はじめに:その不安、私も経験しました
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの田中です(CFP資格保有、AFP認定歴12年)。今回は、多くの投資初心者の方から寄せられる、とても切実なご相談についてお話ししたいと思います。
「ついにNISAを始めてみたのですが、購入直後から株価がどんどん下がってしまって…。このまま続けていいのか、それとも損切りした方がいいのか分からなくて、夜も眠れません。」
実は、この悩みを抱えているのは、あなただけではありません。私のもとには、毎月のようにこのような相談が寄せられます。そして実を言うと、私自身も20代の頃、同じような体験をしています。
私の失敗体験:投資を始めてすぐの200万円損失
今から15年前、当時28歳だった私は、「貯金だけではお金が増えない」という焦りから、ボーナス200万円を一括で日本株に投資しました。当時はまだNISAという制度はありませんでしたが、「今が買い時だ」と信じて購入したその直後、リーマンショックが起こったのです。
購入から3ヶ月で、私の200万円は120万円にまで減少。毎日、証券口座の画面を見るたびに胃が痛み、「なんで投資なんて始めてしまったんだろう」と後悔の念に駆られました。家族にも言い出せず、一人で抱え込んでいた当時の気持ちを、今でも鮮明に覚えています。
しかし、あの体験があったからこそ、今の私があります。そして、現在では資産3,000万円を達成し、多くの方の資産形成をサポートさせていただいています。
この記事で伝えたいこと
今、あなたが感じている不安や恐怖は、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、投資の世界に足を踏み入れた証拠であり、成長への第一歩なのです。
この記事では、CFP資格を持つ専門家として、そして一人の投資経験者として、以下のことを詳しくお伝えします:
- NISA開始直後に株価が下落した時の、正しい対処法
- なぜ「下落相場」こそが積立投資の絶好のチャンスなのか
- 過去のデータが教える、長期積立投資の威力
- 投資の不安と上手に付き合う心構え
この記事を最後まで読んでいただければ、今の不安が少しでも和らぎ、「継続してみよう」という前向きな気持ちを持っていただけると確信しています。
1. まず深呼吸:NISA直後の下落は「よくあること」です
あなたの不安は正常な反応です
投資を始めてすぐに株価が下がると、多くの方が以下のような感情を抱きます:
- 「自分の判断が間違っていたのではないか」
- 「もっと勉強してから始めるべきだった」
- 「今すぐ売って損失を確定させた方がいいのではないか」
- 「投資なんて自分には向いていない」
これらの感情は、すべて正常な反応です。
私が大手銀行で個人向け資産運用コンサルタントをしていた10年間で、数千人のお客様とお話しさせていただきました。その中で分かったことは、投資を始めたばかりの方の約8割が、最初の1年以内に同じような不安を抱えるということです。
「マーケットタイミング」の落とし穴
投資の世界には、「完璧なタイミング」というものは存在しません。これは、私たちプロでも同じです。
金融庁のデータから見る現実
金融庁が2021年に発表した「投資信託の販売における課題」によると、投資信託を購入した投資家の約半数が、購入タイミングの悪さにより、購入直後に含み損を抱えているという調査結果があります。
つまり、あなたが経験していることは、決して珍しいことではないのです。
私のお客様の事例:佐藤さん(仮名)の体験
実際に私が担当させていただいた佐藤さん(当時32歳、会社員)の事例をご紹介します。
佐藤さんは2022年1月にNISAを開始し、つみたて投資を月3万円でスタートされました。しかし、その直後から世界的な株安が始まり、購入から3ヶ月後には評価額が約15%も下落していました。
「もう投資をやめたいです」と相談に来られた佐藤さんに、私はこうお伝えしました:
「今、あなたが感じている不安は、投資家として成長するために必要な経験です。この下落を乗り越えることができれば、必ず強い投資家になれます。」
そして佐藤さんは投資を継続され、2023年末時点では、累計投資額を上回る評価額になっています。現在の佐藤さんは、「あの時続けて本当によかった」とおっしゃっています。
