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シングルマザー・ファザー必見!支援制度と使い方ガイド

筆者プロフィール CFP資格保有ファイナンシャルプランナー・金融機関勤務歴15年。自身もシングルマザーとして8歳の娘を育てながら、多くのひとり親家庭の家計相談に携わってきました。「お金の不安で子どもの笑顔を曇らせたくない」という想いで、実体験に基づいた情報をお届けします。


目次

はじめに:あなたは一人じゃない

「明日の生活費はどうしよう…」「子どもの教育費が心配…」

深夜、お子さんが寝静まった後、家計簿を前にして途方に暮れている方も多いのではないでしょうか。私自身、5年前に離婚を経験し、当時3歳だった娘との生活をスタートした時、まさにそんな夜を何度も過ごしました。

でも、安心してください。日本には、ひとり親家庭を支える様々な制度が用意されています。ただし、これらの制度は「知っている人だけが得をする」制度でもあります。役所で教えてくれることもありますが、基本的には「申請主義」。つまり、あなたから申し出ない限り、支援を受けることはできません。

この記事では、CFP資格を持つファイナンシャルプランナーとして、また一人のシングルマザーとして、あなたが利用できるすべての支援制度を、申請方法から活用のコツまで詳しくお伝えします。

第1章:シングルマザー・ファザーを取り巻く現実と課題

1-1 数字で見るひとり親家庭の現状

厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、全国のひとり親世帯数は約142万世帯。そのうち母子世帯が約123万世帯、父子世帯が約19万世帯となっています。

特に注目すべきは世帯収入の現実です:

母子世帯の平均年間収入

  • 就労収入:200万円
  • 児童扶養手当:41万円
  • その他収入:9万円
  • 合計:250万円

父子世帯の平均年間収入

  • 就労収入:398万円
  • 児童扶養手当:3万円
  • その他収入:16万円
  • 合計:417万円

「え、父子世帯の方が収入が多いじゃない」と思われるかもしれません。しかし、これには深い理由があります。女性の場合、子どもの世話や家事との両立で、フルタイムの就労が困難なケースが多く、また賃金格差の問題も存在します。

1-2 ひとり親家庭が抱える3つの不安

私のファイナンシャルプランナーとしての相談経験から、ひとり親家庭の方々が共通して抱える不安は、大きく3つに分けられます。

①お金の不安 「今月の生活費が足りない」「子どもの教育費をどう捻出しよう」といった目先のお金の心配から、「老後の生活はどうなるの」という将来への不安まで、お金に関する悩みは尽きません。

私も離婚当初、「貯金が20万円しかない。このままでは娘を大学に行かせてあげられない」と夜中に涙したことがあります。

②時間の不安 仕事と育児の両立は、想像以上に大変です。「子どもが熱を出したらどうしよう」「残業できないから昇進は諦めないと」といった時間との闘いは、シングルマザー・ファザー特有の悩みです。

③孤独の不安 「相談できる人がいない」「子どもにさみしい思いをさせているのでは」という心の負担も深刻です。実際、私の相談者の中には、「誰にも頼れなくて、すべて一人で抱え込んでしまう」と話される方が多くいらっしゃいます。

1-3 支援制度を活用する意味

でも、これらの不安は、適切な支援制度を活用することで大幅に軽減できます。私自身、様々な制度を利用しながら、現在では年収450万円を確保し、娘の大学資金300万円の目処もつけることができました。

支援制度は「恥ずかしいもの」でも「甘えるもの」でもありません。社会全体で子どもを育てるという考え方に基づいた、正当な権利なのです。

第2章:国の支援制度完全ガイド

2-1 児童扶養手当:ひとり親家庭の生命線

児童扶養手当は、ひとり親家庭にとって最も重要な支援制度です。私も毎月この手当に支えられています。

支給対象 18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(つまり高校卒業まで)の児童を養育しているひとり親家庭

支給額(令和5年4月現在)

  • 児童1人の場合:月額44,140円~10,410円
  • 児童2人目:月額10,420円~5,210円を加算
  • 児童3人目以降:月額6,250円~3,130円を加算

支給額は所得に応じて決まりますが、重要なのは「全額支給」「一部支給」「支給停止」の3段階があることです。

所得制限の目安

  • 扶養親族等の数0人:全額支給49万円未満、一部支給192万円未満
  • 扶養親族等の数1人:全額支給87万円未満、一部支給230万円未満
  • 扶養親族等の数2人:全額支給125万円未満、一部支給268万円未満

「所得って何?年収とは違うの?」という質問をよく受けます。所得とは、年収から給与所得控除などを差し引いた金額です。例えば、年収300万円の場合、給与所得控除98万円を引いて所得202万円となります。

私の実体験から 離婚当初、年収180万円だった私は児童扶養手当を満額受給していました。月額44,140円は本当に助かりました。「これだけで娘の保育料がまかなえる」と、どれほど心の支えになったか分かりません。

現在は年収が上がったため一部支給となっていますが、それでも月額1万円程度受給しており、娘の習い事代に充てています。

申請方法

  1. 住所地の市区町村役場の児童家庭課などで申請
  2. 必要書類:戸籍謄本、住民票、所得証明書、年金手帳など
  3. 申請から約1〜2ヶ月で支給開始

注意点:現況届を忘れずに 毎年8月に「現況届」の提出が必要です。これを忘れると支給が停止されてしまいます。私は手帳にマーカーで印をつけて、絶対に忘れないようにしています。

