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CORE CONCEPT TECHNOLOGIES INC. 2025年12月期 第2四半期決算分析:転換期における利益構造の深掘りと成長シナリオの再評価

1. エグゼクティブ・サマリー(結論ファースト)

投資スタンス:中立、確信度:65%

コアコンセプト・テクノロジー(以下、CCT)の2025年第2四半期決算は、売上高がほぼ計画通り、営業利益が計画を上回る堅調な内容でした 。しかし、その内訳を深く掘り下げると、成長の牽引役がDX支援からIT人材調達支援へと移行しており、DX支援の受注活動が伸び悩んでいるという構造的な課題が見て取れます 。経営計画で掲げた「事業立て直し」の初期段階として、収益性の安定化は評価できますが、DX事業の成長鈍化という懸念が払拭されない限り、市場の評価は限定的となるでしょう。

3行サマリー:

  • 何が起きたのか: 第2四半期は売上・利益ともに計画を上回り、特にIT人材調達支援が好調に推移しました 。
  • なぜそれが重要なのか: DX支援の成長が横ばいとなる中、高収益なDX事業の利益率改善と、労働集約的なIT人材調達支援の効率化が、今後の成長ドライバーを決定づけるためです 。
  • 次に何を見るべきか: 組織改編によるDX支援の新規受注件数と、IT人材調達支援におけるマッチング効率改善の進捗を注視する必要があります 。

主要カタリストとリスク:

  • 主要カタリスト
    1. DX支援事業の新規受注件数のV字回復: 組織改編と営業活動量の増加が奏功し、高単価なDX支援案件の受注が加速すれば、市場の成長期待が再燃する可能性があります 。
    2. IT人材調達支援におけるマッチング効率の劇的な改善: 「Ohgi」プラットフォームの機能強化によるマッチング効率の向上は、労働生産性を高め、利益率を押し上げる重要な要因です 。
    3. DX市場におけるプレゼンスの確立: 特定の産業(製造、建設、物流)に特化したソリューション「Orizuru」の事例がさらに増え、CCTのブランド力が向上すれば、新規顧客獲得のコストが低下し、事業が加速します 。
  • 主要リスク
    1. DX支援事業の需要鈍化: 顧客のIT投資意欲が予想以上に冷え込んだ場合、高単価なDX支援事業の成長がさらに鈍化し、収益性の低下につながる可能性があります 。
    2. IT人材調達支援事業における外注費率の悪化: ITエンジニアの需給逼迫により外注単価が上昇し続けると、IT人材調達支援事業の利益率が圧迫される可能性があります 。
    3. 競争激化による価格圧力: DX市場への新規参入が増え、価格競争が激化した場合、CCTの強みである高い粗利率が維持できなくなるリスクがあります。

2. 事業概要とビジネスモデルの深掘り

CCTは、

DX支援事業IT人材調達支援事業という2つの事業を柱としています

  • DX支援事業: 顧客企業、特に製造業、建設業、物流業のエンドユーザーに対して、デジタル変革を直接支援する事業です 。収益モデルは「人月単価の積み上げ」であり、AIや3D処理技術に強みを持つ自社開発基盤「Orizuru」と、独自のプロジェクト推進手法「CCT-DX Method」を活用しています 。この事業の強みは、エンドユーザーから直接請け負うことによる高収益性と、長年にわたる特定の産業に対する深い知見に基づく高い参入障壁です 。顧客企業との長期的な関係構築により、既存顧客からの売上高が全体の約90%を占めるという、強力なスイッチングコストを生み出しています 。
  • IT人材調達支援事業: 大手SIerなどを主要顧客とし、ITプロジェクトに必要な人材を調達し、提供する事業です 。収益モデルは、IT人材の単価と、パートナー企業(BP)への外注単価の差額(中間マージン)を粗利とするものです 。この事業の強みは、約5,900社、14万人規模のIT人材データベース「Ohgi」による迅速な人材マッチング能力です 。これにより、IT人材の需給が逼迫している市場環境においても、顧客のニーズに迅速に応えることができます 。一方で、収益は外注単価に依存するため、DX支援事業に比べて利益率が低いという構造的な脆弱性を抱えています 。

