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【最新トレンドと金融リテラシー】資産形成の第一歩。「信用情報(クレヒス)」とは?クレカやローンで失敗しないための知識

目次

はじめに:あなたの「見えない財産」を守るために

「クレジットカードの審査に通らなかった…」「住宅ローンの金利が思ったより高い…」そんな経験はありませんか?

私は田中と申します。ファイナンシャルプランナー(CFP資格保有、AFP認定歴12年)として、これまで3,000名以上の方の資産形成をサポートしてきました。大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント10年、証券会社での投資アドバイザー5年の経験があります。

しかし、正直にお話しすると、私自身も若い頃は信用情報について全く理解しておらず、痛い目に遭った経験があります。25歳の時、安易にクレジットカードのリボ払いを多用し、さらに複数枚のカードを短期間で申し込んだ結果、信用情報に傷がつき、その後のローン審査で苦労することになりました。月々の返済額を軽く見ていたため、気づけば借金が200万円まで膨らんでいたのです。

その後、金融業界で働きながら信用情報の重要性を深く学び、現在は資産3,000万円を築くことができました。しかし、あの時の苦い経験があったからこそ、今皆様に正しい知識をお伝えできるのだと思っています。

この記事では、「将来のマイホーム購入のためにも、今から信用情報を大切にしたい」「でも、何に気をつければいいのか分からない」という皆様の不安に、どこまでも寄り添いながら解説していきます。信用情報は、あなたの「見えない財産」とも言えるほど重要なものです。一緒に、その価値を高める方法を学んでいきましょう。

第1章:信用情報(クレヒス)とは何か?あなたの金融行動が作り上げる「成績表」

信用情報の正体を知る

信用情報(クレジットヒストリー、通称「クレヒス」)とは、あなたのお金に関する行動の記録です。まるで学生時代の成績表のように、あなたが今までどのようにお金と向き合ってきたかが詳細に記録されています。

具体的には、以下のような情報が含まれています:

お支払いの履歴

  • クレジットカードの利用状況と返済状況
  • ローンの借り入れと返済の記録
  • 携帯電話料金の支払い状況(分割払いの場合)
  • 奨学金の返済状況

契約に関する情報

  • いつ、どこの金融機関と契約を結んだか
  • 契約の内容(借入限度額、返済期間など)
  • 契約の現在の状況(継続中、完済済み、延滞中など)

私が銀行で働いていた頃、よくお客様から「なぜ審査に通らないのか理由を教えてほしい」と質問を受けました。その多くのケースで、過去の小さな延滞や支払い遅れが影響していることがありました。例えば、5年前に携帯電話料金を2回連続で滞納していたため、住宅ローンの審査で不利になってしまったケースもあります。

3つの信用情報機関が管理する「あなたのデータ」

日本では、以下の3つの機関があなたの信用情報を管理しています:

CIC(株式会社シー・アイ・シー) 主にクレジットカード会社、信販会社が加盟。割賦販売法・貸金業法に基づく指定信用情報機関として、クレジットカードの利用履歴を中心に管理しています。

JICC(株式会社日本信用情報機構) 消費者金融、クレジットカード会社が多く加盟。貸金業法に基づく指定信用情報機関として、主に消費者金融での借り入れ履歴を管理しています。

KSC(全国銀行個人信用情報センター) 銀行、信用金庫、農協などが加盟。銀行系のローン(住宅ローン、マイカーローンなど)の情報を中心に管理しています。

これらの機関は互いに情報を共有しているため、「A社では問題ないけれど、B社では審査に通らない」ということは基本的にありません。あなたの信用情報は、どこで何をしても記録され、共有されているのです。

信用情報が持つ「時効」の概念

ここで安心していただきたいのは、信用情報には「時効」があることです。過去の失敗が一生ついて回るわけではありません。

記録保存期間の目安

  • 契約情報:契約継続中および契約終了から5年以内
  • 返済状況:契約継続中および契約終了から5年以内
  • 延滞情報:延滞解消から1年以内(CIC)、5年以内(JICC、KSC)
  • 債務整理情報:5〜10年以内

私のクライアントの中にも、学生時代の奨学金延滞が記録されていた方がいらっしゃいました。しかし、延滞を解消してから5年後には記録が消去され、無事に住宅ローンを組むことができました。「過去は変えられないけれど、今からの行動で未来は変えられる」これが信用情報の大切な考え方です。

第2章:なぜ信用情報が重要なのか?人生の重要な場面で問われる「信用力」

人生の節目で立ちはだかる「審査の壁」

私がファイナンシャルプランナーとして相談を受ける中で、最も心が痛むのは、人生の大切な節目で信用情報の問題により希望が叶わなくなってしまうケースです。

結婚・新婚生活のスタート 新婚のご夫婦から「新居のためにローンを組みたいのですが…」とご相談を受けることがあります。しかし、どちらか一方に過去のクレジットカード延滞歴があると、希望する金額での借り入れができないケースがあります。特に最近は、スマートフォンの分割払いによる延滞が若い方に多く見られます。

私が担当したケースでは、28歳の男性が婚約者と新居購入を計画していましたが、学生時代に携帯電話料金を数回延滞していたため、住宅ローンの審査で希望額より500万円低い金額しか承認されませんでした。その時の彼の「もっと早く知っていれば…」という言葉が今でも心に残っています。

子育て世代の教育資金準備 お子様の成長とともに、教育資金の確保が課題になります。教育ローンの審査においても信用情報は重要な判断材料となります。特に、大学受験が近づく中で教育ローンが組めないという事態は、ご家族にとって大きなストレスとなります。

老後資金形成のための借り換え 住宅ローンの借り換えによる金利削減は、長期的な家計管理において非常に有効な手段です。しかし、信用情報に問題があると、より有利な条件での借り換えができなくなってしまいます。私の試算では、金利1%の差は35年ローンで数百万円の違いを生むことも珍しくありません。

「見えないコスト」が家計に与える影響

良好な信用情報を維持することで得られるメリットは、単に「審査に通る」だけではありません。金利面での優遇により、生涯にわたって大きな経済的メリットを享受できます。

住宅ローン金利の優遇例

  • 優良な信用情報:変動金利0.4%〜0.6%
  • 一般的な信用情報:変動金利0.8%〜1.2%
  • 信用情報に問題:変動金利1.5%以上、または審査否決

