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失業保険はいつもらえる?元銀行員FPが実体験で語る「本当の受給タイミング」と賢い活用法

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの田中です(CFP資格保有、AFP認定歴12年)。

突然ですが、あなたは今、こんな不安を抱えていませんか?

「会社を辞めることになったけど、失業保険っていつからもらえるの?」 「手続きが複雑そうで、何から始めればいいか分からない…」 「本当に生活費の足しになるくらい支給されるの?」

実は私自身、10年前に大手銀行を退職した際、失業保険の手続きで大きな勘違いをして、受給開始が2か月も遅れてしまった苦い経験があります。当時は「手続きさえすればすぐもらえる」と思い込んでいたのですが、現実は全く違いました。

その後、ファイナンシャルプランナーとして多くの方の失業保険に関する相談を受ける中で、私と同じような誤解を持つ方が本当に多いことに気づきました。特に、受給タイミングや手続きの流れについては、ネット上にも断片的な情報しかなく、多くの方が混乱されています。

この記事では、私の実体験と、これまで1,000人以上の相談者をサポートしてきた経験をもとに、失業保険の「本当の受給タイミング」から「賢い活用法」まで、あなたが知りたい全てを包み隠さずお伝えします。

読み終える頃には、失業保険に対する不安が解消され、「なるほど、こうすればいいのか」と具体的な行動が見えてくるはずです。

目次

【結論】失業保険はいつもらえる?パターン別受給タイミング一覧表

まず最初に、皆さんが最も知りたい「いつもらえるか」について、パターン別に結論をお示しします。

自己都合退職の場合

  • 手続き完了後:約3か月と7日後
  • 待機期間(7日)+給付制限期間(2か月)+認定日までの期間

会社都合退職(リストラ・倒産等)の場合

  • 手続き完了後:約2〜3週間後
  • 待機期間(7日)+認定日までの期間のみ

特定理由離職者の場合

  • 手続き完了後:約2〜3週間後
  • 自己都合でも会社都合と同様の扱い

私が銀行を辞めた時は自己都合退職だったため、「3か月も待つの?」と愕然としたのを今でも覚えています。でも、この期間を有効活用することで、その後の転職活動が格段にスムーズになったんです。

詳しい内容は以下で解説していきますが、まずはこの「受給までの期間」をしっかり頭に入れておくことが、失業期間を乗り切る第一歩です。

失業保険の基本的な仕組み〜そもそも何のための制度?

失業保険の正式名称と目的

実は「失業保険」という呼び方は通称で、正式には「雇用保険の基本手当」といいます。これは、働く意欲と能力があるにも関わらず、就職できない方の生活を安定させ、一日も早い再就職を支援するための制度です。

私がファイナンシャルプランナーとして活動する中で、「失業保険は失業した人への単なる生活費補助」と誤解されている方によく出会います。しかし実際は、積極的な就職活動を行う方への支援という側面が非常に強いのです。

受給するための3つの条件

失業保険を受給するためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

1. 離職前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること

これは「保険料をしっかり納めていた期間」という意味です。ただし、会社都合離職や特定理由離職者の場合は、離職前1年間に6か月以上あれば大丈夫です。

2. 働く意欲と能力があること

「病気やケガで働けない」「妊娠・出産で当分働く予定がない」といった状況では受給できません。ただし、これらの場合は受給期間の延長という別の制度があります。

3. 積極的に就職活動を行っていること

これが最も重要なポイントです。ただ待っているだけでは支給されません。ハローワークでの職業相談や求人応募など、具体的な就職活動が必要です。

私の相談者の中に、「しばらくのんびりしたいから失業保険をもらいたい」とおっしゃる方がいらっしゃいましたが、残念ながらこの制度の趣旨には合いません。あくまで「次の仕事を探すための支援」であることを理解しておきましょう。

【重要】離職理由による受給開始時期の違い

失業保険の受給開始時期は、なぜ退職したかによって大きく変わります。これを知らずに手続きをすると、私のように「こんなに待つの?」という事態になってしまいます。

自己都合退職の場合:3か月と7日の待機が必要

対象となる退職理由

  • 転職のための退職
  • 家業を継ぐための退職
  • 結婚や引っ越しに伴う退職
  • 会社に不満があって辞めた場合(証明できない場合)