CCTのビジネスモデルの独自性は、この2つの事業をシナジーとして機能させている点にあります。DX支援で高収益な直請け案件を獲得し、そこで培ったノウハウやブランド力を活かしてIT人材調達支援の案件も獲得する。また、DX支援プロジェクトの汎用的な業務には、IT人材調達支援の「Ohgi」ネットワークから人材を供給することで、コスト効率を高めています 。これは、DX支援という「コンサルティング・開発」と、IT人材調達という「リソース提供」を一体化させることで、顧客の内製化後も収益機会を確保できるというユニークなモデルです

競争環境 DX支援市場は、大手コンサルティングファームからSaaSベンダー、そして同業の中小SIerまで、多岐にわたるプレイヤーがひしめくレッドオーシャンです。CCTの優位性は、特定の産業に特化した深い業務知見と、それを「Orizuru」という自社プロダクトに昇華させている点にあります 。これにより、単なる「人出し」ではなく、顧客の課題を深く理解した上での「ソリューション提供」が可能となっています。一方で、大手コンサルティングファームと比較すると、大規模案件におけるブランド力や組織力では劣る可能性があります。IT人材調達支援市場では、多くのマッチングプラットフォームが存在しますが、CCTは「Ohgi」を通じて、フリーランスだけでなく、中小IT企業の社員という形で組織的なリソースを動員できる点が差別化要因です


3. 業績ハイライトと徹底的な財務分析

P/L分析

項目2025年Q2(累計)2024年Q2(累計)前年同期比(YoY)通期予想(計画)進捗率
売上高10,168百万円 9,164百万円 +10.9% 21,800百万円 46.6%
営業利益1,073百万円 1,042百万円 +3.0% 2,300百万円 46.7%
経常利益1,074百万円 1,051百万円 +2.2% 2,307百万円 46.6%
四半期純利益762百万円 735百万円 +3.6% 1,576百万円 48.3%

営業利益のブリッジ分析 2024年Q2の営業利益1,042百万円から、2025年Q2の1,073百万円への変動要因は、以下の通り分解できます:

  • 売上高の増加による利益増: +1,003百万円
  • 外注費の増加による利益減: △354百万円
  • 人件費の増加による利益減: △418百万円
  • 採用費の増加による利益減: △15百万円
  • その他の費用増加による利益減: △184百万円
  • 結果: +30百万円

この分析から、CCTの増益は主に売上高の増加に牽引されているものの、それを上回る規模で

人件費(新卒採用の影響)と外注費が利益を圧迫していることが分かります 。これは、成長投資が利益を食いつぶす「先行投資フェーズ」にあることを示唆しています。特に人件費の増加は、新卒採用に伴う研修期間中の費用増加が影響しており、これらは7月以降に原価として計上されるため、今後の利益構造にどのように影響するかが焦点となります

収益性の深掘り 売上総利益率は前年同期の11.4%から10.6%へと0.8ポイント低下しています 。これは主に、販管費の増加によるものです 。しかし、事業セグメント別に見ると、DX支援の粗利率は39.0%(YoY +0.1pt)と堅調に推移している一方、IT人材調達支援の粗利率は17.0%(YoY △0.4pt)と微減しています 。このIT人材調達支援の粗利率の微減は、市場全体でのIT人材単価の上昇圧力が影響していると推察されます 。CCTは「Ohgi」の活用でこれを緩和するとしていますが、引き続き注視が必要です

B/S分析

総資産は前連結会計年度末からわずかに減少しており、7,966百万円となりました 。これは、主に受取手形・売掛金・契約資産が347百万円減少したことによるものです 。負債合計は810百万円減少しており、その大部分は短期借入金の730百万円の返済によるものです 。これにより、自己資本比率は前年度末の52.4%から62.3%へと大幅に向上しており、財務の健全性が大きく改善していることが分かります

運転資本の分析 CCTのビジネスモデルにおいて、運転資本の効率性は重要な指標です。残念ながら、決算資料にはDSO、DIO、DPOを算出するための詳細な数値(売上原価など)が四半期単位で明示されていません。しかし、連結損益計算書から売上高、売上債権の増減額、仕入債務の増減額は確認できるため、これらの増減からキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の変化を推察することは可能です

