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共働き時短勤務でも住宅ローン審査に通る!現役FPが教える審査突破の全戦略

こんにちは。CFP資格を持つファイナンシャルプランナーの田中と申します。大手銀行で10年間個人向け住宅ローンコンサルタントとして働き、現在は独立して多くのご家庭の住宅購入をサポートしています。

「時短勤務になったら住宅ローンの審査が通らないって本当?」 「妻が育休から復帰して時短勤務予定だけど、マイホームの夢は諦めなきゃダメ?」

銀行員時代の私のもとには、こうした不安を抱えた共働きご夫婦が数え切れないほど相談に来られました。特に最近では、働き方改革や子育て支援制度の普及により、時短勤務を選択する方が急増しています。しかし、同時に「時短勤務だと住宅ローンが借りにくい」という情報も広まり、多くの方が混乱されているのが実情です。

実は私自身も、妻が第一子出産後に時短勤務を選択した際、住宅購入のタイミングで悩んだ経験があります。当時は銀行員でありながら、自分のことになると客観的な判断ができず、「今のタイミングで住宅ローンを組むのは無謀なのでは?」と夜な夜な家計簿とにらめっこしていました。

しかし、適切な準備と戦略があれば、時短勤務であっても住宅ローン審査に通ることは十分可能です。この記事では、10年間で1,500件以上の住宅ローン審査に携わった私の経験と、自身の実体験を基に、共働き時短勤務での住宅ローン審査突破のための具体的な戦略をお伝えします。

目次

目次

  1. 時短勤務が住宅ローン審査に与える影響の真実
  2. 金融機関の審査基準と時短勤務の扱い
  3. 時短勤務でも審査に通るための5つの戦略
  4. 収入減少をカバーする具体的な準備方法
  5. 金融機関選びのポイントと交渉術
  6. 実際の審査体験談と成功事例
  7. よくある失敗パターンと回避方法
  8. 今後のライフプランを見据えた借入額の決め方

1. 時短勤務が住宅ローン審査に与える影響の真実

そもそも時短勤務とは何か?法的位置づけを理解する

時短勤務制度は、育児・介護休業法に基づいて設けられた制度で、3歳未満の子を養育する労働者が申し出ることで、原則として1日6時間の短時間勤務が可能になります。この制度は労働者の権利として法的に保障されており、企業は原則として拒否することができません。

しかし、住宅ローン審査においては、この「法的に保障された制度」という側面よりも、「収入が減少する」という経済的な側面が重視されることが多いのが実情です。

銀行が最も重視する「返済能力の継続性」

私が銀行員時代に審査担当者として最も重視していたのは、「この借り手は、35年間という長期にわたって安定的に返済を続けられるか?」という点でした。時短勤務の場合、以下の3つの観点から慎重に検討されます:

収入の減少幅とその期間 時短勤務により収入がどの程度減少し、それがいつまで続くのかが重要な判断材料となります。一般的に、時短勤務による収入減少は20~30%程度となることが多く、この減少分をどのようにカバーするかが審査のポイントです。

職場復帰の確実性 時短勤務は一時的な措置であり、将来的にはフルタイムに復帰することが前提となります。しかし、審査する側としては「本当にフルタイムに戻るのか?」「第二子、第三子の出産予定はないか?」といった点も考慮せざるを得ません。

世帯全体の収入安定性 共働き夫婦の場合、一方が時短勤務になっても、もう一方の収入が安定していれば、世帯全体としての返済能力は維持される可能性があります。この「世帯収入の補完性」は、時短勤務でも審査に通るための重要な要素です。

実際の審査における時短勤務の扱い

私の経験では、時短勤務による収入減少は、金融機関によって以下の3つのパターンで扱われることが多いです:

パターン1:時短勤務期間中の収入を基準にする(最も厳しい) 現在の時短勤務での月収を基準に返済能力を算定するため、借入可能額が大幅に減少します。メガバンクや地方銀行の一部でこの基準を採用することがあります。

パターン2:復帰後の収入を考慮する(中程度) 時短勤務からの復帰が確実視される場合、復帰後の収入も一定程度考慮されます。ただし、復帰時期や復帰後の勤務形態について詳細な説明が求められます。

パターン3:世帯収入全体で判断する(最も柔軟) 時短勤務による収入減少よりも、世帯全体の収入安定性を重視する金融機関もあります。ネット銀行や信用金庫の一部でこのような柔軟な審査基準を採用することがあります。

私が実際に経験した審査の現場

銀行員時代、印象に残っているケースがあります。大手商社にお勤めのご夫婦で、奥様が第一子出産後に時短勤務を選択されました。ご主人の年収は800万円、奥様の時短勤務後の年収は280万円(フルタイム時は420万円)でした。

