1. エグゼクティブ・サマリー
投資スタンス:中立、確信度:65%
ヤプリ(4168)の2025年12月期第2四半期決算は、売上高・利益ともに前年同期比で二桁成長を達成し、堅調な業績を示しました。しかし、この好調な表面的な数値の裏側には、事業構造における重要な変化と、それに伴う新たな投資フェーズへの移行が見て取れます。特に、売上高を牽引するプラットフォーム事業の成長が鈍化する一方で、新たな収益源であるプロフェッショナルサービス事業が大きく伸びており、収益性の面では過去最高を記録したものの、その持続性には慎重な評価が必要です。経営陣は通期計画を据え置いていますが、今後の成長戦略の実行フェーズにおいて、マーケティング投資の効率性、人材採用の進捗、そして新プロダクト「Yappli WebX」の市場浸透が、計画達成の鍵を握ると判断します。
3行サマリー:
- 事実: 第2四半期は売上・利益ともに堅調に成長し、特に営業利益は前年同期比66.6%増と大幅な増益を達成しました。
- 本質: 堅調な利益は売上高の増加だけでなく、人件費や外注費の効率化によるものであり、特にプロフェッショナルサービス(PS)売上が牽引役となりました。しかし、中核事業であるプラットフォーム(PF)売上の成長鈍化は中期的な懸念点です。
- 注目点: 今後、計画通りに利益創出企業へと転換できるか、また新プロダクト「Yappli WebX」が収益の新たな柱として確立できるかを注視します。
主要カタリストとリスク: 【ポジティブ・カタリスト】
- 「Yappli WebX」の早期市場浸透: 5月にリリースされた新プロダクトが、企業のWeb運用内製化ニーズを捉え、既存のアプリ事業に加えて新たな収益源として急成長した場合。
- エンタープライズ顧客の獲得加速: 人的資本経営のトレンドに乗じた「Yappli UNITE」が、大企業からの大型案件を連続して獲得し、平均月額利用料(ARPU)が大幅に上昇した場合。
- 効率的なマーケティング投資: 広告宣伝費を抑制しつつ、リード獲得活動の効率を大幅に改善することで、売上成長を維持しつつ利益率がさらに向上した場合。
【ネガティブ・リスク】
- 競争激化による価格競争: ノーコード・ローコード市場への新規参入や競合の攻勢により、価格競争が激化し、平均月額利用料が下落するリスク。
- 成長戦略の実行遅延: 計画的な人材採用の遅れや、新プロダクトの市場浸透の失敗により、将来の収益成長が鈍化するリスク。
- 景気後退によるIT投資抑制: 不透明な経済状況が継続し、企業がデジタル投資を縮小した場合、顧客獲得および既存顧客のアップセルが停滞するリスク。
2. 事業概要とビジネスモデルの深掘り
ヤプリは、「デジタルを簡単に、社会を便利に」というミッションのもと、プログラミング不要でスマートフォンアプリの開発・運用が可能なノーコードプラットフォーム**「Yappli」
と、顧客管理システム「Yappli CRM」を提供しています 。2025年5月には、AI技術とノーコード開発を融合した次世代型Web構築プラットフォーム
「Yappli WebX」**の提供も開始し、アプリからWebまでの統合的なデジタル体験を提供する「デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)」へと進化を図っています 。
ビジネスモデルの評価: ヤプリの収益モデルは、大きく2つの柱で構成されています 。
- プラットフォーム(PF)売上(ストック収益):
PF売上 = 契約アプリ数 × 平均月額利用料
- プロフェッショナルサービス(PS)売上(フロー収益):
PS売上 = 導入支援件数 × 1件あたりの単価
このビジネスモデルの最大の強みは、売上の大部分を占める
PF売上がストック型(SaaSモデル)であることです。顧客はYappliのプラットフォームを継続的に利用するため、月額利用料(MRR)が安定的に発生し、解約率が低ければ低いほど、将来の収益を予測しやすいという強固な収益基盤を構築しています 。また、ノーコードという特性上、一度導入した顧客が別のプラットフォームへ乗り換える際の
スイッチングコストが高いことも、競争優位性の一つです 。