  • 売上債権回転日数(DSO): 売上債権(受取手形、売掛金、契約資産)が347百万円減少している一方、売上高は増加しています 。これは、売上債権の回収効率が改善していることを示唆しており、DSOは短縮傾向にあると考えられます。これは、キャッシュフローの改善に大きく寄与するポジティブな兆候です 。
  • 棚卸資産回転日数(DIO): 報告書に「仕掛品」の増減は記載されていますが、事業の性質上、製造業のような大規模な在庫は持たないため、DIOは極めて短いと推察されます 。
  • 仕入債務回転日数(DPO): 負債の項目で「未払金」が減少していることから、仕入債務の支払いが前連結会計年度末よりも速やかに行われた可能性があります 。

総じて、CCTは売上債権の回収を加速させることで、CCCを短縮し、キャッシュフローを改善させていると評価できます 。これは、健全な事業運営と高い財務規律を示しており、評価に値します。

キャッシュフロー(C/F)分析

営業活動によるキャッシュフローは1,142百万円と、前年同期の150百万円から大幅に増加しました 。これは、税金等調整前純利益の増加に加え、売上債権の減少が主因です 。投資活動によるキャッシュフローは、有形・無形固定資産の取得による支出などにより、71百万円のマイナスとなりましたが、前年同期の780百万円のマイナスから大幅に改善しています 。これは、M&Aに伴う子会社株式の取得が当期は減少したためです 。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の返済により732百万円のマイナスとなっています 。全体として、

営業活動で稼いだキャッシュを、借入金の返済に充てるという、極めて健全な財務活動が行われていることがわかります。

資本効率性の評価

  • ROE(自己資本利益率): 2025年Q2の親会社株主に帰属する中間純利益は762百万円、純資産合計は4,962百万円でした 。年率換算すると、ROEは30.8%となり、中期経営計画で掲げた「30%以上」という目標を既に達成しています 。
  • ROEのデュポン分解:
    • 純利益率(純利益/売上高):762百万円 / 10,168百万円 = 7.5%
    • 総資産回転率(売上高/総資産):10,168百万円 / 7,966百万円 = 1.28回転
    • 財務レバレッジ(総資産/純資産):7,966百万円 / 4,962百万円 = 1.60倍
    • ROE = 7.5% × 1.28 × 1.60 = 15.4% (※2Q累計ベースの簡易計算)

純利益率は堅調に推移しており、総資産回転率も健全な水準です。財務レバレッジも無理のない範囲に抑えられています。

  • ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト):
    • ROIC = EBIT(営業利益) × (1 – 実効税率) / 投下資本
    • EBITは1,073百万円 。実効税率は約30%と仮定します。投下資本は、有利子負債(短期借入金100百万円 + 長期借入金36百万円 + 社債20百万円 = 156百万円)と純資産(4,962百万円)の合計で5,118百万円です 。
    • ROIC = 1,073百万円 × (1 – 0.3) / 5,118百万円 = 14.7% (※2Q累計ベースの簡易計算)

CCTの資本コストを算出するためには、株価、β値、市場リスクプレミアムなど多くの仮定が必要です。しかし、一般的にCCTのような成長企業の場合、WACCは4%〜7%程度と推察されます。CCTのROIC(14.7%)は、このWACCを大きく上回っており、CCTは投下資本に対して、十分に企業価値を創造していると評価できます。これは、同社が今後も持続的な成長を続けるための重要な基盤となります。


4. 【核心】セグメント情報の徹底解剖

CCTはDX関連事業の単一セグメントであるため、事業区分別の実績を掘り下げて分析します

事業区分2025年Q2(累計)売上高前年同期比(YoY)QoQ売上高(Q2)QoQ増減
DX支援4,788百万円 +11.6% 2,391百万円 -6百万円
IT人材調達支援5,379百万円 +10.3% 2,737百万円 +94百万円
合計10,168百万円 +10.9% 5,128百万円 +89百万円

このデータから、DX支援の売上高はQoQ(四半期比)で横ばいとなり、計画を若干下回ったことが明らかです 。一方で、IT人材調達支援はQoQで増収となり、計画を上回る好調さを見せました 。これは、

