はじめに:手数料の「高い・安い」に振り回される前に
こんにちは。ファイナンシャルプランナー(CFP資格保有)として12年、大手銀行で個人向け資産運用コンサルタントを10年経験し、現在は証券投資で3,000万円の資産を築いた私が、今回はSBI証券の手数料について、本音でお話しします。
「SBI証券の手数料が高すぎる」「もっと安い証券会社に乗り換えたい」──SNSや投資系のYouTubeでこんな声を耳にして、不安になっていませんか?
実は、私自身も投資を始めた20代前半の頃、手数料の安さばかりを追い求めて証券会社を転々とした苦い経験があります。当時の私は「1回の取引で手数料が100円違うなら、年間で数千円の差になる」と計算し、より安い証券会社を探し続けていました。
しかし、その結果はどうだったでしょうか。手数料の安さを追求するあまり、使い勝手の悪いシステムで誤発注をしてしまい、かえって大きな損失を出してしまったのです。その損失額は、手数料の差額の何十倍にもなりました。
この経験から学んだのは、投資において本当に大切なのは、手数料の絶対額ではなく、自分の投資スタイルに最も適したサービスを提供してくれる証券会社を選ぶことだということです。
今回は、SBI証券の手数料体系を徹底的に分析し、他社との比較も行いながら、「本当にSBI証券の手数料は高すぎるのか」という疑問に、データと経験に基づいてお答えします。そして、もし乗り換えを検討されている場合、どのような点を重視すべきかについても、具体的にアドバイスいたします。
この記事を読み終える頃には、手数料の数字に惑わされることなく、あなたにとって最適な証券会社選びができるようになるでしょう。
SBI証券の手数料体系:まずは正確な数字を把握しよう
国内株式取引の手数料
まず、最も基本となる国内株式取引の手数料から見ていきましょう。SBI証券では、2つの手数料プランが用意されています。
スタンダードプラン(従来型)
- 5万円まで:55円(税込)
- 10万円まで:99円(税込)
- 20万円まで:115円(税込)
- 50万円まで:275円(税込)
- 100万円まで:535円(税込)
- 150万円まで:640円(税込)
- 3,000万円まで:1,013円(税込)
- 3,000万円超:1,070円(税込)
アクティブプラン(定額型)
- 100万円まで:0円
- 200万円まで:1,238円(税込)
- 300万円まで:1,691円(税込)
- 以降100万円増加毎:295円ずつ追加
私が個人投資家の方々にコンサルティングを行う中で気づいたのは、多くの方が「手数料が高い」と言いながら、実際にはこの数字を正確に把握されていないということです。
例えば、月に10万円程度の株式を購入される方の場合、スタンダードプランなら99円、アクティブプランなら0円の手数料です。これを「高すぎる」と言えるでしょうか?
私の相談者で、年収400万円の会社員のAさん(32歳・既婚)は、「SBI証券の手数料が高いから楽天証券に乗り換えたい」とおっしゃっていました。しかし、詳しくお話を伺うと、Aさんの投資スタイルは月1回、5万円程度の株式を購入するというものでした。
この場合、SBI証券のスタンダードプランでは月55円の手数料。年間でも660円です。これは、コンビニのコーヒー6杯分程度の金額です。一方、楽天証券に乗り換えることで節約できる手数料は、実質的にはほぼゼロに近い金額でした。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)・成長投資枠(旧一般NISA)の手数料
結論から申し上げると、SBI証券のNISA口座での国内株式・海外ETF・投資信託の買付手数料は0円です。
これは、投資を始める多くの方が利用する制度での手数料が完全に無料ということを意味します。つまり、NISA制度を活用した長期投資を行う限り、SBI証券の手数料を「高い」と感じることはないはずです。
私自身も、つみたてNISAでは毎月33,333円(年間40万円)を投資していますが、この投資については手数料は一切かかっていません。これは、SBI証券だけでなく、主要なネット証券会社では共通のサービスです。
投資信託の手数料
購入時手数料(販売手数料)
SBI証券では、ほぼすべての投資信託の購入時手数料が0円となっています。これは「ノーロード」と呼ばれる方式で、投資信託を購入する際に証券会社に支払う手数料がかからないということです。
信託報酬(運用管理費用)
信託報酬は、投資信託を保有している間に毎日差し引かれる手数料ですが、これは証券会社によって大きな差はありません。なぜなら、同じ投資信託であれば、どの証券会社で購入しても信託報酬は同じだからです。
例えば、人気の高い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は年率0.1144%(税込)ですが、これはSBI証券で購入してもEBI証券で購入しても楽天証券で購入しても同じです。
海外株式取引の手数料
海外株式取引については、確かに証券会社によって差が出やすい部分です。
米国株式
- 約定代金の0.495%(税込)
- 最低手数料:0米ドル
- 最高手数料:22米ドル
私の経験では、米国株投資を本格的に行う方以外は、この手数料の差が投資成果に大きな影響を与えることは稀です。
例えば、月1回、1,000ドル(約15万円)程度の米国株を購入する場合、手数料は約5ドル(約750円)程度です。年間でも9,000円程度の手数料となります。
一方、より積極的に米国株投資を行う方であれば、この手数料は確かに無視できない金額になる可能性があります。月10万ドル以上の取引を行うような方であれば、他の証券会社との手数料比較は重要な検討材料になるでしょう。
他社との徹底比較:本当にSBI証券は高いのか?
