皆様、こんな疑問をお持ちではないでしょうか。「年収2000万円って、実際のところどれくらいのものなの?」と。
実は、国税庁のデータによれば、私たちの国の平均年収は433万円。これを考えると、2000万円はその約4.7倍にもなります。すごい金額ですよね。
でも、「2000万円の収入を持つ人はどれくらいの人がいるのか」「その収入だと手元に残る金額はどれくらい?」というような疑問を抱えている方も少なくないはず。
この度の記事では、2000万円の年収の実際の概要や、それに伴うプラス面・マイナス面、そしてお得に税を納めるための方法などをお伝えしていきます。どうぞ、心ゆくまでお読みくださいね。
2000万円という収入、実際にはどれくらいの人が得ているのか?
引用:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)|金融広報中央委員会
驚くかもしれませんが、金融広報中央委員会による最新の調査結果をご覧ください。単身世帯で年収2000万円(手取りでは1200万円以上)を得ている人の数、全体で考えるとわずか0.8%です。
さて、年齢別にこの数字がどうなっているのか、一緒に詳しく見ていきませんか?
20代の中で、年収2000万円を超える人は?
驚くべきことに、金融広報中央委員会の調査によれば、20代の単身世帯の中で年収2000万円以上(手取り1200万円以上)を得ている人は、たったの0.4%です。
実際、20代の人々の中で最も一般的な年収は300万円未満で、52.4%の人がこれに該当します。このデータを見るだけで、20代で年収2000万円を超えている人の希少さが伝わってくるのではないでしょうか。
医師や弁護士といった特定のプロフェッショナルを除くと、20代でこの収入を持っている人の多くは、歩合制の営業や専門的なコンサルタントといった職種に従事しています。
大手の企業で働いている方々の中でも、この収入に到達するのは、なかなかのチャレンジと言えるでしょう。
30代での2000万円収入の人々は?
30代の人々の中で年収2000万円以上(手取り1200万円以上)を得ているのは、0.6%と、前の世代よりはやや増えていますが、まだまだ少数派です。
この年齢層では、キャリアの進展や役職の昇進などで収入が増加する傾向にありますが、それでも多くの人が年収300~500万円の間に位置しています。
これからのキャリアの進展を考えると、この収入帯を超えるのは、特定の職種や状況に限られる可能性が高いですね。
40代で、2000万円以上の収入を持つ人々
40代における年収2000万円以上(手取り1200万円以上)の持ち主は、1.1%と少し増えています。
この年齢層になると、多くの人が20年以上のキャリアを持ち、企業内での位置づけも安定してきます。しかし、その中でこの収入を持つのは、それほど容易なことではありません。
役職が高くなると、収入もそれに応じて増加しますが、それには多くの責任やスキルが求められます。
50代以上で2000万円以上の収入を持つ方は?
50代で年収2000万円以上(手取り1200万円以上)を持つ人々の割合は1.2%と、40代と比べるとわずかに増加しています。
この年代になると、多くの人が経営層や上級管理職としての役職につくことが考えられます。そのため、収入が増加する傾向にあるのですが、それでもこの収入を持つのは簡単なことではありません。
経営者として成功するためには、ビジョンを持ち、それを実現するための戦略や技術が必要となります。それだけのスキルや経験を持って、この収入を得ることができるのは、本当に限られた人々と言えるでしょう。
年収2000万円を得ると、実際に手元に残る金額は?
給与と税金、この2つの関係について、一緒に詳しく考察してみましょう。年収2000万円を持っている方は、手元にいくら残るのでしょうか?そして、税金はどれくらい支払われるのでしょうか。こちらで詳しくご紹介いたします。
年収2000万円の実際の収入
年収 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 | 手取り額 |
2000万 | 374万 | 160万 | 159万 | 1307万 |
情報提供:年収と手取りの早見表|ウェルスハック
さて、武蔵コーポレーション株式会社が運営する「ウェルスハック」という情報サイトが提供するデータによりますと、年収2000万円の方が実際に手元に残す金額はおおよそ1307万円となるそうです。
※こちらの計算は、会社員として働いている方、扶養家族がいない方、そして基本的な給与所得控除や基礎控除、社会保険料の控除のみを取り入れて計算されたものです。
年収と実際に受け取る手取り金額の差は、給与から引かれる税金や社会保険料が影響しています。この給与からの引かれる部分を「控除」と言いますね。具体的には、
- 税金:所得税や住民税
- 社会保険料:厚生年金、健康保険・介護保険、そして雇用保険
これらが主な要素となります。
手取り額を理解する
手取り金額の計算の基本は、以下のような公式で簡単に示すことができます。
額面給与 - 控除の合計 = 実際の手取り金額
つまり、毎月もらう給与から、税金や社会保険料などの控除を引いていくことで、手元に残る金額が明確になります。給与明細を見ると、これらの控除の詳細がしっかり記載されていますので、参照してみると良いでしょう。
年収2000万円だと、約693万円もの控除があるなんて、ちょっと驚きですよね。高い収入になると、それに伴い税金も増えるため、このような結果になるのです。
年収2000万円の場合の税金って?