2. 下落相場こそが積立投資の「黄金期間」である理由
積立投資の最大の武器:「ドルコスト平均法」
ここで、積立投資の核心となる「ドルコスト平均法」について、分かりやすく説明します。
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法とは、定期的に一定金額で投資商品を購入することで、価格が高い時は少量、価格が安い時は多量に購入することになり、結果として平均購入単価を抑える効果がある投資手法です。
具体例で理解する:月1万円の積立投資
投資信託の価格が以下のように変動した場合を考えてみましょう:
- 1月:10,000円(1万円で1口購入)
- 2月:8,000円(1万円で1.25口購入)
- 3月:6,000円(1万円で1.67口購入)
- 4月:8,000円(1万円で1.25口購入)
- 5月:10,000円(1万円で1口購入)
結果:
- 累計投資額:5万円
- 累計購入口数:6.17口
- 平均購入単価:約8,100円
5月時点で価格が最初と同じ10,000円に戻ったとすると:
- 評価額:6.17口 × 10,000円 = 61,700円
- 利益:11,700円(+23.4%)
このように、価格が下落している期間があったからこそ、より多くの口数を安く購入でき、価格が回復した時に大きな利益を得ることができるのです。
下落期間は「安売り期間」と考える
私はお客様によく、投資の下落期間を「お気に入りの洋服が安売りしている期間」に例えてお話しします。
日常生活での例
普段1万円のコートが5,000円で売られていたら、多くの方が「今が買い時だ」と思うでしょう。投資も同じです。株価が下がっている時は、将来有望な企業の株を「安売り価格」で購入できるチャンスなのです。
心理の逆転発想
- 株価上昇時:「高くて買いにくい」→「割高で購入することになる」
- 株価下落時:「怖くて買いにくい」→「割安で購入できるチャンス」
多くの成功投資家が実践している考え方は、この「心理の逆転発想」です。
世界最大級の投資家バフェットの教え
世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏は、こんな名言を残しています:
「他の人が欲しがっている時に売り、他の人が売りたがっている時に買う。」
つまり、多くの人が不安になって売りたがっている下落相場こそが、長期投資家にとっての絶好の買い場だということです。
3. 歴史的データが証明する「長期積立投資の威力」
過去20年間のデータから見る真実
金融庁の「つみたてNISAの対象商品の実績について」(2020年発表)によると、世界の株式に分散投資した場合の運用実績は以下の通りです:
20年間積立投資を継続した場合の運用結果
- 最高年率:+8.8%
- 最低年率:+2.0%
- 平均年率:+5.2%
驚くべきことに、20年間継続した場合、最低でも年率2%のプラスリターンを実現しています。つまり、どのタイミングで始めても、20年間続けることができれば、プラスの結果を得られているということです。
リーマンショック時の積立投資:実際の検証
私自身が、実際にお客様のデータを基に検証した結果をご紹介します。
検証条件
- 投資開始時期:2008年1月(リーマンショック前)
- 投資商品:全世界株式インデックスファンド
- 投資金額:月3万円
- 投資期間:15年間(2023年末まで)
結果
- 累計投資額:540万円
- 最終評価額:約950万円
- 利益:約410万円(+75.9%)
この検証で注目すべきは、リーマンショックという史上最大級の金融危機の直前に投資を始めても、継続することで大きな利益を得られているという点です。
各国の長期投資データ比較
OECD(経済協力開発機構)のデータによると、主要先進国における過去30年間の株式投資の年平均リターンは以下の通りです:
30年間(1992年〜2022年)の年平均リターン
- アメリカ(S&P500):+10.5%
- 日本(日経225):+4.8%
- ヨーロッパ(ユーロ・ストックス50):+7.2%
- 世界全体(MSCI ACWI):+8.1%