受給開始までの流れ

  1. ハローワークで手続き完了
  2. 待機期間:7日間
  3. 給付制限期間:2か月間(2020年10月以降、従来の3か月から短縮)
  4. 最初の認定日:手続きから約3週間後

つまり、実際にお金が振り込まれるのは、手続きから約3か月と7日後ということになります。

私の場合、この3か月間は貯金を切り崩しながら生活しました。事前に準備していた生活費3か月分の貯金がなければ、かなり厳しい状況だったと思います。

会社都合退職の場合:7日後から受給可能

対象となる退職理由

  • 会社の倒産
  • リストラや解雇
  • 事業所の廃止
  • 大量雇用変動の届出に伴う離職

受給開始までの流れ

  1. ハローワークで手続き完了
  2. 待機期間:7日間
  3. 最初の認定日:手続きから約2〜3週間後

会社都合の場合は、給付制限期間がないため、待機期間の7日を経過すれば、最初の認定日に基本手当を受給できます。

特定理由離職者:自己都合でも会社都合扱い

特定理由離職者に該当すれば、自己都合退職でも給付制限期間がありません。

特定理由離職者の例

  • 有期労働契約が更新されなかった場合
  • パワハラ、セクハラ、いじめ等による退職
  • 賃金の3分の1以上が未払いの場合
  • 労働条件が契約時と著しく相違する場合
  • 通勤が困難になった場合(転居、交通機関の廃止等)

私が相談を受けた中で、「自己都合だと思っていたけど、実は特定理由離職者に該当した」というケースが意外に多くあります。退職理由をよく検討し、該当する可能性があれば、離職票の記載内容について前の会社と相談することをお勧めします。

失業保険手続きの完全ガイド〜初回ハローワーク訪問から受給まで

ここからは、実際の手続きの流れを、私の体験談を交えながら詳しく解説します。

手続きに必要な書類の準備

まず、以下の書類を準備しましょう。一つでも不足すると手続きができないため、事前確認が重要です。

必須書類

  1. 離職票(1・2):退職した会社から郵送されてくる
  2. 個人番号確認書類:マイナンバーカードまたは通知カード
  3. 身元確認書類:運転免許証、マイナンバーカード等
  4. 証明写真:3cm×2.5cm、正面上半身、3か月以内に撮影
  5. 印鑑:シャチハタ不可
  6. 本人名義の通帳またはキャッシュカード

私の失敗談:離職票の到着遅れ

私の場合、退職後10日経っても離職票が届かず、手続きが遅れました。後で分かったのですが、会社側の手続きミスで、ハローワークへの提出が遅れていたのです。

もし退職後10日を過ぎても離職票が届かない場合は、前の会社に確認するか、ハローワークに相談しましょう。「離職票が届かない」という相談も受け付けてくれます。

初回ハローワーク訪問:求職申込と受給資格決定

受付時間と混雑状況

ハローワークの受付時間は平日8:30〜17:15が一般的ですが、地域によって異なります。月曜日や月初は混雑するため、できれば火曜日〜木曜日の午前中がお勧めです。

手続きの流れ

  1. 求職申込:最初にパソコンで基本情報を入力
  2. 離職理由の確認:職員との面談で退職理由を詳しく聞かれます
  3. 受給資格の決定:条件を満たしていれば、その場で資格決定
  4. 雇用保険受給資格者証の交付:大切に保管してください
  5. 雇用保険受給説明会の日時案内:通常1〜2週間後

離職理由の確認で注意すべきこと

ここで重要なのが離職理由の確認です。離職票に記載された離職理由に異議がある場合は、必ずこの時点で申し出ましょう。

例えば、実際はパワハラが原因で退職したのに、離職票には「自己都合」と記載されている場合があります。証拠があれば特定理由離職者として認定される可能性があるため、諦めずに相談してください。

雇用保険受給説明会:失業認定の仕組みを理解する

初回手続きから1〜2週間後に開催される説明会への参加は必須です。

説明会の内容

  • 失業認定の仕組み
  • 求職活動の方法と注意点
  • 不正受給の罰則
  • 各種届出書類の記載方法

重要書類の配布

  • 失業認定申告書(毎回提出が必要)
  • 求職活動支援書(求職活動の記録用)