一方、脆弱性としては、フロー収益であるPS売上への依存度が増している点が挙げられます。PS売上は単発的な案件に依存するため、景気変動や企業のIT投資意欲に左右されやすい性質があります。直近の決算ではPS売上が成長を牽引していますが、これは一過性の要因である可能性も考慮する必要があり、中長期的な成長の鍵は依然としてストック収益であるPF売上が握っています。
競争環境: ヤプリが事業を展開するノーコード/ローコード市場は、国内外を問わず競争が激化しています。国内ではGMOやサイボウズなどが競合となり、海外からはOutSystemsやMendixといった大手プレイヤーも存在します。 ヤプリの相対的な強みは、
「モバイルDXに特化したノーコードプラットフォーム」という明確なポジショニングです 。特に、従業員エンゲージメントアプリの「Yappli UNITE」や、ウェブ構築プラットフォーム「Yappli WebX」といったマルチプロダクト展開は、他社にはないユニークな価値提供につながります 。また、800アプリ以上の運用ノウハウを持つ専門チームによる
充実したカスタマーサクセス支援体制も、単なるツール提供に留まらない同社の大きな差別化要因です 。
3. 業績ハイライトと徹底的な財務分析
P/L分析
項目 | 2025年Q2(累計) | 2024年Q2(累計) | 前年同期増減率 | 通期予想 | 進捗率 |
売上高 | 2,916百万円 | 2,642百万円 | +10.4% | 6,200百万円 | 47.0% |
営業利益 | 449百万円 | 269百万円 | +66.6% | 750百万円 | 59.9% |
経常利益 | 449百万円 | 269百万円 | +66.6% | 730百万円 | 61.5% |
中間純利益 | 445百万円 | 445百万円 | +0.0% | 730百万円 | 61.1% |
【必須】営業利益のブリッジ分析(2024年Q2 → 2025年Q2)
- 2024年Q2 営業利益:269百万円
- ①売上増加による利益変動:
- 売上高増加額:2,916百万円 – 2,642百万円 = 274百万円
- 粗利率:2025年Q2(66.0%)
- 売上総利益増加額(推定):274百万円 × 66.0% = +181百万円
- ②販管費変動による利益変動:
- 2024年Q2 販管費:1,494.8百万円
- 2025年Q2 販管費:1,497.0百万円
- 販管費増加額:+2.2百万円
- ③その他要因による利益変動:
- 営業外損益の改善など、その他の要因による増益分:449百万円 – 269百万円 – 181百万円 – (-2.2百万円) = +1.2百万円
- 2025年Q2 営業利益:449百万円
このブリッジ分析から、営業利益の増加は主に売上総利益の増加によってもたらされたことが明確にわかります。売上高の堅調な伸びが、利益成長の主要なドライバーとなっています。また、人件費など販管費の増加がわずかであり、売上増加率(+10.4%)と比較して非常に効率的なコストコントロールがなされていることが伺えます。
収益性の深掘り: 売上総利益率は前年同期の65.1%から66.0%へ微増しています 。これは、人件費の増加があったものの、サーバー費や外注費の効率化によって吸収されたためと説明されています 。また、営業利益率は前年同期の6.7%から15.2%へと大幅に改善しています 。これは、売上高の増加に加えて、広告宣伝費や人件費といった主要な販管費を効率的に管理した結果です 。特に、広告宣伝費は四半期で1.9億円と、前年同期比で大幅に減少しています 。これは、認知獲得のための先行投資フェーズから、リード獲得に注力するフェーズへと移行したことを示唆しており、将来的な利益率向上に対する経営陣の強いコミットメントが感じられます 。
B/S分析
- 総資産: 214.5百万円増加し、4,282百万円 。
- 現金及び預金: 126.0百万円減少し、1,833百万円 。
- 純資産: 325.0百万円増加し、2,513百万円 。
- 自己資本比率: 51.8%から56.2%へ改善 。
【必須】運転資本の分析: 運転資本の健全性は、企業の短期的な支払い能力とキャッシュ創出能力を評価する上で不可欠です。
- 売上債権回転日数(DSO):
売掛金 / (売上高 / 365)
- 2024年12月期:
666百万円 / (5,511百万円 / 365) = 44日
- 2025年6月期:
671百万円 / (2,916百万円 / 181) = 42日
- 2024年12月期:
- 棚卸資産回転日数(DIO):
仕掛品 / (売上原価 / 365)
- 2024年12月期:
21百万円 / (1,867百万円 / 365) = 4日
- 2025年6月期:
33百万円 / (970百万円 / 181) = 6日
- 2024年12月期:
- 仕入債務回転日数(DPO):
買掛金 / (売上原価 / 365)
- 2024年12月期:
32百万円 / (1,867百万円 / 365) = 6日
- 2025年6月期:
20百万円 / (970百万円 / 181) = 4日
- 2024年12月期:
- CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル):
DSO + DIO - DPO
- 2024年12月期:
44 + 4 - 6 = 42日
- 2025年6月期:
42 + 6 - 4 = 44日
- 2024年12月期:
CCCはわずかに悪化していますが、全体として非常に短く、極めて効率的なキャッシュ・マネジメントが行われていることがわかります。特に、仕掛品(在庫)が短期間で現金化されている点は、同社のビジネスモデル(SaaS)の特性を反映しており、在庫の陳腐化リスクは極めて低いと判断できます。
キャッシュフロー(C/F)分析
- 営業活動によるC/F: 138百万円の獲得(前年同期は87.5百万円の獲得) 。税引前中間純利益449百万円に対して、前払費用が359百万円増加したことによる支出が大きく影響しています 。これは、将来の収益化に向けた先行投資が活発に行われていることを示唆しています。
- 投資活動によるC/F: 542千円の獲得(前年同期は482百万円の使用) 。固定資産の取得が大幅に減少し、投資が抑制されたことがわかります。これは、過去の積極的な設備投資フェーズが一巡したこと、そして利益創出フェーズへの移行を裏付ける兆候と考えられます。
- 財務活動によるC/F: 264百万円の使用(前年同期は690百万円の獲得) 。これは主に自己株式の取得と長期借入金の返済によるものです 。自己株式取得は、株主還元への意識の高まりを示唆すると同時に、成長投資と株主還元のバランスをどのように取るかという経営陣の判断が問われる点です。
営業CFと純利益の乖離(アクルーアル): アクルーアル = (中間純利益 - 営業CF)
- 2025年6月期累計:
445百万円 - 138百万円 = 307百万円
この大きな乖離は、主に前払費用の増加によるものです 。SaaS事業において前払費用は将来の顧客獲得コスト(広告費など)やソフトウェア開発費に充てられることが多く、これが現金支出を伴うため一時的に営業CFを圧迫します。利益の質という観点では、一過性の要因ではなく、将来の売上を確保するための健全な先行投資と評価できます。
資本効率性の評価
【必須】ROICとWACCの評価:
- ROIC(投下資本利益率):
ROIC = 税引後営業利益 / (自己資本 + 有利子負債)
- 2024年12月期:
550百万円 × (1-0.34) / (2,188百万円 + 1,134百万円) = 10.9%
- 2025年6月期累計:
449百万円 × (1-0.34) / (2,513百万円 + 1,020百万円) = 8.3%
(※法人税率は34%と仮定し、ROICは単純計算)
- 2024年12月期:
- WACC(加重平均資本コスト): WACCは通常5%~8%の範囲で推定される。 同社のROICは依然としてWACCを上回っていると推測され、企業価値を創造する経営が行われていると評価できます。ただし、短期的なROICの低下は、前払費用の増加など先行投資の拡大が投下資本を一時的に増加させていることに起因すると考えられます。
ROEのデュポン分解:
- ROE = (当期純利益 / 売上高) × (売上高 / 総資産) × (総資産 / 自己資本)
- 2024年12月期:
ROE = (748/5,511) × (5,511/4,067) × (4,067/2,188) = 13.6% × 1.35 × 1.86 = 34.3%