DX支援の成長が鈍化する中で、IT人材調達支援が全体の成長を牽引しているという、事業構造の変化を如実に示しています

好調セグメント(IT人材調達支援)の要因 IT人材調達支援の好調の背景には、活発なIT人材需要と、CCTの営業活動における役割変更が挙げられます 。第2四半期決算資料によると、案件商談を重視するために、営業担当者の業務から人材探しと現場フォローを切り離す組織改編を実施しており、これが奏功して案件獲得につながったと推察されます 。この事業の強みは、市場のIT人材不足という追い風を最大限に活かせている点です

不振セグメント(DX支援)の要因 DX支援事業の成長鈍化は、主に新規顧客開拓の伸び悩みによるものです 。資料によると、DX支援の新規顧客開拓活動量(製造業向け)は着実に増加しているにもかかわらず、受注件数は伸び悩んでいます 。第2四半期累計の受注件数は16件ですが、これは新規顧客開拓のパイプライン(商談中、提案済)のボリュームから見れば、今後の成果を期待させる水準とも言えますが、まだ成果に結びついていないのが現状です 。これは、DX案件の大型化に伴い、受注サイクルが長期化している可能性を示唆しています。経営陣は組織改編による営業活動量の増加でこれを打破しようとしていますが、その効果が表れるまでにはもう少し時間がかかると見るべきでしょう

ポートフォリオ・マネジメントの評価 DX支援とIT人材調達支援という2つの事業ポートフォリオは、現時点ではリスク分散に成功していると言えます。高単価なDX支援が伸び悩む中でも、IT人材調達支援がその穴を埋める形で成長を維持しており、全体としての売上目標達成に寄与しています 。しかし、DX支援事業は、CCTの成長戦略において最も重要な「高付加価値な」事業であり、利益率改善の鍵を握っています 。したがって、IT人材調達支援がDX支援の成長鈍化を補完する状況が続けば、収益性の低い事業が全体に占める割合が増加し、中期的な利益率目標の達成に影響を与える可能性があります。経営陣は、DX支援事業の立て直しを最優先課題として、その進捗を厳しく管理する必要があるでしょう。


5. 経営計画の進捗と経営陣の評価

CCTは2025年12月期の通期計画として、売上高21,800百万円、営業利益2,300百万円を掲げています 。第2四半期時点の進捗率は、売上高が46.6%、営業利益が46.7%であり、ほぼ計画通りに進捗していると評価できます

今回の決算で計画を修正しなかった経営判断は、妥当であると評価します。特に、DX支援の新規受注が伸び悩んでいる一方で、営業活動量は増加していることから、今後パイプラインの成果が顕在化し、下期に受注が積み上がる可能性を経営陣は見込んでいると推察されます 。また、IT人材調達支援が計画を上回るペースで進捗していることも、通期計画達成への自信を裏付ける要因でしょう

しかし、経営陣の需要予測能力には引き続き慎重な評価が必要です。前年度は、通期計画に対して売上高・営業利益ともに未達に終わっており、需要予測の精度に課題があることは認識すべきです 。DX支援の立て直し策として掲げた組織改編が、今後どの程度の効果をもたらすか、その実行力と結果が、経営陣の評価を決定づけることになります。


6. 将来シナリオと株価のカタリスト/リスク

今後12~24ヶ月の業績について、以下の3つのシナリオを提示します。

シナリオ1:強気シナリオ(蓋然性25%)

  • 前提条件: 経営陣の立て直し策が奏功し、DX支援事業の新規顧客獲得ペースが加速。特に製造業・建設業での大型案件の受注が複数件決まる。IT人材調達支援も順調に推移し、利益率改善も進む。
  • 売上・利益予測: 売上高は2025年通期で220億円~230億円、営業利益は24億円~26億円。
  • トリガーとなるカタリスト:
    • 大規模な新規DX案件の受注発表。
    • 「Orizuru」の機能強化による新プロダクトのリリース。
    • IT人材調達支援におけるマッチング効率を劇的に改善する新機能の導入。
    • DX支援とIT人材調達支援の利益率が同時に改善。

シナリオ2:基本シナリオ(蓋然性60%)

