多くの方々が保険料をお得にしたいと思って「こくみん共済」という選択肢を考えていることでしょう。このタイプは、死亡と入院の補償が一緒になっていて、その内容もシンプルで直感的です。また、65歳までの期間、その保険料は一定という利点もあります。けれど、こくみん共済には短所も存在します。この記事で、それらの短所を6点、しっかりとお伝えします。さらに、どのような方々にこの選択が最適なのかも一緒にご紹介します。これを参考に、最適な保険選びをしてみてはいかがでしょうか。
こくみん共済の基本情報
まず最初に、こくみん共済の基本的な特徴や利点を触れていきます。
こくみん共済とは全労済が行うサービス
“こくみん共済”は、全国労働者共済生活協同組合連合会、通称「全労済」の主要なサービスの一つです。一般的な保険商品を提供している私企業とは異なり、全労済では、組合員たちがお互いの支えとなるためのシステム、それが「共済」と称されるものです。
ホームページや資料などで「こくみん共済」や「こくみん共済coop」、「全労済」という表記を見かけることがありますが、これらはすべて関連しています。具体的には、”全労済”の通称が「こくみん共済coop」で、彼らが提供する主要なサービスが「こくみん共済」というわけです。
しかし、似たような名称の「県民共済」や「コープ共済」と、こくみん共済はまったくの別物ですので、ご注意ください。
全労済の提供する主要な共済サービス
全労済の提供する主要なサービスには、私企業の生命保険や火災保険、自動車保険に対応する「生命共済(こくみん共済)」、「火災共済(住まいる共済)」、「自動車共済(マイカー共済)」といったものがあります。
全労済は、多岐にわたる保険サービスを提供しているので、あらゆるニーズに応えることができるでしょう。
こくみん共済とその注目すべき4つの利点
“こくみん共済”の魅力を簡潔に挙げると、以下の4つが挙げられます。
- 手頃な保険料
- 支払い超過分が「割戻金」として手元に戻るシステム
- シンプルかつ直感的な保障内容
- 既往症があっても、入会しやすい制度
特筆すべきは、その手頃な保険料です。総合保障タイプは、18歳から64歳までの方が月額900円からスタートすることができます。例えば、50歳未満の方が月3,600円(4口)での加入を選択した場合、主な保障内容は以下の通りとなります。
総合保障タイプ4口の保障内容:
死亡原因 | 死亡保障 | 入院日額 |
交通事故 | 2,400万円 | 10,000円 |
不慮の事故など | 1,600万円 | 6,000円 |
病気など | 800万円 | 4,000円 |
割戻金の存在により、実際の保険料負担はさらに軽減される点も大きな利点として挙げられます。
こくみん共済の注意すべき6つのポイント
こくみん共済には以下のようなデメリットが6つ存在します。
デメリット①組合員限定のサービス
最初のポイントは、こくみん共済が組合員専用のサービスであるという点です。
「組合員」とは、全労済の登録会員や関連する各地域や職場の生活協同組合のメンバーを指すものです。どの生活協同組合が対象となるのかは、全労済の公式サイトで確認することができます。
しかし、1,000円で10口以上の出資を行えば、各都道府県の生活協同組合のメンバーとして登録することが可能です。この手続きは、こくみん共済への加入と同時に進めることができます。
デメリット②比較的低い保障額
2つ目のポイントは、死亡や入院に際しての保障金額が比較的低めであるということです。
たとえば、死亡保障において、
- 総合保障タイプは最大1,200万円
- 定期生命プランは最大3,000万円
- 終身生命プランは最大2,000万
となっています。
定期生命プランの3,000万円が最も高い保障額ではありますが、家庭を持つ人にとってはもう少し高い保障を求める方もいるかもしれません。
定期生命プランに関しては、80歳まで5年または10年ごとの更新が可能ですが、年齢が上昇するにつれて更新する際の保険料も高くなります。具体的な保険料については、全労済の公式サイトでの確認を推奨します。
入院保障に関して、総合医療共済(終身医療プランや定期医療プラン)では、最大10,000円
デメリット③60歳を超えると一部保障が減少
総合保障タイプの一部の保障、例えば死亡や入院時の保障について、60歳を越えた際に保障額が縮小されることが、3つ目のデメリットとして挙げられます。特定の条件下、たとえば総合保障タイプに4口(保険料3,600円)での加入時、年齢に応じて変動する保障内容が存在します。
総合保障タイプ4口の年齢別詳細な保障内容:
死亡原因 | 死亡保障 | 入院日額 |
18~59歳 | 800万円 | 4,000円 |
60~65歳 | 200万円 | 3,000円 |
65~69歳 | 100万円 | 3,000円 |
70~79歳 | 100万円 | なし |
80~85歳 | 40万円 | なし |
一方、多くの民間の定期保険では、保険期間終了まで初回の死亡保障額や入院時の日額が維持されることが多いです。こくみん共済での保障を一生涯、変動なしに続けたいのであれば、終身生命プランと終身医療プランを組み合わせる方法もありますが、この選択には保険料の増額が伴います。
デメリット④特定の保障の調整が難しい