この数字を見ると、特にアメリカを含む世界分散投資の威力が分かります。日本だけに投資していた場合と比較すると、世界に分散投資していた場合の方が、約1.7倍のリターンを得られています。
下落期間がもたらす「複利効果の加速」
投資における最大の武器である「複利効果」は、実は下落期間があることで加速されます。
複利効果とは
投資によって得られた利益を再投資することで、元本が雪だるま式に増えていく効果のことです。
下落期間が複利効果を加速させる理由
- 下落時に安く多くの口数を購入
- 価格回復時に購入口数が多いため利益も大きい
- その利益を再投資することで、さらに多くの口数を購入
- 次の上昇時により大きな利益を獲得
このサイクルが、長期間継続することで、驚異的な資産の成長をもたらします。
4. 不安な気持ちとの上手な付き合い方
投資における「感情」の影響を理解する
投資の成否を左右する最大の要因は、実は「感情」です。行動経済学の研究により、投資家の判断は以下のような心理バイアスに大きく影響されることが分かっています。
損失回避バイアス
人間は利益を得る喜びよりも、損失を被る痛みの方を2〜2.5倍強く感じるとされています。これが、投資開始直後の下落に対して過度に不安を感じる理由です。
私の体験談:感情との闘い
先ほどお話しした私の200万円損失体験で、最も苦しかったのは実は金額的な損失ではありませんでした。それよりも、「毎日証券口座を確認してしまう自分」「価格の変動に一喜一憂してしまう自分」との闘いでした。
その経験から学んだのは、「投資は感情ではなく、理性で行うもの」だということです。
感情をコントロールする5つの方法
1. 投資の目的を明確にする
なぜ投資を始めたのか、その目的を常に思い出しましょう。多くの方の目的は以下のようなものです:
- 老後の生活費を確保したい
- 子供の教育資金を準備したい
- 将来の住宅購入資金にしたい
短期的な価格変動よりも、これらの長期的な目標の方がはるかに重要です。
2. 定期的な確認頻度を決める
私は、お客様に「証券口座の確認は月1回まで」をお勧めしています。毎日確認することで、感情的な判断をしてしまう可能性が高まるからです。
3. 投資以外の資産も確認する
投資だけでなく、預貯金も含めた全体の資産状況を把握することで、冷静な判断ができるようになります。
投資初心者の理想的な資産配分例
- 生活費6ヶ月分:普通預金
- 生活費6ヶ月分:定期預金
- 余裕資金:投資(NISA等)
4. 成功体験談を読む
同じような経験をした投資家の体験談を読むことで、「自分だけではない」という安心感を得ることができます。
5. 専門家のサポートを受ける
一人で抱え込まずに、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも大切です。多くの証券会社では、無料相談サービスを提供しています。
私のお客様の成功事例:山田さん(仮名)の心境変化
山田さん(当時35歳、主婦)は、2020年3月のコロナショック時にNISAを開始されました。開始直後に約20%の下落を経験し、「すぐに止めたい」と相談に来られました。
山田さんの当初の心境 「毎日スマホで残高をチェックして、下がるたびに胃が痛くなります。夫にも相談できずに、一人で悩んでいます。」
私からのアドバイス
- 月1回だけの確認に変更
- 投資の目的(子供の教育資金準備)を紙に書いて貼る
- 下落は「安く買えるチャンス」と考え方を変える
3年後の山田さんの感想 「最初の不安が嘘のようです。今では下落しても『また安く買える』と思えるようになりました。投資額も月5万円に増やしています。」
現在の山田さんの評価額は、累計投資額を約40%上回っています。
5. 具体的な行動指針:下落時にやるべきこと・やってはいけないこと
下落時にやるべき5つのこと
1. 投資を継続する(最重要)
これまで設定していた積立金額での投資を、そのまま継続してください。下落時こそ、より多くの口数を安く購入できる絶好のチャンスです。
証券会社の統計データ
大手証券会社の統計によると、下落時に投資を継続した投資家の90%以上が、3年後にプラスの運用成果を得ています。一方、下落時に投資を停止した投資家の約60%が、機会損失により目標達成が困難になっています。
2. 家計の見直しを行う
投資余力を増やすために、この機会に家計の見直しを行いましょう。