当初、奥様の収入減少により借入希望額の5,000万円に対して審査が厳しい状況でした。しかし、以下の要因により最終的に承認となりました:

  • ご主人の勤務先が安定性の高い大手企業であること
  • 奥様の勤務先も上場企業で、時短勤務制度が充実していること
  • 3年後のフルタイム復帰が職場で確約されていること
  • 頭金を物件価格の25%確保していること
  • 夫婦ともに他の借入がないこと

このケースは、時短勤務でも適切な準備があれば住宅ローン審査に通ることができる好例だと思います。

2. 金融機関の審査基準と時短勤務の扱い

大手メガバンクの審査基準

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などの大手メガバンクは、審査基準が比較的厳格で、時短勤務による収入減少に対しては慎重な姿勢を取ることが多いです。

私が三菱UFJ銀行の審査担当者から聞いた話では、時短勤務の場合、以下の基準で審査されることが一般的です:

現在収入による審査 時短勤務期間中の月収を基準に、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)を算定します。一般的に、返済負担率は35%以下(年収400万円未満の場合は30%以下)が目安となります。

復帰予定の確認 勤務先からの「時短勤務期間および復帰予定に関する証明書」の提出を求められることがあります。これは、時短勤務が一時的な措置であることを客観的に証明するためです。

世帯収入の安定性 配偶者の収入が安定していることが重要な審査ポイントとなります。配偶者が公務員や大手企業勤務の場合、時短勤務による影響が軽減される傾向があります。

地方銀行・信用金庫の柔軟な対応

一方、地方銀行や信用金庫では、地域密着型の営業方針により、個別の事情を考慮した柔軟な審査が行われることがあります。

私が以前お付き合いのあった地方銀行の支店長は、「お客様の人となりや将来性を総合的に判断したい」とおっしゃっていました。実際に、以下のような配慮がなされることがあります:

個別相談の実施 時短勤務の背景や将来の働き方について、じっくりと相談に乗ってくれることが多いです。子育て期間中の収入減少は一時的であること、復帰後のキャリアプランなどを丁寧に聞き取ってくれます。

地域特性の考慮 その地域の子育て支援制度や女性の就労継続率なども考慮要素となることがあります。例えば、待機児童が少なく保育園に入りやすい地域では、時短勤務からの復帰可能性が高く評価される傾向があります。

長期的な取引関係の重視 給与振込や各種取引の実績がある場合、その取引履歴も審査でプラスに働くことがあります。

ネット銀行の合理的な審査システム

住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、楽天銀行などのネット銀行は、システム化された合理的な審査基準を採用しており、時短勤務に対しても比較的公平な評価が期待できます。

収入証明書類による客観的判断 直近の給与明細や源泉徴収票を基に、機械的に審査が進められます。時短勤務という働き方そのものよりも、現在の収入額や勤続年数、職業属性などが重視されます。

世帯収入での審査 夫婦合算での収入審査が一般的で、一方の収入減少があってもペアローンや収入合算により対応可能なケースが多いです。

スピーディーな審査プロセス 事前審査(仮審査)の結果が数日で出るため、時短勤務でも借入可能かどうかを早期に判断できます。

フラット35の安定した審査基準

住宅金融支援機構のフラット35は、民間金融機関とは異なる審査基準を採用しており、時短勤務の方にとって有利な場合があります。

職業による差別がない 公務員も会社員も自営業者も、同じ基準で審査されます。時短勤務も含めて、現在の収入状況を客観的に評価します。

返済負担率が明確 年収400万円未満:30%以下 年収400万円以上:35%以下 この基準が明確に定められているため、事前に借入可能額を計算しやすいです。

健康状態による制限が少ない 団体信用生命保険への加入が任意のため、健康面での制約が少ないことも特徴です。

3. 時短勤務でも審査に通るための5つの戦略

私が銀行員時代から一貫してお客様にお伝えしてきた、時短勤務でも住宅ローン審査に通るための具体的な戦略をご紹介します。これらは実際に多くの方が成功された実証済みの方法です。

戦略1:頭金を増やして借入額を抑える

なぜ頭金が重要なのか

時短勤務により収入が減少している場合、借入額を抑えることで返済負担率を下げることができます。一般的に、頭金が物件価格の20%以上あると、金融機関からの評価が高くなります。

私が担当したケースでは、奥様の時短勤務により世帯年収が100万円減少したご夫婦が、頭金を1,000万円から1,500万円に増額することで、希望額の借入が実現しました。

頭金確保の具体的方法

親族からの援助 住宅取得等資金の贈与税非課税制度を活用することで、最大1,000万円(省エネ住宅等の場合は1,500万円)まで贈与税がかかりません。ただし、この制度は令和5年12月31日までの時限措置のため、利用時期にご注意ください。

