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【深掘り分析】セキチュー〈9976〉2026年2月期 1Q決算──“小売×不動産”ハイブリッドの真価をプロが解剖

当サイト「マネーライフ」は情報提供のみを目的としており、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

目次

1. エグゼクティブサマリー

指標1Q実績前年同期比専門家コメント
営業収益78.18 億円+0.4 %消費低迷期でもプラス成長。既存店の粘りと賃貸収入の伸長が寄与。
営業利益2.99 億円+8.4 %不動産賃貸の高採算化が主因。小売単体なら横ばい圏。
営業利益率3.8 %+0.28 pt業界平均(約3 %)を上回り、過去5年で最高水準。
四半期純利益2.09 億円+4.7 %実効税率の低下も追い風。

要点
売上のわずか 2.7 % を占める不動産賃貸が 営業利益の37 % を稼ぎ、“ミニREIT化”が鮮明。小売の低成長を事業ポートフォリオ転換でカバーした決算。


2. セキチューとは?—ビジネスモデルの二面性

  • 小売(ホームセンター):北関東を中心に24店舗。DIY・日用品・カー用品が主力。
  • 不動産賃貸:店舗敷地の余剰区画をテナント化。売上比 2.7 % で利益貢献 37 %。

専門家視点
簿価ベースで固定資産が純資産の約40 %を占める 資産リッチ企業。小売単体の伸び悩みを、保有不動産の活用で補うハイブリッド経営へシフト中。


3. 数字と専門家コメント:1Q決算ハイライト

PL項目数値コメント
売上総利益率29.9 %(+0.1 pt)仕入れ交渉力改善が主因。値上げ効果は限定的。
販管費率27.3 %(▲0.2 pt)LED化・PPA契約で電気代を抑制しコスト最適化。
在庫回転日数163日(△8日悪化)AI発注導入前で在庫膨張。運転資本が最大の課題

専門家コメント
利益率改善の裏側でキャッシュ創出力は頭打ち。次四半期に在庫を圧縮できるかがモメンタムの分岐点


4. セグメント別──数値×洞察

4.1 ホームセンター事業

指標実績YoY
売上高76.07 億円▲0.1 %
セグメント利益1.87 億円▲8.3 %
利益率2.5 %▲0.2 pt

洞察
物流費・人件費高騰で利益率が悪化。単純値上げは限界に近く、修理・工事など付帯サービス収入の拡充が急務。

4.2 不動産賃貸事業

指標実績YoY
売上高2.11 億円+24.9 %
セグメント利益1.12 億円+55.6 %
利益率53.0 %+10.2 pt

洞察
新規テナント契約の IRR は 15〜18 % と推計。高品質キャッシュフローが成長投資を自力で賄う好循環を形成。


5. 財務体質──数字×洞察

BS指標1Q末専門家コメント
自己資本比率47.9 %借入余力は十分で堅実な財務基盤。
ネット有利子負債/EBITDA1.9倍上場小売平均(約3倍)より低く、財務ストレス小。
在庫増加額+4.5 億円資金拘束大。AI需要予測により90日以内の改善が目標

6. 業界トレンドとポジショニング

  • 国内ホームセンター市場:約3.9兆円、年率▲0.6 % で成熟。
  • 再編加速:DCM×エンチョーなど、地方中堅は“買われる側”リスク。
  • セキチューの PBR0.47倍 は含み資産を加味すると 実質0.35倍前後 と推計。

専門家コメント
規模の経済より 資産活用が勝ち筋。ハイブリッド化は再編局面で買収プレミアムを高める交渉カードになる。


7. ガイダンス評価とシナリオ分析

シナリオ前提営業利益株価インパクト(試算)
ベース既存店0 %、賃貸横ばい5.0 億円現行株価に織込み済み
アップサイド賃貸面積+5 %、在庫回転▲7日6.2 億円+15 %
ダウンサイド在庫処分で粗利▲0.5 pt4.0 億円▲10〜12 %

IRで聞くべき3点

  1. 駐車場モール化の ROI と投資回収年数
  2. AI発注導入のタイムラインと目標KPI
  3. 再編オファーへの経営スタンス

8. バリュエーション考察

  • PBR0.47倍:土地再評価で実質0.35倍と推計。
  • TOB余地:浮動株20 % × プレミアム30 % ⇒ 約14 億円で過半取得可能。
  • 配当利回り2 %:減配耐性は高いが、増配余地は限定的。

専門家コメント
短期モメンタムより アセットバリュー+再編プレミアム を狙う中期保有が最適。


9. 投資論点・カタリスト

  1. 賃貸面積拡大—IRR15 %案件を積み上げキャッシュ改善
  2. 在庫圧縮—回転日数10日短縮で営業CF +5,000万円
  3. 業界再編—高資産・小規模ゆえ TOB 観測が高まる可能性

10. まとめ

セキチューは 「地方ホームセンター+高収益不動産」 というハイブリッドモデルで利益質を改善。PBR0.5倍割れと含み資産が投資妙味を高める一方、在庫膨張と流動性リスクをどう管理するかが鍵。再編シナリオ込みで中期妙味を探るバリュー銘柄と言える。

投資は自己責任で。 IR資料や店舗視察で現場感を確認したうえで判断を。


出所:2026年2月期 第1四半期決算短信ほか会社資料

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