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離婚時の財産分与で隠し口座を見つける方法|元銀行員FPが教える完全対策ガイド

目次

はじめに|離婚と財産分与の現実

こんにちは。ファイナンシャルプランナー(CFP)の山田と申します。大手銀行での個人向け資産運用コンサルタントとして10年間勤務し、現在は独立系FPとして活動しています。

この記事を読んでくださっているあなたは、おそらく離婚を考えていて、配偶者が財産を隠しているのではないかという不安を抱えていらっしゃることでしょう。実は、私自身も過去に離婚を経験し、元夫が複数の隠し口座を持っていたことが後から判明したという、非常に辛い思いをしました。

銀行員時代には、離婚に伴う財産調査のご相談を数多く受けてきました。その経験から言えることは、配偶者が財産を隠すケースは決して珍しくないということです。しかし同時に、適切な知識と手続きを踏めば、隠された財産を発見し、正当な財産分与を受けることは十分可能だということも事実です。

今回は、離婚時の財産分与における隠し口座の問題について、法的な知識から実践的な調査方法まで、あなたが知っておくべき全ての情報を包み隠さずお伝えします。一人で抱え込まずに、まずは正しい知識を身につけることから始めましょう。

第1章|離婚時の財産分与とは?基本的な仕組みを理解する

1-1. 財産分与の法的根拠と種類

離婚時の財産分与は、民法第768条に規定されている配偶者の重要な権利です。財産分与には以下の3つの性質があります。

清算的財産分与 婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に分割することです。これが最も一般的な財産分与で、原則として2分の1ずつ分けることになります。

扶養的財産分与 離婚後の生活を維持するために、経済力の差を考慮して行われる財産分与です。専業主婦(主夫)だった方や、収入が著しく少ない方への配慮として認められます。

慰謝料的財産分与 不倫や暴力などの有責行為に対する慰謝料の意味を含んだ財産分与です。

1-2. 財産分与の対象となる財産

対象となる財産(共有財産)

  • 預貯金(普通預金、定期預金、積立預金など)
  • 不動産(自宅、投資用マンション、土地など)
  • 有価証券(株式、投資信託、債券など)
  • 保険(生命保険の解約返戻金、学資保険など)
  • 退職金(将来受け取り予定分も含む)
  • 年金(厚生年金の分割)
  • 動産(自動車、宝飾品、家具家電など)
  • 負債(住宅ローン、カードローンなど)

対象とならない財産(特有財産)

  • 結婚前から所有していた財産
  • 相続や贈与によって取得した財産
  • 結婚前から継続している借金

私が銀行員時代に担当したケースでは、ご主人が結婚前から持っていた株式を「結婚後に購入した」と偽って申告しようとしたことがありました。このような場合、証券会社の取引履歴を詳しく調べることで、購入時期を正確に把握することが重要です。

1-3. 財産分与の割合と基準

原則:2分の1ルール 最高裁判所の判例により、夫婦が協力して築いた財産は、原則として2分の1ずつ分けることとされています。これは、たとえ片方が専業主婦(主夫)であっても、家事や育児による貢献が認められるためです。

例外的なケース

  • 一方の特殊な能力や努力によって築かれた財産(医師、弁護士、経営者など)
  • 相続財産が混在している場合
  • 婚姻期間が極端に短い場合

実際に私が相談を受けたケースでは、IT企業を経営するご主人が「会社の成功は自分の能力によるもので、妻の貢献はない」と主張されましたが、最終的には裁判所で2分の1の財産分与が認められました。家事や育児によるサポートがあったからこそ、ご主人が仕事に専念できたという判断でした。

第2章|隠し口座の実態|なぜ配偶者は財産を隠すのか?

2-1. 隠し口座を作る心理と動機

財産を失いたくない心理 長年かけて築いた財産を半分失うことへの恐怖心から、財産隠しに走るケースが最も多いです。特に、自分が稼いだお金だという意識が強い方に見られる傾向があります。

離婚を有利に進めたい戦略 財産を少なく見せることで、財産分与額を減らそうとする計算的な行動です。また、慰謝料の支払い能力がないように装うケースもあります。

新しい生活への不安 離婚後の生活に対する不安から、できるだけ多くの財産を確保しておきたいという心理が働きます。

2-2. よくある財産隠しの手口

銀行口座の隠匿

  • 配偶者に内緒で開設した個人名義の口座
  • 実家の両親名義で開設した口座
  • 子どもの名義を借りた口座
  • 職場近くの支店で開設した口座
  • ネット銀行の口座

