はじめに:なぜ今、ゴールドETFなのか?
「老後2,000万円問題」「インフレ」「円安」…連日のように流れるニュースを見ていると、将来への経済的不安がどんどん大きくなっていきませんか?
私は現在、ファイナンシャルプランナー(CFP)として多くの方々の資産形成をサポートしていますが、最近特に多いのが「預金だけでは心配だけれど、株式投資はリスクが怖い。何か他に良い方法はないでしょうか?」というご相談です。
そんな方々にお伝えしているのが、ゴールドETFによる積立投資という選択肢です。
実は私自身も、20代の頃に株式投資で200万円という大きな損失を経験しました。当時の私は「短期間で資産を増やしたい」という気持ちが先走り、リスクを軽視していたのです。その痛い経験から学んだのは、資産形成において最も大切なのは「分散投資」と「長期的視点」だということでした。
現在、私の資産ポートフォリオの約15%は金関連の投資が占めています。これは決して大きな割合ではありませんが、経済の不確実性が高まる現代において、心の支えとなる存在です。
この記事では、ゴールドETFの積立投資について、メリット・デメリットを包み隠さずお話しし、あなたが自分自身で判断できるための情報をすべてお伝えします。
第1章:ゴールドETFとは?基本知識を分かりやすく解説
そもそもETFって何?
ETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。
従来の投資信託は、1日1回しか価格が決まりませんでしたが、ETFは市場が開いている時間中、リアルタイムで売買できるのが特徴です。まるで個別株式のように取引できる投資信託、と考えていただければ分かりやすいでしょう。
ゴールドETFの仕組み
ゴールドETFは、金の価格に連動するように設計されたETFです。実際に金の現物を保有する「現物型」と、金先物などの金融商品を活用する「合成型」がありますが、多くの個人投資家には現物型がおすすめです。
現物型のゴールドETFは、投資家から集めた資金で実際に金の地金を購入し、専門の保管施設で厳重に管理しています。つまり、あなたがゴールドETFを購入することは、間接的に金の現物を保有することと同じ意味を持ちます。
金の現物投資との違い
「それなら、直接金の延べ棒を買った方がいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、金の現物投資には以下のような課題があります:
現物投資の課題
- 高額な初期投資:1gあたり約1万円(2024年現在)なので、100g購入するだけで100万円必要
- 保管の問題:自宅保管は盗難リスク、銀行の貸金庫は年間数万円の費用
- 売買の手間:購入・売却時に貴金属商への訪問が必要
- 売買スプレッド:購入価格と売却価格の差が大きい(通常3-5%)
一方、ゴールドETFなら:
- 少額から投資可能:1,000円程度から購入できる
- 保管不要:証券会社が電子的に管理
- 簡単売買:スマホアプリで24時間売買可能
- 低い手数料:売買手数料は株式並み
私のお客様で、以前は金の現物を自宅の金庫で保管されていた方がいました。「夜、家を空けるのが心配で旅行にも行けない」とおっしゃっていましたが、ゴールドETFに移行してからは「気持ちが楽になった」と喜んでいらっしゃいます。
主要なゴールドETF銘柄
日本で購入できる主要なゴールドETFをご紹介します:
国内ETF
- SPDR ゴールド・シェア (1326):世界最大級の金ETF
- 純金上場信託 (1540):三菱UFJ信託銀行が運用
- 金価格連動型上場投資信託 (1328):国内金価格に連動
海外ETF(日本の証券会社で購入可能)
- SPDR Gold Shares (GLD):米国最大の金ETF
- iShares Gold Trust (IAU):低コストで人気
それぞれに特徴がありますが、初心者の方には国内ETFから始めることをおすすめします。為替リスクがなく、日本語での情報も豊富だからです。
第2章:なぜ金投資なのか?経済的背景と投資理由
金が「安全資産」と呼ばれる理由
金は数千年にわたって価値の保存手段として使われてきました。その理由を経済学的な観点から説明します。
希少性 金は地球上に存在する量が限られており、新たな採掘も年々困難になっています。現在までに人類が採掘した金の総量は約20万トンと推定されており、これは50mプール約4杯分に相当します。この希少性が、金の価値を支える根本的な要因です。
不変性 金は化学的に非常に安定しており、錆びることも腐ることもありません。古代エジプトの王墓から発見された金製品が、現在でも美しい輝きを保っているのがその証拠です。
無国籍性 金は特定の国家や企業が発行するものではありません。どの国の通貨が暴落しても、どの企業が倒産しても、金の価値そのものが消失することはありません。
インフレヘッジとしての金
近年、世界各国でインフレが問題となっています。日本でも2022年以降、物価上昇が続いており、預金の実質的な価値は目減りしています。
例えば、年間2%のインフレが続いた場合、現在100万円の預金は10年後には約82万円分の購買力しか持たないことになります。一方、金は歴史的にインフレ率を上回る値上がりを示すことが多く、インフレヘッジ(インフレ対策)として機能します。
私が金融機関で働いていた2008年のリーマンショック時、多くの金融商品が暴落する中、金価格は逆に上昇しました。当時のお客様の中で、資産の一部を金で保有していた方々は「精神的に救われた」とおっしゃっていました。
中央銀行の金購入動向
世界の中央銀行による金の購入量は、2010年以降増加傾向にあります。特に新興国の中央銀行は、ドルへの依存度を下げる目的で金の保有量を増やしています。
主要国の金保有量(2023年)
- 米国:8,133トン
- ドイツ:3,355トン
- イタリア:2,452トン
- フランス:2,437トン
- ロシア:2,299トン
日本は846トンで世界第8位です。中央銀行という、最も保守的な投資を行う機関が金を重視していることは、金の安全資産としての地位を物語っています。
地政学的リスクと金
ウクライナ紛争、米中対立、中東情勢の緊迫化など、地政学的リスクが高まる現代において、金は「避難先」としての役割を果たしています。
実際、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した際、金価格は急騰しました。このような危機的状況において、投資家が「安全な場所」として金を選ぶ傾向は、今後も続くと考えられます。
ポートフォリオの分散効果