- 2025年6月期累計:
ROE = (445/2,916) × (2,916/4,282) × (4,282/2,513) = 15.2% × 0.68 × 1.70 = 17.6%
第2四半期累計のROEは前年同期の10.9%から大幅に改善しています。これは、純利益率の大幅な改善が主要な要因です 。売上高に対する利益の効率性が高まったことが、ROE上昇の最大のドライバーとなっています。
- 2024年12月期:
4. 【核心】セグメント情報の徹底解剖
ヤプリは「アプリ運営プラットフォーム事業」の単一セグメントであるため、詳細なセグメント別分析はできません 。しかし、開示資料から売上構成を「プラットフォーム(PF)売上」と「プロフェッショナルサービス(PS)売上」に分解して分析することが可能です。
売上構成の分析:
項目 | 2025年Q2 | 前年同期比YoY |
PF売上 | 1,218百万円 | +10.8% |
PS売上 | 265百万円 | +31.5% |
PF売上は堅調に伸びていますが、YoY成長率は過去の15%超えから鈍化しています 。これは、契約アプリ数のQoQ成長が横ばいとなったことによる影響が大きいと分析します 。開示資料では、一部顧客のアプリ統廃合が原因と説明されていますが、市場の成熟化や競争激化の兆候も否定できません 。
一方、PS売上は前年同期比で大幅に増加しており、これはアプリマーケティング支援が好調に推移したことによるものです 。これは、単なるプラットフォーム提供だけでなく、顧客の事業成長に深くコミットする**「成長支援」**という新たな収益源が着実に育っていることを示しています。このフロー収益の拡大は短期的には全社売上を牽引しますが、中長期的な観点では、
いかにこのPS売上の拡大をPF売上(ストック)の拡大に繋げられるかが、同社の真の成長戦略の成否を分ける鍵となります。
5. 経営計画の進捗と経営陣の評価
ヤプリは2025年12月期の通期業績予想を据え置いています 。第2四半期終了時点で、売上高は47.0%、営業利益は59.9%の進捗率を達成しており、特に利益面では計画を上回るペースで推移しています 。
この進捗率の高さは、
経営陣のコストコントロール能力と、利益創出フェーズへの移行が順調に進んでいることを裏付けています。広告宣伝費の効率化や、人件費の増加を売上成長率以下に抑えている点から、経営陣は明確に「先行投資期」から「利益創出期」へと舵を切っていると評価できます 。
しかし、売上高の進捗率はわずか47.0%であり、下期に成長が加速する前提に立っています。特に、PF売上のQoQ成長鈍化を考慮すると、下期に計画を達成するためには、PS売上の継続的な拡大に加え、新プロダクト**「Yappli WebX」**が売上に貢献し始めることが不可欠です。通期計画を据え置いた経営判断は、これらの施策に対する強い自信の表れと捉えられますが、もし下期に成長が鈍化した場合には、需要予測能力の甘さとして批判的に評価されるリスクも伴います。
6. 将来シナリオと株価のカタリスト/リスク
シナリオ分析(今後12~24ヶ月)
【強気シナリオ】
- 前提条件: 国内経済が安定し、企業のDX投資意欲が高水準を維持。競合の攻勢は限定的で、ヤプリの市場優位性が揺るがない。
- ストーリー: 「Yappli WebX」がWebサイト内製化ニーズを捉え、既存のアプリ顧客へのクロスセルも成功。エンタープライズ顧客向け「Yappli UNITE」が大型受注を連続して獲得し、平均月額利用料が大幅に上昇。広告宣伝費を抑えつつも、口コミやプロダクトの評判で新規顧客獲得が順調に進み、営業利益率がさらに改善。
- 売上・利益予測レンジ(FY2025): 売上高 6,200百万円~6,500百万円、営業利益 750百万円~900百万円
【基本シナリオ】
- 前提条件: 現状の緩やかなマクロ経済環境が継続。市場の競争は激化するが、ヤプリのブランド力とプロダクト力で優位性は保たれる。
- ストーリー: PF売上は微増傾向で推移するが、QoQ成長は限定的。PS売上は引き続き堅調に推移し、売上全体を牽引。広告宣伝費の効率化とコストコントロールにより、通期計画は達成される。しかし、新プロダクトの市場浸透は緩やかで、爆発的な成長には至らない。
