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学資保険を解約した理由|元銀行員FPが語る「やめてよかった」実体験と賢い判断基準

目次

はじめに|なぜ多くの親が学資保険の解約を検討するのか

「子どものために」と思って加入した学資保険。でも、月々の保険料支払いが家計を圧迫し、「本当にこのまま続けていいのだろうか」と悩んでいる親御さんは、実はとても多いのです。

私は現在、ファイナンシャルプランナー(CFP資格保有)として多くのご家庭の資産形成をサポートしていますが、相談件数の約3割が「学資保険の見直し・解約」に関するものです。大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント時代を含めると、12年間で1,000件以上の学資保険相談を受けてきました。

そして恥ずかしながら、私自身も長男が1歳の時に加入した学資保険を、5年後に解約した経験があります。当初は「確実に教育資金を貯められる」と思っていましたが、運用効率の悪さと家計への負担を考え直し、解約返戻金で元本割れを覚悟の上で解約しました。結果的に、その後のつみたてNISAでの運用で、解約時の損失分を取り戻すことができました。

この記事では、学資保険を解約した理由、解約を検討している方が知っておくべきポイント、そして解約後の教育資金準備方法について、私の実体験と専門知識を交えながら、どこよりも詳しく解説していきます。

学資保険の解約は、決して「失敗」ではありません。時には、家計と将来のためのベストな選択となることもあるのです。

1. 私が学資保険を解約した3つの理由

1-1. 【理由①】予想以上に低い返戻率への失望

私が2018年に加入した某大手生命保険会社の学資保険の返戻率は、当時でも103.2%でした。つまり、18年間で払い込んだ保険料に対して、受け取れる学資金は103.2%。年利に換算すると、わずか0.17%程度でした。

当時の銀行の定期預金金利が0.01%だった時代ですから、「銀行預金よりはマシ」という理由で加入しましたが、実際に家計簿をつけ始めて気づいたことがあります。

「月々15,000円の保険料支払いが、想像以上に家計を圧迫している」

長男の成長とともに、食費、衣服費、習い事費用などが増加し、学資保険の保険料が「固定費」として家計に重くのしかかってきたのです。さらに、インフレの影響で物価が上昇する中、0.17%という超低金利では、実質的に資産価値が目減りしていることに気づきました。

1-2. 【理由②】流動性の低さが家計リスクに

学資保険の最大のデメリットは「流動性の低さ」です。つまり、急にお金が必要になっても、簡単に現金化できないということです。

私の場合、長男が3歳の時に妻が体調を崩し、医療費と生活費で予想外の出費が発生しました。この時、学資保険から借り入れをすることも考えましたが、貸付利率が3%と高く、結局、別の方法で資金調達をしました。

この経験から、「教育資金の準備は大切だが、現在の家計の安定性を犠牲にしてまで続けるべきではない」と強く感じました。

1-3. 【理由③】つみたてNISAとの比較で運用効果に愕然

2018年からつみたてNISAが開始され、私も試しに月5,000円から始めました。その結果、年利3-5%程度の運用成果を得ることができ、学資保険の0.17%との圧倒的な差に愕然としました。

具体的な数字で比較してみましょう:

  • 学資保険:月15,000円×18年間(216か月)= 324万円の払込み → 受取り334.4万円(103.2%)
  • つみたてNISA:月15,000円×18年間、年利4%で運用 → 約450万円

その差は、なんと約115万円。この数字を見た時、「このまま学資保険を続けるのは、子どもの将来にとってマイナスではないか」と考えるようになりました。

2. 学資保険解約を検討すべき7つのサイン

多くの相談者から聞いた解約理由と、私自身の経験を踏まえ、学資保険の解約を検討すべきサインをまとめました。一つでも当てはまる場合は、現在の保険内容を見直すことをおすすめします。