現代ポートフォリオ理論では、異なる値動きをする資産を組み合わせることで、リスクを抑えながらリターンを向上させることができるとされています。
金と株式の相関係数は、長期的に見ると低い傾向にあります。つまり、株式が下落しているときに金が上昇し、その逆もあるということです。この特性により、資産の一部に金を組み入れることで、ポートフォリオ全体の安定性を高めることができます。
私自身の投資経験でも、2020年のコロナショック時に株式は大きく下落しましたが、金関連の投資がその損失を部分的に相殺してくれました。この経験から、金の分散効果を実感しています。
第3章:ゴールドETF積立のメリット・デメリット完全解説
心が軽くなる!ゴールドETF積立の6つのメリット
1. 少額から始められる安心感
ゴールドETFの最大のメリットは、少額から投資を始められることです。多くの証券会社では、1,000円から積立投資が可能です。
「金投資に興味はあるけれど、まとまった資金がない」という方にとって、これは大きなメリットです。私のお客様の中には、毎月のコーヒー代を少し節約して、その分をゴールドETFの積立に回している主婦の方もいらっしゃいます。
月1万円の積立なら年間12万円、10年続ければ元本だけで120万円になります。金価格の上昇があれば、さらに大きな資産形成効果が期待できます。
2. ドルコスト平均法による価格変動リスクの軽減
積立投資の大きなメリットは、ドルコスト平均法の効果です。毎月一定額を投資することで、価格が高いときには少なく、価格が安いときには多く購入することになり、平均購入単価を抑えることができます。
例えば、毎月1万円ずつ積立投資を行った場合:
- 1ヶ月目:金価格1g=10,000円→1g購入
- 2ヶ月目:金価格1g=8,000円→1.25g購入
- 3ヶ月目:金価格1g=12,000円→0.83g購入
3ヶ月間の平均購入価格は、単純平均の10,000円よりも低くなります。
3. 24時間いつでも売買可能な流動性
ゴールドETFは証券取引所に上場しているため、市場が開いている時間中はいつでも売買できます。急にお金が必要になったときでも、スマートフォンから簡単に売却できる流動性の高さは、大きな安心材料です。
金の現物投資の場合、売却時には貴金属商を訪問する必要があり、営業時間内でないと取引できません。また、査定に時間がかかることもあります。
4. 保管や盗難の心配が一切不要
金の現物を自宅で保管する場合、盗難や火災のリスクが常につきまといます。銀行の貸金庫を利用する場合も、年間数万円の費用がかかります。
ゴールドETFなら、このような心配は一切不要です。証券会社が電子的に管理してくれるため、安心して投資を続けることができます。
5. 税制面での優遇措置
ゴールドETFは税制上「有価証券」として扱われるため、株式や投資信託と同じ税制が適用されます。つまり、NISA(少額投資非課税制度)の対象にもなります。
金の現物投資の場合、売却益は「譲渡所得」として総合課税の対象となり、税率が高くなる可能性があります。一方、ゴールドETFなら20.315%の申告分離課税で済みます。
6. 情報取得の容易さ
ゴールドETFの価格や関連情報は、証券会社のサイトやアプリで簡単に確認できます。金の現物価格の情報収集と比べて、はるかに手軽です。
また、多くの証券会社では金相場に関するレポートやアナリストの見解も提供しており、投資判断の参考にすることができます。
知っておけば怖くない!注意すべき4つのリスク
1. 価格変動リスクは避けられない現実
金価格は株式ほどではありませんが、やはり変動します。2011年には1トロイオンス1,900ドル台の高値を付けましたが、その後2015年には1,000ドル台まで下落しました。
ただし、このような価格変動も長期的に見れば、上昇トレンドの中の調整局面であることが多いのです。私自身も、2013年頃に購入したゴールドETFが一時的に含み損を抱えた時期がありましたが、積立投資を継続することで、現在はしっかりとした利益を得ています。
価格変動リスクを軽減するためには、以下の点が重要です:
- 長期投資を前提とする:5年以上の長期保有を想定
- 余裕資金で投資する:生活費に影響しない範囲で投資
- 他の資産との分散を心がける:全資産の10-20%程度に留める
2. 配当や利息は期待できない
株式投資では配当金、債券投資では利息が期待できますが、金投資では基本的にインカムゲイン(定期的な収入)は得られません。利益は価格上昇による値上がり益のみです。
これは金投資の特性上、避けられない点です。しかし、金には他の資産にはない「資産保全効果」があることを理解しておくことが大切です。
3. 為替リスクの影響
国内のゴールドETFでも、金価格自体は国際的にドル建てで取引されているため、間接的に為替の影響を受けます。円高が進むと、円換算での金価格は下落する傾向にあります。
ただし、長期的に見ると、円安傾向が続いているため、この為替リスクがプラスに働くケースも多いのが実情です。
4. 管理費用(信託報酬)の負担
ゴールドETFには、運用会社に支払う管理費用(信託報酬)がかかります。主要なゴールドETFの信託報酬は以下の通りです:
- SPDR ゴールド・シェア (1326):年率0.40%
- 純金上場信託 (1540):年率0.50%
- 金価格連動型上場投資信託 (1328):年率0.50%
年率0.40-0.50%という水準は、金の現物投資における保管費用と比較すると十分に低コストです。ただし、長期投資においては、この費用も累積すると無視できない金額になることは理解しておきましょう。
私の実体験:ゴールドETF投資で学んだこと
2018年から本格的にゴールドETFの積立投資を始めた私の経験をお話しします。
当初、月3万円の積立投資を開始しました。しかし、2019年には米中貿易摩擦の影響で金価格が急騰し、「このまま上がり続けるのでは」という欲が出て、一括で100万円を追加投資してしまいました。
その直後、2020年初頭には金価格が一時的に下落し、追加投資分が含み損を抱えることになりました。この経験から学んだのは、「一括投資よりも積立投資の方が、精神的にも楽」ということです。
現在は月2万円の積立投資を継続しており、価格変動に一喜一憂することなく、長期的な資産形成の一環として取り組んでいます。5年間の投資結果としては、年率約7%のリターンを得ています。
第4章:積立投資の始め方 – 証券会社選びから実際の購入まで
証券会社選びのポイント
ゴールドETF積立投資を始めるには、まず証券口座を開設する必要があります。証券会社選びで重要なポイントをご説明します。
手数料体系の比較
主要ネット証券の株式売買手数料(税込)
SBI証券