3,000万円、35年返済のローンの場合、金利0.6%と1.2%の差は月々約9,000円、総支払額で約380万円の差になります。これは、年収300万円の方にとって、年収の約1.3年分に相当します。

クレジットカードの利用枠・特典 良好な信用情報を持つ方は、クレジットカードの利用限度額が高く設定され、年会費無料のゴールドカードなどの特典も受けやすくなります。また、海外旅行時のホテル予約やレンタカー利用時にも、十分な与信枠があることで手続きがスムーズになります。

転職・独立時の影響

現在は副業解禁の流れもあり、将来的に独立起業を考える方も多いでしょう。事業資金の調達において、経営者個人の信用情報は極めて重要な要素となります。

私が相談を受けた起業希望者の中には、個人の信用情報に問題があるため、優良な事業計画を持ちながらも資金調達に苦労されている方もいらっしゃいました。信用情報は、サラリーマンとしての安定収入がある今のうちにしっかりと育てておくことが重要です。

第3章:信用情報に記録される内容を詳しく知る

個人識別情報:あなたを特定する基本データ

信用情報機関が管理する情報は、まず「あなたが誰なのか」を特定するところから始まります。

基本的な個人情報

  • 氏名、生年月日、性別
  • 住所、電話番号
  • 勤務先情報(会社名、勤続年数、年収)
  • 家族構成(配偶者の有無、扶養家族数)

これらの情報は、クレジットカードやローンの申し込み時に記録され、転居や転職の際も更新されます。私が銀行員時代に驚いたのは、10年以上前の古い住所が残っていることがあることです。正確な情報管理のため、住所変更などは確実に届け出ることが大切です。

契約内容に関する情報:どんな契約をしているのか

契約の種類と詳細

  • クレジットカード契約(ショッピング枠、キャッシング枠)
  • 各種ローン契約(住宅ローン、マイカーローン、教育ローンなど)
  • 携帯電話の分割払い契約
  • 消費者金融での借り入れ契約

それぞれの契約について、契約日、契約金額、返済期間、月々の返済額などが詳細に記録されます。

契約状況の分類

  • 正常契約:問題なく継続中
  • 完済:契約終了、完全返済済み
  • 延滞:支払いが遅れている状態
  • 代位弁済:保証会社が代わりに返済した状態
  • 強制解約:契約を一方的に解除された状態

返済履歴:最も重要な「あなたの約束を守る力」の証明

信用情報の中でも最も重要なのが、この返済履歴です。過去24か月分の支払い状況が記録され、以下のような記号で表示されます:

CICの場合の表示例

  • $:請求どおりの入金があった
  • A:顧客の事情で入金がなかった
  • P:一部入金があった
  • R:顧客以外から入金があった
  • B:顧客の事情とは無関係な理由で入金がなかった
  • C:入金がなかった
  • -:請求も入金もなかった(利用なし)

理想的な信用情報は、$マークが24個並んでいる状態です。AやP、Cのマークが複数あると、「この人は約束を守らない傾向がある」と判断される可能性があります。

私のクライアントの実例をご紹介します。32歳の会社員女性は、毎月クレジットカードの支払いを期日に遅れることが多く、信用情報にAマークが10個以上記録されていました。住宅購入を検討した際、銀行の住宅ローン審査で金利優遇を受けることができず、通常金利での契約となりました。月々約3,000円、35年で約126万円の負担増となったのです。

申し込み情報:「お金を借りようとした記録」

意外に知られていないのが、ローンやクレジットカードに「申し込みをした」という事実も信用情報に記録されることです。

申し込み情報の記録内容

  • 申込日
  • 申し込んだ商品の種類(クレジットカード、ローンの種別)
  • 申し込み先の会社名
  • 申し込み金額

この情報は6か月間記録されます。短期間に多数の申し込みをしていると、「お金に困っている」「他社で断られた」と判断され、審査に不利になる場合があります。これを「申し込みブラック」と呼ぶこともあります。

私が相談を受けた27歳の男性は、転職を機にクレジットカードを整理しようと考え、1か月間に8枚のカードに申し込みました。その結果、どのカードも審査に通らず、半年間は新規申し込みができない状況となりました。「良かれと思って」の行動が裏目に出たケースです。

保証履行情報:最も深刻な「信用失墜」の記録

代位弁済とは 借り主が返済できなくなった際に、保証会社や連帯保証人が代わりに返済することです。この情報が記録されると、新規の借り入れは極めて困難になります。

任意整理・個人再生・自己破産 債務整理を行った場合の情報も詳細に記録されます。これらの情報は5〜10年間保存され、この期間中は新規借り入れはほぼ不可能となります。

私が銀行員時代に担当したケースでは、過去に消費者金融で債務整理を行った方が、5年後に住宅ローンの相談に来られました。債務整理から5年経過していたものの、その間の信用実績がなく、審査には慎重な検討が必要でした。最終的に、配偶者名義でのローン組成により希望を実現できましたが、本人名義での借り入れはさらに2年間待つこととなりました。

第4章:良いクレジットヒストリーを育てる具体的な方法

基本中の基本:期日を守る習慣の重要性

良好な信用情報を築く上で最も重要なのは、「約束した日に約束した金額を支払う」ことです。これは当たり前のようですが、実は多くの方が軽視してしまいがちなポイントです。

自動引き落としの活用 私が最もお勧めするのは、可能な限り自動引き落としを活用することです。私自身、25歳の頃に手動で支払いをしていた時期は、うっかり忘れによる延滞を何度か経験しました。現在は、すべての支払いを自動引き落としに設定し、15年間一度も延滞したことがありません。

引き落とし口座の管理方法

  • 給与振込口座と支払い口座を同じにする
  • 口座残高は常に月間支払い額の2倍以上を維持
  • 家計簿アプリで引き落とし日を管理
  • 月初に必ず残高確認を行う

私のクライアントの中には、「支払い専用口座」を作り、毎月25日(給料日の直後)に翌月の支払い総額を一括でその口座に移している方もいらっしゃいます。この方法により、支払い忘れのリスクを完全に排除できています。

クレジットカードを賢く活用する戦略

メインカード1〜2枚に絞る効果 多くのカードを持つよりも、メインとなるカード1〜2枚を継続して利用することで、より良い利用履歴を築くことができます。

私が実践している方法をご紹介します:

  • メインカード:年会費無料のゴールドカード(利用限度額100万円)
  • サブカード:特定の店舗でポイント還元率が高いカード(利用限度額50万円)

この2枚で月々15〜20万円程度を決済し、すべて一括払いで処理しています。5年間この利用パターンを続けた結果、メインカードの利用限度額は200万円まで自動的に増額され、年会費無料のままプラチナカードへのインビテーションも届きました。

利用率の管理:30%ルール 信用情報において重要なのが「利用率」です。利用限度額に対してどの程度利用しているかが、信用力の判断材料となります。

例えば、利用限度額100万円のカードで毎月90万円を使用していると、「この人は常にお金に困っている」と判断される可能性があります。理想的な利用率は30%以下、さらに良いのは10%以下とされています。

具体的な管理方法

  • 月間利用額は利用限度額の30%以内に収める
  • 大きな買い物の前は事前に限度額増枠を申請
  • 複数回払いよりも一括払いを基本とする

携帯電話契約での注意点

最近特に問題となっているのが、携帯電話の分割払いによる信用情報への影響です。多くの方が「携帯電話料金だから」と軽く考えがちですが、端末代金の分割払いは立派な「ローン契約」です。

携帯電話で信用情報を良くする方法 私がお勧めするのは、以下のような方法です:

  1. 端末代金は一括払いで購入 分割払いにすると信用情報に「割賦契約」として記録されます。一括払いにすることで、この記録を避けることができます。
  2. 料金支払いはクレジットカード経由 口座振替よりもクレジットカード払いにすることで、カードの利用実績を積むことができます。
  3. 長期契約を維持 同じキャリアで長期間契約を継続することで、安定した契約者として評価されます。

私のクライアントの例では、iPhone購入時に24回の分割払いを選択していた22歳の大学生がいました。しかし、アルバイト収入が不安定で2回ほど支払いが遅れ、それが原因で卒業後のクレジットカード審査に影響が出てしまいました。携帯電話も「信用取引」であることを強く認識していただきたいと思います。

奨学金返済での信用力向上

奨学金の返済は、実は信用情報を育てる絶好の機会でもあります。多くの方が奨学金を「重荷」と感じがちですが、視点を変えれば「長期間にわたって返済実績を積める貴重な機会」とも言えます。

奨学金を信用力向上に活用する方法

  1. 絶対に延滞しない 奨学金の延滞情報は他のローンと同様に記録されます。社会人1年目は収入が少なくても、必ず期日を守って返済しましょう。
  2. 繰り上げ返済のタイミングを計画的に 早期完済も良いのですが、ある程度の期間をかけて「継続的に約束を守る人」という実績を作ることも重要です。
  3. 収入変動時の手続きを適切に 失業や収入減少時は、延滞する前に返済猶予や減額返済の手続きを行いましょう。適切な手続きを経た支払い猶予は、信用情報に悪影響を与えません。

私が担当した28歳の男性は、新卒時から6年間奨学金を遅延なく返済し、その実績をベースに住宅ローンの審査で有利な金利条件を獲得しました。「奨学金返済があるからローンは無理」と思い込まずに、「返済実績がある」とポジティブに捉えることが大切です。

クレジットヒストリーがない場合の対策(クレヒス修行)

30歳を過ぎてもクレジットカードやローンを利用したことがない方は、「ホワイト」と呼ばれる状態になります。一見すると良いことのようですが、実際には「この人の支払い能力がわからない」と判断され、審査に通りにくくなることがあります。

クレヒス修行の具体的ステップ

  1. 第1段階:携帯電話の分割払いから始める 最も審査が通りやすく、確実に信用実績を積めます。ただし、必ず期日を守って返済することが条件です。
  2. 第2段階:年会費無料のクレジットカードに申し込み 流通系(イオンカード、楽天カードなど)や消費者金融系(アコムACマスターカードなど)が比較的審査に通りやすいとされています。
  3. 第3段階:小額利用を継続 月1〜3万円程度の少額利用を6か月以上継続し、毎回期日に遅れずに返済します。
  4. 第4段階:利用実績をベースにメインカードを申し込み 6か月以上の利用実績ができたら、本当に使いたいカードに申し込みます。

私が相談を受けた35歳の公務員男性は、結婚を機に住宅ローンを検討しましたが、クレジット利用歴が全くないため、審査で苦労されました。そこで、上記のステップを1年かけて実践し、翌年には希望する住宅ローンを無事に組むことができました。

第5章:これだけは絶対に避けたい!信用情報を傷つける行動

延滞・滞納の深刻な影響

信用情報に最も大きなダメージを与えるのが延滞です。特に、61日以上の延滞は「重大な延滞」として記録され、長期間にわたって新規借り入れに大きな影響を与えます。

延滞の段階的な影響 私が銀行員として見てきた延滞の進行パターンをご説明します:

1〜30日の延滞

  • 遅延損害金が発生(年率14.6%程度)
  • 信用情報には「A」マークが記録
  • まだ審査への影響は限定的

31〜60日の延滞

  • より厳しい督促が始まる
  • 信用情報の記録が蓄積
  • 新規申し込みで不利になり始める

61日以上の延滞

  • 「異動情報」として記録される
  • 新規借り入れが極めて困難になる
  • この情報は延滞解消後も5年間残る

私が担当したケースでは、29歳の会社員男性がクレジットカードの支払いを2か月延滞し、その後すぐに完済したにもかかわらず、3年後の住宅ローン審査で大きな影響を受けました。金利優遇が受けられず、結果として総返済額が約150万円増加することとなりました。

「うっかり延滞」を防ぐための具体策

  1. 複数の支払い方法を準備
    • 主口座の残高不足に備えて、予備口座も設定
    • クレジットカードでの自動支払いも活用
  2. 支払い予定の見える化
    • スマートフォンのカレンダーアプリに支払い日を登録
    • 月々の支払い総額を把握し、口座残高をチェック
  3. 早めの対応
    • 支払いが困難と判明した時点で、すぐに金融機関に相談
    • 無断延滞よりも事前相談の方が信用情報への影響は軽微

債務整理の長期的な影響

任意整理・個人再生・自己破産の違いと影響期間

私がファイナンシャルプランナーとして相談を受ける中で、債務整理を検討される方も少なくありません。それぞれの手続きには異なる特徴と信用情報への影響があります:

任意整理(CIC・JICC:5年、KSC:記録なし)