財形住宅貯蓄の活用 勤務先に財形住宅貯蓄制度がある場合、元利合計550万円まで利息が非課税となります。時短勤務前から計画的に積み立てることで、まとまった頭金を確保できます。

有価証券の売却 株式や投資信託などの有価証券を保有している場合、売却して頭金に充てることも検討しましょう。ただし、売却益には20.315%の税金がかかるため、税引き後の金額で計算することが重要です。

戦略2:ペアローンや収入合算を活用する

ペアローンのメリットと注意点

ペアローンは夫婦それぞれが主債務者となって借入を行う方法です。時短勤務で一方の収入が減少していても、それぞれの収入に応じた借入が可能です。

メリット

  • 夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
  • 一方が時短勤務でも、もう一方の収入で借入額を確保できる
  • 団体信用生命保険にそれぞれ加入するため、保障が手厚い

注意点

  • 事務手数料が2倍かかる場合がある
  • どちらかが働けなくなった場合のリスクを考慮する必要がある
  • 離婚時の取り扱いが複雑になる

収入合算の活用法

収入合算は主債務者の収入に配偶者の収入を合算して審査を受ける方法です。ペアローンより手続きが簡単で、時短勤務による収入減少をカバーできます。

私の経験では、ご主人が年収500万円、奥様が時短勤務で年収250万円のご夫婦が、収入合算により750万円の年収として審査を受け、4,500万円の借入に成功されたケースがあります。

戦略3:勤務先の制度を最大限活用する

時短勤務制度の理解を深める

勤務先の時短勤務制度について、以下の点を詳しく調べておくことが重要です:

制度の利用期間 法定では3歳まで勤務ですが、多くの企業では小学校入学まで、中には小学校3年生まで利用可能な制度を設けています。この期間が長いほど、金融機関への説明材料として有効です。

給与の減額方法 時短勤務による給与の減額が「労働時間に比例」なのか「定額減額」なのかによって、実際の時給換算での収入が変わります。労働時間に比例する場合、時給ベースでは収入が維持されるため、金融機関への説明で有利になります。

復帰時の処遇 フルタイム復帰時の給与や役職がどうなるかも重要な情報です。復帰後に昇進や昇給が見込める場合、それらも審査で考慮される可能性があります。

職場からの証明書取得

金融機関によっては、以下の証明書の提出を求められることがあります:

  • 時短勤務制度利用期間に関する証明書
  • 復帰予定時期に関する証明書
  • 復帰後の処遇に関する証明書

これらの書類は人事部で発行してもらえることが多いので、事前に相談しておくことをお勧めします。

戦略4:信用情報をクリーンに保つ

信用情報の重要性

時短勤務により収入が減少している場合、信用情報(クレジットヒストリー)がより重要な審査要素となります。過去の金融取引に問題がないことを示すことで、返済能力の信頼性をアピールできます。

チェックすべき信用情報項目

クレジットカードの利用履歴

  • 延滞履歴がないこと
  • 利用限度額に対する利用率が適正であること(30%以下が目安)
  • 不要なカードは解約しておくこと

その他の借入状況

  • カードローンやキャッシングの残高
  • 自動車ローンや教育ローンの残高
  • 携帯電話の分割払い残高

私が審査担当者として特に注意していたのは、携帯電話の分割払いやクレジットカードの延滞履歴です。これらは日常的な支払いのため、延滞があると「家計管理能力に問題がある」と判断される可能性があります。

信用情報の改善方法

もし信用情報に不安がある場合、以下の方法で改善を図ることができます:

延滞解消 現在延滞中の支払いがあれば、住宅ローン申込前に必ず解消しておきましょう。延滞情報は解消後も1~2年間記録として残るため、早めの対応が重要です。

借入残高の削減 可能な範囲で他の借入の返済を進め、総借入額を減らしておくことで、住宅ローンの審査に有利に働きます。

戦略5:複数の金融機関に申込む

なぜ複数申込が必要なのか

金融機関によって審査基準や時短勤務への理解度が大きく異なるため、1社の審査結果だけで判断するのは適切ではありません。私の経験では、A銀行で否決されたお客様がB銀行では承認になるケースが珍しくありませんでした。

効果的な申込戦略

異なるタイプの金融機関を選ぶ

  • メガバンク1社
  • 地方銀行または信用金庫1社
  • ネット銀行1社
  • フラット35取扱機関1社

このように異なる特性を持つ金融機関を組み合わせることで、審査通過の可能性を最大化できます。

申込のタイミング 住宅ローンの申込履歴は信用情報機関に6ヶ月間記録されるため、短期間に多数申込むと「申込ブラック」状態になる可能性があります。同時期に申込む場合は4社以内に抑えることをお勧めします。