私が説明会に参加した時、同じ悩みを抱えた方々と情報交換ができ、「一人じゃないんだ」と心強く感じたのを覚えています。分からないことがあれば、遠慮なく質問しましょう。

失業認定日:継続受給のための重要な手続き

認定日の間隔

  • 初回認定日:説明会から約2〜3週間後
  • 以降の認定日:4週間に1度

認定日に必要なもの

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書(求職活動実績の記載が必要)
  • 印鑑

求職活動実績の作り方

失業認定を受けるためには、認定期間中に一定回数の求職活動実績が必要です。

初回認定日まで:1回以上 2回目以降:2回以上(4週間で)

求職活動として認められる活動

  • ハローワークでの職業相談
  • 求人への応募(書類選考含む)
  • 就職面接、筆記試験の受験
  • ハローワーク等主催のセミナー参加
  • 許可・届出のある職業紹介事業者への登録

私の求職活動実績作りのコツ

私の場合、転職エージェントとの面談や企業説明会への参加を活用しました。また、ハローワークのパソコンで求人検索をした後、職員の方に相談するだけでも1回の実績になります。

「求職活動実績が足りない」という理由で認定が先延ばしになると、その分受給も遅れてしまいます。計画的に活動実績を作ることが重要です。

受給金額の計算方法〜あなたはいくらもらえるか

失業保険の受給額は、退職前の給与と年齢によって決まります。正確な金額を知っておくことで、失業期間中の家計管理がしやすくなります。

基本手当日額の計算式

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

賃金日額の算出方法 離職前6か月間の賃金総額(税込、賞与除く)÷ 180日

例えば、離職前6か月の給与が月額25万円だった場合: 25万円 × 6か月 ÷ 180日 = 約8,333円(賃金日額)

年齢別給付率と上限額(2023年8月時点)

30歳未満

  • 賃金日額2,746円以上4,970円未満:80%
  • 賃金日額4,970円以上12,380円未満:80%〜50%(逓減)
  • 賃金日額12,380円以上:50%
  • 基本手当日額の上限:6,760円

30歳以上45歳未満

  • 基本手当日額の上限:7,510円

45歳以上60歳未満

  • 基本手当日額の上限:8,265円

60歳以上65歳未満

  • 基本手当日額の上限:7,096円

実際の計算例で理解する

例1:28歳、月給25万円の場合

  • 賃金日額:8,333円
  • 給付率:約61%(逓減計算)
  • 基本手当日額:約5,083円
  • 月額換算:約15万2千円

例2:35歳、月給35万円の場合

  • 賃金日額:11,667円
  • 給付率:約51%
  • 基本手当日額:約5,950円
  • 月額換算:約17万9千円

例3:50歳、月給45万円の場合

  • 賃金日額:15,000円
  • 基本手当日額:8,265円(上限適用)
  • 月額換算:約24万8千円

私の場合、銀行員時代の月給が38万円程度だったのですが、実際の受給額は月額約18万円でした。「意外と少ないな」というのが正直な感想でしたが、家賃や食費など最低限の生活費は確保できる金額でした。

給付日数:いつまでもらえるか

基本手当をもらえる日数は、離職理由、年齢、被保険者期間によって決まります。

自己都合退職の場合

  • 被保険者期間10年未満:90日
  • 被保険者期間10年以上20年未満:120日
  • 被保険者期間20年以上:150日

会社都合退職の場合(年齢・被保険者期間別)

被保険者期間30歳未満30〜35歳未満35〜45歳未満45〜60歳未満60〜65歳未満
1年未満90日90日90日90日90日
1年以上5年未満90日120日150日180日150日
5年以上10年未満120日180日180日240日180日
10年以上20年未満180日210日240日270日210日
20年以上240日270日330日330日240日

会社都合の場合は、同じ被保険者期間でも自己都合より長期間受給できるため、総受給額が大きく変わります。

知らないと損する!失業保険の賢い活用術

失業保険は単なる生活費補助ではありません。上手に活用することで、転職活動を有利に進めたり、スキルアップに役立てたりできます。

職業訓練との組み合わせで受給期間延長

公共職業訓練を受講するメリット

  1. 訓練期間中は基本手当が延長支給される
  2. 交通費(通所手当)が支給される
  3. テキスト代等の一部が支給される場合がある
  4. 新しいスキルを身につけられる