  • 裁判所を通さず、債権者と直接交渉
  • 将来利息をカットし、元本のみを分割返済
  • 比較的影響が軽く、完済後5年で記録消去

個人再生(5〜10年)

  • 債務を大幅に圧縮(最大90%減額)
  • 住宅を残せる可能性がある
  • 官報に掲載されるため、KSCには10年間記録

自己破産(5〜10年)

  • 債務が原則として全額免責
  • 財産の大部分を失う
  • 最も重い記録として10年間残存

私が相談を受けた38歳の男性は、事業失敗により個人再生を行いました。手続き完了から7年が経過していましたが、住宅ローンの審査では依然として慎重な検討が必要でした。最終的に、奥様を主債務者、ご本人を連帯保証人とする形でローンを組むことができましたが、金利面での優遇は受けられませんでした。

短期間での多重申し込み(申し込みブラック)

申し込みブラックになる条件と期間 一般的に、6か月以内に3〜4社以上への申し込みがあると「申し込みブラック」と判断される可能性が高くなります。これは、「お金に困っている」「他社で断られた」という印象を与えるためです。

実際のケーススタディ 私のクライアントの26歳女性の事例をご紹介します。転職を機に家計を見直し、ポイント還元率の高いカードを探していた彼女は、1か月間で6枚のクレジットカードに申し込みました:

  1. 楽天カード(承認)
  2. イオンカード(承認)
  3. 三井住友カード(否決)
  4. JCBカード(否決)
  5. セゾンカード(否決)
  6. エポスカード(否決)

最初の2枚は承認されましたが、3枚目以降は連続して否決となりました。その後6か月間は新規申し込みを控え、利用実績を積んでから希望するカードに再申請し、無事承認を得ることができました。

効果的な申し込み戦略

  • 事前に条件を詳しく調べ、本命1〜2社に絞って申し込み
  • 万が一否決された場合は、6か月間空けてから再申請
  • キャンペーン期間狙いではなく、長期利用を前提とした選択

保証会社による代位弁済

代位弁済とは何か 借り主が返済不能になった際、保証会社が代わりに債権者に支払いを行うことです。この時点で、借り主の債務は保証会社に移り、信用情報には「代位弁済」として記録されます。

代位弁済が与える深刻な影響

  • 新規借り入れがほぼ不可能になる
  • 記録は5〜10年間残存
  • 住宅ローンなどの大型ローンは特に審査が厳しくなる

私が銀行員時代に担当したケースでは、42歳の会社員男性が消費者金融での借り入れを返済できなくなり、保証会社による代位弁済が実行されました。その2年後、お子様の教育資金が必要になり教育ローンを申し込まれましたが、代位弁済の記録があるため審査通過は困難でした。最終的に、配偶者名義での申し込みにより解決しましたが、本人名義での借り入れは代位弁済から10年間待つ必要がありました。

クレジットカード現金化の危険性

クレジットカード現金化とは クレジットカードのショッピング枠を使って商品を購入し、それを業者に売却することで現金を得る行為です。一見すると合法的に見えますが、実際には多くのリスクを伴います。

現金化のリスクと問題点

  1. 利用規約違反
    • ほぼすべてのクレジットカード会社で禁止行為
    • 発覚すると強制解約、一括返済要求の可能性
  2. 高額な手数料
    • 現金化業者の手数料は10〜30%程度
    • 実質的に年率100%を超える超高金利
  3. 信用情報への悪影響
    • 強制解約は信用情報に記録される
    • 「この人は金銭管理ができない」という印象

私が相談を受けた31歳の男性は、一時的な資金不足でクレジットカード現金化を利用しました。50万円の現金化で手数料15万円(30%)を取られ、その後不自然な利用パターンを理由にカード会社から厳しい調査を受けました。幸い強制解約には至りませんでしたが、利用限度額は大幅に減額され、1年間は増枠申請も受け付けられませんでした。

携帯電話料金延滞の見落としがちな影響

「たかが携帯代」という認識の危険性 最近、特に若い方に多いのが携帯電話料金の延滞です。「携帯代だから大丈夫」と軽く考える方もいらっしゃいますが、端末代金の分割払いは信用取引として記録されています。

携帯電話延滞の実際のケース 私が相談を受けた24歳の大学院生の事例です:

  • アルバイト収入が不安定で携帯料金を3回延滞
  • 延滞期間は最長で45日間
  • 卒業後、就職先での社宅申し込み時の保証会社審査で不承認

この方の場合、携帯電話の延滞が原因で社宅への入居ができず、家賃相場の高い地域でのアパート探しを余儀なくされました。月々の家賃差額は約3万円、年間で36万円の負担増となりました。

携帯電話料金管理のポイント

  • 端末代金の分割払いは「ローン」だという認識を持つ
  • 料金プランを収入に見合った内容に見直し
  • 自動引き落とし設定で支払い忘れを防止
  • データ使用量を定期的にチェックし、超過料金を防ぐ

第6章:信用情報の確認方法と改善のためのアクション

自分の信用情報を確認する方法

3つの信用情報機関での開示手続き

まずは現状把握が重要です。信用情報は、各機関で異なる情報が記録されている場合があるため、できれば3機関すべてで確認することをお勧めします。

CIC(シー・アイ・シー)での開示方法

  • インターネット開示:500円(クレジットカード払い) 受付時間:8:00〜21:45、年末年始以外毎日利用可能
  • 郵送開示:1,500円(定額小為替) 必要書類:申込書、本人確認書類のコピー
  • 窓口開示:500円(現金) 全国7か所(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡)

JICC(日本信用情報機構)での開示方法

  • スマートフォンアプリ:1,000円 「JICC書面開示アプリ」をダウンロード
  • 郵送開示:1,000円 クレジットカード、コンビニ決済、定額小為替など複数の支払い方法

KSC(全国銀行個人信用情報センター)での開示方法

  • インターネット開示:1,000円 本人確認はデジタル身分証(マイナンバーカード)が必要
  • 郵送開示:1,200円

私自身も年に一度は信用情報の確認を行っています。実際に開示した際の注意点をお伝えします:

開示報告書の見方のポイント

  1. 返済状況の記号を確認 「$」が理想的、「A」「P」「C」があれば要注意
  2. 残債額と利用限度額の比率確認 各カードで30%以下に収まっているか
  3. 申し込み情報の確認 過去6か月の申し込み状況をチェック
  4. 異動情報の有無 延滞、代位弁済、債務整理の記録がないか