4. 収入減少をカバーする具体的な準備方法

時短勤務による収入減少を補う方法について、私が実際にアドバイスしてきた具体的な準備方法をお伝えします。

家計の見直しと固定費削減

通信費の最適化

携帯電話料金は最も効果的な節約対象の一つです。大手キャリアから格安SIMに乗り換えることで、夫婦で月額1万円以上の節約が可能です。

私の友人夫婦は、ドコモからahamoに乗り換えることで、月額1万2,000円だった通信費を4,000円に削減し、年間約10万円の節約を実現しました。この節約分を住宅ローンの繰上返済資金として活用されています。

保険の見直し

生命保険や医療保険の見直しも重要です。特に、住宅ローンを組む際は団体信用生命保険に加入するため、既存の生命保険と保障内容が重複する可能性があります。

見直しのポイント

  • 死亡保障額の適正化(住宅ローン残高を考慮)
  • 医療保険の入院日額や給付内容の最適化
  • 不要な特約の解約

サブスクリプションサービスの整理

動画配信サービス、音楽配信サービス、雑誌購読など、月額制のサービスは気づかないうちに多数契約していることがあります。年間で見ると意外と大きな金額になるため、本当に必要なものだけに絞ることが重要です。

副収入の確保

在宅ワークの活用

時短勤務により時間に余裕ができる場合、その時間を活用して副収入を得ることも検討しましょう。ただし、勤務先の副業規定を必ず確認することが重要です。

おすすめの在宅ワーク

  • ライティング:月3~5万円の収入が期待できる
  • データ入力:時給1,000円程度で自分のペースで作業可能
  • オンライン講師:専門知識を活かして時給2,000円以上も可能

不用品の販売

メルカリやヤフオクなどのフリマアプリを活用して、不用品を現金化することも効果的です。私のお客様の中には、不用品の販売で50万円以上の資金を確保された方もいらっしゃいます。

投資収入の活用

つみたてNISAの活用

時短勤務により収入が減少する期間中も、つみたてNISAを活用した長期投資を継続することで、将来的な資産形成を図ることができます。

年間40万円まで非課税で投資でき、20年間の長期投資により複利効果が期待できます。月額3万円程度の積立であれば、時短勤務中でも継続可能な金額だと思います。

高配当株投資

安定した配当収入を得られる高配当株への投資も、副収入確保の一つの方法です。ただし、元本割れのリスクもあるため、余裕資金での投資が前提となります。

公的制度の活用

児童手当の活用

児童手当は中学校卒業まで支給される公的な給付金です。時短勤務による収入減少期間中は、この児童手当を家計の重要な収入源として位置づけることができます。

支給額(令和4年度)

  • 3歳未満:月額15,000円
  • 3歳以上小学校修了前:月額10,000円(第3子以降は15,000円)
  • 中学生:月額10,000円

保育料の軽減

時短勤務により世帯収入が減少する場合、保育料が軽減される可能性があります。保育料は前年度の市民税額を基に算定されるため、時短勤務開始の翌年度から軽減効果が現れます。

5. 金融機関選びのポイントと交渉術

時短勤務に理解のある金融機関の見極め方

事前相談での対応をチェック

住宅ローンの正式申込前に、必ず事前相談を行うことをお勧めします。この際の担当者の対応から、その金融機関の時短勤務に対する理解度を判断できます。

良い反応の例

  • 時短勤務の制度について詳しく質問してくれる
  • 復帰後の収入についても考慮すると説明してくれる
  • 世帯全体の収入で判断すると言ってくれる
  • 具体的な対策を一緒に考えてくれる

注意すべき反応

  • 「時短勤務では厳しい」と最初から否定的
  • 現在の収入のみで判断すると言われる
  • 詳しい説明を求めても曖昧な回答しかない

店舗型とネット銀行の使い分け

私の経験では、時短勤務の場合は以下のような使い分けが効果的です:

店舗型金融機関が有利なケース

  • 個別の事情を詳しく説明したい場合
  • 地域密着型の金融機関で長期的な取引関係を築きたい場合
  • 複雑な家族構成や収入構造の場合

ネット銀行が有利なケース

  • システム化された公平な審査を期待する場合
  • 金利の低さを重視する場合
  • 手続きの簡便さを求める場合

効果的な交渉術

準備すべき資料

金融機関との交渉では、以下の資料を事前に準備しておくことが重要です:

基本資料

  • 直近3ヶ月の給与明細(夫婦分)
  • 前年の源泉徴収票(夫婦分)
  • 勤務先の就業規則(時短勤務制度部分)
  • 保育園の入園決定通知書

補強資料

  • 家計簿または家計の収支表
  • 貯蓄残高証明書
  • 投資商品の評価証明書
  • 親族からの援助予定書

ストーリーの組み立て方

単なる数字の説明ではなく、家族のライフプランと絡めたストーリーとして説明することが効果的です。

成功例 「現在、妻が時短勤務により月収が15万円減少していますが、これは3歳になる長男の保育園送迎のためです。来年4月からは延長保育を利用してフルタイムに復帰予定で、その際は月収が元の水準に戻ります。また、夫の収入は安定しており、時短勤務期間中も世帯年収は600万円を維持できるため、返済に支障はございません。」