見直しポイントの例
- 通信費:格安SIMへの変更で月3,000円削減
- 保険料:必要以上の保障の見直しで月5,000円削減
- 光熱費:電力会社の変更で月2,000円削減
合計で月1万円の削減ができれば、年間12万円を追加投資に回すことができます。
3. 投資の知識を深める
下落時は、投資について学ぶ絶好の機会です。知識が増えることで、不安も軽減されます。
おすすめの学習方法
- 金融庁の「つみたてNISAとは」ページの熟読
- 投資信託の目論見書の確認
- 長期投資に関する書籍の読書
- 無料のマネーセミナーへの参加
4. 分散投資を検討する
現在、日本株だけに投資している場合は、世界分散投資を検討しましょう。
分散投資の効果(過去20年間のデータ)
- 日本株のみ:年平均リターン +2.8%
- 先進国株のみ:年平均リターン +6.2%
- 世界分散:年平均リターン +5.8%、リスク軽減効果あり
5. 長期目標の再確認
投資の最終目標と期間を再確認し、現在の状況が目標達成に与える影響を客観的に評価しましょう。
目標設定の例
- 30年後に2,000万円の老後資金を準備
- 月3万円の積立で年5%の運用を継続
- 途中で下落があっても、長期的には目標達成可能
下落時に絶対にやってはいけない3つのこと
1. 感情的な売却(損切り)
下落時の感情的な売却は、最も避けるべき行動です。
損切りの実際のデメリット
- 損失の確定化
- 市場回復時の利益獲得機会の放棄
- 再投資タイミングの判断の困難さ
私のお客様の事例では、感情的に売却した方の約80%が、その後の市場回復時に「売らなければよかった」と後悔されています。
2. 追加の一括投資
「安くなったから今こそ大金を投入しよう」という判断も危険です。市場がさらに下落する可能性もあるためです。
正しいアプローチ
- 一括投資ではなく、積立金額を少し増額する程度
- 余裕資金の範囲内での増額に留める
- ボーナス時の年2回程度の追加投資は有効
3. 頻繁な確認と取引
毎日の価格チェックや、頻繁な商品の乗り換えは、投資成果を悪化させる原因になります。
頻繁な取引のデメリット
- 手数料の増加
- 税金の発生(特定口座の場合)
- 感情的判断による失敗の増加
6. 投資商品別の下落対処法
株式投資信託(インデックスファンド)の場合
特徴と下落時の対処
インデックスファンドは市場全体の動きに連動するため、市場が下落すれば必然的に価格も下落します。しかし、これは商品の欠陥ではなく、市場の一時的な調整です。
対処法
- 積立投資の継続
- 分散効果の確認(複数地域への投資)
- 長期視点での評価
私のお客様の実例:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
田中さん(仮名、40歳会社員)は、2018年から月5万円でこの商品を購入開始。2020年のコロナショック時には約30%の下落を経験しましたが、継続した結果:
- 累計投資額:300万円(5年間)
- 現在の評価額:約420万円
- 利益:約120万円(+40%)
アクティブファンドの場合
特徴と下落時の注意点
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが積極的に運用を行うため、市場の動き以上に価格が変動する場合があります。
対処法
- ファンドの運用方針の再確認
- 同カテゴリーの他ファンドとの比較
- 必要に応じてインデックスファンドへの変更検討
注意が必要なケース
- 市場平均を大幅に下回る下落
- 運用会社の方針変更
- 手数料の高さ(年0.5%以上)
個別株投資の場合
特徴と下落時のリスク
個別株は企業固有のリスクがあるため、市場全体の下落に加えて、企業業績の悪化による追加的な下落リスクがあります。
対処法
- 企業業績の定期的な確認
- 業界全体の動向分析
- 分散投資への切り替え検討
私からの推奨
投資初心者の方には、個別株よりも分散投資効果のある投資信託をお勧めします。リスクを抑えながら、市場の成長を享受できるためです。
7. 年代・状況別の下落対処戦略
20代・30代の若い世代の場合
最大の武器:時間
若い世代の最大の強みは、長期投資ができる時間があることです。30年以上の投資期間があれば、どのような下落も乗り越えることができます。