2-2 特別児童扶養手当:障がいを持つお子さんへの支援

身体・知的・精神に障がいを持つ20歳未満の児童を家庭で監護・養育している場合に支給されます。

支給額

  • 1級(重度):月額53,700円
  • 2級(中度):月額35,760円

「うちの子は軽度の発達障がいだから対象外では?」と思われがちですが、医師の診断があれば対象となる場合があります。諦めずに相談してみてください。

2-3 児童手当:すべての家庭への支援

ひとり親家庭に限らず、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給されます。

支給額

  • 3歳未満:月額15,000円
  • 3歳以上小学校修了前:月額10,000円(第3子以降は15,000円)
  • 中学生:月額10,000円

所得制限 令和4年10月から新たに「所得上限限度額」が設けられ、一定以上の所得がある場合は支給されなくなりました。ひとり親家庭の場合、この制限に引っかかるケースは少ないですが、念のため確認しておきましょう。

2-4 就学援助:教育費の負担を軽減

経済的理由により就学困難と認められる児童・生徒の保護者に対し、学用品費、修学旅行費、学校給食費などが援助される制度です。

援助内容

  • 学用品費・通学用品費
  • 校外活動費
  • 新入学児童生徒学用品費
  • 修学旅行費
  • 学校給食費
  • クラブ活動費
  • 生徒会費・PTA会費

私の経験では、新入学児童生徒学用品費(小学校50,600円、中学校60,000円)は特にありがたかったです。ランドセルや制服代など、新入学時は本当にお金がかかりますから。

申請方法 各市区町村の教育委員会または在学する学校に申請します。年度当初に学校から案内が配布されることが多いので、見逃さないようにしましょう。

2-5 高等学校等就学支援金:高校教育費の支援

私立・公立を問わず、高等学校等に通う所得等要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料に充てるため支給される制度です。

支給額

  • 公立高校:年額118,800円(授業料相当額)
  • 私立高校:年額118,800円〜396,000円(世帯年収に応じて)

「私立高校は無理」と諦めていませんか?ひとり親家庭の場合、多くのケースで私立高校でも実質無償化の対象となります。

2-6 大学等奨学給付金:高校生への生活支援

高校生等がいる低所得世帯に対して、授業料以外の教育費(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、校外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等)を支援する制度です。

支給額(年額)

  • 生活保護受給世帯:32,300円
  • 住民税所得割非課税世帯(ひとり親家庭):129,700円
  • 住民税所得割非課税世帯(その他):84,000円

「住民税所得割非課税って何?」という方も多いでしょう。簡単に言うと、年収が約270万円以下(扶養家族の状況により変動)の世帯が対象となります。

第3章:自治体独自の支援制度

3-1 ひとり親家庭等医療費助成

多くの自治体で実施している医療費助成制度です。私の住む地域では、子どもの医療費が中学生まで無料、私自身の医療費も月額上限1,000円となっており、本当に助かっています。

一般的な助成内容

  • 子どもの医療費:無料または月額上限設定
  • ひとり親の医療費:月額上限1,000円〜3,000円程度

ただし、自治体によって大きく異なります。例えば:

  • 東京都港区:高校生まで医療費無料
  • 大阪府:中学生まで1日500円、月2回まで自己負担
  • 沖縄県:小学生まで無料

引っ越しを検討されている方は、この制度も比較検討材料の一つにしてみてください。

3-2 認可保育所の優先入所

ひとり親家庭の子どもは、認可保育所への入所選考で加点される場合があります。

加点の例

  • ひとり親家庭:+3〜5点
  • 生活保護世帯:+2〜3点
  • 市民税非課税世帯:+1〜2点

私も娘の保育所入所時にこの制度を活用しました。希望していた保育所に入れたのも、この加点があったからこそです。

3-3 住宅関連の支援

①公営住宅の優先入居 多くの自治体で、ひとり親家庭は公営住宅への優先入居制度があります。

②家賃補助制度 自治体によっては、民間住宅に住むひとり親家庭に家賃補助を行っているところもあります。

例:東京都新宿区「ファミリー世帯家賃助成」

  • 月額最大3万円の家賃助成(所得制限あり)
  • 助成期間:最長5年間

私の体験談 離婚当初、公営住宅の抽選に3回連続で落選し、心が折れそうになりました。でも、ひとり親家庭向けの優先枠に応募したところ、4回目で入居が決まりました。家賃が3万円になったことで、生活に余裕ができ、娘との時間も増えました。

3-4 交通費助成

①JR通勤定期券の割引 児童扶養手当受給者は、JR通勤定期券を3割引で購入できます。

②都市部での交通費助成

  • 東京都:都営交通の無料乗車券
  • 大阪市:市営地下鉄・バスの無料乗車券
  • 福岡市:市営地下鉄の割引制度

3-5 上下水道料金の減免

多くの自治体で、児童扶養手当受給世帯の上下水道料金の減免制度があります。

一般的な減免内容

  • 基本料金:全額または半額免除
  • 従量料金:使用量に応じて一部免除

月額数千円の節約になりますが、年間では2〜3万円の効果があります。私の家計では、この浮いた分を娘の習い事代に充てています。

第4章:就労支援制度で経済的自立を目指す

4-1 自立支援教育訓練給付金

ひとり親家庭の経済的自立を支援するため、就業に必要な技能や資格取得のための教育訓練講座を受講した場合、費用の一部が支給される制度です。

対象講座

  • 雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座
  • その他、都道府県等が地域の実情に応じて対象とする講座