年収 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 | 手取り額 |
2000 | 374 | 160 | 159 | 1307 |
情報提供:年収と実収入の比較|ウェルスハック
「ウェルスハック」の情報源によれば、年収2000万円の場合、納める税金の総額はおおよそ534万円となります。
でも、ここでひとつ大切なこと。同じ年収でも、納税の具体的な金額は、その人その人の状況により変動します。だから、一概には言えないんですよ。
年収2000万円時の所得税について
所得税の計算は「累進課税」というシステムをベースにしています。
これは、所得が増えるにつれて税率も上昇するという考え方。年収2000万円の人は、当然、高い税率が適用されます。
具体的な所得税は、課税対象の所得金額にその税率を掛け算して求められます。
その課税対象の所得金額って何?と思うかもしれませんが、これは総所得から所得控除を引いた後の金額を指します。
この所得控除部分には、人それぞれの状況による違いが出るため、同じ年収であっても支払う所得税が変わることがあります。
詳細な税率等については、国税庁の公式サイト「所得税の税率」ページをチェックしてみてくださいね。
年収2000万円の際の住民税
住民税には、大きく分けて以下の2つの部分があります。
- 均等割:住む場所や所属する会社に関係なく、一律での支払い額
- 所得割:前年度の所得に基づいて計算される部分
住民税には、所得に応じた負担額が含まれるので、年収2000万円の方は、相対的に高い住民税を支払うことになるでしょう。
年収2000万円を超えると、確定申告を忘れずに
年収2000万円以上を稼いでいる方は、確定申告が不可欠です。これは、年末調整の対象とならないからです。
年収2000万円以上の方が受け取る「給与所得の源泉徴収票」には、以下の情報が詳細に記されています。
- 受給者の住所や居住地
- 名前と個人番号
- 収入の種類
- 給与の総額
- 源泉徴収税の額
- 扶養を受ける家族の数や障害者の数
- 社会保険料等の合計金額
- 扶養家族の詳細な情報(名前、個人番号など)
情報提供:2,000万円以上の収入者向け源泉徴収票の記載方法|国税局
会社員の皆さん、源泉徴収票はちゃんと確認し、年収2000万円以上ならば、確定申告の手続きを怠らないようにしましょうね。
年収2000万円を超えると、どんな点が気をつけるべき?
