度分から平成26年度分までの税率に関しては、国税庁のウェブサイトを参照していただくことをお勧めします。そちらでは、過去の税率に関する詳細情報を提供しており、より広範な理解を深めるのに役立ちます。

 参照先:国税庁ウェブサイト内「国税庁 所得税の税率」関連ページ

この情報を活用して、皆さんがより明確に自分の財政状況を理解し、計画的にお金を管理できるようになればと思います。税金は私たちの日常生活に深く根ざしているものであり、その仕組みを知ることは一人一人の責任であり、またそれは私たちの経済的自立にも繋がる重要なステップです。

給与所得に基づく所得税の計算法

このセクションでは、給与所得に基づく所得税の計算プロセスについてご案内します。所得税の種類は総計で10あり、ここでは最も一般的な「給与所得」に焦点を当ててご説明しましょう。下記の公式を使用して、税金の額を自分で計算することができます。 所得税額 = 課税所得金額 × 税率 − 控除額 この計算式を適用するには、まず給与から課税所得を導き出す必要があります。また、税金の控除に関する知識も必要です。実際にご自分の税額を計算してみて、手続きに慣れましょう。

①給与から得られる所得の計算

給与所得税を求める第一歩は、自らの給与所得の総額を明確にすることです。 給与所得の総額 = 給与の総額(源泉徴収前)− 給与所得控除額 「給与の総額」とは基本給、そして時間外労働の対価も含む全ての給与を意味します。給与所得控除は、収入額に応じて設定された以下の6つのカテゴリに分けられます。2020年度以降の給与所得の計算には、下記の表をご参照ください。


給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円以下550,000円
1,625,001円~1,800,000円収入金額×40%-100,000円
1,800,001円~3,600,000円収入金額×30%+80,000円
3,600,001円~6,600,000円収入金額×20%+440,000円
6,660,001円~8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

②課税される所得金額の算定

給与所得の金額が決まったら、次は課税所得金額を算定します。これは、給与所得からさまざまな所得控除を引いた後の金額です。

課税所得金額 = 給与所得 − 控除額

所得控除とは、税負担を個々人の事情に応じて調整するための制度です。医療費控除、寄付金控除(ふるさと納税)や基礎控除などがこれに該当します。課税所得を算定する前に、どのような控除が利用できるのかを確認することが重要です。所得控除の詳細については、下記の国税庁のウェブページでご覧いただけます。

参考:国税庁ウェブサイト「所得から差し引かれる金額(所得控除)」

基礎控除に関しては、2019年までは一律38万円でしたが、2020年からは所得の総額によって基礎控除額が異なります。その詳細は以下の表をご覧ください。


納税者本人の合計所得金額
控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

③適切な税率の適用と控除額の差し引き

課税所得金額が確定すれば、次はその金額に税率を乗じて控除額を引くことにより、最終的な所得税額を導き出します。先に述べた速算表を参照し、ご自身の課税所得に応じた税率と控除額を見つけてください。


課税所得金額
税率控除額
1,000円~1,949,000円5%0円
1,950,000円~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

累進課税とは

所得税率は課税所得に応じて段階的に高く設定される累進課税が用いられています。つまり、所得の少ない人は低い税率で、所得の多い人は高い税率が適用されるのです。

累進課税には、全所得に同一税率を適用する単純累進課税と、所得が一定額を超えた部分にのみ高い税率を適用する超過累進課税の二つがあります。現在日本で採用されているのは後者で、課税所得が特定の閾値を超えた分に対してのみ、高い税率が適用されるシステムです。これにより、納税者の負担が公平になるように設計されています。

所得税納付のプロセスについて

所得税の納付方法は、給与所得者と自営業者で大きく異なるため、それぞれのケースに応じた適切な手続きの概要をこちらで優しくご案内いたします。

給与所得者の税金は自動で処理されます

給与所得者にとって、所得税は通常、勤め先が給料や賞与を手渡す前に自動的に差し引かれる「源泉徴収」というシステムによって管理されています。さらに、年末調整のプロセスを通じて、その年に支払いすぎたり足りなかったりした税金を調整し、年度の終わりに給料と一緒に清算することができます。 このため、多くの給与所得者は年末調整だけで所得税の納付が完了し、特別な理由がない限りは確定申告を行う必要はないのが一般的です。

自営業者は自ら税金を申告し納付します

自営業者、たとえば個人事業主やフリーランサーなどは、毎年の収入に関して自分で確定申告を行い、その結果に基づき所得税を納付することになります。 確定申告は毎年2月16日から3月15日までの間に行う必要があり、正確な所得額を申告した上で税額を算出し、それに従って税金を支払うという流れになります。自営業者が利用できる税金の納付方法には以下のオプションがあります。

①銀行振込による納税

振込納税とは、銀行口座から直接税金を納める方法です。この場合、振込が実施されることを確実にするため、振込日の前に口座残高を確認しておくことが大切です。 ただし、この方法では領収証が発行されないため、その点には注意が必要です。

②e-TAXを使用した電子納税

e-TAXは、インターネットを利用して自宅から簡単に税金を納付できるシステムです。すでに確定申告でe-TAXを活用している方であれば、この方法を利用して納税することが推奨されます。

③クレジットカード支払い

税金をクレジットカードで支払う際は、専用のオンラインサービスを通じて手続きを行う必要があります。e-TAXと同じく、自宅にいる間に簡単に納税が可能ですし、分割やリボルビング払いを選択できるメリットがあります。ただし、手数料がかかる場合があるため、事前にその点をチェックしておくことが大切です。

④コンビニエンスストアでの支払い

お近くのコンビニエンスストアを利用して税金を支払う方法もあります。国税庁のウェブサイトで発行できるQRコードか、税務署から送られてくるバーコードが付いた納付書を用いて支払いを行います。 日常の買い物をしながら手軽に税金を支払うことができますが、30万円を超える大きな金額の納付はできないこと、またすべてのコンビニでバーコード支払いが可能ではない場合があるので注意が必要です。納付可能なコンビニエンスストアに関する詳細は以下でご確認ください。

参考:コンビニでの納税(バーコード利用)が可能な店舗について

⑤金融機関や税務署での直接支払い

金融機関や税務署の窓口では、現金を用いて直接税金を納付することができます。納付には、税務署や金融機関に用意されている納付書を使用します。 一度に大きな金額を支払う必要がある場合はこの方法が適していますが、窓口が開いている時間内に支払わなければならないという制約もあります。これは一部の方にとっては不便に感じられるかもしれません。

まとめ:段階的な所得の計算と控除を利用して税額を見極める

私たちの労働による収入やビジネスから得られる利益には、所得税が課されるというのはよく知られた事実です。
税金を計算する際には、まずは自分の給与所得や事業所得を段階別に計算します。そしてそこから、利用可能な様々な控除項目を差し引くことで、最終的な税金の金額が明らかになります。

日本の税制には累進課税制度が採用されているため、収入が多いほど高い税率での計算が適用されます。この税率は、所得の大きさに応じて異なる税率を段階的に適用することで、税金の公平を保っています。
各自で利用できる控除を最大限活用し、所得税の速算表を参照しつつ、自身の所得税額を正確に計算することが大切です。そうすることで、税金の納付がよりスムーズに行え、税金計算のプロセスを深く理解することができるでしょう。

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