支給額

  • 受講費用の60%(上限20万円、4千円以下は支給なし)
  • 修学期間が3年を超える場合:最大80万円

私の相談者の中には、この制度を使って介護福祉士の資格を取得し、正社員として就職された方がいます。「資格があることで面接でも自信を持って話せた」と話されていました。

4-2 高等職業訓練促進給付金

看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士、作業療法士等の資格取得のため、1年以上のカリキュラムを修業する場合に、修業期間中の生活の負担軽減のために支給される制度です。

支給額

  • 住民税非課税世帯:月額100,000円
  • 住民税課税世帯:月額70,500円
  • 支給期間:修業期間の全期間(上限4年)

修了支援給付金 養成機関での修学を修了した場合に支給

  • 住民税非課税世帯:50,000円
  • 住民税課税世帯:25,000円

私が支援したケース シングルマザーのAさん(30歳)は、この制度を利用して准看護師から正看護師への資格アップを図りました。2年間の修学期間中、月額10万円の給付を受けながら勉強に専念。現在は病院で正看護師として年収400万円を得ています。

「子どもとの時間が減るのは心配だったけど、将来の安定のためと割り切りました。給付金があったからこそ、安心して勉強に集中できました」とAさんは振り返ります。

4-3 高等職業訓練促進資金貸付

高等職業訓練促進給付金を活用して養成機関に在学し、就職に有利な資格の取得を目指すひとり親家庭の方に対し、入学準備金・就職準備金の貸付を行う制度です。

貸付内容

  • 入学準備金:50万円以内
  • 就職準備金:20万円以内
  • 利子:無利子
  • 返還免除:養成機関卒業から1年以内に資格を活かして就職し、5年間継続して就業した場合

4-4 母子・父子・寡婦福祉資金貸付金

経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するため、各種資金の貸付を行う制度です。

主な貸付種類と限度額

  • 事業開始資金:286万円
  • 事業継続資金:143万円
  • 修学資金:月額27,000円〜183,000円
  • 技能習得資金:月額68,000円
  • 修業資金:月額68,000円
  • 就職支度資金:10万円
  • 医療介護資金:34万円
  • 生活資金:月額108,000円
  • 住宅資金:150万円
  • 転宅資金:26万円
  • 就学支度資金:59万円〜590,000円
  • 結婚資金:30万円

私の活用体験 娘が大学受験の年、就学支度資金として50万円をお借りしました。入学金に充てることができ、「お金がないから大学は諦めて」と言わずに済みました。現在、娘は大学3年生。卒業後の就職が決まったら返済開始予定です。

第5章:住まいの支援制度

5-1 公営住宅制度の詳細

公営住宅は、住宅に困窮する低所得者に対して、国と地方公共団体が協力して供給する住宅です。

入居資格

  • 同居親族がいること(ひとり親家庭は単身でも可)
  • 収入が基準以下であること
  • 現在住宅に困っていること
  • 税金を滞納していないこと

収入基準 月収158,000円以下(収入分位25%以下)が基本ですが、ひとり親家庭、高齢者世帯、身体障害者世帯等は214,000円以下(収入分位40%以下)まで緩和されます。

家賃の計算方法 公営住宅の家賃は、入居者の収入、住宅の立地条件、規模、建設時期などを総合的に勘案して決定されます。

私が公営住宅に入居した経緯 離婚直後、民間のアパートに住んでいましたが、家賃7万円は収入に対してあまりにも重い負担でした。公営住宅に申し込んだところ、ひとり親家庭の優先枠で2回目の抽選で当選。3DKで家賃3万円の住宅に入居できました。

この家賃軽減により、月4万円の節約ができ、その分を娘の教育費や自分のスキルアップ費用に回すことができました。

5-2 ひとり親家庭向け公営住宅の特別枠

多くの自治体では、ひとり親家庭向けの特別枠を設けています。

東京都営住宅の場合

  • 一般抽選:倍率20倍〜30倍
  • ひとり親家庭向け:倍率10倍程度
  • 当選確率が約2〜3倍高くなります

特別枠の申込み条件 一般的には、以下の条件を満たす必要があります:

  • 20歳未満の子を扶養していること
  • 配偶者がいないこと
  • 前年の総所得金額が一定額以下であること

5-3 民間住宅の家賃補助制度

自治体によっては、民間住宅に住むひとり親家庭に対して家賃補助を行っているところもあります。

東京都板橋区の例

  • 対象:ひとり親家庭で18歳未満の子を養育
  • 補助額:家賃月額の1/2(上限25,000円)
  • 期間:最長3年間
  • 所得制限:児童扶養手当の所得制限に準ずる

千葉県船橋市の例

  • 対象:母子・父子世帯
  • 補助額:家賃月額の1/2(上限15,000円)
  • 期間:最長5年間

5-4 住宅確保給付金

主に離職等により住宅を失った又は失うおそれのある方に対して、就職に向けた活動をすることなどを条件に、家賃相当額を支給する制度です。

支給額 各地域の住宅扶助基準額が上限(東京都特別区の単身世帯で53,700円など)

支給期間 原則3ヶ月(就職活動等を誠実に行っている場合は3ヶ月延長可能、再延長で最大9ヶ月)

私の相談事例 コロナ禍で勤務時間が大幅に減少したシングルマザーのBさんが、この制度を利用されました。家賃5万円のうち、3ヶ月間全額補助を受けながら転職活動を行い、より安定した職場への転職を成功させました。