年収2000万円以上になると、一見素晴らしいように思えますが、実際には様々な面で手続きが複雑になることがあります。こちらで、特に気をつけたい4つのポイントを詳しく解説いたします。
自分から確定申告をしないといけない
年収が2000万円を超えると、自動的な年末調整が行われなくなるので、自分から税務署に確定申告を行う必要が出てきます。
確定申告とは、1年間に得た所得に対する税金の正確な額を計算し、それを国に報告し、必要に応じて税金を納める手続きのことを指します。
この手続きは初めての人には少し大変に感じるかもしれません。そして、この確定申告を忘れてしまったり、間違った額を申告してしまうと、追加の税金や遅延税などのペナルティが生じる可能性があるのです。
なので、年収が2000万円以上になったら、確定申告に関して事前にしっかりと情報を収集し、計画的に行動することがおすすめです。
配偶者の税額控除が受けられなくなる
年収2000万円以上の方は、配偶者の税額控除を受けることが難しくなります。
配偶者の税額控除とは、所得税から控除できる制度で、特定の条件を満たす配偶者がいると受けられるものです。
その条件とは、以下の4つです。
- 法的に正式な配偶者であること(事実婚は適用外)
- 主たる生計の提供者であること
- 年間の総所得が48万円以下であること(給与だけの場合、103万円以下)
- 青色申告や白色申告の事業専従者でないこと
しかし、この控除は、納税者の年収が一定の額を超えると受けられなくなります。
特に、年収2000万円以上の方は、この配偶者控除の恩恵を受けることが難しいのですが、ここでの基準は「年収」ではなく「合計所得金額」なので、しっかりと確認して、適切な手続きをしましょう。
給与からの控除が一定額となる点
年収が増えることは素晴らしいことのように思えますが、給与所得控除が固定されるという点に注意が必要です。
一般的に、給与所得者は自営業者のように収入から直接的な経費を引くことが許されていません。そのため、税金を計算する際に考慮される給与所得控除が存在します。
国税庁の規定によれば、給与所得控除は収入の増減に合わせて変動しますが、年収が850万円を越えると、控除額は195万円に固定されることとなります。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
情報提供:給与所得控除|国税庁
このため、年収が上昇しても、給与所得控除の額は増加せず、相対的に控除のメリットが減少していくのです。
特に、年収が2000万円を超えると、この固定の給与所得控除により税金上の不利益を感じることがあるでしょう。
高収入者は住宅ローン控除の対象外に
年収が2000万円を超えると、住宅ローン控除を受けることが難しくなります。
住宅ローン控除、正確には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれるものは、特定の条件をクリアした場合に、住宅のローン残高をもとに税額を減少させるための制度です。
この制度は、時々改正されることがあり、2022年にも変更がありました。以前は、合計所得が3000万円以下の人がこの控除の対象でしたが、2022年の変更により、この基準が2000万円まで引き下げられました。
その結果、年収2000万円を超える方は、この有益な住宅ローン控除を受けることができなくなりました。
高収入というメリットがある一方で、税制上のこういった点がデメリットとして挙げられることもあるので、しっかりと最新の情報を把握し、計画的に対応していく必要があります。
年収2000万円を超えると、どんな良い点があるのでしょうか?」
年収が2000万円を超えると、さらに多くの資金が手元に残ることが一番の利点ですね。その結果、多くの人よりも豊かな生活が実現可能になります。
貸し付けの条件がよくなる
高い年収の一つの利点として、資金の借入れがしやすくなる点が挙げられます。これは、さまざまなシチュエーションでのメリットに繋がります。
住宅ローンや投資用のローンもスムーズ
家を購入する際の住宅ローンの審査においては、安定した収入の有無が大きな基準となります。そして、不動産投資の際のローンにおいても、物件の収益性はもちろん大切ですが、借り手としての年収も考慮される要素の一つです。年収が2000万円以上の方は、これらの審査において有利な立場となる可能性が高いですね。
賃貸の契約やカードの取得がスムーズ
賃貸の契約を結ぶ際の審査や、クレジットカードを取得する際の審査でも、安定した収入があるかどうかは大きな判断基準の一つです。特に、年収が確認できると、その人の経済的な信頼性が高まり、審査が通りやすくなるでしょう。
生活に必要なお金を超えて使える資金が増加
年収2000万円以上を得ると、日常の生活費に使うお金を除いた分で、さらに自由に使える資金が増加します。たとえば、年収2000万円から手取りが約1300万円とすると、月々に換算すると約108万円の使用可能な資金が得られます。
理想的なお金の使い方の割合を考えた場合、「消費」70%、「浪費」5%、「投資」25%といった具体的な数字が考えられます。この比率で生活費を考慮すると、残りの約32万円を自由に使える計算となります。
このように、余裕をもった資金計画が可能となり、未来の計画や楽しい活動に使うことができます。
年収2000万円を超える方向けの税金節約テクニック