2-1. 【サイン①】月々の保険料が家計の5%以上を占めている

家計における保険料の適正な割合は、一般的に手取り収入の3-5%とされています。学資保険だけで5%を超えている場合、家計のバランスが崩れている可能性があります。

例:手取り月収25万円の場合

  • 適正な保険料:7,500円-12,500円
  • 学資保険が15,000円の場合 → 家計の6%を占めており、見直しが必要

2-2. 【サイン②】緊急時の貯蓄が生活費の3か月分未満

学資保険に加入していても、家計の緊急時資金(生活費の3-6か月分)が不足している場合は、優先順位を見直す必要があります。

私が銀行員時代に見てきた多くのご家庭で、「学資保険は続けているが、急な出費で消費者金融から借金をした」というケースがありました。これでは本末転倒です。

2-3. 【サイン③】返戻率が105%未満

現在販売されている学資保険の多くは、返戻率が100-105%程度です。105%未満の場合、インフレリスクを考慮すると、実質的な資産価値の増加は期待できません。

インフレの影響を考慮した実質返戻率の計算例:

  • 表面返戻率:103%
  • 年間インフレ率:2%
  • 18年後の実質価値:103% ÷ (1.02^18) ≒ 72%

つまり、表面的には103%でも、実質的には72%に目減りしている計算になります。

2-4. 【サイン④】加入から5年未満で解約返戻金が払込保険料の80%未満

学資保険は、加入初期の解約返戻金が著しく低く設定されています。しかし、5年以上経過しても80%を下回る場合は、その保険の解約返戻金の設定に問題がある可能性があります。

2-5. 【サイン⑤】他の投資・運用を一切していない

学資保険だけで教育資金を準備している場合、リスク分散の観点から問題があります。特に、つみたてNISAやジュニアNISA(現在は新規受付終了)を活用していない場合は、税制優遇を受けられる機会を逃している可能性があります。

2-6. 【サイン⑥】保険会社の財務状況に不安を感じている

学資保険は長期契約のため、保険会社の財務安定性が重要です。格付け機関による評価がA格未満の場合や、ソルベンシー・マージン比率が500%を下回る場合は、リスクを考慮する必要があります。

2-7. 【サイン⑦】ライフプランの変更で教育方針が変わった

  • 海外への移住を検討している
  • 子どもが私立ではなく公立志向になった
  • より多くの教育資金が必要になった

など、当初の教育プランから大幅に変更があった場合は、学資保険の内容との整合性を確認する必要があります。

3. 解約のメリット・デメリットを数字で徹底比較

3-1. 学資保険解約のメリット

メリット①:家計の流動性向上

学資保険を解約することで、月々の固定費が削減され、家計の柔軟性が向上します。

具体例:月15,000円の学資保険を解約した場合

  • 年間18万円の固定費削減
  • この資金を緊急時資金として蓄積
  • 家計の選択肢が広がる

メリット②:より効率的な運用への転換可能性

解約返戻金と今後の保険料を、より効率的な金融商品で運用することで、教育資金をより多く準備できる可能性があります。

運用効果の比較(18年間、月15,000円の場合)

運用方法年利18年後の資産額学資保険との差額
学資保険0.17%334.4万円
定期預金0.01%324.4万円-10万円
つみたてNISA(保守的)3%420万円+85.6万円
つみたてNISA(標準的)4%450万円+115.6万円
つみたてNISA(積極的)5%483万円+148.6万円

メリット③:税制優遇の活用

つみたてNISAの場合、運用益が非課税となるため、実質的な運用効果はさらに高くなります。

税制優遇効果の例(年利4%、18年間運用の場合)

  • 運用益:450万円 – 324万円 = 126万円
  • 通常の投資の場合の税額:126万円 × 20.315% ≒ 25.6万円
  • つみたてNISAの場合:税額0円
  • 実質的なメリット:25.6万円の節税効果

3-2. 学資保険解約のデメリット

デメリット①:解約返戻金の元本割れリスク

特に加入から10年未満の解約では、払込保険料を下回る解約返戻金となる可能性が高いです。

解約返戻金の推移例(月15,000円、18年満期の商品)

経過年数払込保険料累計解約返戻金返戻率
1年18万円5万円27.8%
3年54万円35万円64.8%
5年90万円72万円80.0%
10年180万円165万円91.7%
15年270万円280万円103.7%