信用情報に問題があった場合の対処法

軽微な延滞がある場合 過去に数回の延滞があっても、現在は正常に支払いができていれば、時間が解決してくれます。重要なのは、これ以上の延滞を絶対に起こさないことです。

対処のステップ

  1. 現在の延滞を即座に解消 何よりもまず、現在延滞中の支払いがあれば即座に解消しましょう。遅延損害金が発生していても、まずは元本の返済を優先します。
  2. 今後の支払い体制を見直し
    • 口座残高の管理方法を見直し
    • 支払い日のリマインダーを設定
    • 可能な限り自動引き落としに変更
  3. 良好な支払い履歴の蓄積 過去の問題を上書きするように、継続して良好な支払い履歴を積み重ねます。目安として24か月(2年間)の継続が重要です。

重大な延滞や異動情報がある場合 61日以上の延滞や債務整理の記録がある場合は、より慎重なアプローチが必要です。

長期戦略でのアプローチ

  1. 記録消去までの期間を確認
    • 延滞情報:解消から1〜5年
    • 債務整理情報:完了から5〜10年
  2. 記録が残っている間の対策
    • 現存する契約の支払いを絶対に遅らせない
    • 新規申し込みは慎重に行う(できれば記録消去まで待つ)
    • 家族名義での契約も検討

私が担当したケースでは、過去に自己破産歴のある45歳男性が、記録消去まで3年間待ってから住宅ローンに申し込み、無事に承認されました。待機期間中は、家計管理を徹底し、安定した収入を継続することに注力されていました。

誤った情報が記録されている場合 稀に、間違った情報が記録されていることがあります。この場合は、信用情報機関に訂正を申し入れることができます。

訂正手続きの流れ

  1. 該当する契約先金融機関に問い合わせ まず、情報を登録した金融機関に事実確認を依頼
  2. 信用情報機関への申し立て 金融機関での解決が困難な場合は、信用情報機関に調査を申し入れ
  3. 必要書類の提出 契約書、支払い証明書などの関連書類を準備

信用情報回復のための戦略的アプローチ

段階的な信用力回復プラン 信用情報に問題がある場合でも、計画的なアプローチにより、段階的に信用力を回復させることができます。

フェーズ1:基盤づくり(0〜6か月)

  • すべての延滞を解消し、現状を正常化
  • 支払い管理システムの構築
  • 家計収支の安定化

フェーズ2:実績積み上げ(6か月〜2年)

  • 少額でも継続的なクレジット利用
  • 遅延のない支払い履歴の蓄積
  • 安定収入の継続

フェーズ3:信用力向上(2年〜5年)

  • 利用限度額の段階的増額
  • より有利な金融商品への切り替え
  • 住宅ローンなど大型借り入れの準備

私のクライアントの実例では、債務整理から5年後に住宅ローンの相談に来られた方がいます。その間、毎月5万円程度のクレジットカード利用を継続し、一度も延滞することなく返済されていました。その結果、銀行の審査でも「現在は安定した返済能力がある」と評価され、希望する条件での借り入れが実現できました。

プロフェッショナルサポートの活用

ファイナンシャルプランナーとの相談 信用情報の改善は、総合的な家計管理と密接に関係しています。一人で悩まず、専門家のサポートを受けることをお勧めします。

FP相談で解決できること

  • 現状の信用情報分析と改善プランの立案
  • 家計収支の見直しによる支払い安定化
  • 将来の資金計画との調整
  • 住宅ローンなど大型借り入れのタイミング相談

無料相談の活用 多くの金融機関や住宅メーカーでは、無料のライフプラン相談を実施しています。また、自治体でも定期的に専門家による相談会を開催している場合があります。

私自身も月に2〜3回、自治体での無料相談会に参加しています。「信用情報が心配で住宅購入を諦めようかと思っている」という相談を受けることもありますが、適切なアドバイスにより希望を実現できるケースは少なくありません。

法律専門家との連携 債務整理を検討する場合や、過去の債務整理からの回復を図る場合は、司法書士や弁護士といった法律専門家との連携も重要です。

第7章:年代別・状況別の信用情報戦略

20代の信用情報戦略:人生の基盤づくり

20代は信用情報を一から築いていく重要な時期です。この時期の行動が、30代、40代の人生設計に大きく影響します。

20代前半(22〜25歳)の戦略 社会人になったばかりのこの時期は、無理をせず確実に信用実績を積むことが重要です。

具体的なアクションプラン

  1. 最初のクレジットカード選び
    • 年会費無料の一般カードから始める
    • 勤務先で推奨されている提携カードがあれば検討
    • 月1〜3万円程度の少額利用から開始
  2. 携帯電話契約の活用
    • 端末代金は分割払いでも可(信用実績作りとして)
    • ただし、絶対に延滞しないことが前提
    • 料金プランは収入に見合ったものを選択

私が相談を受けた23歳の新入社員の方は、社会人1年目に年会費無料のカードを1枚作り、月2万円程度(主に昼食代とコンビニでの買い物)を利用していました。2年後には自動的に利用限度額が30万円から50万円に増額され、良好な信用実績を築くことができました。

20代後半(26〜29歳)の戦略 収入が安定し、結婚や住宅購入を意識し始める時期です。より戦略的な信用力向上を図ります。

この時期の重点ポイント

  1. メインカードのグレードアップ
    • 利用実績をベースにゴールドカードを検討
    • 年会費がかかっても、サービス内容で元が取れるか検討
  2. 住宅ローンを意識した準備
    • 勤続年数の継続(転職は慎重に検討)
    • 頭金準備と並行して信用力の向上
    • 他の借り入れ(カードローン等)は可能な限り完済
  3. 家計管理の本格化
    • 月々の固定費と変動費の把握
    • 緊急時資金(生活費6か月分)の準備
    • 将来の大型支出を見越した資金計画

30代の信用情報戦略:人生の重要な決断をサポート

30代は住宅購入、教育資金準備など、人生の重要な局面で信用情報が活用される時期です。

30代前半(30〜34歳)の戦略 住宅ローンをはじめとする大型借り入れに備える重要な時期です。

住宅ローン審査を意識した信用管理

  1. 借入件数の整理
    • 使用していないクレジットカードの解約検討
    • カードローンなどの無担保借り入れの完済
    • ショッピングローンの早期完済
  2. 安定性の演出
    • 同一勤務先での継続勤務
    • メインバンクとの取引実績の蓄積
    • 定期的な積立投資などによる資産形成の実績