- 売上・利益予測レンジ(FY2025): 売上高 6,200百万円、営業利益 750百万円
【弱気シナリオ】
- 前提条件: 景気後退が本格化し、企業のIT投資予算が大幅に削減される。ノーコード市場の競争が激化し、価格破壊が始まる。
- ストーリー: 顧客獲得ペースが鈍化し、PF売上の成長が停滞。PS売上も新規案件の減少により失速。利益創出のためのコスト削減が限界に達し、売上成長の鈍化と利益率の悪化が同時に進行。通期計画は大幅に未達となる。
- 売上・利益予測レンジ(FY2025): 売上高 5,800百万円~6,000百万円、営業利益 500百万円~650百万円
将来のカタリスト/リスク:
- カタリスト:
- 「Yappli WebX」の収益貢献: 早期の大型顧客獲得発表。
- NRR(ネット・レベニュー・リテンション)の改善: 既存顧客からのアップセルが活発化し、NRRが104%からさらに上昇。
- 海外展開の具体化: 将来的な海外市場進出に向けたロードマップの開示。
- リスク:
- PS売上成長の鈍化: フロー収益であるPS売上が失速し、全体の成長を牽引できなくなる。
- 人材採用の遅延: 計画的な人員増加が進まず、事業拡大が制約される。
- 顧客のアプリ統廃合: 企業側の戦略変更による既存アプリの解約・統合が加速し、PF売上を圧迫する。
7. バリュエーション(企業価値評価)
ヤプリのSaaS事業は、高い成長性と安定したストック収益を持つことから、一般的に高いマルチプルで評価されます。
相対評価法: (※競合他社の決算情報を基に仮定)
- ヤプリ(4168): PER: 40倍、PSR: 6倍
- 競合A(モバイルSaaS): PER: 50倍、PSR: 8倍
- 競合B(ノーコード): PER: 35倍、PSR: 5倍
ヤプリは、競合と比較してPER・PSRともに中間的な水準に位置しています。これは、堅調な利益成長とストック収益の安定性が評価される一方で、PF売上成長の鈍化という懸念材料がディスカウント要因となっているためと考えられます。しかし、将来的なWebX事業の成功や、利益創出フェーズへの移行が確実なものとなれば、競合Aと同等のプレミアム評価に移行する余地があると判断します。
絶対評価法: (簡易DCF法による試算)
- 仮定:
- WACC:6.0%
- 永久成長率(g):2.0%
- FY2026の営業CF(予測):1,000百万円
- 企業価値(EV) = 営業CF(t+1) / (WACC – g)
- EV = 1,000 / (0.06 – 0.02) = 25,000百万円
- 理論株価 = (EV + 現金及び預金 – 有利子負債) / 発行済株式数
- 理論株価 = (25,000 + 1,833 – 1,020) / 12,971 = 2,067円
現在の株価水準は、将来の成長を織り込んでいるものの、利益創出の成功と事業拡大によっては、さらなる上昇余地があることを示唆しています。
8. 総括と投資家への提言
今回の決算は、ヤプリが成長の新たなステージに移行していることを明確に示しました。
- 核心的な投資魅力: 強固なストック収益をベースにした安定成長、効率的なコストコントロールによる利益率の改善、そして「Yappli WebX」という新たな成長ドライバーの存在です。
- 最大の懸念事項: サービスの中核であるPF売上の成長鈍化と、PS売上や新プロダクトへの依存度が高まるリスクです。
結論として、私は中立の投資スタンスを継続します。当面は堅調な業績が見込まれるものの、将来の成長を担保するための新たな投資の成果がまだ不透明なため、積極的な買い増しには慎重な姿勢を推奨します。
投資家が今後注視すべき最重要KPIとイベント:
- 契約アプリ数のQoQ成長率: 特にPF売上を牽引する中核事業の成長性を示す最も重要な指標です。
- 平均月額利用料の推移: アップセル戦略の成否、特に「Yappli UNITE」や「Yappli WebX」といった高単価プロダクトの浸透度を測ります。
- 広告宣伝費と営業利益率のバランス: 成長投資を抑えつつも、売上成長を維持できるか、経営陣の実行力を測る重要な指標です。
- 「Yappli WebX」の顧客獲得件数: 新たな成長ドライバーの初期進捗を測る上で、今後の決算説明会資料で開示されるか注視が必要です。