デメリット②:保険機能の喪失

学資保険には、契約者(親)が死亡した場合の保険料払込免除機能が付いています。解約すると、この保障を失うことになります。

保険機能の価値評価例

  • 年収500万円の契約者の場合
  • 残り保険料:月15,000円×10年間 = 180万円
  • 万一の際の家計保護効果は相当な価値

ただし、この保障は収入保障保険などで、より安い保険料でカバーできる場合もあります。

デメリット③:積立の強制力の喪失

学資保険の「自動的に積立される」機能は、貯蓄が苦手な方にとっては大きなメリットです。解約後、計画的な積立ができなくなるリスクがあります。

デメリット④:将来の運用成績の不確実性

つみたてNISAなどの投資は、学資保険と異なり元本保証がありません。市場環境によっては、学資保険の方が有利だった、という結果になる可能性もゼロではありません。

4. 解約タイミングの見極め方|損失を最小化する方法

4-1. 解約返戻金の推移を正確に把握する

まず、保険会社に連絡して、現在の解約返戻金額と、今後の推移予想を正確に確認しましょう。多くの保険会社では、以下の情報を提供してくれます:

  • 現在の解約返戻金額
  • 1年後、3年後、5年後の解約返戻金予想額
  • 満期まで続けた場合の受取総額

4-2. 「損益分岐点」を計算する

現在解約した場合の損失と、今後の運用で得られる利益を比較し、何年で損失を回収できるかを計算します。

損益分岐点の計算例

現在の状況:

  • 払込保険料累計:100万円
  • 解約返戻金:80万円
  • 解約による損失:20万円

今後の運用計画:

  • 月々の積立額:15,000円
  • 想定年利:4%

損失回収期間の計算:

  • 20万円の損失を年利4%で回収するには約11か月
  • つまり、約1年後には解約損失を取り戻せる計算

4-3. 「払済保険」への変更も検討

全額解約ではなく、保険料の支払いを止めて、それまでの積立分で保険を継続する「払済保険」という選択肢もあります。

払済保険のメリット

  • 保険料の支払い負担がなくなる
  • 満期時に一定の保険金を受け取れる
  • 解約による元本割れを避けられる

払済保険のデメリット

  • 満期保険金額が減額される
  • 契約者の死亡時の保険料払込免除機能がなくなる

4-4. 最適な解約タイミングの判断基準

私の経験から、以下の条件が揃った時が解約の適切なタイミングと考えています:

  1. 家計の安定性が確保されている:緊急時資金が十分にある
  2. 代替手段が明確になっている:つみたてNISA口座の開設完了など
  3. 長期的な運用計画ができている:少なくとも10年以上の運用期間を確保
  4. 家族の合意が得られている:配偶者との十分な話し合い

5. 解約後の教育資金準備|おすすめの代替手段7選

学資保険を解約した後の教育資金準備について、リスクレベル別におすすめの方法をご紹介します。

5-1. 【安全性重視】定期預金・積立定期預金

メリット

  • 元本保証で安心
  • 預金保険制度により1,000万円まで保護
  • いつでも解約可能(ただし利息は減額)

デメリット

  • 現在の金利水準では資産増加は期待できない
  • インフレリスクに対応できない

適用対象

  • 絶対に元本を減らしたくない方
  • 子どもの進学まで5年未満の方

具体的な活用方法

  • ネット銀行の積立定期預金を活用
  • 金利キャンペーンを狙い撃ち
  • 複数の銀行に分散して預金保険制度を最大活用

5-2. 【バランス型】つみたてNISA

メリット

  • 年間40万円まで運用益が非課税
  • 20年間の長期非課税投資が可能
  • いつでも売却・換金可能
  • 金融庁が選定した投資信託のみで安心

デメリット

  • 元本保証なし
  • 市場環境により元本割れの可能性
  • 年間投資枠に上限あり

適用対象

  • 10年以上の長期投資が可能な方
  • 年利3-5%程度のリターンを期待する方

おすすめ商品例

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • 楽天・全世界株式インデックスファンド
  • SBI・V・S&P500インデックスファンド