- 1日の約定代金合計が100万円まで:無料
- 100万円超:0.095%(上限1,070円)
楽天証券
- 1日の約定代金合計が100万円まで:無料
- 100万円超:0.095%(上限1,070円)
マネックス証券
- 約定代金の0.055%(最低52円、上限4,950円)
auカブコム証券
- 1日の約定代金合計が100万円まで:無料
- 100万円超:0.095%(上限4,059円)
ゴールドETFの積立投資では、毎月少額ずつ購入するケースが多いため、少額取引での手数料が重要になります。現在は多くの証券会社で、1日100万円までの取引手数料が無料となっているため、コスト面での差は小さくなっています。
積立投資サービスの充実度
自動積立サービスの有無 多くの証券会社では、ETFの自動積立サービスを提供しています。毎月決まった日に、指定した金額で自動的に購入してくれるサービスです。
購入タイミングの選択肢
- 毎月1回(月初、月中、月末から選択)
- 毎週1回
- 毎日(営業日ベース)
毎日積立の場合、ドルコスト平均法の効果がより高くなる傾向がありますが、手数料の関係で毎月積立の方が一般的です。
情報提供サービス
金相場レポート 証券会社によっては、金相場の分析レポートや専門家の見解を定期的に提供しています。投資判断の参考になるため、このようなサービスが充実している証券会社を選ぶことをおすすめします。
スマートフォンアプリの使いやすさ 積立投資では、定期的な資産状況の確認や、必要に応じた設定変更が重要です。直感的に操作できるスマートフォンアプリを提供している証券会社を選びましょう。
口座開設の手順
必要書類の準備
本人確認書類
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 健康保険証
マイナンバー確認書類
- マイナンバーカード
- 通知カード
- マイナンバー記載の住民票
オンライン申込みの流れ
- 証券会社の公式サイトから口座開設申込み
- 基本情報の入力(氏名、住所、職業、年収等)
- 投資経験・投資目的の申告
- 本人確認書類のアップロード
- 口座開設完了の通知受取(通常1-2週間)
初回入金とID・パスワードの設定
口座開設完了後、初回入金を行います。多くの証券会社では、即座反映される「即時入金サービス」を提供しています。主要銀行のネットバンキングから手数料無料で入金できるため、非常に便利です。
実際のゴールドETF購入手順
銘柄選択のポイント
初心者の方には、以下の条件を満たすゴールドETFをおすすめします:
流動性が高い銘柄 1日の出来高(取引量)が多い銘柄を選びましょう。流動性が高いほど、希望する価格で売買しやすくなります。
信託報酬が低い銘柄 長期投資では、信託報酬の差が累積して大きな影響を与えます。年率0.50%以下の銘柄を選ぶことをおすすめします。
運用資産残高が大きい銘柄 運用資産残高が大きい銘柄ほど、安定した運用が期待できます。
注文方法の選択
成行注文 現在の市場価格で即座に売買する注文方法です。確実に取引が成立しますが、価格変動リスクがあります。
指値注文 希望する価格を指定して注文する方法です。指定した価格に達しない場合は取引が成立しませんが、想定外の価格で取引してしまうリスクを避けられます。
積立投資の場合、毎月決まった金額で購入するため、基本的には成行注文を使用します。
積立設定の手順
- 証券会社のマイページにログイン
- 「積立投資」または「定期買付」メニューを選択
- 投資したいゴールドETFを検索・選択
- 積立金額の設定(月1万円〜など)
- 積立日の設定(毎月10日など)
- 引落口座の設定
- 内容確認・設定完了
私がお客様にお勧めしているのは、給与振込日の翌営業日を積立日に設定することです。お給料が入ったタイミングで自動的に投資されるため、使ってしまう前に確実に積立できます。
初心者におすすめの具体的な積立プラン
保守的プラン(月1万円)
対象者:投資初心者、リスクを抑えたい方 積立金額:月1万円(年間12万円) 投資期間:10年以上 期待リターン:年率3-5%
このプランなら、10年後に元本120万円が140-160万円程度になることが期待できます。「まずは少額から始めてみたい」という方に適しています。
標準プラン(月3万円)
対象者:ある程度の投資経験がある方、中長期的な資産形成を目指す方 積立金額:月3万円(年間36万円) 投資期間:10年以上 期待リターン:年率3-5%
このプランでは、10年後に元本360万円が420-480万円程度になることが期待できます。「老後資金の一部を金で準備したい」という方に適しています。
積極的プラン(月5万円)
対象者:十分な投資経験がある方、より大きな資産形成を目指す方 積立金額:月5万円(年間60万円) 投資期間:15年以上 期待リターン:年率3-5%
このプランでは、15年後に元本900万円が1,200-1,500万円程度になることが期待できます。ただし、投資金額が大きいため、他の資産とのバランスを十分考慮する必要があります。
税務面での注意点
NISA口座の活用
ゴールドETFはNISA(少額投資非課税制度)の対象です。年間120万円(つみたてNISAは40万円)までの投資額に対する利益が非課税になります。
積立投資を行う場合、NISA口座を活用することで税負担を軽減できます。ただし、NISAには以下の制約があることも理解しておきましょう:
- 損益通算できない:他の投資で利益が出ても、NISA口座の損失と相殺できません
- 損失繰越できない:翌年以降に損失を繰り越すことができません
確定申告の要否
NISA口座以外で投資する場合、利益が出たら税金がかかります。年間の利益が20万円以下の場合は確定申告不要ですが、20万円を超える場合は申告が必要です。
多くの証券会社では「特定口座(源泉徴収あり)」を選択することで、自動的に税金が徴収され、確定申告が不要になります。初心者の方には、この設定をおすすめします。
第5章:長期投資戦略と資産配分の考え方
ポートフォリオ全体での金の位置づけ
資産形成において最も重要なのは「分散投資」です。どんなに優れた投資対象でも、それだけに集中投資することはリスクが高すぎます。ゴールドETFも、あくまでもポートフォリオの一部として位置づけることが大切です。
一般的な資産配分の目安
私がお客様にご提案している資産配分の目安をご紹介します。ただし、これは一般的な指針であり、個人の年齢、リスク許容度、投資目的によって調整が必要です。
20-30代(積極型)
- 株式:60-70%
- 債券:10-20%
- 金・コモディティ:10-15%
- 現金・預金:5-10%
