国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」のデータを見ると、私たちの一人当たりの平均給与は433万円という数字が浮かび上がります。これを性別で区分けすると、男性は532万円に対して、女性は293万円となっています。
年収700万円という金額は、これらの平均給与を上回る額で、多くの人々にとってはゆとりある生活を送ることができると想像されがちです。しかし、実際には家族の構成や選ぶ住宅のタイプ、さらには何に予算を割り当てるかなどによって、生活の質や快適さは大きく異なるものです。
特に、家賃は毎月の支出の中で一定の割合を占めますので、自身の望む生活スタイルに見合った家賃の物件を見つけ出すことが、家計管理において非常に重要です。
本稿では、年収700万円をお持ちの方々が抱える疑問にお答えするべく、適正とされる家賃相場、さらにはどのような住宅に住むことができるのかという点を詳しく紹介していきます。また、年収700万円という収入がもたらす税金の負担や、税金を差し引いた後の実際の手取り額、それによってどの程度快適な生活が期待できるのかについても、詳細にわたって説明しています。この情報が、皆様の生活設計の一助となれば幸いです。
年収700万円での家賃の適正範囲と安定した住まい選びのポイント
家賃の上限は大体17万円程度 年収700万円という収入を持つ世帯にとって、適正とされる家賃相場は、一般的に約13万円から17万円の間と考えられています。
独身で自分一人の生活を送る場合、月に17万円の家賃支払いはそれほど圧迫感を感じず、比較的余裕をもった生活が可能です。なぜなら、その他の生活費用も一人分であるため、家賃に若干高めの金額を充てることができます。
しかし、お子様がいる家庭の場合、教育費や食費、衣服にかかる費用など、様々な出費が増えるため、家賃に割く金額を抑える必要が出てきます。
また、家族全員で快適に過ごすには、部屋の間取りや広さも重要な検討事項です。都心部や主要駅周辺の物件では、求める広さを得ることが難しいこともあるため、家賃相場がより手頃な地域も検討の対象に含めることをお勧めします。
家賃設定には月収を基準にしましょう 年収を基に家賃を設定する場合、多くの人がボーナスを含めた総収入で計算しがちですが、これは必ずしも賢明な選択ではありません。
ボーナス額は会社の業績に大きく依存するため、予期せぬ減額や、最悪の場合、受け取れない可能性も否定できません。
ボーナスを頼りに家賃を高く設定してしまうと、万が一の際に家賃の支払いに困難をきたすリスクがあります。
安定した生活を維持するためにも、日々の生活費とのバランスを慎重に考え、ボーナスなしの月収に基づいて家賃を設定することが望ましいです。
そして、税金や社会保険料など、月々の収入から差し引かれる費用を考慮に入れ、手取り額の範囲内で支払い可能な、無理のない家賃の物件を選択しましょう。これにより、精神的な安心感を保ちながら、充実した生活を送ることができます。
年収700万円の実質的な収入：手取り金額の内訳と生活の見通し
年収というのは、名目上の給与総額を指します。
この年収から各種の税金や社会保険料が差し引かれ、実際に我々が受け取る額が「手取り金額」となります。ここでは、年収700万円の場合、実際の手取り金額がどの程度になるのか、そしてその金額でどのような生活が送れるのかを探っていきましょう。
予想される手取りは約530万円 一般的に、手取り金額は年収の約70～80%とされています。従って、年収700万円の場合、手取り金額は大体530万円～550万円の間になると予想されます。
手取り金額を導き出す際の計算は、「手取り = 年収 – 社会保険料 – 各種税金」という式に基づきます。
社会保険料には、「厚生年金保険料」「健康保険料」「雇用保険料」が含まれ、40歳以上の方では「介護保険料」も追加されます。
また、税金としては、「所得税」と「住民税」が主な負担となります。
健康保険の種類によって保険料率が異なり、また住民税も居住地域によって多少の差が生じます。
更に、扶養家族の有無や税額控除の利用状況等によっても、最終的な税金の負担は変動します。このため、年収が700万円であっても、実際の手取り金額は人それぞれで異なるのです。
月々の収入は約37万円 手取り金額が530万円と仮定した場合、年2回のボーナスが月給1か月分とすると、月々の実質的な収入は「530万円 ÷（12ヶ月 + 2か月）」で約37万円となります。
月収が37万円であれば、17万円の家賃を支払ったとしても、残りは約20万円となり、この金額は一人暮らしではかなり余裕のある生活が可能ですし、パートナーとの二人暮らしでも特別な贅沢をしない限り、安定した生活を送ることがでしょう。
もしボーナスがない場合でも、月々の手取りは「530万円 ÷ 12ヶ月」で約44万円となり、生活には相当の余裕があります。そのため、積極的な貯蓄や投資に回すことも十分に考えられるでしょう。
年収700万円の税金負担：税金と手取り金額の実情
年収700万円という収入がある場合、どの程度の税金がかかり、実際の手取りはいくらになるのかを明らかにします。