複数機関での並行審査のコツ

情報の一貫性を保つ

複数の金融機関に申込む際は、提出する資料や説明内容に一貫性を保つことが重要です。矛盾があると信頼性を疑われる可能性があります。

優先順位をつけた対応

すべての金融機関に同じエネルギーを注ぐのではなく、以下の優先順位で対応することをお勧めします:

  1. 最も条件の良い(金利が低い、手数料が安い)金融機関
  2. 審査が通りやすいと思われる金融機関
  3. 万が一のバックアップとしての金融機関

承認後の条件交渉

複数の金融機関から承認を得られた場合、金利や手数料の条件交渉が可能になります。「A銀行では金利○%で承認をいただいているのですが…」という形で、より良い条件を引き出せる可能性があります。

6. 実際の審査体験談と成功事例

私がこれまでサポートしてきた中から、特に参考になる実際の審査体験談をご紹介します。個人情報に配慮し、一部の数字は変更していますが、実際にあったケースです。

ケース1:大手企業勤務夫婦の成功例

基本情報

  • 夫:32歳、大手メーカー勤務、年収720万円
  • 妻:30歳、大手銀行勤務、フルタイム年収480万円→時短勤務年収320万円
  • 子ども:1歳の長男
  • 物件価格:5,800万円
  • 希望借入額:4,800万円

当初の状況と課題

奥様が育児休業から復帰する際に時短勤務を選択したため、世帯年収が年間160万円減少しました。当初申込んだメガバンクでは、「現在の収入では希望額の融資は困難」との回答でした。

成功のためのステップ

ステップ1:詳細な家計分析 時短勤務による収入減少160万円に対し、以下の対策を実施:

  • 保育料:月額6万円(時短勤務により軽減)
  • 通勤費削減:月額1万円(時短により定期代が不要)
  • 外食費削減:月額3万円(夕食を家で取るため) 実質的な負担増は月額6万円程度と算出

ステップ2:復帰計画の明確化 勤務先から以下の証明書を取得:

  • 3年間の時短勤務利用予定期間証明書
  • フルタイム復帰時の予定年収証明書(昇進昇給を含む550万円)
  • 育児支援制度の充実度を示す資料

ステップ3:金融機関の再選定 メガバンクでの否決を受け、以下の金融機関に再申込:

  • 地方銀行(奥様の勤務先のメインバンク)
  • ネット銀行2社
  • フラット35取扱機関

結果 地方銀行で希望額満額の承認を取得。金利は当初より0.1%高くなりましたが、3年後のフルタイム復帰時に金利見直しの約束も取り付けました。

成功要因の分析

  1. 数字による客観的な分析(実質負担増の明確化)
  2. 勤務先からの公式な証明書類の取得
  3. 長期的な視点での収入回復計画の提示
  4. 金融機関の特性を理解した再申込戦略

ケース2:公務員夫婦の工夫例

基本情報

  • 夫:35歳、市役所職員、年収550万円
  • 妻:33歳、県立高校教員、フルタイム年収520万円→時短勤務年収390万円
  • 子ども:2歳の長女、0歳の次女
  • 物件価格:4,200万円
  • 希望借入額:3,500万円

特殊事情 奥様が次女の出産により再度育児休業を取得し、復帰後も時短勤務を継続予定。長女と次女の年齢差により、時短勤務期間が長期化する見込み。

採用した戦略

戦略1:フラット35の活用 公務員という安定した職業と、明確な返済負担率基準を活かし、フラット35を第一候補としました。

戦略2:ペアローンの採用 夫2,000万円、妻1,500万円のペアローンとして申込み、それぞれの収入に応じた借入額として設定しました。

戦略3:頭金の大幅増額 当初予定していた頭金500万円を、親族からの援助300万円を加えて800万円に増額し、借入額を3,400万円に圧縮しました。

工夫したポイント

育児休業給付金の考慮 育児休業期間中の育児休業給付金(月額約20万円)も一定の収入として計算に含めました。

将来の昇進計画 公務員の昇進昇給は明確な基準があるため、10年後の予定年収も資料として提出しました。

地域特性のアピール 居住予定地域が子育て支援に力を入れており、保育園の待機児童がゼロであることを資料で示し、復帰環境の良さをアピールしました。

結果 フラット35で満額承認。金利は固定のため将来の金利上昇リスクもなく、安心して返済できる計画となりました。

ケース3:転職直後の困難を乗り越えた例

基本情報

  • 夫:29歳、IT企業勤務(転職後6ヶ月)、年収650万円
  • 妻:27歳、商社勤務、フルタイム年収420万円→時短勤務年収280万円
  • 子ども:1歳の長男
  • 物件価格:4,800万円
  • 希望借入額:4,000万円