40-50代(バランス型)
- 株式:40-50%
- 債券:25-35%
- 金・コモディティ:15-20%
- 現金・預金:10-15%
60代以上(保守型)
- 株式:20-30%
- 債券:40-50%
- 金・コモディティ:15-20%
- 現金・預金:15-20%
年齢が上がるにつれて、より安定性を重視した配分になっていることがお分かりいただけると思います。
金の配分比率の考え方
金の配分比率については、投資の専門家の間でも意見が分かれるところですが、一般的には以下のような考え方があります:
5-10%(最小限) 「保険」としての位置づけ。経済危機時の資産保全を主目的とする場合
10-20%(標準的) バランスの取れたポートフォリオの一部として。インフレヘッジと分散効果を期待する場合
20-25%(積極的) 金の長期的な上昇を期待し、より大きな配分を行う場合。ただし、この水準では他の資産との慎重なバランス調整が必要
私自身は、現在15%程度の配分で金関連の投資を行っています。これは、私の年齢(40代)とリスク許容度を考慮した結果です。
リバランシングの重要性
長期投資を行う上で重要なのが「リバランシング」です。これは、当初設定した資産配分比率を定期的に見直し、必要に応じて調整する作業です。
リバランシングが必要な理由
例えば、当初の資産配分が「株式70%、金15%、現金15%」だったとします。1年後、株式が大きく上昇し、金価格が横ばいだった場合、資産配分は「株式80%、金10%、現金10%」のようになってしまうかもしれません。
この状態では、当初想定していたよりもリスクの高いポートフォリオになってしまいます。そこで、株式の一部を売却し、金や現金の比率を元に戻すのがリバランシングです。
リバランシングの実行方法
時間ベースのリバランシング 年1回や半年に1回など、定期的にリバランシングを行う方法です。実行が簡単で、規律的な投資を続けやすいのがメリットです。
閾値ベースのリバランシング 当初配分から一定以上(例:5%以上)乖離した場合にリバランシングを行う方法です。より適切なタイミングでリバランシングできますが、判断が複雑になります。
初心者の方には、年1回のリバランシングをおすすめします。私自身も、毎年1月に前年の投資成果を振り返りながら、リバランシングを行っています。
経済環境別の投資戦略
経済環境によって、金の投資戦略も調整が必要です。それぞれの環境における考え方をご説明します。
インフレ期間中の戦略
インフレ期間中は、金がその真価を発揮する時期です。物価上昇により実質金利が低下し、金の魅力が相対的に高まります。
戦略のポイント
- 積立投資を継続し、むしろ増額を検討
- 価格上昇局面でも慌てて売却しない
- 他の実物資産(不動産REIT等)との組み合わせも検討
2021-2022年のインフレ期間中、私のお客様の中で金投資を行っていた方々は、インフレ圧力から資産を守ることができました。
デフレ期間中の戦略
デフレ期間中は、金の魅力が相対的に低下する傾向があります。しかし、長期的な資産保全の観点から、完全に投資を停止する必要はありません。
戦略のポイント
- 積立金額を減額するなど、配分比率を調整
- 価格下落を長期投資の機会と捉える
- 債券など他の安全資産との比較検討
金利上昇期間中の戦略
金利上昇期間中は、利息を生まない金の魅力が低下する傾向があります。ただし、金利上昇の背景にインフレがある場合は、金にとってプラス要因となることもあります。
戦略のポイント
- 金利上昇の背景(インフレかデフレか)を分析
- 長期的な視点を維持し、短期的な価格変動に惑わされない
- 他の資産クラスとの相対的な魅力を定期的に見直し
私が実践している長期投資戦略
最後に、私自身が実践している具体的な投資戦略をご紹介します。
基本的な投資方針
- 月2万円の定額積立投資:毎月25日に自動積立設定
- 年1回のリバランシング:1月に前年の成果を検証
- 5年以上の長期保有:短期的な価格変動は気にしない
- ポートフォリオの15%を上限:過度な集中を避ける
具体的な銘柄選択
現在、私は主に「SPDR ゴールド・シェア (1326)」で積立投資を行っています。選択理由は以下の通りです:
- 世界最大級の金ETFで流動性が高い
- 信託報酬が年率0.40%と比較的低コスト
- 運用実績が長く、信頼性が高い
- 情報が豊富で、投資判断しやすい
投資成果の振り返り
2018年からの5年間で、以下のような成果を得ています:
- 累計投資額:120万円(月2万円×60ヶ月)
- 現在の評価額:約140万円
- トータルリターン:約17%(年率約3.2%)
この成果には満足していますが、何より「経済的な不安が軽減された」という精神的なメリットが大きいと感じています。
第6章:よくある質問と失敗事例から学ぶ
初心者からよく寄せられる質問
ファイナンシャルプランナーとして、これまで数多くのゴールドETF投資に関するご相談を受けてきました。その中でも特に多い質問と、私なりの回答をご紹介します。
Q1. 金投資は本当に安全なのでしょうか?
これは最もよく聞かれる質問です。「安全」という言葉の定義によりますが、金投資にも当然リスクはあります。
金の価格は変動しますし、短期的には大きく下落することもあります。2011年から2015年にかけては、約50%の価格下落を経験しました。しかし、長期的に見ると、金は価値を保存する機能を果たしてきました。
「絶対に損をしたくない」という方には、定期預金をおすすめします。しかし、「インフレから資産を守りたい」「ポートフォリオを分散したい」という目的であれば、金投資は有効な選択肢の一つです。
私がお客様にお伝えしているのは、「金投資は保険と考えてください」ということです。自動車保険や生命保険と同じように、何かあったときのための備えと考えることで、価格変動に対する心構えも変わってきます。
Q2. どのくらいの金額から始めればよいでしょうか?
この質問も非常に多く寄せられます。私は通常、以下のような基準をお伝えしています:
月収の3-5%から始める 月収30万円の方なら、月1-1.5万円程度から始めることをおすすめします。これなら家計への負担も少なく、継続しやすいでしょう。
生活費3ヶ月分の預金を確保してから 投資は余裕資金で行うことが基本です。まずは生活費3ヶ月分の預金を確保し、それ以上の資金で投資を始めましょう。
実際に私のお客様の中には、月5,000円という少額から始めて、慣れてきたら徐々に金額を増やしていった方もいらっしゃいます。「まずは始めてみることが大切」というのが私の考えです。
Q3. 金価格が高値圏にある今、投資を始めるタイミングとしてはどうでしょうか?