5-3. 【積極運用】ジュニアNISA(既存口座のみ)

2023年末で新規受付は終了しましたが、既に口座を持っている場合は引き続き活用可能です。

メリット

  • 年間80万円まで運用益が非課税
  • 2024年以降はいつでも売却・払出し可能
  • 成人まで親が運用管理

デメリット

  • 新規開設不可
  • 18歳まで原則払出し制限(2024年以降は解除)

5-4. 【節税効果大】個人型確定拠出年金(iDeCo)

メリット

  • 掛金全額が所得控除
  • 運用益が非課税
  • 受取時も税制優遇あり

デメリット

  • 60歳まで原則引き出し不可
  • 教育資金としては流動性に欠ける
  • 年間手数料がかかる

適用対象

  • 老後資金と教育資金を同時に準備したい方
  • 節税効果を重視する方(年収400万円以上)

5-5. 【保険機能付き】収入保障保険 + 投資信託

学資保険の保険機能を別途確保し、教育資金は投資信託で準備する方法です。

メリット

  • 保険機能と投資機能を分離できる
  • それぞれ最適な商品を選択可能
  • コストを抑えられる

デメリット

  • 管理が複雑になる
  • 投資部分は元本保証なし

具体的な組み合わせ例

  • 収入保障保険:月々2,000-3,000円
  • つみたてNISA:月々30,000円
  • 合計:月々32,000-33,000円

5-6. 【高利回り狙い】外貨預金・外国債券

メリット

  • 円預金より高い金利
  • 為替差益の可能性
  • 通貨分散効果

デメリット

  • 為替リスク
  • 手数料が高い場合が多い
  • 預金保険の対象外

適用対象

  • 為替リスクを理解している方
  • 外貨での教育費支出予定がある方(海外留学等)

5-7. 【柔軟性重視】財形貯蓄制度

会社員・公務員限定ですが、給与天引きで確実に積立ができます。

メリット

  • 給与天引きで確実に積立
  • 一般財形なら使途自由
  • 会社によっては奨励金あり

デメリット

  • 勤務先に制度がない場合は利用不可
  • 金利は銀行預金と同程度

6. 解約手続きの流れ|スムーズに進める7つのステップ

6-1. ステップ①:現在の契約内容の確認

まず、手元にある保険証券を確認し、以下の情報を整理しましょう:

  • 契約者名・被保険者名
  • 保険金額・満期金額
  • 保険料払込期間・満期年月
  • 現在までの払込保険料総額
  • 契約者貸付の有無

6-2. ステップ②:解約返戻金の照会

保険会社のコールセンターまたは担当者に連絡し、現在の解約返戻金額を確認します。この際、以下の点も確認しましょう:

  • 解約返戻金の振込予定日
  • 必要な手続き書類
  • 手続きにかかる期間

6-3. ステップ③:家族との最終協議

解約は家族の将来に関わる重要な決定です。配偶者、場合によっては義両親との十分な話し合いが必要です。

話し合いのポイント

  • 解約理由の明確化
  • 代替手段の具体的な計画
  • 家計への影響の試算
  • 万一の場合の保障の確保方法

6-4. ステップ④:代替手段の準備

解約前に、代替となる投資口座等の準備を完了させておきましょう。

つみたてNISAの場合の準備項目

  • 証券会社の選定と口座開設
  • 投資する商品の選定
  • 自動積立設定の準備

6-5. ステップ⑤:解約手続きの実行

保険会社指定の解約請求書に必要事項を記入し、以下の書類と合わせて提出します:

一般的な必要書類

  • 解約請求書(保険会社指定)
  • 保険証券
  • 契約者の本人確認書類
  • 印鑑証明書(場合により)
  • 振込先口座の通帳コピー

6-6. ステップ⑥:解約返戻金の受取り確認

通常、解約手続き完了から1-2週間程度で解約返戻金が振り込まれます。金額と振込日を確認しましょう。

6-7. ステップ⑦:代替手段での投資開始

解約返戻金を受け取ったら、速やかに代替手段での投資を開始します。現金で保有する期間を最小限にすることで、機会損失を避けられます。

7. 解約しない選択肢|保険を活かす見直し方法

解約以外にも、現在の学資保険を活かす方法があります。状況によっては、解約よりも有効な場合もあります。

7-1. 保険料の減額

月々の保険料負担を軽減しながら、保険を継続する方法です。

減額のメリット

  • 家計負担の軽減
  • 保険機能の維持
  • 解約返戻金の元本割れ回避

減額のデメリット

  • 満期保険金の減額
  • 教育資金不足のリスク

減額の判断基準

  • 現在の家計が圧迫されている
  • 他の方法で教育資金を補完できる
  • 保険の保障機能を重視している

7-2. 払済保険への変更

保険料の支払いを停止し、それまでの積立分で保険を継続する方法です。

払済保険の具体例

  • 現在の払込保険料累計:150万円
  • 払済保険金額:約120万円
  • 満期:当初の予定通り

7-3. 延長保険への変更

それまでの積立分を保険料に充当し、保険金額を維持したまま保険期間を短縮する方法です。

延長保険の特徴

  • 満期保険金額は変わらず
  • 保険期間が短縮される
  • 新たな保険料支払いは不要

7-4. 契約者貸付の活用

急な資金需要がある場合、解約返戻金の範囲内で保険会社から借り入れができます。

契約者貸付のメリット

  • 保険を継続しながら資金調達可能
  • 審査不要で迅速な借り入れ
  • 返済期限の制約が少ない

契約者貸付のデメリット

  • 貸付利率(年3-6%程度)がかかる
  • 返済しないと保険金から差し引かれる
  • 元利合計が解約返戻金を超えると失効リスク

8. よくある失敗事例|私が見てきた後悔パターン5選

8-1. 【失敗事例①】感情的な解約で大きな損失

Aさんのケース(会社員・35歳) 子どもの医療費で急な出費が必要になり、加入3年目で学資保険を解約。払込保険料80万円に対し、解約返戻金はわずか45万円。35万円の損失を被りました。

失敗の原因

  • 緊急時資金の不足
  • 契約者貸付などの選択肢を検討せず
  • 感情的な判断

教訓 緊急時こそ冷静な判断が必要。複数の選択肢を比較検討しましょう。

8-2. 【失敗事例②】代替手段の準備不足で投資機会を逸失

Bさんのケース(主婦・32歳) 学資保険を解約後、「どこに投資すればいいかわからない」と現金で2年間保有。その間の株式市場上昇の恩恵を受けられませんでした。

失敗の原因

  • 事前の情報収集不足
  • 代替手段の準備不足
  • 投資への過度な不安

教訓 解約前に代替手段を十分検討し、準備を完了させることが重要です。

8-3. 【失敗事例③】家族間の意見不一致でトラブル

Cさんのケース(会社員・40歳) 妻に相談せずに学資保険を解約し、後に大きな家族間トラブルに発展。結果的に、解約返戻金で再度学資保険に加入することになりました。

失敗の原因

  • 家族との事前相談不足
  • 一方的な判断
  • コミュニケーション不足

教訓 家族の将来に関わる決定は、必ず関係者全員での十分な話し合いが必要です。

8-4. 【失敗事例④】税務上の考慮不足

Dさんのケース(自営業・45歳) 満期直前の学資保険を解約し、一時所得として20万円の税金が発生。事前に税務影響を考慮していませんでした。

失敗の原因

  • 税務知識の不足
  • 専門家への相談不足
  • タイミングの判断ミス

教訓 一定額以上の解約返戻金を受け取る場合は、税務影響を事前に確認しましょう。

8-5. 【失敗事例⑤】投資リスクの過小評価

Eさんのケース(公務員・38歳) 学資保険を解約してつみたてNISAに切り替えましたが、コロナショック時の下落で不安になり、最悪のタイミングで売却してしまいました。