困難な状況 ご主人の転職から6ヶ月しか経過しておらず、通常であれば勤続年数不足で審査が困難な状況でした。さらに奥様の時短勤務も重なり、非常にハードルの高いケースでした。

突破戦略

戦略1:転職理由の明確化 転職が「キャリアアップ」であることを以下の資料で証明:

  • 前職と現職の年収比較(100万円のアップ)
  • 現職での昇進昇給計画書
  • 転職エージェントからの推薦状

戦略2:専門性のアピール IT業界での専門性が高く、転職市場での価値が高いことを以下でアピール:

  • 保有資格一覧(AWS認定資格等)
  • 前職での実績資料
  • 業界の人材不足状況に関する資料

戦略3:奥様の安定性を前面に押し出し 奥様の勤務先が安定した大手商社であることを強調し、時短勤務も一時的な措置であることを明確にしました。

金融機関の対応

1回目申込(メガバンク):勤続年数不足で否決 2回目申込(地方銀行):時短勤務を理由に減額回答(3,000万円) 3回目申込(ネット銀行):システム審査により満額承認

成功要因

  1. 転職の積極的な理由づけ
  2. 専門性と市場価値の客観的証明
  3. 世帯収入の安定性をトータルでアピール
  4. 金融機関の審査特性を理解した申込先選択

ケース4:自営業妻の特殊事例

基本情報

  • 夫:38歳、製造業勤務、年収580万円
  • 妻:35歳、フリーランスデザイナー、年収300万円→時短により年収180万円
  • 子ども:3歳の長女、1歳の長男
  • 物件価格:3,800万円
  • 希望借入額:3,200万円

特殊な課題 奥様がフリーランスのため、時短勤務という概念がなく、単純に受注量を減らすことで収入調整をしていました。自営業者の収入は会社員以上に不安定とみなされるため、審査のハードルが高い状況でした。

工夫した対応策

対策1:過去3年間の収入安定性を証明 確定申告書3年分と、主要取引先との継続契約書を提出し、収入の安定性をアピールしました。

対策2:受注調整の合理性を説明 子育て期間中の受注量調整が一時的なものであり、子どもの成長に合わせて段階的に受注量を回復する計画書を作成しました。

対策3:夫の安定収入を前面に 審査では夫の収入を主とし、妻の収入は補助的なものとして位置づけました。

最終的な成功 信用金庫での審査で承認を取得。地域密着型の金融機関であったため、個別の事情を丁寧に聞き取ってもらえました。

7. よくある失敗パターンと回避方法

これまでの経験から、時短勤務での住宅ローン審査でよく見られる失敗パターンと、その回避方法をお伝えします。

失敗パターン1:情報不足での申込み

よくある失敗例

時短勤務について金融機関に十分な説明をせず、単に「収入が減った」という情報だけで申込んでしまうケースです。

実際にあった失敗例 奥様が時短勤務により年収が400万円から280万円に減少したが、申込書には「280万円」とだけ記載し、時短勤務の背景や復帰予定について一切説明しなかった。結果、「収入不足」を理由に否決。

回避方法

詳細な状況説明書の作成 以下の内容を含む説明書を事前に準備し、申込時に提出することをお勧めします:

  • 時短勤務開始の背景と理由
  • 利用予定期間と復帰時期
  • 復帰後の予定年収
  • 時短勤務期間中の家計への影響とその対策

担当者との事前面談 申込前に必ず担当者と面談し、時短勤務の状況について詳しく説明する機会を設けましょう。

失敗パターン2:借入希望額の設定ミス

よくある失敗例

時短勤務による収入減少を考慮せず、フルタイム時の年収を基準に借入希望額を設定してしまうケースです。

実際にあった失敗例 世帯年収900万円(夫500万円、妻400万円)時に5,000万円の借入を予定していたが、妻の時短勤務により世帯年収750万円に減少後も同額で申込み、返済負担率オーバーで否決。

回避方法

現実的な返済負担率での計算 時短勤務期間中の年収を基準に、返済負担率30%以下(できれば25%以下)での借入額を算出しましょう。

計算例:

  • 時短勤務期間中の世帯年収:750万円
  • 返済負担率25%の場合:年間返済額187.5万円以下
  • 月額返済額:約15.6万円以下
  • 借入可能額(金利1.5%、35年):約4,200万円