これも悩ましい質問です。確かに、金価格は歴史的に見ても高値圏にあります。しかし、積立投資の場合、「今が高いかどうか」よりも「長期的に上昇するかどうか」の方が重要です。
ドルコスト平均法により、高値で買った分は安値で買った分と平均化されます。むしろ、「いつ始めるか」よりも「いつまで続けるか」の方が投資成果に大きな影響を与えます。
私自身も、2018年に投資を始めた時は「今から始めて大丈夫か」と不安でした。しかし、5年経った今、「あの時始めて良かった」と心から思っています。
Q4. ゴールドETFと金の現物、どちらが良いでしょうか?
これは投資金額と目的によります。
ゴールドETFが適している場合
- 投資金額が100万円以下
- 定期的な積立投資を行いたい
- 売買の利便性を重視する
- 保管の手間を避けたい
金の現物が適している場合
- 投資金額が数百万円以上
- 物理的な金を所有したい
- 金融システムへの依存を避けたい
- 相続対策も考慮したい
一般的な個人投資家の方には、ゴールドETFをおすすめします。特に、これから投資を始める方や、積立投資を中心に考えている方には、ETFの方が圧倒的に便利です。
Q5. 他の貴金属(プラチナ、銀など)への投資も検討すべきでしょうか?
プラチナや銀にもそれぞれ魅力がありますが、初心者の方には金から始めることをおすすめします。
金の優位性
- 市場規模が大きく、流動性が高い
- 中央銀行の準備資産として認められている
- 工業用需要の影響を受けにくい
- 歴史的に価値保存の役割を果たしてきた
プラチナは自動車の触媒としての工業用需要が高く、経済状況に左右されやすい傾向があります。銀は金よりも価格変動が大きく、初心者には扱いにくい面があります。
まずは金への投資に慣れてから、他の貴金属を検討することをおすすめします。
実際にあった失敗事例と教訓
これまでのコンサルティング経験の中で、実際にあった失敗事例をご紹介します。個人情報保護のため、内容は一部変更していますが、これらの事例から多くの教訓を得ることができます。
失敗事例1:短期売買を繰り返したAさん(40代男性)
状況 Aさんは2020年にゴールドETFへの投資を始めました。当初は積立投資の予定でしたが、金価格の上昇を見て「短期間で利益を出したい」という気持ちが強くなり、頻繁に売買を繰り返すようになりました。
失敗の内容
- 価格が上がると利益確定のために売却
- 価格が下がると損失拡大を恐れて売却
- 売買手数料が累積し、投資元本を圧迫
- 結果的に、金価格が上昇したにも関わらず損失を計上
教訓 金投資は長期保有が基本です。短期的な価格変動に惑わされ、頻繁に売買することは避けるべきです。特に、感情的な判断(恐怖や欲望)による売買は、良い結果を生まないことが多いのです。
改善策
- 自動積立投資の設定により、感情的な判断を排除
- 長期投資の目的を明確にし、ブレない投資方針の設定
- 短期的な価格変動情報から意図的に距離を置く
失敗事例2:過度な集中投資を行ったBさん(50代女性)
状況 Bさんは退職金の大部分(約1,000万円)をゴールドETFに一括投資しました。「金は安全資産」という認識から、分散投資の必要性を軽視していました。
失敗の内容
- 投資直後に金価格が20%下落し、200万円の含み損
- 他の資産がないため、損失を他でカバーできない
- 精神的なストレスで日常生活に支障
- 結果的に、損失覚悟で一部を早期売却
教訓 どんなに優れた投資対象でも、集中投資はリスクが高すぎます。「安全資産」と呼ばれる金でも、価格変動リスクは存在します。分散投資の原則を守ることが重要です。
改善策
- 金の配分比率は全資産の20%以下に抑制
- 株式、債券、現金など複数の資産クラスへの分散
- 一括投資ではなく、時間分散も考慮した投資
失敗事例3:税務面を軽視したCさん(30代男性)
状況 Cさんは特定口座(源泉徴収なし)でゴールドETF投資を行い、大きな利益を得ました。しかし、税務面での知識が不足しており、確定申告を怠りました。
失敗の内容
- 年間50万円の利益に対する確定申告を忘れる
- 税務署からの指摘により、延滞税も含めて約12万円の追徴課税
- 将来の投資に対する不安が増大
教訓 投資で利益が出た場合、税務面での対応も重要です。特に、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で投資する場合は、確定申告の義務があることを理解しておく必要があります。
改善策
- 特定口座(源泉徴収あり)の選択により、確定申告不要に
- NISA口座の活用による非課税投資
- 税理士や証券会社への相談体制の確立
失敗事例4:情報収集を怠ったDさん(60代男性)
状況 Dさんは知人の勧めでゴールドETFへの投資を始めましたが、投資内容について十分な理解をしていませんでした。
失敗の内容
- ETFと投資信託の違いを理解していない
- 信託報酬などのコストを把握していない
- 金価格に影響する要因を知らない
- 根拠のない期待リターンを設定
教訓 投資は自己責任が原則です。他人の勧めだけで投資を始めるのではなく、最低限の知識は身につけるべきです。「よく分からないものには投資しない」という原則を守ることが重要です。
改善策
- 基本的な投資知識の習得
- 信頼できる情報源の確保
- 証券会社や専門家への相談
- 小額から始めて徐々に理解を深める
成功事例から学ぶポイント
失敗事例だけでなく、成功事例からも多くの学びがあります。
成功事例1:堅実な積立投資を続けたEさん(45代女性)
Eさんは2015年から月2万円のゴールドETF積立投資を続けています。価格が上がっても下がっても、一度も設定を変更することなく、淡々と積立を継続しました。
8年間の投資結果として、元本192万円が約250万円になり、年率約3.5%のリターンを得ています。何より、「経済的な不安が軽減された」という精神的なメリットを高く評価されています。
成功要因
- 明確な投資目的(老後資金の準備)
- 長期投資への強いコミット
- 感情に左右されない規律的な投資
- 適切な投資金額の設定
成功事例2:バランスの取れたポートフォリオを構築したFさん(35代男性)
Fさんは資産全体の15%をゴールドETFに配分し、残りを株式と債券に分散投資しています。年1回のリバランシングも欠かさず実行し、常に適切な資産配分を維持しています。
2020年のコロナショック時も、金が株式の下落をある程度カバーし、ポートフォリオ全体の下落を抑制することができました。
成功要因
- 適切な資産配分の設定
- 定期的なリバランシングの実行
- 各資産クラスの特性理解
- 長期的な視点の維持
失敗を避けるための5つの原則