第6章:教育支援制度の活用方法

6-1 幼児教育・保育の無償化

3歳から5歳までの幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償化されています。

対象施設・サービス

  • 幼稚園、保育所、認定こども園等
  • 地域型保育(小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育)
  • 企業主導型保育事業

住民税非課税世帯は0歳から2歳も無償化 ひとり親家庭の多くが該当する住民税非課税世帯では、0歳から2歳までの子どもも保育料が無償化されます。

私の実体験 娘が3歳になった時、月額3万円の保育料が無償化されました。年間36万円の節約効果は非常に大きく、この分を娘の習い事や自分の資格取得費用に充てることができました。

6-2 私立幼稚園等の補助金

私立幼稚園に通う場合も、住んでいる市区町村から補助金が支給される場合があります。

一般的な補助額

  • 生活保護世帯:308,000円
  • 市町村民税非課税世帯:272,000円
  • 市町村民税所得割額77,100円以下:139,200円

6-3 小中学校の就学援助制度詳細

前章でも触れましたが、就学援助制度についてより詳しく説明します。

援助を受けられる方

  • 生活保護を受けている方(要保護者)
  • 生活保護を受けていないが、それに準ずる程度に困窮している方(準要保護者)

準要保護者の認定基準例

  • 児童扶養手当を受給している
  • 住民税が非課税または減免されている
  • 国民年金保険料の免除を受けている
  • 国民健康保険料の減免を受けている
  • 生活福祉資金の貸付を受けている

支給時期と手続き 多くの自治体では、年3回(7月、12月、3月)に分けて支給されます。年度当初に学校から申請書が配布されますが、年度途中でも申請可能です。

私の体験談 娘が小学校に入学する際、就学援助で支給された「新入学児童生徒学用品費」50,600円は本当に助かりました。ランドセル、文房具、体操服など、想像以上にお金がかかりましたから。

さらに、修学旅行費も全額支給されるため、「お金がないから参加できない」という心配をしなくて済みました。

6-4 高校生等奨学給付金の詳細

高校生等がいる低所得世帯を対象とした給付型の支援制度です。

対象世帯

  • 生活保護(生業扶助)受給世帯
  • 住民税所得割非課税世帯

支給額(令和5年度) 国公立高校の場合:

  • 生活保護受給世帯:32,300円
  • 非課税世帯(第1子):84,000円
  • 非課税世帯のひとり親世帯:129,700円

私立高校の場合:

  • 生活保護受給世帯:52,600円
  • 非課税世帯(第1子):103,500円
  • 非課税世帯のひとり親世帯:138,000円

注目ポイント ひとり親世帯は支給額が大幅に加算されます。これは、ひとり親家庭の経済的困窮度が高いことを国が認識している証拠でもあります。

6-5 大学等の進学支援制度

高等教育の修学支援新制度 大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の学費負担を軽減する制度です。

支援内容 ①授業料等減免 ②給付型奨学金

支援額の目安(私立大学の場合)

  • 住民税非課税世帯:授業料減免70万円+給付奨学金75万円
  • 年収300万円未満相当:上記の2/3
  • 年収380万円未満相当:上記の1/3

私の娘の大学進学 現在大学3年生の娘は、この制度を利用しています。私立大学ですが、授業料は年額20万円程度、さらに月額5万円の給付奨学金を受給。アルバイトと合わせて、学費・生活費とも自立しています。

「お母さん、私の分のお金は貯めておいて」と言ってくれる娘の成長に、涙が出そうになります。

第7章:税制上の優遇措置

7-1 寡婦控除・ひとり親控除

令和2年分から新設された「ひとり親控除」と、改正された「寡婦控除」について説明します。

ひとり親控除 以下の要件を満たすひとり親(男性・女性問わず)が対象:

  • 現在婚姻していない又は配偶者の生死が明らかでない
  • 生計を一にする子(総所得金額等48万円以下)がいる
  • 合計所得金額が500万円以下
  • 控除額:35万円

寡婦控除 以下の要件を満たす女性が対象:

  • 夫と離婚した後婚姻をしておらず、合計所得金額が500万円以下で、かつ扶養親族がいる
  • 夫と死別した後婚姻をしていない又は夫の生死が明らかでない
  • 控除額:27万円

私の税金軽減効果 年収300万円の場合、ひとり親控除35万円により、所得税約18,000円、住民税約35,000円の軽減効果があります。年間約5万円の節税です。

7-2 国民健康保険料の軽減

ひとり親家庭の多くが加入する国民健康保険では、所得に応じた保険料の軽減制度があります。

軽減割合

  • 7割軽減:33万円以下
  • 5割軽減:33万円+(被保険者数×28.5万円)以下
  • 2割軽減:33万円+(被保険者数×52万円)以下

私のケース 年収200万円の時代、国民健康保険料は7割軽減が適用され、月額3,000円程度でした。通常であれば月額2万円程度の負担となるところ、大幅な軽減を受けることができました。

7-3 国民年金保険料の免除・納付猶予

所得が少なく国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、申請により保険料の納付が免除または猶予される制度があります。

免除の種類

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

免除基準(単身世帯の場合)

  • 全額免除:57万円
  • 4分の3免除:78万円
  • 半額免除:118万円
  • 4分の1免除:158万円

私の経験 離婚直後の2年間は全額免除を受けました。将来の年金額は減りますが、追納制度もあるので、収入が安定してから10年以内に追納すれば年金額を満額に戻すことも可能です。

