最近メディアでよく耳にする「パワーカップル」という言葉、一体どのような意味を持つのでしょうか? 多くの人がこの言葉を耳にはしても、その具体的な意味や背景については詳しく知らないかもしれません。
そこで、この記事では「パワーカップル」という言葉の定義や、それを形成する夫婦の特徴について、わかりやすく解説していきます。特に、経済面における重要なポイントもありますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
パワーカップルとは何か?
「パワーカップル」とは、双方が共働きであり、高い収入を得ているカップルを指します。ただし、夫婦のどちらか一方のみが高収入の場合、この定義には当てはまりません。
パワーカップルの定義について
「パワーカップル」という言葉には、一概に定められた明確な定義はありません。使用者によって、夫婦の年収や社会的影響力など、さまざまな要素が考慮されます。ここでは、主要な研究機関がどのようにパワーカップルを定義しているかを見てみましょう。
三菱総合研究所の定義
三菱総合研究所では、「夫婦共働きで、夫の年収が600万円以上、妻が400万円以上で世帯年収が1,000万円以上」という基準でパワーカップルを定義しています。この調査によると、パワーカップルはしばしば管理職などの高位の職に就いており、豊かな生活を送るための消費活動にも積極的です。企業の営業戦略においても、この定義が重要視されることがあります。
ニッセイ基礎研究所の定義
一方、ニッセイ基礎研究所では、「夫婦共に年収が700万円以上」と定義しています。この研究所の報告によれば、このようなカップルは近年増加傾向にあるとのこと。この背景には、仕事と家庭の両立を支援する社会環境の整備や、多様化する価値観があると考えられます。また、この研究所の報告は、パワーカップルという概念の認知度向上に大きく貢献しています。
パワーカップルに多い職業
パワーカップルとなりやすい職業には、医師や弁護士、公務員などの資格を要する職業が含まれます。これらの職業は平均年収が高めであり、夫婦が同じ職業に就いている場合、特にパワーカップルになる可能性が高いです。また、役職者の年収も非役職者より一般に高く、厚生労働省の統計によると、大企業の部長級や課長級の平均年収はそれぞれ約577万円、約476万円となっています。こうした役職に就く夫婦も、パワーカップルに該当しやすい傾向にあります。
パワーカップルの存在割合とその現状
社会におけるパワーカップルの割合はどの程度なのでしょうか? この章では、「世帯年収が1,000万円以上」および「夫婦それぞれの年収が700万円以上」という二つの観点から、パワーカップルの存在比率を探ります。
世帯年収1,000万円以上の割合に関して
総務省の平成29年の就業構造基本調査によると、共働き世帯は約1348万世帯であり、その中で世帯年収が1,000万円を超える世帯は約86万世帯に達しています。これは、共働き世帯全体の約6%が、世帯年収1,000万円以上のパワーカップルであることを意味します。
夫婦それぞれの年収が700万円以上の割合について
同じく総務省の労働力調査(2021年)によると、共働き世帯は約1632万世帯で、その中で夫婦双方が年収700万円以上の世帯は約31万世帯です。これは、共働き世帯の約1.9%が夫婦双方が年収700万円以上のパワーカップルであるということです。全体の夫婦世帯(2845万世帯)を基準に考えると、パワーカップルの割合は約1%になります。
これらの数字から、パワーカップルは全体のごく一部を占めることが明らかになります。
パワーカップルの特徴と生活スタイル
パワーカップルは単に高い年収を持つだけでなく、他にも独自の特徴があります。以下に、彼らの生活面での特性を詳しく見ていきます。
パワーカップルの主な特徴
- 忙しく時間に制約がある
- 生活水準が高い
- 教育に対して熱心
- 税金の負担が大きい
- 助成金の受給資格に限りがある
忙しく時間に制約がある
パワーカップルは仕事が多忙で、家事や育児に充分な時間を割くことが難しいことが一般的です。そのため、彼らは家事代行サービスや時短家電など、時間節約に役立つサービスや製品に投資する傾向があります。また、通勤の利便性や周辺の外食施設の充実を重視し、都心部に居住するケースが増えています。彼らは価格よりも利便性を重視して消費を行うことが特徴的です。
生活水準が高い