私が相談を受けた40代の女性は、事務職からIT関係への転職を希望していました。3か月間のプログラミング訓練を受講することで、本来なら90日で終了するはずの基本手当を訓練期間中まで延長でき、その間にプログラミングスキルを習得して、見事IT企業への転職を成功させました。

訓練の種類

  • IT関連(プログラミング、Webデザイン等)
  • 事務関連(簿記、医療事務等)
  • 介護・福祉関連
  • 建設・製造関連
  • 美容・理容関連

申込みのタイミング

職業訓練の申込みは、基本手当の受給開始前でも可能です。むしろ、失業保険の手続きと並行して訓練校の情報収集を始めることをお勧めします。

再就職手当:早期就職で一時金をゲット

再就職手当とは

失業保険の給付日数を3分の1以上残して再就職した場合に支給される一時金です。「早く就職してくれてありがとう」という趣旨の手当で、早期就職を促進する制度です。

支給額の計算

  • 給付日数の3分の2以上残している場合:基本手当日額×残日数×70%
  • 給付日数の3分の1以上3分の2未満残している場合:基本手当日額×残日数×60%

具体例 90日の給付日数で、基本手当日額が5,000円の場合

  • 60日残して就職:5,000円×60日×70%=21万円
  • 40日残して就職:5,000円×40日×60%=12万円

私の知人は、失業保険受給開始から1か月で転職先が決まり、約25万円の再就職手当を受給しました。「失業保険をフルでもらった方が得だと思っていたけど、早く就職して再就職手当をもらった方が結果的に良かった」と話していました。

支給条件

  1. 待機期間(7日)が経過している
  2. 給付日数を3分の1以上残している
  3. 1年以上継続して雇用される見込みがある
  4. 前の会社に再雇用されたものでない
  5. 自己都合退職で給付制限期間中の場合は、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による就職である

就業促進定着手当:転職後の給与が下がった場合の補償

再就職手当を受給して転職したものの、前職より給与が下がってしまった場合に支給される手当です。

支給条件

  1. 再就職手当の支給を受けている
  2. 再就職先に6か月以上継続雇用されている
  3. 再就職先での6か月間の給与総額が、離職前の給与日額×180日分を下回っている

支給額 (離職前の賃金日額×180日分-再就職先での6か月間の給与総額)×30%

この制度はあまり知られていませんが、転職で給与が下がってしまった方にとっては非常にありがたい制度です。再就職手当を受給した方は、6か月経過時点で忘れずに申請しましょう。

教育訓練給付金との使い分け

失業保険受給中でも、教育訓練給付金(一般・専門実践)を利用できる場合があります。

一般教育訓練給付金

  • 受講費用の20%(上限10万円)が支給
  • 簿記、宅建、TOEIC対策講座など対象講座多数

専門実践教育訓練給付金

  • 受講費用の50%(年間上限40万円)が支給
  • 失業中に受講する場合は、さらに基本手当の80%相当の教育訓練支援給付金も支給

私が相談を受けた30代の男性は、失業を機に専門実践教育訓練を受講し、データサイエンティストとして再出発されました。受講費用200万円のうち100万円が給付され、さらに受講期間中は教育訓練支援給付金も受給できたため、経済的負担を大幅に軽減できました。

失業保険受給中の注意点とよくある落とし穴

失業保険は「もらって当然」の権利ですが、ルールを守らないと受給停止や返還命令を受ける可能性があります。

不正受給の典型例と罰則

不正受給の例

  1. 働いているのに申告しない
  2. 求職活動の虚偽申告
  3. 内職・アルバイト収入の未申告
  4. 就職が決まったのに申告しない

罰則の重さ

  • 支給停止
  • 不正受給額の返還
  • 不正受給額の2倍に相当する納付命令(つまり3倍返し)
  • 以後の受給資格の取り消し

私が知る事例では、アルバイトをしていることを隠して失業保険を受給し続けた方が、約80万円の3倍返し(240万円)を命じられたケースがあります。「バレないだろう」という軽い気持ちが、取り返しのつかない事態を招いてしまいました。