私のクライアントの32歳男性は、住宅ローン申請の1年前から信用情報の整理を開始しました。5枚あったクレジットカードを2枚に整理し、50万円のカードローンを完済。その結果、希望額満額での住宅ローン承認と、最優遇金利の適用を受けることができました。

30代後半(35〜39歳)の戦略 教育資金準備と老後資金形成を両立させる時期です。信用情報を活用した効率的な資金調達を検討します。

複合的な資金ニーズへの対応

  1. 教育ローンの準備
    • 子どもの年齢に応じた資金計画
    • 奨学金制度の理解と併用の検討
    • 教育資金専用の信用枠確保
  2. 住宅ローンの見直し
    • 金利情勢に応じた借り換えの検討
    • 繰り上げ返済vs投資運用のバランス
    • 団体信用生命保険の見直し

40代以降の信用情報戦略:資産形成の最終段階

40代以降は、これまで築いてきた信用力を活用した資産形成の最終段階です。

40代の戦略ポイント

  1. 低金利借り入れの活用
    • 住宅ローン金利と投資利回りの比較検討
    • 教育ローンと教育資金贈与の使い分け
    • リフォームローンなどの有効活用
  2. 信用力を活用した投資
    • 証券担保ローンなどの活用検討
    • 不動産投資における信用力の活用
    • 法人設立時の代表者保証での信用力活用

私が担当した45歳の会社員の方は、良好な信用情報をベースに住宅ローンの借り換えを実行し、年間50万円の金利負担を軽減。その浮いた資金をつみたてNISAで運用し、老後資金の形成を加速させています。

50代以降の戦略

  1. ローン完済に向けた計画
    • 住宅ローン完済時期の最適化
    • 退職金活用による繰り上げ返済の検討
    • 老後の固定費削減効果の試算
  2. 次世代への信用継承
    • 子どもの住宅購入時の連帯保証準備
    • 家族全体での信用力最大化
    • 相続時の負債処理準備

特殊な状況での信用情報戦略

転職・独立時の注意点 キャリアチェンジは信用情報にも大きく影響します。

転職時のポイント

  • 住宅ローン申請は転職前に実行
  • 勤続年数リセットによる影響を最小化
  • 新勤務先での安定収入の早期確立

独立・起業時のポイント

  • 個人事業主としての信用力構築
  • 法人設立による信用力向上効果
  • 事業資金調達における個人信用情報の活用

離婚時の信用情報への影響 残念ながら離婚により信用情報に影響が出るケースもあります。

対策のポイント

  1. 共有債務の処理
    • 住宅ローンの名義変更または売却
    • 連帯保証の解除手続き
    • クレジットカードの家族カード処理
  2. 単独での信用力構築
    • 収入証明書類の整備
    • 新しい金融機関との取引開始
    • 安定した返済実績の積み上げ

第8章:信用情報を活用した賢い資産形成

低金利借り入れを活用した資産形成

良好な信用情報により低金利での借り入れが可能になった場合、それを資産形成に活用する戦略も考えられます。ただし、これには十分なリスク管理が必要です。

住宅ローン金利と投資利回りの関係 現在の住宅ローン金利は変動金利で0.4〜0.6%程度です。一方、長期の株式投資による期待リターンは年4〜6%程度とされています。この金利差を活用した資産形成戦略をご紹介します。

具体的な戦略例 私のクライアント(38歳、会社員)の事例です:

  • 住宅ローン:3,000万円、変動金利0.5%、35年返済
  • 頭金として用意していた500万円をつみたてNISAで運用
  • 年間40万円×12年間で480万円を投資
  • 期待リターン5%で運用した場合の20年後資産:約1,500万円

この戦略により、住宅購入と資産形成を同時に実現しています。ただし、変動金利リスクや投資リスクを十分に理解した上での実行が前提です。

リスク管理のポイント

  1. 金利上昇リスクの管理
    • 金利が2%を超えた場合の対応策を事前に準備
    • 固定金利への借り換えタイミングの設定
    • 繰り上げ返済資金の確保
  2. 投資リスクの管理
    • 分散投資によるリスク軽減
    • 定期的なリバランスの実行
    • 市場暴落時の対応計画

信用力を活用した教育資金戦略

教育資金についても、信用力を活用した効率的な準備が可能です。

教育ローンvs貯金の最適バランス 私が相談を受けるご家庭では、「教育資金は貯金で準備すべきか、ローンを活用すべきか」という質問をよく受けます。

教育ローン活用の メリット

  • 低金利(国の教育ローンは年1.95%、銀行教育ローンは年1〜3%程度)
  • 必要な時期に必要な金額だけ借り入れ
  • 貯金を手元に残すことによる家計の安定性向上

貯金準備のメリット

  • 金利負担がない
  • 家計の借金を増やさない安心感
  • 教育費以外の用途への転用も可能

私のクライアントの40歳男性は、お子様2人の大学進学に向けて以下のような戦略を立てました:

  • 基本的な教育資金は学資保険と積立投資で準備
  • 追加で必要な資金(私立大学の場合の差額等)は教育ローンで対応
  • 浮いた資金は住宅ローンの繰り上げ返済に活用

この戦略により、教育資金確保と住宅ローン負担軽減を同時に実現しています。

信用情報とライフプランの統合管理

総合的なライフプラン設計 信用情報は、人生全体の資金計画と統合して管理することで、その価値を最大化できます。

ライフイベントと必要資金の整理

  • 結婚・新婚旅行:100〜300万円
  • 住宅購入:頭金500〜1,000万円、ローン2,000〜4,000万円
  • 子どもの教育費:1人あたり1,000〜2,000万円
  • 老後資金:夫婦で2,000〜3,000万円

信用力最大化のタイムライン 各ライフイベントに向けて、信用力を最大化するタイミングを設計します:

20代後半:住宅ローン準備期

  • 勤続年数の継続
  • 他の借り入れの整理
  • 頭金と諸費用の準備

30代前半:住宅ローン実行期

  • 最優遇金利での借り入れ実行
  • 団体信用生命保険による生命保険見直し
  • 余剰資金の投資運用開始

30代後半:教育資金準備期

  • 教育費積立と教育ローン枠の確保
  • 住宅ローン借り換えによる金利削減
  • iDeCoやNISAを活用した節税投資

40代:資産形成加速期

  • 信用力を活用した低金利借り入れの検討
  • 不動産投資などの投資戦略
  • 老後資金準備の本格化

50代:債務整理期

  • 住宅ローン完済に向けた計画実行
  • 退職後の固定費削減準備
  • 相続対策の開始

家族全体での信用力最大化戦略

夫婦それぞれの信用情報管理 現代では共働き世帯が多く、夫婦それぞれが信用情報を持っています。家族全体で信用力を最大化する戦略をご紹介します。

役割分担の考え方

  1. 主債務者と連帯保証人の使い分け
    • より安定した収入の方を主債務者に
    • 信用情報に問題がある場合の代替策
  2. 信用情報の分散管理
    • 夫名義と妻名義のクレジットカードをそれぞれ管理
    • 住宅ローン、教育ローンの名義を戦略的に分散

私のクライアントご夫婦(ともに35歳)の事例では:

  • ご主人:住宅ローン主債務者、メインクレジットカード管理
  • 奥様:教育ローン、家計管理用クレジットカード管理
  • 互いが連帯保証人となることで、双方の信用力を最大活用

子どもの信用教育 将来的に子どもたちが良好な信用情報を築けるよう、早期からの教育も重要です。

家庭でできる信用教育

  1. お金の約束の重要性
    • お小遣いの使い方を通じた計画性の育成
    • 「借りたものは必ず返す」という基本概念の教育
  2. クレジットカードデビューの準備
    • 大学生になったら家族カードから開始
    • 利用明細の確認習慣の定着
    • 一括払いの重要性の理解
  3. 奨学金利用時の注意点
    • 借り入れ金額と将来の返済負担の関係
    • 延滞の深刻な影響の理解
    • 早期完済と繰り上げ返済の効果

第9章:最新トレンドと今後の展望

デジタル化が進む信用情報の世界

AIによる審査システムの進化 現在、多くの金融機関でAI(人工知能)を活用した審査システムが導入されています。これにより、従来よりも多角的で精密な信用評価が可能になっています。

変化のポイント

  1. リアルタイム審査の普及
    • クレジットカードの即日発行
    • ローンの当日審査・当日融資
    • スマートフォンアプリでの簡単申し込み
  2. 多様なデータの活用
    • 従来の信用情報に加えて、購買履歴や行動パターンも考慮
    • SNSの利用状況やデジタルフットプリント
    • 公共料金や携帯料金の支払い履歴の重視

私が最近相談を受けたケースでは、従来の信用情報では審査が微妙だった29歳の女性が、公共料金の長期間にわたる確実な支払い実績が評価され、希望するクレジットカードの審査に通過しました。AIシステムが従来では見落とされがちな「支払い能力の証拠」を発見した例です。

オープンバンキングの影響 オープンバンキング(銀行API公開)により、複数の金融機関の情報を統合した信用評価が可能になりつつあります。

期待される変化

  • より精密な家計収支の把握
  • 複数行の取引実績の総合評価
  • 個人の金融行動のより詳細な分析

キャッシュレス社会と信用情報

決済データの信用評価への活用 キャッシュレス決済の普及により、個人の支払い行動がより詳細にデータ化されています。

新しい信用評価指標

  1. 決済の安定性
    • 定期的な支払いパターンの分析
    • 支払い方法の一貫性
    • 異常な支出パターンの検知
  2. 消費行動の健全性
    • ギャンブルやアルコールへの過度な支出
    • 生活必需品vs嗜好品の支出バランス
    • 計画的な大型支出の実行能力

プライバシーとの両立 一方で、過度な個人情報の活用には慎重な議論も必要です。適切なプライバシー保護との両立が今後の課題となるでしょう。

若年層の信用情報構築支援

クレジットビルディングプログラム アメリカなどで導入されているクレジットビルディング(信用構築支援)プログラムが日本でも注目されています。

具体的なサービス例

  • 少額から始められる信用構築専用カード
  • 支払い実績に応じた段階的な限度額増額
  • 信用教育プログラムとセットになったサービス

学生向け金融教育の充実 大学や専門学校での金融リテラシー教育が重要視されています。

教育内容の例

  1. 基本的な信用概念
    • 信用情報とは何か
    • 信用スコアの意味と重要性
    • 良い信用履歴の作り方
  2. 実践的なスキル
    • クレジットカードの適切な使い方
    • ローンの仕組みと返済計画
    • 家計管理の基本

私が講師を務める大学の特別講義では、学生たちに「将来の住宅ローン金利が1%違うと、生涯で数百万円の差になる」という具体例を示すことで、信用情報の重要性を実感してもらっています。

高齢者の信用情報活用

シニア層の金融ニーズ 高齢化社会の進展により、60歳以降の信用ニーズも多様化しています。

新たなニーズ例

  • リバースモーゲージ(住宅担保年金)
  • 高齢者向けリフォームローン
  • 相続対策のための借り入れ

年齢による審査への影響 従来は年齢が高くなると審査が厳しくなる傾向がありましたが、平均寿命の延伸や働き方の多様化により、柔軟な審査基準の導入が進んでいます。

国際的な信用情報の相互利用

グローバル化への対応 国際的な人材移動の増加に伴い、信用情報の国際的な相互利用も検討されています。

期待される効果

  • 海外赴任者の現地でのローン組成支援
  • 外国人労働者の日本での信用構築支援
  • 国際的な投資・事業展開での信用評価

ただし、各国の法制度や文化の違いもあり、実現には時間がかかると予想されます。

第10章:信用情報で失敗しないための具体的なチェックリスト

日常管理のチェックリスト

毎月実行すべき項目 □ 全クレジットカードの利用明細確認 □ 引き落とし口座の残高確認(支払い日の3日前まで) □ 携帯電話料金の支払い状況確認 □ その他ローン返済の実行確認 □ 家計簿への支払い実績記録

四半期ごとに実行すべき項目 □ 利用限度額と実際の利用額の比率確認 □ 不要なクレジットカードの見直し □ 金利情勢に応じたローン借り換えの検討 □ 年収変動に応じた借入限度額の見直し

年1回実行すべき項目 □ 信用情報の開示請求と内容確認 □ 生命保険と団体信用生命保険の見直し □ 総合的な資産・負債状況の把握 □ 来年度のライフイベントに備えた準備