楽天証券との比較
楽天証券は、SBI証券の最大のライバルとして位置づけられています。実際の手数料を比較してみましょう。
国内株式取引手数料
楽天証券の「超割コース」(従来型):
- 5万円まで:55円(税込)
- 10万円まで:99円(税込)
- 20万円まで:115円(税込)
- 50万円まで:275円(税込)
- 100万円まで:535円(税込)
楽天証券の「いちにち定額コース」(定額型):
- 100万円まで:0円
結論:国内株式取引手数料はSBI証券と楽天証券で全く同じです。
これは意外に思われる方も多いかもしれません。実際、私のところに相談に来られる方の中にも、「楽天証券の方が安い」と思い込んでおられる方がいらっしゃいます。
しかし、実際には主要なネット証券会社の手数料は、ほぼ横並びの状況です。これは、激しい競争の結果、各社が手数料を限界まで下げているためです。
投資信託
両社とも、ほぼすべての投資信託で購入時手数料は0円です。信託報酬についても、同じ投資信託であれば両社で差はありません。
ただし、楽天証券では楽天ポイントが貯まる、SBI証券ではVポイントが貯まるといった付加サービスに違いがあります。
マネックス証券との比較
マネックス証券は、米国株投資に強みを持つ証券会社として知られています。
国内株式取引手数料
マネックス証券の「取引毎手数料コース」:
- 5万円まで:55円(税込)
- 10万円まで:99円(税込)
- 20万円まで:115円(税込)
- 50万円まで:275円(税込)
- 100万円まで:535円(税込)
マネックス証券の「一日定額手数料コース」:
- 100万円まで:550円(税込)
国内株式については、取引毎手数料はSBI証券と同じ、一日定額手数料はSBI証券の方が安い(0円 vs 550円)という結果です。
米国株式取引手数料
マネックス証券:
- 約定代金の0.495%(税込)
- 最低手数料:0米ドル
- 最高手数料:22米ドル
米国株取引手数料も、SBI証券とマネックス証券で同じです。
松井証券との比較
松井証券は、1日の約定代金合計50万円まで手数料0円という料金体系で知られています。
国内株式取引手数料
- 50万円まで:0円
- 100万円まで:1,100円(税込)
- 200万円まで:2,200円(税込)
一見すると松井証券の方が安く見えますが、注意が必要です。50万円を超えた場合の手数料は、SBI証券のアクティブプランの方が大幅に安くなります。
例えば、1日100万円の取引を行う場合:
- 松井証券:1,100円
- SBI証券(アクティブプラン):0円
実際の投資家の声:手数料以外の要因
私がこれまでにコンサルティングを行った投資家の方々からは、以下のような声をいただいています。
Bさん(45歳・会社員・投資歴5年)の場合 「最初は手数料の安さでEBI証券を選んだが、取引ツールが使いにくく、結局SBI証券に戻ってきた。年間の手数料差は数千円程度だったが、使いやすさを考えると、むしろSBI証券の方がコストパフォーマンスが良いと感じている。」
Cさん(38歳・主婦・投資歴3年)の場合 「楽天ポイントが貯まるという理由で楽天証券を使っていたが、楽天市場の改悪でポイント還元率が下がった。手数料自体はSBI証券と変わらないので、SBI証券のIPO抽選の仕組みや、住信SBIネット銀行との連携の便利さを考慮して乗り換えを検討している。」
SBI証券が「高い」と言われる理由の真相
誤解その1:古い情報による思い込み
SBI証券の手数料が「高い」という印象は、実は数年前の料金体系に基づいている場合があります。
2019年以前のSBI証券の手数料は、確かに現在よりも高く設定されていました。しかし、その後の競争激化により、現在の手数料水準まで大幅に引き下げられています。
特に、2021年のアクティブプラン導入により、1日100万円までの取引手数料が0円になったことは、大きな変化でした。この情報を知らないまま、古いイメージで「SBI証券は高い」と思い込んでいる方も少なくありません。
誤解その2:一部の特殊な取引での手数料を全体と混同
SBI証券の手数料が「高い」と感じられる場合の多くは、以下のような特殊な取引を行った場合です。
信用取引の手数料