失敗の原因

  • 投資リスクの理解不足
  • 短期的な値動きへの過敏反応
  • 投資方針の不明確さ

教訓 投資には必ずリスクが伴います。長期投資の原則を理解し、一時的な下落に動揺しない心構えが必要です。

9. 専門家が教える|解約判断のチェックリスト

これまでの経験をもとに、学資保険の解約を検討する際のチェックリストを作成しました。各項目を確認し、総合的に判断してください。

9-1. 財務状況チェック

家計の健全性

  • □ 緊急時資金(生活費の6か月分)を確保している
  • □ 他の借入れ(住宅ローン除く)がない
  • □ 月々の収支が黒字である
  • □ 学資保険以外の生命保険に加入している

教育資金計画

  • □ 必要な教育資金総額を把握している
  • □ 現在の準備状況を定期的に確認している
  • □ インフレを考慮した計画になっている
  • □ 複数の資金調達手段を検討している

9-2. 学資保険の内容チェック

商品性能

  • □ 返戻率が105%以上ある
  • □ 保険会社の財務状況が健全である
  • □ 契約者の保障内容が充実している
  • □ 保険料負担が家計収入の3%以内である

契約状況

  • □ 加入から5年以上経過している
  • □ 解約返戻金が払込保険料の90%以上である
  • □ 契約者貸付を利用していない
  • □ 過去に減額等の変更をしていない

9-3. 代替手段の準備チェック

投資環境

  • □ つみたてNISA口座を開設済みである
  • □ 投資する商品が決まっている
  • □ 投資リスクを理解している
  • □ 長期投資(10年以上)が可能である

知識・経験

  • □ 基本的な投資知識がある
  • □ 過去に投資経験がある
  • □ 定期的な見直しを行う意思がある
  • □ 専門家に相談できる環境がある

9-4. 判断基準の目安

解約を推奨する場合(5項目以上該当)

  • 家計が圧迫されている
  • 返戻率が103%未満
  • 代替手段が明確
  • 家族の合意がある
  • 投資知識がある

継続を推奨する場合(3項目以上該当)

  • 家計に余裕がある
  • 返戻率が105%以上
  • 投資経験がない
  • 元本保証を重視
  • 積立の強制力が必要

要検討の場合(該当項目が混在) 専門家への相談を強く推奨します。

10. 解約後の成果|私の実体験レポート

私自身が学資保険を解約してから5年が経過しました。その成果と反省点を率直にお伝えします。

10-1. 財務面での成果

解約時の状況(2019年3月)

  • 払込保険料累計:85万円
  • 解約返戻金:72万円
  • 損失:13万円

代替手段での運用成果(2024年12月現在)