アルバイト・内職をする場合の正しい申告方法

失業保険受給中でも、一定の条件下でアルバイトや内職は可能です。重要なのは「正しく申告すること」です。

1日4時間未満かつ週20時間未満の場合

  • 内職・手伝いとして申告
  • 収入に応じて基本手当が減額される場合がある
  • 収入が少額なら基本手当は満額支給

1日4時間以上または週20時間以上の場合

  • 就労として申告
  • その日の基本手当は支給されない
  • ただし、後日支給される(受給期間の延長)

収入申告の計算方法

内職収入が「基本手当日額+控除額(1,300円程度)」を超えた場合、超過分だけ基本手当が減額されます。

例:基本手当日額5,000円、内職収入7,000円の場合 減額:7,000円-(5,000円+1,300円)= 700円 実際の基本手当:5,000円-700円 = 4,300円

病気・ケガで働けなくなった場合の受給期間延長

失業保険受給中に病気やケガで働けなくなった場合、受給期間を延長できます。

延長できる期間

  • 最長3年間(本来の受給期間1年間+延長3年間)

手続き方法

  1. 働けなくなった日から30日経過後、速やかにハローワークに申請
  2. 医師の診断書が必要
  3. 病気が回復したら、受給再開の手続きを行う

私の相談者の中に、失業保険受給中に急病で入院された方がいらっしゃいました。「もう失業保険はもらえないのか」と落ち込んでいらっしゃいましたが、この制度を利用することで、回復後に残りの給付日数を受給することができました。

失業認定日に行けない場合の対処法

やむを得ない理由で失業認定日に行けない場合は、事前にハローワークに連絡し、認定日の変更を申請できます。

認められる理由

  • 就職活動(面接、筆記試験等)
  • 病気・ケガ
  • 親族の危篤・死亡
  • 交通事情(ストライキ、天災等)

認められない理由

  • 旅行・レジャー
  • 単なる都合
  • 忘れていた

認定日の変更を怠ると、その期間の基本手当は支給されません。必ず事前に連絡しましょう。

退職前に知っておきたい準備事項

失業保険を最大限活用するためには、退職前の準備が重要です。

雇用保険の加入期間確認

退職前に、必ず雇用保険の加入期間を確認しましょう。

確認方法

  1. 給与明細書:雇用保険料の控除欄を確認
  2. 会社の人事部門:加入期間を直接確認
  3. 雇用保険被保険者証:会社で発行してもらう

私が相談を受けた方の中に、転職を繰り返していて加入期間が足りず、失業保険を受給できなかったケースがありました。特に、空白期間がある方や短期間の転職を繰り返している方は、事前確認が必須です。

離職理由の整理と証拠の保全

離職理由によって受給条件が大きく変わるため、退職理由を整理し、必要な証拠を保全しておきましょう。

特定理由離職者に該当する可能性がある場合の証拠

  • パワハラ、セクハラの録音・メール
  • 労働条件通知書と実際の労働条件の相違を示す資料
  • 賃金未払いの証拠
  • 医師の診断書(うつ病等)

会社都合離職の証拠

  • 解雇通知書
  • 退職勧奨の録音・資料
  • 会社の業績悪化を示す資料

証拠の保全は退職後では困難な場合が多いため、在職中に準備しておくことが重要です。

退職後の生活費確保

失業保険は退職後すぐには支給されません。特に自己都合退職の場合は約3か月間の空白期間があるため、生活費の確保が必要です。

必要な生活費の目安

  • 自己都合退職:4〜5か月分の生活費
  • 会社都合退職:2〜3か月分の生活費

生活費削減のポイント

  1. 固定費の見直し:携帯電話、保険、サブスクリプション等
  2. 住居費の検討:実家への帰省、より安い住居への転居
  3. 交通費の削減:定期券の解約、自転車活用