これらの事例を踏まえ、ゴールドETF投資で失敗を避けるための原則をまとめます:
原則1:長期投資を前提とする
金投資は短期的な利益を狙うものではありません。最低でも5年、できれば10年以上の長期保有を前提に投資計画を立てましょう。
原則2:適切な資産配分を守る
金の配分比率は全資産の10-20%程度に留め、他の資産クラスとのバランスを保ちましょう。
原則3:感情的な判断を避ける
価格変動に一喜一憂せず、予め決めた投資方針を守りましょう。自動積立投資の活用が有効です。
原則4:基本的な知識を身につける
投資する前に、最低限の知識は身につけましょう。分からないことは、証券会社や専門家に相談することも大切です。
原則5:税務面での配慮を忘れない
利益が出た場合の税務処理についても、事前に理解しておきましょう。NISA口座の活用も検討してください。
第7章:金相場の見通しと今後の投資戦略
現在の金相場を取り巻く環境
2024年現在、金相場は複数の要因が複雑に絡み合った状況にあります。ファイナンシャルプランナーとして、また10年以上金融市場を見続けてきた経験から、現在の市場環境を分析してみましょう。
主要な価格決定要因
1. 米国の金融政策 金価格に最も大きな影響を与えるのは、米国の金融政策です。金利が上昇すると、利息を生まない金の魅力が相対的に低下し、金利が低下すると金の魅力が高まる傾向があります。
2023年から2024年にかけて、FRB(米連邦準備制度理事会)は積極的な利上げを実施しましたが、2024年後半からは利下げ局面に転じる可能性が議論されています。この金融政策の変化は、金価格に大きな影響を与えるでしょう。
2. インフレ動向 世界的なインフレ圧力は、金投資への関心を高める要因となっています。特に、日本でも2022年以降、30年ぶりの高いインフレ率を記録しており、投資家のインフレヘッジへの関心が高まっています。
3. 地政学的リスク ウクライナ紛争、米中対立、中東情勢など、地政学的リスクが高まる中で、金の「避難先資産」としての性格が再評価されています。これらのリスクが解消されない限り、金への需要は底堅く推移すると考えられます。
4. 中央銀行の金購入 世界の中央銀行による金の購入は、2022年に55年ぶりの高水準となりました。特に、新興国の中央銀行が外貨準備の多様化の一環として金の購入を増やしており、この傾向は今後も続くと予想されます。
5. 円安の影響 日本の投資家にとって重要なのは、円安の影響です。金は国際的にドル建てで取引されるため、円安が進むと円建ての金価格は上昇します。日本の金融政策が超緩和的である限り、この円安トレンドは継続する可能性があります。
専門家の見解と私の分析
強気派の見解
金融市場の専門家の中には、金価格の長期的な上昇を予想する「強気派」が存在します。その主な論拠は以下の通りです:
構造的な供給不足 新規の金鉱山開発が困難になっており、供給の伸びが需要の伸びに追いついていない状況が続いています。これは長期的な価格上昇要因となります。
デジタル通貨への懸念 中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入が進む中で、プライバシーや政府による管理への懸念から、「政府に管理されない資産」としての金への関心が高まっています。
世代交代による投資行動の変化 ミレニアル世代やZ世代の投資家が市場に参入する中で、従来とは異なる投資行動が見られます。これらの世代は、ESG投資や代替投資への関心が高く、金もその一つとして注目されています。
弱気派の見解
一方で、金価格の上昇に懐疑的な「弱気派」の見解もあります:
代替投資の台頭 ビットコインなどの暗号資産が「デジタルゴールド」として注目を集める中で、金の独占的地位が脅かされる可能性があります。
技術革新による代替需要の変化 工業用需要の面では、技術革新により金の代替材料が開発される可能性があります。これは長期的な需要減少要因となる可能性があります。
金利上昇局面での不利 金融正常化が進む中で、実質金利の上昇が金価格の上昇を抑制する可能性があります。
私の分析と見解
10年以上金融市場を見続けてきた経験から、私は以下のような見解を持っています:
中長期的には上昇トレンド 構造的な供給制約、中央銀行需要、地政学的リスクなどを考慮すると、中長期的(5-10年)には金価格は上昇トレンドを維持すると考えています。
短期的には大きな変動も ただし、短期的(1-2年)には金融政策の変化やリスク選好の変化により、大きな価格変動が発生する可能性があります。これは積立投資を行う投資家にとっては、むしろ機会となるでしょう。
円建て価格は底堅い 日本の金融政策が超緩和的である限り、円安基調は続くと予想されます。これは円建ての金価格にとってはプラス要因です。
私自身は、これらの分析に基づいて積立投資を継続しており、今後5年間は現在の投資方針を維持する予定です。
今後5年間の投資戦略
これらの市場環境分析を踏まえ、今後5年間のゴールドETF投資戦略について考えてみましょう。
2024-2025年:基盤固めの期間
市場環境の予想
- 米国の金融政策転換期
- インフレ圧力の継続
- 地政学的リスクの高止まり
推奨戦略
- 積立投資の継続:価格変動を気にせず、淡々と積立を継続
- 投資金額の段階的増加:市場に慣れてきた投資家は、徐々に投資金額を増加
- NISA口座の最大活用:2024年から始まった新NISA制度を最大限活用
私がお客様にお勧めしているのは、この時期に「投資習慣」をしっかりと身につけることです。価格変動に惑わされず、継続的な投資を行う習慣が、長期的な成功の鍵となります。
2026-2027年:成長期への移行
市場環境の予想
- 金融政策の安定化
- 新興国経済の成長加速
- 技術革新による新たな金需要
推奨戦略
- リバランシングの実行:他の資産との配分比率を定期的に見直し
- 税務効率の最適化:利益確定のタイミングを税務面から検討
- 情報収集の強化:市場環境の変化に応じた戦略調整
この時期は、投資経験が蓄積され、より積極的な投資戦略を検討できる時期です。ただし、基本的な分散投資の原則は堅持すべきです。
2028-2029年:成熟期の投資
市場環境の予想
- 金価格の高値圏での推移
- 新たな投資手法の確立
- 世代交代による投資行動の変化
推奨戦略
- 利益確定の検討:長期投資の成果を段階的に確定
- 次世代への資産承継:相続を視野に入れた資産配分の調整
- 新たな投資機会の模索:金以外の代替投資への分散も検討
この時期になると、初期に投資を始めた方々は相当な投資経験と実績を積んでいるはずです。より洗練された投資戦略を検討することができるでしょう。
リスクシナリオと対応策