以下、試算した社会保険料には、厚生年金、健康保険料、雇用保険、そして40歳以上の場合の介護保険料が含まれています。
所得税：約32万円 住民税：約38万円 社会保険料：約98万円 合計控除額：約168万円 実際の手取り：約531万円 この試算は、特定の扶養家族がいない状況を前提としたものです。
税金や社会保険料は、個々の状況（例えば、扶養家族の有無、適用される税額控除など）によって変動するため、実際の手取り金額は個人によって差が出ることを覚えておきましょう。
年収700万円の場合、所得税と住民税の合計が約70万円、社会保険料が約98万円となり、これらを合わせた総額168万円が年収から差し引かれます。
これを踏まえると、年収と実際の手取り金額との間には、予想以上に大きな開きがあることが理解できます。これは、我々が収入を考える際、単に総収入だけでなく、税金や必要経費を考慮に入れる重要性を示しています。
年収700万円、家賃17万円の予算で選べる住まいの種類と特徴
年収700万円という収入があり、家賃に17万円までの予算を設定した場合、都市の中心部でも快適に生活できる多様な選択肢があります。
年収700万円あるならば、都内の主要駅周辺（新宿、渋谷、池袋、品川、上野など）で、1LDKの物件を選ぶことが可能です。特にテレワークが増え、自宅での過ごし方が多様化する中、生活空間と寝室が分かれた1LDKは、快適な生活空間を提供します。また、2人での共同生活にも十分なスペースがあります。
家賃17万円の予算で、港区などの高級エリアに位置するワンルームや1Kの物件に住むことも選択肢としてあります。こちらは、立地を重視し、生活の利便性を優先する方におすすめです。また、都心のタワーマンションも視野に入る可能性があります。
もし都心から少し離れても良いという場合、より広い2LDKや3LDKのファミリータイプの物件も選択肢になります。これらの物件は、ファミリー向けの住環境を提供し、より広い生活空間が確保できます。
年収が700万円あっても、必ずしも家賃に高い割合を割く必要はありません。家賃を抑えることで、貯蓄を増やすことも可能です。例えば、家賃を17万円から13万円に抑えれば、年間で48万円の節約になります。これは、食費や光熱費を節約するよりも大きな影響があります。そのため、家賃を抑えた生活を選ぶことも、賢い財務管理の一環と言えるでしょう。
結論として、年収700万円で家賃17万円の予算では、都心の1LDKから郊外の広い物件、さらには高級エリアのワンルームや1Kまで、多岐にわたる選択肢があります。重要なのは、自分の生活スタイルや貯蓄目標に最適な物件を選ぶことです。
年収700万円での生活は、基本的に安定しており、ある程度の贅沢も可能です。しかし、その実態は家賃や家族構成に大きく左右されます。
年収700万円での生活は、家賃によって大きく変わります。安い家に住めば、生活に余裕が生まれますが、高い家に住むとその余裕は減少します。月収37万円と仮定すると、家賃が13万円～17万円であれば、生活費には問題がないでしょう。しかし、家賃が20万円を超えると、急な出費があった際の対応が難しくなるかもしれません。家賃が高い地域では、他の物価も高くなる傾向があるため、出費はさらに増えます。
一人暮らしの場合、統計によれば家賃を除いた月の平均支出は約13万円です。都内在住の女性で、月収40万円、家賃17万円の場合、生活費には23万円使用でき、十分な余裕があります。特に食費や娯楽費に制限がなく、趣味や美容にもお金を使うことができます。さらに、家賃を抑えれば、生活費に更なる余裕が生まれます。
配偶者と子供がいる場合、生活の余裕は一人暮らしに比べて減少します。家計の支出は食費、教育費、日用品、娯楽費など多岐にわたり、特に子供の教育費は大きな負担となります。教育費は子供の年齢と共に増加し、習い事や塾代などが加わると更に増えます。したがって、娯楽費を削減したり、可能な限り家賃を下げたりして、貯蓄や資産運用に回すことが理想的です。
- 総務省統計局「家計調査報告（家計収支編）2020年（令和2年）」
- 東京都総務局統計部「家計収支の概況」
年収700万円では、家族構成や住居の家賃によって、生活の余裕が大きく変動します。一人暮らしではかなりの余裕がある一方で、家族がいると特に教育費などで余裕が減少する傾向があります。そのため、自分のライフスタイルや将来の計画に応じて、住居選びや予算の配分を考慮することが重要です。
年収700万円の家賃相場は13万円～17万円前後です。
年収700万円の家庭における適切な家賃の相場は、大体13万円から17万円程度とされています。しかし、個人の状況、特に一人暮らしであるか、家族と住んでいるかによって、許容できる家賃の範囲は異なります。
重要なのは、自身のライフプランを考慮し、負担が過大にならない家賃の物件を選ぶことです。具体的な予算を立てる際には、総年収ではなく、毎月の手取り額を基に計算することが推奨されます。これにより、現実的な生活費の管理が可能になります。
将来的には、数年後や数十年後の生活設計も視野に入れ、家賃、生活費、そして貯蓄のバランスを適切に配分する計画を立てることが大切です。それにより、経済的な安定と、将来への備えがより実現可能になるでしょう。