段階的な返済計画の検討 時短勤務期間中は低い返済額に設定し、フルタイム復帰後に繰上返済を積極的に行う計画を立てることも有効です。

失敗パターン3:タイミングの悪い申込み

よくある失敗例

時短勤務開始直後や、さらなる収入減少が予想される時期に申込んでしまうケースです。

実際にあった失敗例 第二子の出産を控えているにも関わらず、第一子の時短勤務復帰のタイミングで申込み、審査期間中に妊娠が判明し、さらなる収入減少懸念で否決。

回避方法

ライフプランとの調整 今後数年間のライフプランを見据えて、最も安定した時期での申込みを心がけましょう。

将来の収入変動要因の洗い出し

  • 第二子、第三子の出産予定
  • 夫の転職や昇進の可能性
  • 勤務先の業績や雇用情勢
  • 親の介護の可能性

失敗パターン4:金融機関選択の誤り

よくある失敗例

金利の低さだけで金融機関を選び、時短勤務への理解度や審査の柔軟性を考慮しなかったケースです。

実際にあった失敗例 最低金利を提示していたネット銀行1社のみに申込み、システム審査で機械的に否決された後、他の金融機関への申込みが後手に回った。

回避方法

複数タイプの金融機関への同時申込み 以下の組み合わせで複数申込みを行うことをお勧めします:

  • 低金利のネット銀行
  • 個別相談が可能な地方銀行
  • 安定審査基準のフラット35
  • 取引実績のあるメインバンク

事前相談による見極め 正式申込み前に必ず事前相談を行い、時短勤務に対する各金融機関の理解度と対応方針を確認しましょう。

失敗パターン5:必要書類の不備

よくある失敗例

時短勤務に関する証明書類の準備不足により、審査が長期化したり、不利な条件となったりするケースです。

実際にあった失敗例 勤務先からの時短勤務証明書の取得に時間がかかり、物件の契約期限に間に合わなくなった。

回避方法

早期の書類準備 住宅ローン申込みを検討し始めた段階で、以下の書類の準備を開始しましょう:

必須書類:

  • 直近3ヶ月の給与明細
  • 前年の源泉徴収票
  • 住民税決定通知書

追加書類:

  • 時短勤務制度利用証明書
  • 復帰予定証明書
  • 就業規則(時短勤務規定部分)
  • 保育園入園決定通知書

勤務先の人事部との事前相談 証明書類の発行には時間がかかる場合があるため、早めに人事部に相談し、必要な書類を確認しておきましょう。

8. 今後のライフプランを見据えた借入額の決め方

時短勤務期間中の住宅ローン借入では、現在の収入だけでなく、今後のライフプランを総合的に考慮した借入額の決定が重要です。

ライフステージ別の収入予測

子育て期(0~12歳)

この期間は時短勤務や育児休業により、妻の収入が不安定になりがちです。一方で、児童手当や保育料などの支出もあります。

収入変動要因

  • 時短勤務による減収(20~30%程度)
  • 育児休業期間中の育児休業給付金
  • 復帰に伴う段階的な収入回復
  • 夫の昇進昇給による収入増

支出変動要因

  • 保育料(月額2~8万円程度)
  • 教育費の開始(習い事、塾など)
  • 医療費(子どもの医療費助成あり)

私のお客様の実例では、0~3歳の期間は世帯年収が20%減少、4~6歳で10%減少、小学校入学以降はフルタイム復帰により元の水準に回復というパターンが多く見られます。

教育費集中期(13~22歳)

中学・高校・大学期間は教育費が家計を大きく圧迫する時期です。この期間は夫婦ともフルタイムで働ける一方、教育費支出がピークを迎えます。

想定される教育費

  • 中学校:公立年額13万円、私立年額140万円
  • 高等学校:公立年額28万円、私立年額70万円
  • 大学:国立年額54万円、私立文系年額93万円、私立理系年額124万円

住宅ローン返済戦略 教育費支出の前に繰上返済を進め、教育費集中期の返済負担を軽減することが重要です。

セカンドライフ期(60歳以降)

定年退職により収入が大幅に減少する一方、住宅ローンの完済が必要な時期です。

収入の変化

  • 再雇用による収入減少(現役時代の50~70%程度)
  • 年金収入(夫婦合計で月額20~25万円程度)
  • 退職金の一時収入

適正な借入額の算出方法

基本的な考え方

時短勤務期間中の住宅ローン借入では、以下の3つの段階で返済能力を検証することが重要です:

  1. 時短勤務期間中の返済能力
  2. フルタイム復帰後の返済能力
  3. 定年退職後の返済能力

具体的な算出手順

ステップ1:時短勤務期間中の返済可能額

例:夫年収600万円、妻時短勤務年収250万円の場合

  • 世帯年収:850万円
  • 手取り年収:約680万円(税金・社会保険料除く)
  • 生活費:年額420万円(月額35万円)
  • 教育費・保育料:年額60万円
  • その他(保険・小遣い等):年額80万円
  • 返済可能額:年額120万円(月額10万円)