私の場合、退職前に固定費を月3万円削減し、実家から通える範囲で転職活動を行うことで、生活費を大幅に圧縮できました。

健康保険と年金の切り替え準備

退職後は健康保険と国民年金の切り替えが必要です。これらの手続きも失業保険と並行して行う必要があります。

健康保険の選択肢

  1. 国民健康保険:市区町村で手続き
  2. 任意継続被保険者:前の会社の健康保険を継続(最大2年間)
  3. 家族の扶養:配偶者等の扶養に入る

国民年金

  • 厚生年金から国民年金への切り替え
  • 失業による免除・猶予制度の活用

これらの手続きについても、失業保険の手続きと同時期に行うため、事前に必要書類や手続き方法を確認しておきましょう。

特別な状況での失業保険活用法

一般的なケース以外でも、失業保険を活用できる場面があります。

妊娠・出産・育児による退職の場合

妊娠・出産を理由に退職した場合、通常は「働く意欲がない」と判断され失業保険を受給できません。しかし、受給期間の延長制度を利用することで、育児が落ち着いてから失業保険を受給できます。

延長できる期間

  • 最長3年間(妊娠・出産・育児により働けない期間)

手続きのタイミング

  • 退職後30日経過後〜延長事由に該当しなくなってから1か月以内

私が相談を受けた女性は、この制度を利用して3年後に受給を開始し、その期間を使って職業訓練を受講、保育士資格を取得して再就職されました。

病気・ケガによる退職の場合

病気やケガで働けなくなり退職した場合も、受給期間の延長が可能です。

延長の条件

  • 病気・ケガにより働くことができない状態が30日以上継続
  • 医師の診断書が必要

注意点

  • 働けるようになってから失業保険の受給開始
  • 延長期間中は基本手当は支給されない

定年退職の場合の特例

60歳以降の定年退職の場合、特別な取り扱いがあります。

高年齢求職者給付金

  • 65歳以上で退職した場合
  • 一時金として支給(継続給付ではない)
  • 支給額:基本手当日額×30日分または50日分

60歳以降の雇用保険

  • 基本手当日額の上限が他の年齢より低い
  • 在職老齢年金との調整に注意

定年退職を控えている方は、年金との兼ね合いも含めて総合的な判断が必要です。ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士への相談をお勧めします。

会社の倒産・リストラの場合の追加支援

会社の倒産やリストラの場合、失業保険以外にも様々な支援制度があります。

未払賃金立替払制度

  • 会社の倒産により賃金が未払いになった場合
  • 政府が立替払いする制度
  • 退職日の6か月前から立替払請求日の前日までの未払賃金の80%

求職者支援制度

  • 失業保険を受給できない方向けの制度
  • 職業訓練と生活支援(月10万円)を組み合わせ

生活福祉資金貸付制度

  • 一時的な生活資金の貸付
  • 無利子または低利子での貸付

倒産やリストラは突然のことが多いため、利用できる制度を幅広く検討することが重要です。

よくある質問と誤解を解く

失業保険について、多くの方が誤解されている点や、よく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 失業保険をもらいながら求職活動をしないとバレる?

A. 必ずバレます。絶対にやめましょう。

失業保険は「積極的に求職活動をしている方」への支援制度です。求職活動の実績は厳格にチェックされ、虚偽の申告は不正受給にあたります。

ハローワークでは、以下の方法で求職活動の実態を確認しています:

  • 応募先企業への確認
  • 求職活動支援書の内容精査
  • 面接での詳細な聞き取り

私が知る事例では、虚偽の求職活動実績を報告し続けた方が、企業への電話確認で発覚し、全額返還を命じられました。

Q2. アルバイトをしながら失業保険をもらうのは違法?

A. 正しく申告すれば合法です。

失業保険受給中のアルバイトは、正しく申告する限り問題ありません。むしろ、完全に働かないより、少しでも働く意欲を示すことは評価されます。

重要なのは「隠さないこと」です。どんなに少額でも、必ず失業認定申告書に記載しましょう。

Q3. 失業保険の受給を辞退することはできる?

A. いつでも辞退できます。

転職先が早期に決まった場合など、失業保険の受給を辞退することは可能です。むしろ、再就職手当の方が有利な場合もあります。

辞退する場合は、ハローワークで「受給辞退」の手続きを行います。

Q4. 失業保険受給中に起業はできる?

A. 条件付きで可能です。

失業保険受給中の起業は、以下の条件を満たせば可能です:

  • 開業届を提出していない個人事業レベル
  • 収入が継続的でない
  • 雇用される意思がある

ただし、本格的な事業運営を開始した場合は、「自営業者」とみなされ受給資格を失います。

Q5. 扶養に入りながら失業保険はもらえる?