7-4 住民税の非課税制度

住民税には非課税限度額があり、一定の所得以下の場合は住民税がかかりません。

非課税限度額の計算 扶養親族がいる場合:35万円×(本人+扶養親族数)+32万円

例:シングルマザーと子ども1人の場合 35万円×2人+32万円=102万円 給与収入に換算すると約204万円以下で住民税非課税となります。

住民税非課税のメリット 住民税が非課税になると、様々な制度で優遇を受けられます:

  • 国民健康保険料の軽減
  • 高等学校等就学支援金の加算
  • 大学等の授業料減免
  • 各種手当の所得制限緩和

第8章:医療費支援制度

8-1 ひとり親家庭等医療費助成制度詳細

この制度は都道府県・市区町村が実施する制度のため、地域によって内容が大きく異なります。

一般的な対象者

  • 児童扶養手当の支給対象となる程度の収入のひとり親家庭
  • 両親のいない児童を育てている家庭

助成内容の例 東京都の場合:

  • 本人:医療費の自己負担分から一部負担金を控除した額
  • 児童:医療費の自己負担分全額

大阪府の場合:

  • 1医療機関につき月2日まで1日500円、3日目からは無料
  • 調剤薬局は無料

私の活用体験 娘が小さい頃、中耳炎で毎週のように耳鼻科に通っていました。通常なら毎回1,500円程度の負担が発生するところ、この制度により負担はありませんでした。年間で考えると、数万円の節約効果があったと思います。

8-2 小児慢性特定疾病医療費助成

18歳未満(引き続き治療が必要な場合は20歳未満)の小児慢性特定疾病にかかっている児童等について、健康保険適用後の自己負担分を助成する制度です。

対象疾病 悪性新生物、慢性腎疾患、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、内分泌疾患、膠原病、糖尿病、先天性代謝異常、血友病等血液・免疫疾患、神経・筋疾患、慢性消化器疾患、染色体または遺伝子に変化を伴う症候群、皮膚疾患、骨系統疾患、脈管系疾患の16疾患群

自己負担上限額 世帯の所得税額に応じて月額0円〜15,000円

8-3 未熟児養育医療

身体の発育が未熟なまま生まれ、入院を必要とする乳児に対して、その治療に必要な医療費を公費で負担する制度です。

対象となる乳児 出生時体重が2,000g以下、または生活力が特に薄弱であって医師が入院養育を必要と認めた乳児

私の相談事例 相談者のCさんは、お子さんが早産で生まれ、3ヶ月間のNICU入院が必要でした。通常であれば数百万円の医療費がかかるところ、この制度により月額2万円程度の負担で済みました。

第9章:申請方法と手続きのコツ

9-1 申請書類の準備

多くの制度で共通して必要となる書類をまとめました。

基本的な書類

  • 戸籍謄本(離婚日、子どもとの続柄が分かるもの)
  • 住民票(世帯全員、続柄記載のもの)
  • 所得証明書(前年分)
  • 預金通帳のコピー(振込先口座)
  • 印鑑

追加で必要な場合がある書類

  • 年金証書、年金裁定通知書等
  • 給与明細書(直近3ヶ月分)
  • 健康保険証のコピー
  • 障害者手帳(該当する場合)
  • 学生証のコピー(就学中の場合)

私の書類管理術 必要書類は専用のファイルにまとめて保管しています。特に戸籍謄本や住民票は有効期限があるため、取得日をメモしておき、期限切れ前に更新するようにしています。

9-2 役所での手続きの流れ

①事前準備

  • 制度の概要を調べる
  • 必要書類を確認・準備
  • 申請窓口と受付時間を確認

②窓口での申請

  • 番号札を取る
  • 申請書類を記入
  • 担当者との面談
  • 書類提出

③審査・決定

  • 書類審査(1〜2ヶ月程度)
  • 必要に応じて追加書類の提出
  • 支給決定通知書の送付

④受給開始

  • 指定口座への振込み
  • 継続手続き(現況届等)

窓口での対応のコツ 役所の担当者も人間です。丁寧で感謝の気持ちを示せば、より親身になって相談に乗ってくれます。私は「いつもお疲れさまです」という挨拶から始めるようにしています。

9-3 申請時期と優先順位

最優先で申請すべき制度

  1. 児童扶養手当(最も重要、他の制度の基準にもなる)
  2. ひとり親家庭等医療費助成
  3. 児童手当
  4. 就学援助

次に検討する制度

  1. 公営住宅申込み
  2. 保育園申込み(優先入所)
  3. 各種手数料等の減免

年収が上がってきたら検討する制度

  1. 自立支援教育訓練給付金
  2. 高等職業訓練促進給付金

9-4 申請を忘れがちな制度

①上下水道料金の減免 水道局への申請が必要ですが、意外と知られていません。

②NHK受信料の免除 児童扶養手当受給世帯は全額免除の対象です。

③携帯電話料金の割引 大手キャリアでは、児童扶養手当受給者向けの料金プランがあります。

私の失敗談 離婚から1年間、NHK受信料の免除制度を知らずに通常料金を支払っていました。さかのぼっての減免はできないため、約3万円の損失となりました。皆さんは私のような失敗をしないよう、早めの申請をお勧めします。

第10章:制度活用の成功事例

10-1 Dさんの事例:パート→正社員への転身

基本情報

  • 年齢:35歳
  • 子ども:小学3年生の娘
  • 離婚時の状況:パート勤務(時給900円、月収8万円)