  • 前提条件: DX支援の新規受注は緩やかに回復するものの、大型案件は限定的。既存顧客からの安定した売上が中心となる。IT人材調達支援は堅調な成長を続けるが、外注費の上昇圧力で利益率は横ばい。
  • 売上・利益予測: 売上高は2025年通期で215億円~220億円、営業利益は22億円~23億円。
  • トリガーとなるカタリスト/リスク:
    • 計画通りの進捗を継続。
    • IT人材調達支援の成長がDX支援の成長鈍化をカバー。
    • 人件費や販管費の増加が利益を圧迫。

シナリオ3:弱気シナリオ(蓋然性15%)

  • 前提条件: DX支援の新規顧客開拓が依然として伸び悩み、受注残高の減少が続く。IT人材調達支援においても、市場全体の単価上昇に追随できず、利益率がさらに悪化。
  • 売上・利益予測: 売上高は2025年通期で210億円~215億円、営業利益は20億円~22億円。
  • トリガーとなるリスク:
    • IT人材調達支援事業の利益率が継続的に低下。
    • DX支援事業の受注残高がさらに大幅に減少。
    • 競合他社の攻勢により、DX事業における価格競争が激化。
    • 重要なプロジェクトにおいて不採算案件が発生し、利益率を大きく毀損。

7. バリュエーション(企業価値評価)

相対評価法 CCTの競合他社として、IT人材サービスやDX支援を主な事業とする企業と比較します。例えば、株式会社ALBERTや株式会社チェンジ、さらにはIT人材プラットフォームを運営する企業などが挙げられます。

  • PER(株価収益率): CCTのPERは、同業他社と比較してややプレミアムで取引される傾向にあります。これは、DX支援という成長性の高い事業を主力とし、かつ独自のプロダクトやネットワークを持つことへの期待が背景にあると推察されます。
  • PBR(株価純資産倍率): 高いROEを継続的に達成しているため、PBRは同業他社よりも高く評価される可能性があります。
  • EV/EBITDA: 積極的なM&Aによるのれん償却費や、成長投資としての販管費が利益を圧迫しているため、PERよりもEV/EBITDAの方が企業の真の収益力を評価する上で有効です。

なぜプレミアム/ディスカウントで評価されるべきか? CCTは、DX支援とIT人材調達支援という相補的なビジネスモデルを通じて、高い粗利率と労働生産性の両立を目指しています。また、財務の健全性は高く、今後も積極的なM&Aを通じて成長投資を継続する方針です 。これらの要素は、長期的な成長期待を高め、プレミアム評価に値するでしょう。一方で、DX支援の成長鈍化という懸念が払拭されない限り、市場は様子見の姿勢を続け、株価はボックス圏での推移が続く可能性があります。


8. 総括と投資家への提言

CCTの第2四半期決算は、IT人材調達支援事業の好調に支えられ、通期計画に対し順調な進捗を見せています。また、運転資本の改善や借入金の返済など、財務の健全性は大幅に向上し、高い資本効率性を維持しています。これは、経営基盤が着実に強化されていることを示しており、評価すべき点です。

しかし、今回の決算の核心的な懸念は、

高収益なDX支援事業の成長が鈍化しているという事実です 。経営陣が掲げる「事業立て直し」は、まさにこのDX事業の再加速を目的としていますが、現時点ではその効果は限定的です 。IT人材調達支援事業は、市場の追い風と効率化施策により堅調なものの、外注費の変動リスクやDX支援事業に比べ低い利益率という構造的な課題を抱えています

提言:中立

DX支援事業の再加速が確認されるまで、明確な強気スタンスを取るには時期尚早です。現時点では、事業の根幹となるDX支援の成長性に対する不透明感が払拭されておらず、株価の本格的な上昇は限定的と見られます。

注視すべき最重要KPIとイベント:

  • DX支援事業の新規受注件数: 経営陣の立て直し策が機能しているかを示す最も重要な指標です。製造業向け新規顧客開拓のパイプラインが、下期にどの程度の受注につながるかを注視してください 。
  • IT人材調達支援における売上総利益率の推移: IT人材の単価上昇圧力に対し、CCTがどの程度利益率を維持できるかを示す指標です。
  • 四半期別の販管費の内訳: 特に採用費・人件費の動向を監視し、成長投資が利益をどの程度圧迫しているかを確認してください 。

これらのKPIの改善が確認できれば、CCTの成長ストーリーは再び確固たるものとなり、強気スタンスへの変更を検討するに値するでしょう。

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