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【徹底解剖】ハローズ〈2742〉2026年2月期1Q決算──売上高+8.6%の真相と株価インパクト

目次

1. ハローズとは?—地域密着スーパーのビジネスモデル

  • 中四国を中心に 24 時間営業+ミッドサイズ店舗を展開。
  • 長期ビジョン「西日本 5000 億円構想」:250 店舗・売上 5,000 億円(29/2 期目標)。
  • 中計「瀬戸内 2814 計画」:140 店舗・売上 2,800 億円・営業利益率 5%台維持(30/2 期目標)。

専門家の視点

競合が強い関東・関西を避け、ドミナント出店で物流・広告効率を極限まで高める「ローコスト・オペレーター」。24h 営業のコストは高いが深夜帯売上 5〜6%で固定費を薄める構造が特徴です。


2. 1Q 決算ハイライトと専門家の第一印象

指標1Q 実績YoYプロ目線での評価
営業収益539.9 億円+8.6%物価高+新店 2 店フル寄与で想定線。数量ではなく単価主導
営業利益30.5 億円+3.3%粗利悪化を SG&A で吸収。利益成長は“薄氷”
営業利益率5.64%▲0.29pt5%台キープだが盛夏の電力費上振れが今後の焦点
EPS99.65 円+3.8%期末 401 円ガイダンス達成へ“順当な滑り出し”

第一印象まとめ

「売上は強いが質に陰り」。粗利率悪化が長期化すれば EPS 成長は鈍化。次のドライバーは PB 利益貢献と物流最適化に絞られる。


3. 数字の真意を読み解く 3 つのレンズ

3‑1. ストアネットワーク:既存店は真に伸びているか

店舗数年換算売上/店YoY
2025/2 期末105 店19.2 億円
2026/1Q 期末107 店19.9 億円 (推定)+3.6%

専門家の解釈

  • 既存店伸長は「客単価>客数」。インフレが落ち着けば失速リスク。
  • セルフレジ化率 55%:人件費抑制に効き始めるのは 2H 以降。
  • 地理的限界:岡山・広島のストア密度が高く飽和シグナルも。今後の成長は四国・兵庫の深耕次第。

3‑2. 粗利率低下の背景:PB 強化は「毒か薬か」

要因粗利インパクトコメント
冷凍 PB「Hello’s Fresh」導入▲0.10pt初期販促で値引き圧力
生活防衛チラシ比率増▲0.25pt“客数維持のコスト”が顕在化
NB 原材料高+円安▲0.25pt価格転嫁しきれず

専門家の解釈

短期的には痛み、長期的には妙味。PB 比率が 25% に達すれば “値入れ率+2〜3pt” の余地。痛み止めとして物流コスト削減を同時進行させる必要があります。


3‑3. 販管費コントロール:人件費・電力費に勝てるか

費目YoY専門家コメント
人件費+9.8%ベア実施でコスト上振れ。生産性改善が遅れれば EBIT マージン圧迫
電力費▲7.0%燃料調整単価下落+ LED 化率 74% が奏功
減価償却費+7.0%セルフレジ・自動発注投資増。初年度は費用先行

考察

  • 24h 営業モデルは深夜帯停止で電力費を削れるが、差別化が消える葛藤。
  • 自動発注で**残業▲12%**は定量的成果。労務コストは 2H に減速可能。

4. 財務体質:実はキャッシュが膨らんでいる理由

2025/2 期末2026/1Q 期末コメント
現金 & 預金138.5 億円228.9 億円買掛金繰延 107 億円による“瞬間風速”
有利子負債102.7 億円93.9 億円設備投資自己資金化で減少
Net D/E0.13 倍0.09 倍超低レバレッジ=自社株買い余力大

専門家の解釈

手元資金の増加は一過性。ただしネットキャッシュ企業ゆえ、株主還元の強化は時間の問題。CAPEX ピークが過ぎれば D/E 低下→還元フェーズへ。


5. 中長期計画を評価する 3 つの論点

KPI目標 (30/2)進捗論点
売上高2,800 億円80%出店ペース維持 vs 人口減
店舗数140 店107 店新規立地余地は?
EBIT マージン5% 台5.6%粗利 < SG&A バランス維持

専門家の視点

  1. 出店余地:中四国は可住地比で飽和。兵庫・山口シフトが鍵。
  2. 労務プール:24h 方式は最低賃金上昇と対立。自動発注で**ピーク要員▲12%**がどこまで広がるか。
  3. 新 DC(27 年稼働):会社試算 粗利+0.2pt ⇒ 成功すればPER 1 回転の re‑ratingも視野。

6. バリュエーション比較とシナリオ分析

PERPBREV/EBITDAモデルシナリオ & 目標株価*
ハローズ13.2x1.3x7.1xベース:2,800 円
ライフ14.8x1.4x7.6x
トライアル HD16.5x2.0x8.9x

*DCF ベース、WACC 6.0%、中期計画達成前提

専門家コメント

  • ディスカウント要因:成長率 3% 台、エリア分散リスク。
  • アップサイド:PB 比率 25% → EBIT+15 億円 ⇒ PER 15x なら株価 3,200 円。
  • ダウンサイド:人件費再高騰で EBIT▲20 億円 ⇒ PER 11x、株価 2,200 円。

7. 投資家視点での 6 つのウォッチポイント

  1. 月次 PB シェア:公式 IR で開示。右肩上がりならブルシナリオ強化
  2. 客数 × 客単価:特に 日配・惣菜の単価 が早期に下落するか
  3. 新 DC 建設進捗:CAPEX 増加 vs スケジュール遅延リスク
  4. 電力・原材料相場:ダブルインフレ再来で粗利+ SG&A を直撃
  5. 競合の 24h 戦略:イズミ・フジが本格参入なら“深夜プレミアム”剥落
  6. 株主還元ポリシー:自社株買い or 増配タイミング

8. まとめ & FAQ

要約:ハローズは「インフレ勝ち組」から「ニュートラル優等生」へ移行中。物流最適化+ PB 拡大が成功すれば EBIT マージンの 5% 台死守も可能。粗利率が底打ちするかが今後 3 四半期の最大焦点

FAQ

Q1. 粗利率が再反転するシグナルは?
A. PB シェアが月次 20% を超え、NB 値上げが一巡する 2026/3Q が分水嶺と見ています。

Q2. 今期ガイダンスに対するリスクは?
A. 最大リスクは人件費再高騰(賃上げ第 2 波)。次点は天候要因での電力費反騰。

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