活用した制度

  1. 児童扶養手当:月額44,140円
  2. 自立支援教育訓練給付金:医療事務講座受講
  3. 高等職業訓練促進給付金:介護福祉士資格取得
  4. ひとり親家庭等医療費助成
  5. 公営住宅入居

成果 3年後に介護福祉士として正社員就職。年収320万円を実現。

Dさんの言葉 「最初は『私には無理』と思っていましたが、ファイナンシャルプランナーさんに『制度をフル活用すれば必ずできる』と言われ、一歩ずつ進めました。今では娘に『お母さんかっこいい』と言ってもらえます」

10-2 Eさんの事例:シングルファザーの起業成功

基本情報

  • 年齢:40歳
  • 子ども:中学1年生の息子、小学4年生の娘
  • 離婚時の状況:会社員(年収400万円)→リストラ

活用した制度

  1. 母子・父子・寡婦福祉資金貸付金:事業開始資金200万円
  2. 住宅確保給付金:家賃補助3ヶ月
  3. 就学援助:2人分
  4. 高等学校等就学支援金

成果 ITコンサルティング業で独立。現在年収600万円。

Eさんの振り返り 「男性だから支援は少ないと思っていましたが、実際には多くの制度を利用できました。特に事業開始資金の貸付は、夢を現実にする大きな支えとなりました」

10-3 私自身の体験:年収180万円→450万円への道のり

離婚当初(5年前)

  • 年収:180万円(パート勤務)
  • 貯金:20万円
  • 住居:民間アパート(家賃7万円)

活用した制度

  1. 児童扶養手当
  2. 自立支援教育訓練給付金(FP資格取得)
  3. 公営住宅入居
  4. ひとり親家庭等医療費助成
  5. 各種減免制度

現在

  • 年収:450万円(ファイナンシャルプランナー)
  • 貯金:300万円
  • 住居:公営住宅(家賃3万円)

成功のポイント 制度を活用して生活を安定させながら、スキルアップに投資したことが大きなターニングポイントでした。特に、家賃が下がったことで月4万円の余裕ができ、その分を資格取得費用に充てることができました。

第11章:よくある質問と回答

11-1 制度利用に関する不安

Q1:制度を利用することで、周りの人に知られてしまうのでは?

A:制度の利用は個人情報として厳格に保護されています。学校の就学援助を例に取ると、支給方法も他の児童・生徒に分からないよう配慮されています。私自身、5年間様々な制度を利用していますが、それが理由で嫌な思いをしたことは一度もありません。

Q2:年収が少し上がったら、すべての制度が使えなくなる?

A:制度によって所得制限が異なるため、年収が上がってもすぐに全ての制度が使えなくなるわけではありません。段階的に制度から卒業していくイメージです。また、年収が上がること自体が目標なので、むしろ喜ばしいことです。

Q3:申請手続きが複雑で、時間がない

A:確かに最初は大変ですが、一度申請してしまえば、継続手続きはそれほど複雑ではありません。私は平日の午前中に半休を取って手続きを集中的に行いました。年1回の現況届程度であれば、それほど負担にはなりません。

11-2 制度の併用に関する質問

Q4:複数の制度を同時に利用しても大丈夫?

A:基本的に問題ありません。むしろ、組み合わせることで相乗効果が生まれます。ただし、同じ目的の制度を重複して利用することはできません(例:同じ子どもの医療費を複数の制度で助成を受けるなど)。

Q5:制度を利用していると、税金の計算はどうなる?

A:児童扶養手当などの給付金は非課税所得のため、税金はかかりません。また、ひとり親控除により税負担も軽減されます。詳しくは税務署や税理士にご相談ください。

11-3 将来への不安

Q6:制度に頼りすぎて、自立できなくなるのでは?

A:制度は自立のための「はしご」だと考えてください。私も最初は制度に依存していましたが、それをきっかけに資格を取得し、現在は経済的に自立しています。制度を利用している間に、次のステップに向けた準備を進めることが重要です。

Q7:子どもが成長したら、どうなる?

A:多くの制度は子どもが18歳または20歳になるまでです。しかし、それまでの間に経済基盤を安定させ、スキルアップを図ることで、制度終了後も安心して生活できるようになります。

第12章:制度活用の注意点とリスク管理

12-1 申請時の注意点

①正確な情報提供 申請書類には正確な情報を記載してください。後で虚偽の申告が発覚すると、給付金の返還を求められることがあります。

②書類の保管 申請に使用した書類のコピーは必ず保管してください。後で問い合わせがあった場合や、他の制度を利用する際に必要になることがあります。

③期限の管理 現況届の提出期限は厳格に守ってください。期限を過ぎると給付が停止されてしまいます。

12-2 所得が変動した場合の対応

①所得が増加した場合 昇進や転職で所得が増加した場合、速やかに届け出る必要があります。制度によっては支給額が減額されたり、支給停止となったりしますが、これは正常な手続きです。

②所得が減少した場合 逆に所得が減少した場合は、支給額が増額される可能性があります。こちらも忘れずに届け出ましょう。

12-3 制度改正への対応

社会保障制度は定期的に改正されます。最新の情報は以下で確認できます:

  • 厚生労働省ホームページ
  • 住所地の市区町村ホームページ
  • 広報誌

私は年に1回、利用している制度の最新情報をチェックするようにしています。

第13章:支援制度を活用した将来設計

13-1 段階別の活用戦略

第1段階:生活安定期(0〜2年) まずは各種手当や減免制度を活用して、生活を安定させることが最優先です。

  • 児童扶養手当
  • 医療費助成
  • 住居費削減(公営住宅等)
  • 各種減免制度

第2段階:スキルアップ期(2〜5年) 生活が安定してきたら、将来の自立に向けたスキルアップに投資します。

  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金
  • 資格取得による転職準備

第3段階:経済自立期(5年〜) 安定した収入を得られるようになったら、段階的に制度から卒業していきます。

  • 制度の段階的卒業
  • 老後資金の積立開始
  • 子どもの教育資金準備

13-2 教育資金の準備方法

つみたてNISAの活用 制度を利用して節約できた分は、将来のために投資することをお勧めします。私は月1万円をつみたてNISAで積立投資しており、娘の大学費用として活用する予定です。

学資保険との比較 学資保険よりもつみたてNISAの方が、長期的な資産形成には有利です。ただし、元本割れのリスクもあるため、リスク許容度に応じて選択してください。

13-3 老後資金の考え方

ひとり親の場合、老後の生活設計は特に重要です。

国民年金の満額受給 免除期間がある場合は、10年以内であれば追納が可能です。老後の年金額を増やすためにも、余裕ができたら追納を検討しましょう。

iDeCoの活用 所得控除の効果も大きく、老後資金作りには最適な制度です。月額5,000円からでも始められます。

私の老後設計 現在45歳の私は、60歳までに老後資金1,000万円を目標にしています。つみたてNISAとiDeCoを併用し、月額3万円を積立投資しています。

第14章:地域別支援制度の特徴

14-1 都市部の特徴

東京都

  • 制度が充実している
  • 住宅費が高いため、住宅関連の支援が手厚い
  • 保育所の充実度が高い

大阪府

  • 医療費助成制度が比較的充実
  • 就労支援制度が豊富
  • 交通費助成制度が充実

14-2 地方都市の特徴

メリット

  • 生活費が安い
  • 地域コミュニティの支援が期待できる
  • 住宅確保が比較的容易

デメリット

  • 就労機会が限られる
  • 制度の充実度にばらつきがある
  • 交通の便が悪い場合がある

14-3 転居を検討する際のポイント

①制度の比較 転居前に転居先の制度を詳しく調べましょう。特に児童扶養手当以外の自治体独自制度は大きく異なります。

②総合的な判断 制度の充実度だけでなく、就労機会、住環境、子どもの教育環境なども総合的に判断しましょう。

私の転居体験 実は私も一度、より制度が充実している自治体への転居を検討しました。しかし、職場との距離、娘の学校環境などを総合的に考慮し、現在の場所に留まることにしました。制度も重要ですが、生活の質全体を考えることが大切です。

第15章:民間支援制度の活用

15-1 企業が実施する奨学金制度

多くの企業が独自の奨学金制度を設けています。

代表的な奨学金制度

  • 公益財団法人キーエンス財団:月額8万円(返済不要)
  • 公益財団法人伊藤謝恩育英財団:月額3万円(返済不要)
  • あしなが育英会:月額4万円〜8万円(無利子貸与)

私の活用体験 娘の大学進学時、複数の民間奨学金に応募しました。その中で、地元企業が実施する奨学金(月額2万円、返済不要)に採用され、4年間で96万円の支援を受けました。

15-2 NPO法人等の支援

フードバンク 経済的に困窮している家庭に食料を無償で提供する活動です。多くの地域で実施されています。

学習支援 子どもの学習をサポートするNPO法人も多数あります。無料または低料金で学習指導を受けることができます。

相談支援 ひとり親家庭の相談に応じるNPO法人もあります。制度の案内だけでなく、精神的なサポートも受けられます。

15-3 宗教団体等の支援

宗教団体でも様々な支援活動を行っています。信者でなくても利用できる場合が多いので、地域の情報を収集してみてください。

第16章:支援制度以外の生活防衛術

16-1 家計管理のコツ

①固定費の見直し

  • 携帯電話:格安SIMへの変更で月額3,000円削減
  • 保険:必要最小限の保障に見直し
  • 光熱費:電力・ガス会社の変更

②食費の節約

  • 業務用スーパーの活用
  • 冷凍食品の有効活用
  • まとめ買いによる単価削減

③子育て費用の節約

  • リサイクルショップの活用
  • フリマアプリでの売買
  • 地域の子育て用品交換会への参加

私の家計管理術 月初に生活費を項目別に封筒に分けて管理しています。現金が見えることで、使いすぎを防げます。また、1円単位まで記録する家計簿は続かないので、100円単位でざっくりと記録しています。

16-2 副収入の確保

①在宅ワーク

  • データ入力
  • ライティング
  • オンライン講師

②スキルの活用

  • 家事代行
  • ベビーシッター
  • 英会話レッスン

③フリマアプリ 不要になった衣類や雑貨を販売することで、月1〜2万円の収入を得ることも可能です。

私の副収入体験 ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、週末にセミナー講師として活動を開始しました。月2〜3回のセミナーで月額5万円程度の収入を得ています。