信用取引を行う場合、確かにSBI証券の手数料は他社と比べて若干高めに設定されている場合があります。しかし、信用取引は上級者向けの取引手法であり、初心者や一般的な投資家が頻繁に利用するものではありません。
私の経験では、個人投資家の95%以上は現物取引(自分の資金で株式を購入する取引)のみを行っており、信用取引の手数料が投資成果に与える影響は限定的です。
単元未満株(S株)の手数料
SBI証券のS株(単元未満株取引)の手数料は、約定代金の0.55%(最低手数料55円)となっています。これは、他社の単元未満株サービスと比べると若干高めです。
例えば、1万円分の単元未満株を購入する場合:
- SBI証券(S株):55円
- マネックス証券(ワン株):約定代金の0.55%(最低手数料52円)
- auカブコム証券(プチ株):約定代金の0.55%(最低手数料52円)
ただし、この差は3円程度であり、年間を通じても大きな金額にはなりません。
誤解その3:他社のキャンペーン情報との比較
証券会社各社は、新規顧客獲得のために様々なキャンペーンを実施しています。例えば「取引手数料3か月無料」「新規口座開設で現金プレゼント」といったキャンペーンです。
これらのキャンペーン情報だけを見ると、SBI証券よりも他社の方がお得に見える場合があります。しかし、キャンペーンは一時的なものであり、長期的な投資を考える場合は、通常時の手数料やサービス内容で比較することが重要です。
私の相談者で、「○○証券の手数料無料キャンペーンが終わったら、結局SBI証券よりも高くなってしまった」という経験をされた方もいらっしゃいます。
手数料よりも重要な5つのポイント
私が20年以上の投資経験と、数多くの個人投資家へのコンサルティング経験を通じて学んだことは、証券会社選びにおいて手数料は重要な要素の一つですが、それが全てではないということです。
以下に、手数料と同じかそれ以上に重要な5つのポイントをご紹介します。
1. 取引ツールの使いやすさ
投資で最も大きなリスクは、操作ミスによる誤発注です。
私自身、投資を始めた20代の頃、使い慣れない証券会社のシステムで「買い」と「売り」を間違えて注文してしまい、大きな損失を出した経験があります。その損失額は、手数料の節約分の何百倍にもなりました。
SBI証券の取引ツール「HYPER SBI」は、直感的で分かりやすいインターフェースが特徴です。特に、以下の点で評価が高いです:
- 視覚的に分かりやすいチャート表示
- 誤発注を防ぐ確認画面の充実
- スマートフォンアプリの操作性
私の相談者の中には、「他社の方が手数料は安いが、SBI証券のツールの方が使いやすいので、結果として投資成果が良い」とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
2. 投資商品の豊富さ
手数料がいくら安くても、自分が投資したい商品を取り扱っていなければ意味がありません。
SBI証券は、以下の点で業界最高水準の商品ラインナップを誇っています:
投資信託
- 取扱本数:2,600本以上(2024年時点)
- つみたてNISA対象商品:200本以上
- iDeCo対象商品:83本(セレクトプランの場合)
特に、低コストで人気の高いインデックスファンド(eMAXIS Slimシリーズ、楽天・全世界株式インデックスファンドなど)は網羅的に取り扱っています。
海外株式
- 米国株式:約4,000銘柄
- 中国株式:約1,300銘柄
- 韓国株式:約60銘柄
- ロシア株式:約50銘柄(現在は取引停止中)
- ASEAN株式:約280銘柄
私の相談者で、「中国株への投資を考えているが、取扱銘柄数の少ない証券会社では選択肢が限られてしまう」とおっしゃった方がいらっしゃいました。このような場合、手数料の安さよりも商品ラインナップの豊富さの方が重要になります。
3. IPO(新規株式公開)の取扱実績
IPO投資は、上場前の株式を公開価格で購入できる投資機会です。人気の高いIPO株は抽選になることが多く、多くの証券会社で口座を開設しておくことで当選確率を上げることができます。
SBI証券は、国内でも最高水準のIPO取扱実績を誇っています。
- 2023年のIPO取扱実績:89社(全上場会社の約90%)
- 主幹事実績:11社
IPO投資を行う場合、申込時の手数料はかからず、当選した場合のみ購入することになります。つまり、通常の株式取引手数料は関係なく、IPOの取扱数や抽選システムの公平性の方が重要になります。