ステップ2:フルタイム復帰後の返済可能額

同じ家族で妻がフルタイム復帰(年収400万円)した場合:

  • 世帯年収:1,000万円
  • 手取り年収:約780万円
  • 返済可能額:年額180万円(月額15万円)

ステップ3:将来の返済計画

時短勤務期間中は月額10万円、復帰後は月額15万円の返済能力があるため、以下のような借入戦略が考えられます:

  • 当初10年間:月額10万円の返済
  • 11年目以降:月額15万円の返済(または繰上返済の積極活用)

リスクヘッジの考え方

収入減少リスクへの対応

予備資金の確保 住宅購入後も、最低6ヶ月分の生活費(時短勤務期間中の月額支出×6ヶ月)は預貯金として確保しておくことが重要です。

保険の活用

  • 就業不能保険:病気やケガで働けなくなった場合の収入保障
  • 団体信用生命保険:住宅ローン契約者の死亡・高度障害時の残債免除
  • 火災保険・地震保険:住宅そのもののリスクヘッジ

金利上昇リスクへの対応

変動金利で借入れる場合、将来の金利上昇リスクを考慮する必要があります。

金利上昇時のシミュレーション 現在の金利0.5%が2.0%に上昇した場合の返済額増加を事前に計算し、その範囲内での借入額に留めることが安全です。

固定金利との比較検討 フラット35などの全期間固定金利は、金利上昇リスクがない代わりに当初金利が高めに設定されています。長期的な家計安定性を重視する場合は、固定金利も選択肢となります。

税制優遇の活用

住宅ローン控除の最大活用

住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高の0.7%(最大35万円)が所得税・住民税から控除される制度です。時短勤務により所得税額が少ない場合でも、夫婦ペアローンにより控除枠を有効活用できます。

ペアローンでの控除例

  • 夫:借入額3,000万円、年間控除額21万円
  • 妻:借入額1,500万円、年間控除額10.5万円
  • 合計年間控除額:31.5万円

その他の税制優遇

すまい給付金 年収775万円以下の方を対象とした給付制度(最大50万円)。時短勤務により年収が下がった場合、対象となる可能性があります。

贈与税の非課税制度 住宅取得資金の贈与については、最大1,000万円まで贈与税が非課税となります。親族からの援助がある場合は積極的に活用しましょう。

まとめ:時短勤務でも安心して住宅ローンを組むために

時短勤務での住宅ローン審査は確かに通常よりもハードルが高くなりますが、適切な準備と戦略があれば決して不可能ではありません。私がこれまで携わってきた1,500件以上の住宅ローン案件の中でも、時短勤務の方が無事に承認を得て、幸せなマイホーム生活を送られているケースは数多くあります。

重要なのは、現在の収入減少に焦りを感じることなく、長期的な視点でライフプランを設計することです。時短勤務は子育てという人生の大切な時期を充実させるための選択であり、それと住宅購入の夢を両立させることは十分可能です。

最後に大切なアドバイス

住宅ローンの審査結果に一喜一憂せず、「家族が幸せに暮らせる住まい」を手に入れるという本来の目的を忘れないでください。時短勤務期間中に無理な借入をして家計を圧迫するよりも、身の丈に合った借入額で安心して子育てに専念できる環境を作ることの方がはるかに重要です。

私自身も妻の時短勤務期間中に住宅を購入しましたが、当初予定よりも借入額を500万円減らし、その分を頭金に回すことで、心理的にも経済的にも余裕のある住宅ローンとなりました。おかげで妻は子育てに専念でき、私も仕事に集中することができました。

もし住宅ローンの審査で困難に直面されても、決して諦めることなく、複数の金融機関への相談や、ファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談を検討してください。きっと皆様にとって最適な解決策が見つかるはずです。

皆様が素敵なマイホームで、かけがえのない家族時間を過ごされることを心より願っております。


執筆者プロフィール 田中 太郎(仮名) CFP(日本FP協会認定)、AFP認定者 大手都市銀行にて10年間個人向け住宅ローンコンサルタントとして勤務後、独立系ファイナンシャルプランナーとして活動。住宅ローン審査支援実績1,500件以上。自身も妻の時短勤務期間中に住宅購入を経験し、働き方の多様化に対応した住宅資金計画を専門とする。2児の父。

免責事項 本記事の内容は、執筆時点(2025年)の制度・金利情勢に基づいており、将来の変更可能性があります。実際の住宅ローン申込みにあたっては、必ず最新の情報を各金融機関にご確認ください。また、個別の案件については、専門家への相談をお勧めします。

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