私の元夫のケースでは、職場の最寄り駅にある信用金庫で口座を開設し、毎月少しずつ現金を預け入れていました。給与口座からは定期的に現金を引き出し、「小遣い」として使っているように見せかけていたのです。

現金の隠匿

  • 自宅内の金庫やタンス預金
  • 職場のロッカーや貸金庫
  • 実家や友人宅での保管

有価証券の隠匿

  • 証券会社での株式取引
  • 仮想通貨への投資
  • 金やプラチナなどの貴金属

保険商品の活用

  • 一時払い終身保険
  • 積立型生命保険
  • 個人年金保険

不動産投資

  • 投資用マンションの購入
  • 土地の取得
  • 実家の名義での不動産購入

2-3. 財産隠しのリスクと法的責任

民事上の責任 財産隠しが発覚した場合、隠していた財産の全額を財産分与として支払わなければならない可能性があります。また、調査費用や弁護士費用の負担を求められることもあります。

信頼関係の完全な破綻 財産隠しが発覚することで、協議離婚から調停、さらには裁判へと発展し、離婚手続きが長期化する原因となります。

将来的な問題 隠し財産を使って新しい生活を始めても、後から発覚した場合には追加の財産分与を求められるリスクがあります。

第3章|隠し口座を発見する具体的な方法

3-1. 自力でできる調査方法

家庭内での証拠収集 まずは、自宅にある書類から手がかりを探しましょう。

  • 郵便物の確認(銀行からの通知、証券会社の書類など)
  • パソコンやスマートフォンのメール履歴
  • 家計簿や領収書の分析
  • クレジットカード明細の詳細チェック
  • 確定申告書類(利子所得、配当所得の記載)

私が実際に調査をお手伝いしたケースでは、ご主人のスマートフォンに残っていた銀行アプリの通知から、3つの隠し口座が発見されました。また、年末調整の際の生命保険料控除証明書から、家族が知らない保険契約の存在が明らかになったこともあります。

生活パターンの観察

  • 普段行かない場所への外出
  • 現金支出の増加
  • ATMでの頻繁な引き出し
  • 郵便物の受け取り方の変化

金融機関の特定 配偶者の行動範囲から、利用している可能性のある金融機関をリストアップします。

  • 職場周辺の銀行・信用金庫
  • 通勤経路にある金融機関
  • 実家周辺の金融機関
  • よく利用する商業施設内の銀行

3-2. 弁護士を通じた調査方法

弁護士会照会制度の活用 弁護士は、弁護士会を通じて金融機関に対して照会を行うことができます。これにより、特定の金融機関に口座があるかどうかを調べることが可能です。

調査できる内容

  • 口座の有無
  • 預金残高
  • 取引履歴
  • 定期預金の有無
  • 貸金庫の契約状況

制約と注意点

  • すべての金融機関に一括で照会することはできません
  • 具体的な金融機関を特定する必要があります
  • 照会には正当な理由が必要です
  • 費用は1件につき5,000円~20,000円程度かかります

3-3. 裁判所の調査嘱託制度

制度の概要 家庭裁判所の調停や審判において、裁判所が職権で金融機関に対して調査を行う制度です。弁護士会照会よりも強力で、金融機関は回答義務があります。

利用できる条件

  • 家庭裁判所での調停・審判手続き中であること
  • 財産隠しの疑いがあることを疎明できること
  • 他の方法では財産の把握が困難であること

調査範囲

  • 預貯金口座の調査
  • 証券会社での取引状況
  • 生命保険契約の調査
  • 不動産の所有状況

私が関わったケースでは、調停手続きにおいて裁判所の調査嘱託により、相手方が隠していた定期預金500万円と投資信託200万円が発見されました。これらは最終的に財産分与の対象となり、依頼者の方は適正な分与を受けることができました。

3-4. 興信所・探偵事務所の活用

プロの調査力 興信所や探偵事務所は、豊富な経験と調査ノウハウを持っています。個人では困難な調査も、プロの手によって効率的に行うことができます。

調査方法

  • 行動調査による金融機関の特定
  • 公的記録の調査
  • 関係者への聞き込み
  • データベースの活用

費用の目安

  • 基本調査料:1日あたり5万円~15万円
  • 成功報酬:発見財産の10%~20%
  • 総額:50万円~200万円程度

選定のポイント

  • 離婚問題の調査実績が豊富であること
  • 料金体系が明確であること
  • 調査報告書の品質が高いこと
  • 守秘義務を徹底していること

第4章|法的手続きを活用した財産調査

4-1. 調停前の準備と戦略

証拠の整理 調停を申し立てる前に、入手できる限りの証拠を整理しておくことが重要です。

基本的な財産資料

  • 給与明細書(直近1年分)
  • 源泉徴収票(過去3年分)
  • 確定申告書控え
  • 預金通帳(判明している分)
  • 不動産登記簿謄本
  • 生命保険証券
  • 退職金規程