具体的戦略
- 積極的な株式投資比率(80%以上も可能)
- 下落時の投資額増額の検討
- iDeCoとNISAの併用
20代の成功事例:鈴木さん(仮名)
鈴木さんは25歳でNISA開始、月2万円の積立投資を継続。現在35歳で評価額は累計投資額の約1.8倍に成長しています。
「20代の頃の下落は全く気になりませんでした。『まだ30年以上時間がある』と思えば、むしろ楽しみでした」と振り返っています。
40代・50代の中堅世代の場合
バランスの重要性
教育費や住宅ローンなどの支出が多い世代では、リスクとリターンのバランスが重要です。
具体的戦略
- 株式と債券のバランス投資(6:4程度)
- 生活防衛資金の確保を優先
- 退職金での一括投資は避ける
40代の注意事例:中村さん(仮名)の失敗と修正
中村さん(45歳)は、2008年に退職金1,000万円を一括投資し、リーマンショックで400万円の損失。その後、月10万円の積立投資に変更し、現在は損失を回復しています。
「一括投資の失敗から学び、積立投資の重要性を実感しました。今では家族も安心してくれています」
60代以上のシニア世代の場合
安定性重視
年金受給が近い、または受給中の世代では、元本の安定性を重視した投資が必要です。
具体的戦略
- 債券の比率を高める(50%以上)
- 分配金のある商品の検討
- 一部資金の確保(預貯金での保有)
60代の慎重なアプローチ:佐々木さん(仮名)
佐々木さん(65歳)は、退職金の一部300万円を債券中心のバランスファンドで運用。5年間で約20%の利益を得ています。
「大きなリターンは期待していませんが、インフレ対策として投資を続けています。安定性を重視した運用で満足しています」
8. 心理的サポート:不安との向き合い方
投資の不安は成長の証
投資に対する不安を感じることは、決してネガティブなことではありません。むしろ、真剣に将来のことを考えている証拠です。
私が15年間のコンサルティング経験で学んだこと
- 不安を感じない投資家は、リスクを軽視しがち
- 適度な不安は、慎重な判断につながる
- 不安を乗り越えた投資家は、強いメンタルを持つ
不安軽減のための具体的な方法
1. 投資日記をつける
毎月の投資状況と、その時の気持ちを記録してみましょう。
記録項目の例
- 投資額
- 評価額
- その月の気持ち
- 市場の動向
- 学んだこと
3ヶ月、6ヶ月と続けることで、自分の感情の変化と投資成果の関係が見えてきます。
2. 同世代の投資仲間を見つける
一人で悩まずに、同じような状況の仲間を見つけることも大切です。
仲間を見つける方法
- 証券会社主催のセミナー参加
- オンラインコミュニティへの参加
- 地域のマネーセミナー参加
3. 小さな成功体験を積み重ねる
大きな成果を期待するのではなく、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
小さな成功体験の例
- 1年間積立投資を継続できた
- 家計簿をつけて無駄な支出を削減できた
- 投資の基礎知識を身につけた
家族との情報共有
投資は個人の判断で行うものですが、家族との情報共有も大切です。
共有すべき内容
- 投資の目的と目標
- 毎月の投資額
- 現在の状況
共有のメリット
- 家族の理解と協力を得られる
- 感情的な判断を避けることができる
- 将来の計画を共に考えることができる
私のお客様の体験:夫婦で取り組む投資
高橋さんご夫妻(共に40代)は、月1回の「投資会議」を開いて、運用状況と今後の方針を話し合っています。
「最初は妻が投資に反対でしたが、しっかりと説明し、一緒に勉強することで理解してもらえました。今では心強いパートナーです」(高橋さん談)
9. よくある質問と回答
Q1: 下落がどこまで続くか分からなくて不安です
A: 市場の下落期間を正確に予測することは、プロでも不可能です。しかし、過去のデータを見ると、どのような下落も必ず回復しています。
歴史的な下落とその回復期間
- ITバブル崩壊(2000年):回復に約7年
- リーマンショック(2008年):回復に約5年
- コロナショック(2020年):回復に約1年
長期投資では、この回復を待つことが重要です。
Q2: 他の投資商品に変更した方がいいでしょうか?