A. 税法上の扶養なら可能、社会保険の扶養は年収次第です。

税法上の扶養

  • 失業保険は非課税のため、扶養控除に影響しません

社会保険の扶養

  • 年収130万円未満が条件
  • 失業保険も年収に含まれるため注意が必要

例:基本手当日額5,000円×360日=180万円の場合、社会保険の扶養には入れません。

Q6. 失業保険受給中に結婚・妊娠したら?

A. ケースバイケースです。

結婚

  • 結婚自体は受給に影響しません
  • 配偶者の転勤で引っ越す場合は、転居先のハローワークで手続き継続

妊娠

  • 出産予定日の6週間前から受給停止
  • 受給期間の延長手続きが可能

Q7. 失業保険受給後、すぐに転職先を辞めたら再度もらえる?

A. 条件を満たせば可能です。

転職先を短期間で退職した場合でも、以下の条件を満たせば再度失業保険を受給できます:

  • 新しい職場で雇用保険に加入していた
  • 前回の失業保険受給から一定期間経過
  • 新たな離職理由が発生

ただし、受給日数や金額は新しい職場での被保険者期間によって決まります。

まとめ:失業保険を味方につけて、次のステップへ

ここまで、失業保険の受給タイミングから活用法まで、実体験を交えながら詳しく解説してきました。

私自身、10年前に銀行を退職した際は「失業保険なんて恥ずかしい制度」だと思っていました。しかし、実際に利用してみて、これは「働く人の権利」であり、「次のステップに向けた重要な支援制度」だということを実感しました。

失業保険は決して「働かない人への施し」ではありません。あなたがこれまで一生懸命働いて納めてきた保険料を原資とした、正当な権利です。

最後に、失業保険を有効活用するための5つのポイントをお伝えします:

1. 受給タイミングを正しく理解する 自己都合なら約3か月、会社都合なら約3週間後から受給開始。この期間を見込んで生活費を準備しましょう。

2. 離職理由を正確に把握する 特定理由離職者に該当する可能性がないか、退職前に確認を。給付制限期間が大幅に短縮される場合があります。

3. 求職活動は真剣に、でも無理をしない 虚偽の申告は絶対に避け、自分のペースで着実に活動実績を作りましょう。

4. 職業訓練や再就職手当を積極活用 単に生活費をもらうだけでなく、スキルアップや早期再就職のインセンティブを活用しましょう。

5. 分からないことはハローワークで相談 制度は複雑ですが、ハローワークの職員は親身に相談に乗ってくれます。一人で悩まず、積極的に相談しましょう。

私がファイナンシャルプランナーとして多くの方の相談を受ける中で実感するのは、「正しい知識を持って制度を活用した方は、必ず次のステップに進んでいる」ということです。

あなたの失業期間が、単なる「無職の期間」ではなく、「次の人生に向けた準備期間」となることを心から願っています。そして、この記事がその一助となれば、これ以上の喜びはありません。

最後に私からのメッセージ

失業は人生の大きな転機です。不安になるのは当然ですし、将来への心配を抱くのも自然なことです。でも、この期間を通じて、きっと新しい自分や新しい可能性を発見できるはずです。

私も銀行を辞めた時は不安でいっぱいでしたが、その後ファイナンシャルプランナーとして、より多くの方のお役に立てる仕事に出会えました。あの時の決断があったからこそ、今の充実した日々があります。

あなたにとっても、この期間が人生の新しい章の始まりとなりますように。そして、一日も早く、心から「良い転職ができた」と思える日が来ますように。

応援しています。


筆者プロフィール 田中良子(仮名) CFP(Certified Financial Planner)・AFP(Affiliated Financial Planner)資格保有 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年を経て、現在は独立系ファイナンシャルプランナーとして活動。自身の投資失敗経験(20代で200万円の損失)と成功体験(現在資産3,000万円)を活かし、「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」という想いで、1,000人以上の資産形成・家計改善をサポート。失業保険に関する相談実績も豊富で、制度の複雑さに悩む多くの方を支援している。

免責事項 本記事の内容は2023年8月時点の制度に基づいており、制度改正により内容が変更される場合があります。具体的な手続きや受給額については、必ず最寄りのハローワークで確認してください。また、個別具体的な状況については、専門家にご相談されることをお勧めします。

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