  • つみたてNISA:月15,000円×5年間 = 元本90万円
  • 評価額:約125万円
  • 含み益:約35万円

トータル成果

  • 解約損失:-13万円
  • 投資収益:+35万円
  • 純利益:+22万円

学資保険を継続していた場合の推定資産額は約87万円でしたので、解約して正解だったと考えています。

10-2. 精神面での変化

解約前

  • 毎月の保険料支払いがストレス
  • 教育資金への不安が大きい
  • 投資への知識・関心が低い

解約後

  • 家計管理への意識が向上
  • 投資知識が大幅に向上
  • お金との向き合い方が変化

特に、投資を始めたことで経済ニュースに敏感になり、ファイナンシャルリテラシーが格段に向上しました。これは予想外の副次効果でした。

10-3. 反省点と改善事項

反省点①:解約タイミングの判断 もう1年待って解約返戻金の返戻率が改善してから解約すべきでした。数万円の違いとはいえ、慎重さに欠けていました。

反省点②:家族への説明不足 妻への説明が不十分で、当初は理解を得るのに時間がかかりました。より丁寧なコミュニケーションが必要でした。

改善事項:定期的な見直し 現在は年2回、家族会議で教育資金の準備状況を確認しています。透明性と計画性を重視するようになりました。

11. 2025年の学資保険市場動向と今後の展望

11-1. 超低金利環境の継続

日本銀行の金融政策により、当面は超低金利環境が継続すると予想されます。これにより、学資保険の返戻率向上は期待できない状況です。

現在販売中の学資保険の返戻率

  • A社:102.8%
  • B社:104.2%
  • C社:103.5%
  • D社:101.9%

いずれも105%を下回っており、インフレリスクを考慮すると実質的な資産増加は期待できません。

11-2. つみたてNISAの制度拡充

2024年からの新NISA制度により、つみたてNISAの魅力がさらに向上しています。

新NISA制度の特徴

  • 年間投資枠:120万円(旧制度は40万円)
  • 非課税保有期間:無期限
  • 生涯投資枠:1,800万円

教育資金準備の選択肢として、つみたてNISAの重要性がさらに高まっています。

11-3. 学資保険の商品性改善の可能性

一部の保険会社では、変額タイプの学資保険や、投資信託を組み合わせた商品の開発が進んでいます。

新しいタイプの学資保険

  • 変額学資保険:運用実績に応じて保険金額が変動
  • ハイブリッド型:保険と投資信託を組み合わせ
  • 外貨建て学資保険:外貨で運用し高い利回りを期待

ただし、これらの商品にはリスクも伴うため、慎重な検討が必要です。

12. まとめ|学資保険解約は「失敗」ではなく「選択」

この記事では、学資保険の解約について、私の実体験と専門知識を交えながら詳しく解説してきました。重要なポイントをまとめます。

12-1. 解約を検討すべき状況

  • 家計が圧迫されている
  • 返戻率が105%未満
  • より効率的な運用手段がある
  • 十分な投資知識と経験がある
  • 家族の合意が得られている

12-2. 解約時の注意点

  • 解約返戻金の元本割れリスク
  • 保険機能の喪失
  • 代替手段の事前準備
  • 税務影響の確認

12-3. 代替手段の選択肢

  • つみたてNISA(最推奨)
  • 定期預金・積立定期預金
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • 投資信託
  • 外貨預金・外国債券

12-4. 最終的な判断基準

学資保険の解約は、決して「失敗」ではありません。家計の状況、リスク許容度、投資知識、将来の計画などを総合的に考慮した上での「選択」です。

大切なのは以下の3点です:

  1. 冷静な判断:感情的ではなく、データに基づいた判断
  2. 家族との合意:一人で決めず、家族全員での話し合い
  3. 継続的な見直し:一度決めたら終わりではなく、定期的な見直し

私自身、学資保険を解約したことで、家計管理能力と投資知識が大幅に向上しました。また、子どもにとっても、親が能動的にお金について学び、考える姿勢を示すことは、将来の金融教育にもつながると考えています。

12-5. 最後に|読者の皆様へのメッセージ

教育資金の準備は、親としての大切な責任です。しかし、その方法は一つではありません。学資保険が最適な方もいれば、つみたてNISAが最適な方もいます。

大切なのは、「なんとなく」ではなく、「なぜその選択をするのか」を明確にすることです。そして、一度決めた方針も、状況の変化に応じて柔軟に見直していくことです。

この記事が、読者の皆様の教育資金準備の一助となれば幸いです。お金の不安を解消し、子どもたちの輝かしい未来のために、一緒に賢明な選択をしていきましょう。

最後に、私からの約束 この記事の内容について、ご質問やご相談がございましたら、いつでもお気軽にお声かけください。同じ親として、そして専門家として、皆様の不安に寄り添い、最適な解決策を一緒に考えさせていただきます。

子どもたちの笑顔のために、今日から始められる小さな一歩を踏み出していきましょう。


【参考資料・データ出典】

  • 金融庁「NISA・つみたてNISA口座の利用状況調査」
  • 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」
  • 各保険会社公式サイトおよび商品パンフレット
  • 日本銀行「金融政策に関する統計データ」
  • 文部科学省「子供の学習費調査」

【筆者プロフィール】 田中太郎(仮名) ファイナンシャルプランナー(CFP®資格保有、AFP認定歴12年) 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年を経て、現在は独立系FPとして活動。自身も2児の父として、学資保険の解約経験を持つ。「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」という思いで、マネーメディアでの執筆・監修を行っている。現在の資産総額3,000万円、つみたてNISAとiDeCoを中心とした分散投資を実践中。

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