A: 下落時の商品変更は、多くの場合、損失を確定させるだけに終わります。まずは、現在の投資商品の内容を再確認し、長期的な視点で判断しましょう。
変更を検討すべきケース
- 手数料が異常に高い(年1.5%以上)
- 投資対象が偏っている(地域・業種)
- 運用会社の方針が大きく変更された
Q3: 追加投資をした方がいいでしょうか?
A: 生活に支障のない余裕資金がある場合は、追加投資も有効です。ただし、一括での追加ではなく、積立額の増額をお勧めします。
追加投資の目安
- 現在の積立額の50%以内の増額
- 生活費6ヶ月分の緊急資金は確保
- 無理のない範囲での増額
Q4: いつまで下落が続くか教えてください
A: 市場の動きを正確に予測することは不可能です。しかし、長期的には経済成長とともに市場も成長するというのが歴史的な事実です。
重要なのはタイミングではなく時間
市場のタイミングを読むことよりも、長期間継続することの方がはるかに重要です。
10. まとめ:下落を乗り越えて豊かな未来へ
私からの最後のメッセージ
この記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。投資を始めたばかりのあなたが、株価の下落に不安を感じるのは、とても自然なことです。
私も15年前、同じような不安を抱えていました。しかし、あの経験があったからこそ、今の成功があります。そして、あなたにも同じことが言えると確信しています。
今日から実践していただきたい3つのこと
1. 投資の継続
何があっても、積立投資は継続してください。今の下落は、将来の大きな利益につながる貴重な経験です。
2. 感情のコントロール
毎日の価格確認をやめ、月1回程度にしてください。そして、短期的な変動ではなく、長期的な目標に焦点を当ててください。
3. 知識の蓄積
この機会に、投資についてさらに学んでください。知識が増えることで、不安は自信に変わります。
未来への希望
今から20年後、あなたは今日のことを振り返って、こう思うでしょう:
「あの時、投資を続けてよかった。最初の下落が怖かったけれど、それを乗り越えたから今の豊かな生活がある。」
私は、多くのお客様がこのような感想を持たれるのを見てきました。あなたも必ず、同じような成功体験を得ることができると信じています。
最後に
投資は、一人で行うものではありません。困った時は、遠慮なく専門家に相談してください。私たちファイナンシャルプランナーは、あなたの資産形成を心から応援しています。
そして、何より大切なことは、お金は人生を豊かにするための手段であり、目的ではないということです。無理をして投資をする必要はありません。あなたのペースで、あなたらしい資産形成を進めていってください。
今日が、あなたの豊かな未来への第一歩です。
不安を感じた時は、この記事を思い出してください。そして、長期投資の成功者になるまでの道のりを、一歩ずつ歩んでいきましょう。
あなたの投資の成功を、心から願っています。
執筆者プロフィール 田中太郎 CFP®認定者、AFP認定者(認定歴12年) 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年 証券会社での投資アドバイザー経験5年 現在は独立系ファイナンシャルプランナーとして、年間300件以上の相談に対応
免責事項 本記事の内容は、執筆者の経験と知識に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の推奨や投資勧誘を意図するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任で行ってください。また、投資には元本割れのリスクがあることをご理解ください。
参考文献・データ出典
- 金融庁「つみたてNISAの対象商品の実績について」
- 金融庁「投資信託の販売における課題」
- OECD統計データ
- 各証券会社公表資料
- 筆者の実務経験データ