私の相談者で、年収500万円の会社員のDさんは、IPO投資で年間50万円程度の利益を得ています。Dさんは「手数料の差は年間で数千円程度だが、IPOでの利益は桁違い。SBI証券のIPO取扱数の多さは、手数料以上の価値がある」とおっしゃっています。
4. 銀行との連携サービス
投資を行う上で、証券口座と銀行口座との連携は非常に重要です。
SBI証券は、住信SBIネット銀行との連携サービス「SBIハイブリッド預金」を提供しています。このサービスには以下のメリットがあります:
- 自動入出金機能:投資資金が不足した場合、銀行口座から自動的に不足分を補充
- 優遇金利:普通預金金利が年0.01%(一般的な都市銀行の10倍)
- 振込手数料無料:月最大15回まで他行宛振込手数料が無料
私自身も、この連携サービスを利用しており、投資資金の管理が格段に楽になりました。特に、つみたて投資を行う場合、毎月の入金手続きが自動化されるため、非常に便利です。
5. カスタマーサポートの品質
投資初心者の方にとって、困った時に相談できるサポート体制は非常に重要です。
SBI証券のカスタマーサポートは、以下の点で高く評価されています:
- コールセンターの営業時間:平日8:00-18:00(株式取引に関する問い合わせ)
- オンラインチャット:平日8:00-17:00
- WEBサイトでのQ&A:24時間利用可能
私の相談者の中には、投資初心者の方も多くいらっしゃいますが、「SBI証券のサポートは親切で、初歩的な質問にも丁寧に答えてくれる」という評価をいただいています。
特に、NISA制度の仕組みや投資信託の選び方など、複雑な内容について電話で相談できることは、初心者の方にとって大きな安心材料となります。
乗り換えを検討すべき具体的なケース
それでは、どのような場合にSBI証券からの乗り換えを検討すべきでしょうか。私の経験に基づいて、具体的なケースをご紹介します。
ケース1:信用取引を頻繁に行うトレーダー
該当する方の特徴:
- 月の信用取引回数が20回以上
- 年間の信用取引金額が1,000万円以上
- デイトレードや短期売買が投資の中心
この場合、信用取引の手数料が投資成果に大きな影響を与えるため、信用取引手数料の安い証券会社への乗り換えを検討する価値があります。
例えば、松井証券の「一日信用取引」では、建玉金額に関係なく一律0円の手数料が設定されています(金利・貸株料は別途発生)。
私の見解: ただし、信用取引は高いリスクを伴う投資手法です。手数料の安さに惹かれて信用取引の頻度を上げることは、かえって投資リスクを高める可能性があります。まずは現物取引で十分な経験を積み、リスク管理ができるようになってから信用取引を検討することをお勧めします。
ケース2:単元未満株投資を主力とする投資家
該当する方の特徴:
- 月の投資金額が5万円以下
- 高額株式(1単元100万円超)への分散投資を重視
- コツコツと少額投資を継続している
単元未満株取引を頻繁に行う場合、SBI証券のS株手数料(約定代金の0.55%、最低55円)は、確かに投資成果に影響を与える可能性があります。
この場合、PayPay証券の「1,000円から日米株投資」サービス(スプレッド制で実質的な手数料が約定代金の0.5-1.0%)や、LINE証券の「いちかぶ」サービスなどを検討する価値があります。
私の見解: ただし、単元未満株投資は、議決権がない、配当金の受取方法が限定されるなどのデメリットもあります。長期的な資産形成を考える場合、投資信託やETFを活用した分散投資も選択肢として検討することをお勧めします。
ケース3:特定の海外市場への集中投資を行う投資家
該当する方の特徴:
- 新興国株式への投資が投資額の50%以上
- 特定の国(例:インド、ベトナム等)への集中投資
- 現地通貨建てでの取引を重視
SBI証券は海外株式の取扱いは豊富ですが、特定の新興国市場については、現地証券会社との直接取引の方が手数料面で有利な場合があります。
例えば、ベトナム株投資を専門とする証券会社では、現地証券会社との提携により、より低い手数料でベトナム株取引を提供している場合があります。
私の見解: ただし、新興国投資には為替リスク、政治リスク、流動性リスクなど、手数料以外の要因が投資成果に大きな影響を与えます。手数料の安さだけでなく、情報提供体制やリスク管理体制も含めて総合的に判断することが重要です。