投資には常にリスクが伴います。想定されるリスクシナリオと、その対応策について考えておくことが重要です。
シナリオ1:金価格の大幅下落
想定要因
- 急激な金利上昇
- 地政学的リスクの解消
- 代替投資(暗号資産等)への資金流出
- 世界経済の安定化
対応策
- 冷静な判断の維持:一時的な下落に動揺せず、長期投資の方針を堅持
- 追加投資の検討:下落を買い増しの機会と捉える(ただし余裕資金の範囲内)
- 他の資産との比較:金以外の安全資産への分散も検討
- 投資期間の延長:予定していた投資期間を延長し、回復を待つ
私自身も、2013年から2015年の金価格下落時には含み損を抱えましたが、積立投資を継続することで、その後の価格回復時には大きな利益を得ることができました。
シナリオ2:日本経済の長期低迷
想定要因
- 人口減少による経済縮小
- 財政破綻への懸念
- 円の信認失墜
対応策
- 海外資産への分散強化:国内資産だけでなく、海外資産への分散を拡大
- 実物資産の比重増加:金だけでなく、不動産等の実物資産への投資も検討
- 外貨建て資産の保有:為替リスクのヘッジとして外貨建て資産を保有
- 移住・移転の検討:極端なシナリオですが、居住地の変更も選択肢の一つ
このシナリオでは、金投資の価値がより高まる可能性があります。円安が進行すれば、円建ての金価格は大幅に上昇する可能性があります。
シナリオ3:インフレの急激な進行
想定要因
- エネルギー価格の急騰
- サプライチェーンの混乱
- 金融政策の失敗
対応策
- 実物資産への配分増加:金を含む実物資産の配分比率を引き上げ
- 固定金利債務の活用:インフレ環境では固定金利での借入が有利
- 生活防衛資金の確保:物価上昇に対応できる現金資産も確保
- 収入源の多様化:インフレに負けない収入源の確保
このシナリオでは、金投資が最も威力を発揮する可能性があります。過去のインフレ期間中、金は優れたインフレヘッジ機能を果たしてきました。
世代別・ライフステージ別の投資戦略
ゴールドETF投資は、投資家の年齢やライフステージによって最適な戦略が異なります。それぞれの世代に適した投資アプローチをご提案します。
20代:資産形成の基盤作り
この世代の特徴
- 投資期間が長い
- リスク許容度が高い
- 投資経験が少ない
- 可処分所得が限られている
推奨戦略
- 少額から開始:月5,000円〜1万円程度から開始
- 投資習慣の確立:まずは投資を続ける習慣を身につける
- 学習への投資:投資関連の書籍やセミナーで知識を蓄積
- 配分比率は控えめ:全体の5-10%程度に留める
20代の方には、「完璧を求めすぎず、まずは始めること」をお伝えしています。私自身も20代の頃は投資で失敗しましたが、その経験が現在の投資スタイルの基礎となっています。
具体的な投資プラン例
- 毎月8,000円の積立投資
- NISA口座を活用(年間9.6万円)
- 5年継続で元本48万円
- 年率4%で運用できれば、5年後に約53万円
30代:本格的な資産形成期
この世代の特徴
- 収入が安定してくる
- 結婚・出産などライフイベントが多い
- 住宅購入を検討する時期
- 老後への意識が芽生える
推奨戦略
- 投資金額の増額:月1-3万円程度に増額
- ライフプランとの調和:住宅購入等の大きな支出との調整
- 配偶者との投資方針共有:家族全体での投資戦略を策定
- 配分比率の適正化:全体の10-15%程度に設定
この世代は最も「忙しい」時期でもあります。自動積立投資を活用し、手間をかけずに継続できる仕組みを作ることが重要です。
具体的な投資プラン例
- 毎月2万円の積立投資
- 夫婦それぞれがNISA口座を活用
- 10年継続で元本240万円
- 年率4%で運用できれば、10年後に約295万円
40代:資産拡大と安定のバランス
この世代の特徴
- 収入がピークに近づく
- 教育費の負担が増加
- 老後への具体的な準備が必要
- 投資経験が蓄積される
推奨戦略
- 投資金額の最大化:月3-5万円程度まで増額可能
- リバランシングの実施:年1回の資産配分見直し
- 税務効率の追求:NISA、iDeCoの最大活用
- 配分比率の安定:全体の15-20%程度を維持
40代は「資産形成の総仕上げ」の時期です。この時期にしっかりと資産を蓄積できるかが、老後の生活水準を大きく左右します。
具体的な投資プラン例
- 毎月4万円の積立投資
- NISA、iDeCoを併用
- 15年継続で元本720万円
- 年率4%で運用できれば、15年後に約960万円
50代:安定性重視への転換
この世代の特徴
- 老後が現実的になる
- 収入減少のリスクが出てくる
- 安定性への志向が強まる
- 相続についても考慮が必要
推奨戦略
- 安定性の重視:リスクの高い投資から安定志向へ
- 利益確定の検討:一部利益確定による安全性確保
- 相続対策の開始:次世代への資産承継も視野に
- 配分比率の調整:全体の20-25%程度まで増加も可
50代は「守りの投資」への転換期です。これまで蓄積した資産を守りながら、さらなる成長も目指すバランスが重要です。
具体的な投資プラン例
- 毎月3万円の積立投資(減額も検討)
- 既存投資の一部利益確定
- 10年継続で元本360万円
- より安定的な運用を心がける
60代以上:資産保全と活用
この世代の特徴
- 退職により収入が減少
- 資産の取り崩し時期に突入
- 相続対策が具体化
- 安全性が最優先
推奨戦略
- 資産保全の重視:元本保全を最優先に考える
- 段階的な取り崩し:計画的な資産の取り崩し開始
- 相続対策の完成:子世代への円滑な資産承継
- 配分比率の維持:全体の15-20%程度を維持
この世代では、「増やす」よりも「守る」「使う」ことが重要になります。金投資も、資産保全の一環として位置づけることが大切です。
第8章:まとめ – あなたの最初の一歩を応援します
ゴールドETF積立投資の本質
ここまで長い記事をお読みいただき、ありがとうございました。最後に、ゴールドETF積立投資の本質について、改めてお話ししたいと思います。
私がファイナンシャルプランナーとして多くの方々の資産形成をサポートしてきた中で、常に感じているのは「お金の不安は、実は将来への不安」だということです。「老後の生活は大丈夫だろうか」「子どもの教育費は足りるだろうか」「病気になったときは大丈夫だろうか」…こうした不安の根本には、「将来に対する備えが十分でない」という思いがあります。
ゴールドETFへの積立投資は、そうした将来への不安を和らげる一つの手段です。決して「短期間で大きく儲ける」ためのものではありません。むしろ、「長期間にわたって、着実に資産を保全・成長させる」ためのものです。
投資における「心の平安」の大切さ