16-3 緊急時の対応

①緊急小口資金 生活福祉資金の一種で、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に利用できます。

  • 貸付上限額:10万円
  • 据置期間:2ヶ月以内
  • 償還期限:12ヶ月以内
  • 無利子

②総合支援資金 失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となった世帯に対する貸付制度です。

  • 生活支援費:月額15万円以内(単身世帯)、20万円以内(2人以上世帯)
  • 住宅入居費:40万円以内
  • 一時生活再建費:60万円以内

第17章:精神的サポートの重要性

17-1 相談窓口の活用

①公的相談窓口

  • 市区町村の福祉課
  • 家庭児童相談室
  • 母子・父子自立支援員

②民間相談窓口

  • ひとり親家庭支援センター
  • NPO法人の相談室
  • 電話相談サービス

私の相談体験 離婚直後、すべてを一人で抱え込んでしまい、精神的に参ってしまった時期がありました。市の母子自立支援員さんに相談したところ、「あなたは一人じゃない、みんなで支えます」と言ってもらえ、涙が止まりませんでした。

17-2 同じ境遇の人との交流

①ひとり親家庭の会 多くの地域に「母子会」「父子会」があります。情報交換だけでなく、精神的な支えにもなります。

②オンラインコミュニティ SNSやアプリを通じて、同じ境遇の人と交流することも可能です。

③子育てサークル 地域の子育てサークルに参加することで、自然な形で交流の輪を広げることができます。

17-3 子どもの心のケア

①子どもとの対話 年齢に応じて、家庭の状況を正直に話すことも大切です。隠し事をすると、子どもはより不安になります。

②学校との連携 学校に家庭の状況を伝えることで、適切な配慮を受けることができます。

③専門機関の活用 必要に応じて、児童心理士やカウンセラーの支援を受けることも検討してください。

私の子育て体験 娘には5歳の時に、年齢に合わせて離婚の理由を説明しました。「パパとママは一緒に住めなくなったけど、○○ちゃんを愛する気持ちは変わらない」と伝えると、「わかった、頑張る」と言ってくれました。子どもは大人が思うよりもずっと理解力があります。

第18章:制度活用の成功への道筋

18-1 短期目標の設定

1年目の目標

  • すべての該当制度への申請完了
  • 生活の安定化
  • 貯金10万円の達成

2年目の目標

  • スキルアップの開始
  • 副収入の確保
  • 貯金50万円の達成

3年目以降の目標

  • 正社員への転職または収入アップ
  • 制度からの段階的卒業
  • 将来資金の積立開始

18-2 長期ビジョンの描き方

①10年後の理想像 制度を活用しながらスキルアップを図り、経済的に自立している状態を目指します。

②子どもの将来 子どもが希望する進路を経済的理由であきらめることがないよう、教育資金を準備します。

③老後の安心 年金だけでなく、自助努力による老後資金も準備します。

18-3 挫折しないためのコツ

①完璧を求めない すべての制度を完璧に活用しようとすると疲れてしまいます。できることから一つずつ始めましょう。

②小さな成功を積み重ねる 月1万円の節約ができた、新しい資格を取得したなど、小さな成功を大切にしましょう。

③周囲のサポートを受け入れる 一人で頑張りすぎず、周囲のサポートを素直に受け入れることも大切です。

私からのメッセージ 私も最初から順調だったわけではありません。制度の申請を忘れて損をしたり、書類不備で何度も役所に足を運んだり、失敗もたくさんありました。でも、一歩ずつ前に進むことで、必ず状況は改善します。

おわりに:あなたの明日は必ず変えられる

この記事を最後まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。

シングルマザー・ファザーの道のりは決して平坦ではありません。私も5年前、深夜に家計簿と向き合いながら、「この先どうなるんだろう」と不安で眠れない夜を過ごしていました。

でも、今振り返ってみると、あの時の不安や困難すべてが、現在の私を形作る大切な経験だったと思えます。そして、何より支援制度があったからこそ、今の安定した生活があります。

制度は恥ずかしいものではありません

「支援制度を利用するのは恥ずかしい」と思う必要はありません。これらの制度は、社会全体で子どもを育てるという理念のもとに作られた、あなたの正当な権利なのです。

情報を知ることが第一歩

今日この記事を読んだことが、あなたの人生を変える第一歩になるかもしれません。まずは一つの制度でも構いません。できることから始めてみてください。

あなたは一人じゃない

全国には同じような境遇で頑張っている仲間がたくさんいます。私たちファイナンシャルプランナーも含め、あなたを支えたいと思っている人がたくさんいることを忘れないでください。

子どもたちの笑顔のために

何より、あなたが頑張っている姿を、お子さんはしっかりと見ています。制度を活用して生活を安定させることで、お子さんにも安心して成長できる環境を提供できます。

私の娘は現在8歳になりましたが、時々「お母さん、頑張ってるね」と言ってくれます。その一言が、どれほど私の励みになるか分かりません。きっと皆さんのお子さんも、同じように思ってくれているはずです。

最後に

この記事が、皆さんの生活に少しでも役立てば幸いです。制度は複雑で分かりにくい部分もありますが、諦めずに一歩ずつ進んでいけば、必ず道は開けます。

皆さんの明日が今日よりも少しでも明るくなることを、心から願っています。そして、いつか「制度を活用して良かった」と笑顔で振り返る日が来ることを、確信しています。

頑張っているあなたへ、心からのエールを送ります。


筆者について 田中美和 CFP®認定者・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 シングルマザーとして8歳の娘を育てながら、ひとり親家庭の家計相談を中心に活動。自身の経験を活かした実践的なアドバイスに定評がある。

免責事項 本記事の情報は2025年9月時点のものです。制度内容や支給額等は改正される場合がありますので、最新情報は各自治体の窓口でご確認ください。個別の事案については、専門家にご相談いただくことをお勧めします。

参考資料

  • 厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」
  • 内閣府「子ども・子育て支援新制度について」
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
  • 各自治体公式ホームページ
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