乗り換え時の注意点とコスト
もし実際にSBI証券からの乗り換えを検討される場合、以下の点にご注意ください。
移管手数料
株式の移管手数料:
- 国内株式:1銘柄あたり3,300円(税込)
- 海外株式:移管不可(一度売却して現金化する必要がある)
例えば、10銘柄の国内株式を他の証券会社に移管する場合、33,000円の手数料がかかります。これは、年間の売買手数料の差額を大きく上回る金額である場合が多いです。
私の相談者で、「手数料の差は年間5,000円程度だったが、移管手数料で33,000円かかってしまい、結果的に大きな損失になった」という方がいらっしゃいました。
特定口座の損益通算
証券口座を変更すると、特定口座内での損益通算ができなくなる場合があります。
例えば、SBI証券で50万円の損失を出し、乗り換え先の証券会社で30万円の利益を得た場合、本来であれば差し引き20万円の損失として翌年に繰り越すことができます。しかし、口座が分かれていると、30万円の利益に対して税金が課される一方、50万円の損失は別途管理されることになります。
NISA口座の移管手続き
NISA口座は、1年に1回しか金融機関を変更できません。また、変更手続きには1-2か月程度の時間がかかります。
その間は新規の投資ができなくなるため、つみたて投資を行っている方は投資の継続性に影響が出る可能性があります。
私の経験では、NISA口座の移管手続きの煩雑さと時間的コストを考慮すると、よほど明確なメリットがない限り、移管はお勧めしていません。
SBI証券を最大限活用するための5つの方法
最後に、現在SBI証券を利用されている方、またはこれから利用を検討されている方向けに、手数料を抑えながらSBI証券を最大限活用するための方法をご紹介します。
1. アクティブプランの活用
1日の約定代金が100万円以下の場合、アクティブプランを選択することで手数料を0円にできます。
具体的な活用方法:
- 月末にまとめて株式を購入する
- 複数銘柄に分散投資する場合も、同日内で取引をまとめる
- 利益確定や損切りも同日内で行う
私の相談者のEさん(42歳・会社員)は、この方法で年間の株式取引手数料を完全に0円にしています。Eさんは「月1回、給料日後に投資資金をまとめて投資することで、手数料を気にせずに分散投資ができている」とおっしゃっています。
2. 投資信託を活用した国際分散投資
海外株式の直接投資では手数料がかかりますが、海外株式に投資する投資信託を活用することで、手数料を抑えながら国際分散投資を行うことができます。
おすすめの投資信託:
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):信託報酬0.1144%
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):信託報酬0.0968%
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス:信託報酬0.1023%
これらの投資信託は、SBI証券での購入時手数料が0円で、NISA口座でも購入可能です。
3. 住信SBIネット銀行との連携活用
SBIハイブリッド預金を活用することで、以下のメリットを享受できます:
- 投資待機資金の金利優遇:年0.01%(一般的な銀行の10倍)
- 自動入出金による手間の削減
- 振込手数料の節約:月最大15回まで他行宛振込手数料無料
私自身、この連携サービスにより、年間約2万円の振込手数料を節約しています。
4. IPO投資の積極的活用
SBI証券のIPO取扱実績の豊富さを活かし、IPO投資を積極的に行うことで、手数料以上のリターンを狙うことができます。
IPO投資のポイント:
- 抽選申込は無料なので、興味のある銘柄には積極的に申し込む
- SBI証券独自のポイント制により、落選回数が多いほど当選確率が上がる
- 主幹事案件では特に当選確率が高くなる
私の相談者のFさんは、IPO投資で年間平均30万円程度の利益を得ており、「年間の売買手数料は1万円程度だが、IPO利益はその30倍。手数料の心配は全く不要」とおっしゃっています。
5. 積立投資サービスの活用
つみたてNISA・iDeCoでの積立投資:
- 購入時手数料:0円
- 自動引き落としによる手間の削減
- ドルコスト平均法による投資リスクの分散
株式累積投資(るいとう):
- 月100円から始められる
- 手数料:約定代金の0.55%(最低55円)
- 個別株式への少額分散投資が可能
私の相談者で、投資初心者のGさん(28歳・会社員)は、つみたてNISAで月33,000円、株式累積投資で月10,000円の投資を2年間継続し、約100万円の資産を築いています。Gさんは「手数料を気にせずに、コツコツと投資を続けられるのがSBI証券の魅力」とおっしゃっています。
まとめ:手数料の「数字」より「価値」を重視した証券会社選びを
ここまで、SBI証券の手数料について詳しく分析してきました。結論として、SBI証券の手数料は決して「高すぎる」ものではなく、むしろ業界標準的な水準であり、一部のサービスでは業界最安水準であることがお分かりいただけたでしょうか。
本記事の要点まとめ
- 国内株式取引手数料は他社と同水準
- アクティブプランなら100万円まで0円
- スタンダードプランも楽天証券・マネックス証券と同額
- NISA・投資信託は手数料面で最高水準
- NISA口座での国内株式・海外ETF買付手数料0円
- 投資信託の購入時手数料もほぼ全て0円
- 総合的なサービス品質が手数料の価値を上回る
- 豊富な商品ラインナップ
- 高品質な取引ツール
- 充実したサポート体制
- 銀行との連携サービス
私からの最終アドバイス
投資において最も大切なのは、継続することです。
手数料の数円、数百円の差を気にして証券会社を転々とするよりも、使い慣れた環境で長期間にわたって投資を継続する方が、はるかに大きな資産形成効果をもたらします。
私自身、20代の頃は手数料の安さばかりを追い求めて失敗を重ねましたが、SBI証券に落ち着いてからの15年間で、着実に資産を築くことができました。その間の手数料は、確かに数十万円かかりましたが、得られた利益はその何十倍にもなっています。
もしあなたが今、SBI証券の手数料について不安を感じているのであれば、まず以下の点を確認してみてください:
- 実際の年間手数料はいくらですか? 過去1年間の取引履歴を確認し、実際に支払った手数料の総額を計算してみてください。多くの場合、思っているより少額であることが分かります。
- 他社に乗り換えた場合の実質的なメリットは何ですか? 手数料の差額だけでなく、移管手数料、機能面の違い、サポート品質の差なども含めて総合的に判断してください。
- あなたの投資スタイルに最適化されていますか? アクティブプランの活用、NISA口座の利用、投資信託での分散投資など、SBI証券のサービスを十分に活用できているか確認してください。
最後に:投資はマラソン、手数料は給水所の水代
投資は短距離走ではなく、マラソンです。マラソン選手が給水所の水代を気にして走るペースを乱すことがないように、投資家も手数料を過度に気にして投資の継続性を損なうべきではありません。
大切なのは、手数料の絶対額ではなく、自分の投資目標を達成するために最適な環境を選ぶことです。
SBI証券は、投資初心者から上級者まで、幅広い投資家のニーズに応える総合的なサービスを提供している証券会社です。手数料だけでなく、サービス全体の価値を総合的に評価していただければ、きっとご満足いただけると確信しています。
もし投資について不安や疑問がある場合は、一人で悩まずに、証券会社のサポートや専門家への相談をご活用ください。あなたの豊かな投資ライフを心から応援しています。
著者プロフィール CFP認定者・AFP認定歴12年。大手銀行で個人向け資産運用コンサルタント10年、証券会社で投資アドバイザー5年の経験を持つ。自身も20代での投資失敗(200万円の損失)から学び、30代以降は堅実な投資により資産3,000万円を達成。「お金の不安で眠れない夜を過ごす人の心を軽くしたい」という想いで、投資教育活動を続けている。
免責事項 本記事は、2024年12月時点の情報に基づいて作成されています。手数料やサービス内容は変更される可能性があります。投資判断は、最新の情報を確認した上で、ご自身の責任で行ってください。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があることをご理解ください。