年収が2000万円を超える方にとって、税金の節約は大きな関心事となります。そのため、賢い節税対策を知ることは大切ですね。こちらで、投資や地域贡献の方法を通じて実現できる節税のアドバイスを3つご提案します。
iDeCo・NISAの活用
税金節約のための手段として、iDeCoやNISAなどの投資制度を上手に活用することを考えることができます。
iDeCo:個人型確定拠出年金の活用
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことで、将来のリタイアメントに向けての資産形成をサポートする制度です。
このiDeCoの主な特徴は:
- 運用して得た利益は非課税となる
- 所得税や住民税の軽減が可能
通常、投資から得られる収益には税金がかかりますが、iDeCoを利用すると、その収益に対する税金を支払う必要がありません。約20%の税金の節約が可能です。
さらに、iDeCoへの拠出金は所得から控除され、税金の軽減が期待できます。ただし、これは投資としての側面が強いため、元本保証がない点や、60歳までの引き出し制限など、注意すべきポイントもあります。十分なリサーチと検討を行った上で、この制度を活用すると良いでしょう。
NISAの魅力
NISAは、少額投資のための非課税制度として知られています。この制度には「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つのタイプが存在します。その主なメリットは、運用益が課税されない点です。
「一般NISA」は設定された上限額までの投資を自由に行うことができます。一方、「つみたてNISA」は一定の上限額内で、定期的な投資を行う方法です。
以下に、これらの2つのタイプの違いを示す表を掲載します。
一般NISA | つみたてNISA | |
対象者 | 20歳以上※、日本在住 ※令和5年以後に非課税口座を開設する場合は18歳以上 | 20歳以上※、日本在住 ※令和5年以後に非課税口座を開設する場合は18歳以上 |
非課税投資枠 | 年間120万円 | 年間40万円 |
運用期間 | 5年間 | 20年間 |
非課税対象 | 運用益 | 運用益 |
一般NISAとつみたてNISAは、非課税の投資制度として人気がありますが、それぞれ特有の特徴と利点があります。
一般NISAの場合、年間120万円までの投資が非課税となるという大きな利点があります。これは一年間でその金額まで投資すれば、その利益は税金の対象外となるのです。ただ、この制度の利用期間は5年間と比較的短いのがネックです。
対照的に、つみたてNISAの年間の非課税枠は40万円と、一般NISAよりは控えめです。しかしこの制度の魅力は、定期的に少しのお金を積み立てながら、それを長期間運用することができる点にあります。
一般NISAとつみたてNISAは、同時に利用することはできませんので、どちらを選ぶかは大切な選択となります。あなたの投資の目的や毎日の生活様式にどちらが合致するか、じっくりと考えてみてくださいね。
不動産での資産形成
年収が2000万円を超える方々には、不動産への投資が節税の手段として考えられます。
不動産投資において赤字が発生した場合、その損失額を会社からの給与とオフセットすることで、実質的に税金の返還が受けられるのです。
例えば、あなたが会社員であるならば、所得税の計算時に、給与所得と不動産からの所得が合算されます。ここで、不動産からの収入が赤字であれば、その分給与所得と相殺することができるのです。その結果、税金が軽減される可能性が高まります。
ただ、不動産投資には管理やメンテナンスなどの継続的な費用が発生することもあります。そのため、慎重な判断と計画が求められることを忘れずに。
地域への寄付:ふるさと納税
年収が2000万円を超える方に、ふるさと納税という節税手段があります。
ふるさと納税は、自分の心引かれる地域やプロジェクトに寄付をすることで、その地域の特色ある返礼品が手に入るだけでなく、税金控除のメリットも享受できる制度です。
寄付の金額のうち、最初の2000円を除いた部分が税金から控除されるのです。
この制度の一番の魅力は、寄付をしながらその地域の美味しい食材や工芸品などの返礼品を楽しむことができる点です。
具体的な控除の詳細や方法については、国税庁の公式ページ「ふるさと納税(寄附金控除)」をご参照いただくと良いでしょう。
結論
年収2000万円を越える方々は、日本の社会全体の中で、少数派と言える存在です。
具体的に、各年齢層を比較してみると、彼らの割合は0.4%から1%程度しかないというのが実態です。
このような高所得を持つ人々の最大の利点は、日常の支出を越える部分で手元に残る金額が増えることかもしれません。
例えば、住宅のローン申請やクレジットカードの審査がスムーズに進むこと、あるいは生活のクオリティが向上することなどが考えられます。
しかし、逆に収入が増えることで税金の額も増加し、また、種々の制度やサービスで不利になる側面も存在します。
こういった点を少しでも緩和するためには、以下のような節税策を活用するのがおすすめです。
- 非課税となる投資制度、例えばiDeCoやNISA
- 不動産による資産運用
- 地域をサポートするふるさと納税
これらは個々に異なる特色を持っているため、自分の生活様式やニーズに応じて最適な手法を選んで利用することが大切です。