私が実際に使用しているチェックシートをベースに作成しています。特に、信用情報の年1回確認は重要です。間違った情報が記録されていたり、既に完済したはずのローンが残債ありとなっていたりするケースも稀にあります。

申し込み前のチェックリスト

クレジットカード申し込み前 □ 過去6か月以内の申し込み状況確認(3枚以内に収まっているか) □ 現在の年収と申告予定年収の整合性確認 □ 勤続年数と勤務先の安定性確認 □ 他社借入総額と年収の比率確認(年収の3分の1以内) □ 申し込みカードの審査基準と自分の条件の適合性確認

住宅ローン申し込み前 □ 過去5年間の転職歴整理 □ 消費者金融・カードローンの完済 □ 家族カードを含めた全クレジットカードの整理 □ 携帯電話料金を含む全支払いの延滞歴確認 □ 頭金・諸費用・緊急予備資金の準備状況確認 □ 団体信用生命保険の加入可能性確認(健康状態)

その他ローン申し込み前 □ 住宅ローンなど他の大型ローンとの兼ね合い確認 □ 返済期間中の家計収支シミュレーション □ 金利変動リスクへの対応策確認 □ 繰り上げ返済計画の検討

トラブル発生時の対応チェックリスト

延滞してしまった場合 □ 延滞に気づいた時点で即座に金融機関に連絡 □ 延滞理由と今後の対応方針を明確に伝達 □ 可能な限り早期の返済実行 □ 再発防止策の具体的な実施 □ 信用情報への影響期間の確認

審査に落ちてしまった場合 □ 審査落ちの理由について可能な範囲で確認 □ 信用情報の開示請求による現状把握 □ 問題点の特定と改善計画の立案 □ 6か月間の申し込み自粛期間の遵守 □ 改善後の再申請に向けた準備

間違った情報が記録されている場合 □ 該当する金融機関への事実確認依頼 □ 契約書類や支払い証明書などの証拠書類の準備 □ 信用情報機関への訂正申し入れ □ 訂正完了までの期間を考慮した計画調整

ライフイベント別準備チェックリスト

結婚準備時 □ 配偶者となる方の信用情報状況の把握 □ 夫婦合算収入での借入可能額算出 □ 家計管理方法の統一(支払い口座の整理) □ 新居購入計画と信用情報活用戦略の策定

子どもの誕生準備時 □ 教育資金準備計画の立案 □ 生命保険の見直しと団信の活用 □ 住宅ローン控除と教育費控除の併用検討 □ 将来の教育ローン利用に向けた信用力維持

転職・独立準備時 □ 転職前の住宅ローン等申し込み検討 □ 独立後の収入見込みと既存ローンの返済計画 □ 事業資金調達における個人信用情報の活用 □ 法人設立による信用力向上効果の検討

退職・老後準備時 □ 退職金を活用した繰り上げ返済計画 □ 年金収入での返済可能額算出 □ リバースモーゲージ等の活用検討 □ 相続時の債務処理準備

おわりに:信用情報と共に歩む豊かな人生

ここまで長文にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。信用情報について、基本的な知識から実践的な活用方法まで、私の経験と専門知識のすべてをお伝えしてきました。

私からの最後のメッセージ

25歳の時、安易なクレジットカード利用で借金200万円を抱えた私は、まさに「信用情報の怖さ」を身をもって体験しました。その時の絶望感、将来への不安、家族に申し訳ない気持ち…今でも鮮明に覚えています。

しかし、その経験があったからこそ、信用情報の真の価値を理解できました。信用情報は、決して「恐れるもの」ではありません。正しく理解し、適切に管理すれば、あなたの人生をより豊かにしてくれる「強力なパートナー」になります。

現在、私の資産が3,000万円に達したのも、良好な信用情報があったからこそ実現できた住宅ローンの低金利活用や、効率的な投資運用があったからです。20代の失敗があったからこそ、今の成功があると心から思っています。

あなたに今日から始めてほしいこと

この記事を読んでくださったあなたに、ぜひ今日から始めてほしいことがあります:

1. 現状把握から始めましょう まずは、ご自身の信用情報を確認してください。CIC、JICC、KSCの3機関で開示請求をし、現在の状況を正確に把握しましょう。「知ること」が改善の第一歩です。

2. 小さな一歩を確実に 完璧を目指す必要はありません。毎月の支払いを期日に遅れない、これだけでも十分なスタートです。小さな約束を守り続けることで、確実に信用は積み上がっていきます。

3. 長期的な視点を持ちましょう 信用情報は一朝一夕で改善するものではありません。しかし、確実に、着実に、あなたの努力は信用力として蓄積されていきます。5年後、10年後のより良い人生のために、今日からコツコツと積み重ねていきましょう。

専門家としてのお約束

私は、これからもファイナンシャルプランナーとして、皆様の豊かな人生をサポートしていきます。信用情報に関するご質問、家計管理のお悩み、将来の資金計画など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。

特に、「信用情報に問題があって将来が不安」「どこから手をつけていいかわからない」という方は、決してお一人で悩まず、専門家にご相談いただければと思います。必ず解決の道筋が見えてきます。

最後に

あなたの信用情報は、あなたの「見えない財産」です。お金や不動産と同じく、時間をかけて大切に育てていくものです。そして、その価値は一生涯にわたってあなたとご家族の人生を支えてくれます。

「お金は人生を豊かにするための手段。無理をしてまで増やすものではない」

この言葉を胸に、あなたらしいペースで、無理のない範囲で、信用情報という「見えない財産」を育てていってください。

皆様の人生が、信用情報を味方につけて、より豊かで安心できるものになることを、心から願っています。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。あなたの明るい未来を心から応援しています。


筆者プロフィール:田中 誠 ファイナンシャルプランナー(CFP®・AFP認定) 大手銀行個人向け資産運用コンサルタント(10年)、証券会社投資アドバイザー(5年)を経て独立。自身の投資失敗・成功体験を基に、3,000名以上の資産形成をサポート。「一人ひとりの価値観と生活スタイルに合った無理のない資産形成」をモットーに、全国で講演・相談活動を展開中。

免責事項 本記事の情報は2025年9月時点のものです。法令や制度の変更により内容が変わる可能性があります。個別の金融商品選択や投資判断は、必ず最新の情報を確認の上、ご自身の責任で行ってください。

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