私自身の経験をお話しします。20代の頃に株式投資で200万円の損失を出したとき、私は投資に対して大きな不信感を抱きました。「投資なんて、結局はギャンブルだ」と思っていた時期もありました。
しかし、その後ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、投資について改めて学び直す中で、「正しい投資」と「投機」の違いを理解することができました。そして、現在の分散投資による資産形成に行き着いたのです。
現在、私の資産ポートフォリオの15%程度を金関連の投資が占めていますが、この投資が私にもたらしているのは、金銭的なリターンだけではありません。「何があっても、最低限の資産は保全されている」という「心の平安」が、何よりも大きな価値だと感じています。
夜、ニュースで経済の不安定さを報じる内容を見ても、以前ほど不安になることがありません。すべてを預金で持っていた頃は、「インフレが進んだらどうしよう」「円安が進んだらどうしよう」と心配ばかりしていましたが、今は「分散投資をしているから大丈夫」と思えるのです。
完璧を求めず、まずは始めることの大切さ
この記事をお読みの方の中には、「まだ投資について十分理解できていない」「どの証券会社を選べばいいか決められない」「投資金額をいくらにすればいいか分からない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私がお伝えしたいのは「完璧を求めず、まずは始めることが大切」だということです。
私のお客様の中に、3年間にわたって投資の勉強を続けているにも関わらず、一度も実際の投資を始めていない方がいらっしゃいます。「もっと勉強してから」「もっと良いタイミングで」と言い続けているうちに、時間だけが過ぎてしまっているのです。
一方で、「よく分からないけれど、とりあえず月5,000円から始めてみました」という方が、3年後には立派な投資家になっていることも珍しくありません。
投資において最も重要なのは「時間」です。どんなに小さな金額でも、長期間続けることで大きな成果を生むことができます。逆に、どんなに完璧な投資計画を立てても、実行しなければ何の意味もありません。
私からの具体的なアドバイス
最後に、この記事をお読みになった方に向けて、具体的なアドバイスをお伝えします。
今すぐできる3つのアクション
1. 証券口座の開設申込み(今週中) まずは証券口座を開設しましょう。SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、どこでも構いません。口座開設には1-2週間かかるため、早めに申し込むことをおすすめします。
2. 投資金額の決定(今月中) 家計の状況を確認し、無理のない投資金額を決めましょう。月収の3-5%程度が目安ですが、最初は月5,000円からでも十分です。
3. 自動積立の設定(来月から) 口座開設が完了したら、すぐに自動積立の設定を行いましょう。一度設定してしまえば、あとは自動的に投資が続きます。
投資を始める前に確認すべき3つのポイント
1. 生活防衛資金の確保 投資を始める前に、生活費3-6ヶ月分の預金があることを確認しましょう。これがないと、急な出費で投資資金を取り崩すことになりかねません。
2. 投資目的の明確化 「なぜ投資をするのか」「何のために資産を増やすのか」を明確にしましょう。目的が明確でないと、価格変動に動揺してしまいます。
3. 家族との合意形成 配偶者がいる場合は、投資について事前に話し合い、合意を得ておきましょう。家族の理解と協力なしに、長期投資を続けることは困難です。
投資を続けるための3つの工夫
1. 情報との適切な距離感 金価格の日々の変動を気にしすぎると、感情的な判断をしてしまいがちです。情報収集は月1回程度に留め、長期的な視点を保ちましょう。
2. 投資日記の活用 投資を始めた理由、設定した目標、感じた不安などを日記に記録しておきましょう。迷ったときに、初心を思い出すことができます。
3. 定期的な見直し 年1回程度、投資成果と投資方針を見直しましょう。ただし、短期的な成果に一喜一憂せず、長期的な視点を保つことが大切です。
私との約束
最後に、この記事をお読みになった方と一つの約束をさせてください。
もしあなたがゴールドETFの積立投資を始めることになったら、ぜひ5年間は続けてみてください。途中で価格が下がったり、他の投資商品が魅力的に見えたりすることがあるかもしれません。しかし、5年間続けることで、金投資の本当の価値を実感していただけると確信しています。
私自身、2018年から6年間ゴールドETF投資を続けてきました。その間、含み損を抱えた時期もありましたし、「本当にこの投資で良いのだろうか」と迷った時期もありました。しかし、今振り返ると「あの時投資を始めて本当に良かった」と心から思っています。
金銭的なリターンも大切ですが、それ以上に「将来への不安が軽減された」「経済の変化に動じなくなった」という精神的なメリットの方が大きいと感じています。
あなたの将来の経済的安定と心の平安のために、ゴールドETF積立投資という選択肢を検討していただければ幸いです。そして、もしこの投資を始めることになったら、私と一緒に長期的な資産形成の旅を歩んでいきましょう。
最後に:お金は人生を豊かにするための手段
冒頭でもお話ししましたが、私がファイナンシャルプランナーとして活動する中で最も大切にしているのは「お金は人生を豊かにするための手段」という考え方です。
お金そのものが目的になってしまうと、投資に振り回される人生になってしまいます。しかし、お金を手段として捉えることができれば、冷静で合理的な投資判断ができるようになります。
ゴールドETF積立投資も、あくまであなたの人生をより豊かにするための一つの手段です。この投資によって、経済的な不安が軽減され、より充実した人生を送れるようになることを心から願っています。
あなたの資産形成の成功を、心より応援しています。
【この記事を書いた人】 田中聡(仮名)/ CFP・AFP認定ファイナンシャルプランナー 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年。自身も20代で株式投資で200万円の損失を経験したが、その後の分散投資により現在は3,000万円の資産を形成。「お金の不安で眠れない夜を過ごす人の心を軽くしたい」との想いで、このメディアを運営している。
【免責事項】 本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本を下回る可能性があります。投資判断は自己責任で行っていただくとともに、詳細については金融商品取引業者にご確認ください。