4つ目のデメリットは、特定の保障内容を自由に調整できないことです。総合保障タイプでは、加入する口数を選ぶことは可能ですが、特定の部分だけを強化するようなカスタマイズは認められていません。
総合医療共済のプランにおいても、「総合タイプ」「ベーシックタイプ」「三大疾病タイプ」「女性疾病タイプ」からの選択は許されていますが、細部の保障調整は難しいです。
個人のニーズに合わせて、柔軟に保障内容を選びたい方は、民間の生命保険を検討すると良いでしょう。
デメリット⑤保障内容の再調整が制限されている
5つ目のデメリットとして、一度設定した保障内容の再調整が困難であることが挙げられます。多くの民間の生命保険では、途中での特約追加や保障額の調整、払済保険への変更などが可能ですが、こくみん共済ではそのような柔軟な変更が難しいです。ただし、更新時に加入口数を変更する機会は提供されています。それにもかかわらず、細かい調整は難しいため、定期的に保障内容が適切かどうかを検証することをおすすめします。
デメリット⑥若者向けの料金設定が高め
最後の6つ目のデメリットは、特に若い世代にとって、総合保障タイプの保険料が比較的高めに設定されていることです。
一般的に、年齢が高いと健康リスクも増加するため、同等の保障内容でも若い世代の保険料は低く設定されることが一般的です。しかしながら、総合保障タイプでは18~59歳までの人々の保険料や保障内容は固定されているため、特に若い世代は他のオプションと比較して割高感があるかもしれません。
こくみん共済の価格設定について検討している若い方は、オンラインで提供されている生命保険との比較も考慮に入れると良いでしょう。また、他のプランに関しては年齢に応じた料金設定が行われているため、若い世代は比較的低価格での加入が可能です。
なぜこくみん共済が選ばれるのか?
前述の通り、こくみん共済にはいくつかのデメリットが挙げられます。しかし、それにも関わらず一部の方々にとっては大変魅力的な選択肢となっています。そういった方々とはどのような人々なのか、詳しくお話ししましょう。
コストを抑えた必要最低限の保障を希望する方
保険料をなるべく節約しつつ、でもしっかりとした保障を手に入れたいと願う方々に、こくみん共済は大いに魅力的です。
特に、死亡保障と入院保障を求めるならば、総合保障タイプが良い選択となります。また、一定の期間だけ死亡保障を確保したいという方は、定期生命プランがおすすめです。
そして、生涯にわたる入院保障を考えている方は、確かに定期医療プランよりも保険料は高めですが、終身医療プランの導入を考慮すると良いでしょう。具体的な保険料の例を見てみると、入院日額5,000円で先進医療特約を追加した場合:
- 20歳の時点:男性1,670円、女性1,690円
- 40歳の時点:男性2,700円、女性2,520円
- 60歳の時点:男性4,980円、女性4,370円
という形になります。
参考:こくみん共済coop<全労済>「終身医療保障タイプ(月払掛金表)」
既存の保険にさらなる保障を追加したい方
既に加入している保険にさらなる保障を足すことを検討している方々にとっても、こくみん共済は有益な選択です。
確かに、豊富な保障を求める方にはこくみん共済だけでは不十分かもしれません。しかし、他社の保険にすでに加入していて、特定の保障(例:死亡保障や入院保障)を追加したい場合、こくみん共済の追加加入が選択肢として挙がります。なぜなら、他の保険との組み合わせで、全体の保険料を抑えることが期待できるからです。
健康状態により、一般の生命保険への加入が難しい方
健康上の理由で一般的な生命保険の加入が難しいとされる方でも、こくみん共済ならばチャンスが広がるかもしれません。
特に注目すべきは、こくみん共済の「終身医療保障 引受基準緩和タイプ」です。このプランでは、一般的な健康チェックでのハードルが下がります。ただし、下記の3つの質問に全て「いいえ」と答えられる方限定となります。
- 現在、入院中、または近く入院・手術を受けることを医師に勧められていますか?
- 過去2年の間に、病気や怪我で7日以上の入院や手術の経験がありますか?
- 過去5年以内に、がんや肝硬変などの重篤な疾患の診断や治療を受けたことがありますか?
「引受基準緩和タイプ」を選択する際は、保険料が通常よりも高めであることや、加入初年度の保障が制限される点を頭に入れておくことが大切です。そして、他の生命保険の同様のプランと比較しながら、最適な選択をすることをおすすめします。
総評:こくみん共済の特長を理解し、リーズナブルな保険選びを
こくみん共済には、特定のポイントでのデメリットが挙げられることは事実です。具体的には、以下の6つの点が挙げられます。
- 組合員の資格が必要で、一般の方は直接加入できない。
- 他の保険に比べると保障の総額はやや控えめ。
- 60歳を超えると、保障の総額が減少する傾向にある。
- 保障の内容に柔軟性が少なく、カスタマイズが難しい。
- 保障の内容を再調整できない。
- 若い世代の方々にとって、保険料が高く感じる場合がある。
しかしながら、これらのデメリットを差し引いても、こくみん共済の保険料のリーズナブルさは見逃せない魅力となっています。コストを重視し、必要な保障を効率的に手に入れたい方や、すでに持っている保険の上にさらに保障を増やしたいと考える方に、特におすすめの選択肢と言えるでしょう。