三菱総合研究所の調査によれば、パワーカップルは余暇を豊かにするために多くの資金を投じます。旅行やスポーツなどの趣味や外食など、高額な消費をする傾向があります。例えば、「夫婦共働きで、夫の年収が600万円以上、妻が400万円以上で世帯年収が1,000万円以上」のパワーカップルの月間家計費はどれくらいになるのでしょうか。年収400万円の手取りは約290万円〜330万円、年収600万円の手取りは約460万円〜470万円で、これに基づくと、月間の手取りは約66万円となります。高い生活水準を維持するため、居住費や娯楽費に多くの費用がかかり、貯蓄額が月5万円以下になることもあり得ます。
教育に対して熱心
文部科学省の調査によると、私立小学校に通わせている親の中で年収1,200万円以上の割合は51.8%に達しています。これは、パワーカップルが教育に対して特に熱心であることを示しています。彼らは、学校教育費に加えて、塾や家庭教師、習い事などの教育費にもかなりの投資を行います。
税金の負担が大きい・助成金の受給資格に限りがある
高い年収のため、パワーカップルは所得税や社会保険料の負担が大きくなります。これにより、手取り額は名目上の収入から大きく減少します。また、児童手当など年収に基づく所得制限がある助成金の受給資格を満たさないこともあります。これらの事実から、パワーカップルが必ずしも経済的に余裕があるわけではないことがわかります。
パワーカップルが注意すべきポイント
パワーカップルのライフスタイルには多くの利点がありますが、その一方で注意すべき点も存在します。この章では、パワーカップルに特有の注意点を2つ紹介し、それぞれについて詳しく解説します。
パワーカップルが留意すべきこと
- 老後の家計管理
- 節税対策
老後の家計管理の重要性
パワーカップルは高い生活水準と活発な消費活動が特徴ですが、これらは退職後の生活費の不足を招く可能性があります。現在は双方の収入によって安定した生活を送っていても、老後には収入が大幅に減少することが予想されます。そのため、老後に備えて資産形成を行うことが不可欠です。特に、日常の忙しさに追われて家計管理をおろそかにしている場合は、住宅購入費や子どもの教育費などの将来の大きな支出を計算し、計画的な資金管理を心がけることが重要です。
節税対策の必要性
高収入のパワーカップルは所得税や住民税の負担が大きいため、手取り収入を増やすための節税対策が必要です。会社員の場合、所得控除の活用が一つの方法となります。具体的には、医療費控除、生命保険料・地震保険控除、住宅ローン控除、ふるさと納税、iDeCo、NISAなどがあります。これらの節税対策を行うことで、自己資産の保護に努めることができます。各制度の詳細や最新情報は国税庁の公式サイトで確認することができます。
家計管理のためのFP(ファイナンシャルプランナー)への相談
計画的な家計管理や資産形成を行うには、金融の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談が有効です。FPは個々の目標や将来の生活設計に合わせた資金計画の立案および実行をサポートしてくれます。
特にパワーカップルのように税金や生活水準が高い場合、FPの専門的なアドバイスが大きな助けとなります。貯蓄方法や保険の選定についても相談可能です。
「みんなの生活保険アドバイザー」は、2500名以上のFPと提携しているマッチングサービスで、希望に応じたFPを紹介してくれます。相談は無料で何度でも受けられ、オンラインでの相談も可能です。金融の専門家の意見を参考にしながら、より良い家計管理と資産形成を目指しましょう。
パワーカップルに関する総括
この記事を通して、パワーカップルとは、夫婦共働きで高収入を得ているカップルを指す用語であることが理解できました。一般的に、「世帯年収が1,000万円以上」または「夫婦の年収が各700万円以上」という基準が、パワーカップルを定義づける代表的な指標となっています。
パワーカップルは高い年収を背景に税金の負担が大きく、生活水準も高めの傾向にあります。このため、彼らには未来への資金計画と備えが特に重要になります。老後の生活や家計管理、節税対策など、さまざまな面での計画的なアプローチが求められます。
このような状況を考慮すると、ファイナンシャルプランナー(FP)のようなお金の専門家に相談することが賢明です。FPは個々の状況に合わせた資金計画を提案し、資産形成に向けた実行の援助を提供します。
最終的に、パワーカップルは高収入を活かしつつ、将来にわたる安定した生活を確保するために、計画的な資産形成に取り組む必要があると言えるでしょう。