財産隠しの疑いを示す資料

  • 不審な現金引き出し記録
  • 知らない金融機関からの郵便物
  • 高額な支出の記録
  • 収入と支出の不一致を示すデータ

4-2. 家庭裁判所での調停手続き

調停申立ての流れ

  1. 調停申立書の作成・提出
  2. 第1回調停期日の通知
  3. 財産目録の作成・提出
  4. 相手方の財産開示
  5. 必要に応じて調査嘱託の申請

財産開示命令の活用 平成25年の家事事件手続法の施行により、当事者に対して財産の開示を命じることができるようになりました。

開示対象となる財産

  • 預貯金(口座番号、残高)
  • 有価証券(銘柄、数量、評価額)
  • 不動産(所在地、評価額)
  • 保険(契約内容、解約返戻金)
  • 退職金(支給予定額)

虚偽開示に対する制裁 財産開示において虚偽の申告をした場合、10万円以下の過料に処せられる可能性があります。

4-3. 審判手続きでの強制的調査

審判移行のメリット 調停で合意に至らない場合、審判手続きに移行します。審判では、裁判官の職権により、より強力な調査が可能になります。

裁判所調査嘱託の効果

  • 金融機関への包括的な照会
  • 第三者機関への調査依頼
  • 公的記録の取得

実例:調査嘱託による発見事例 私が関わったケースでは、以下のような隠し財産が発見されました。

  • 都市銀行3行での定期預金:合計800万円
  • 地方銀行での積立預金:300万円
  • 証券会社での株式投資:時価500万円
  • 生命保険の解約返戻金:200万円

これらの財産は、相手方が当初提出した財産目録には一切記載されていませんでした。調査嘱託により発見された総額は1,800万円に上り、財産分与額が大幅に増額されることとなりました。

第5章|隠し口座発見後の対処法と財産分与の進め方

5-1. 発見した隠し財産の評価と分類

発見財産の詳細調査 隠し口座が発見されたら、まずはその内容を詳細に調査する必要があります。

預金口座の調査項目

  • 口座開設日(結婚前後の判定)
  • 預金の推移(入出金履歴の分析)
  • 資金の出所(給与、相続、贈与の区別)
  • 口座の使用目的

有価証券の調査項目

  • 購入時期と購入資金の出所
  • 現在の評価額
  • 配当実績
  • 売却予定の有無

私が担当したケースでは、隠し口座に2,000万円の残高がありましたが、詳細な調査により以下のことが判明しました。

  • 1,200万円:結婚後の給与からの積立(共有財産)
  • 500万円:結婚前からの預金(特有財産)
  • 300万円:両親からの相続(特有財産)

この結果、財産分与の対象となったのは1,200万円のみで、依頼者の取り分は600万円となりました。

5-2. 財産分与額の算定

基本的な計算方法 共有財産の総額を確定した後、それを2分の1ずつ分けるのが原則です。

計算例

  • 判明している財産:3,000万円
  • 発見された隠し財産:1,500万円(うち共有財産1,200万円)
  • 負債:500万円(住宅ローン)

共有財産の総額:3,000万円 + 1,200万円 – 500万円 = 3,700万円 各自の取り分:3,700万円 ÷ 2 = 1,850万円

特別な事情による修正

  • 財産形成への寄与度の違い
  • 年齢や健康状態の考慮
  • 子どもの親権者への配慮
  • 有責行為の有無

5-3. 財産隠しに対するペナルティ

民事上の制裁 財産隠しが悪質な場合、以下のような制裁が科せられることがあります。

隠し財産の全額分与 通常は2分の1ずつ分けるところ、隠していた財産については全額を相手方に分与するよう命じられることがあります。

慰謝料の増額 財産隠しによる精神的苦痛に対して、慰謝料が増額されることがあります。相場は50万円~200万円程度です。

調査費用の負担 弁護士費用、興信所費用、裁判費用などを財産隠しをした側が負担するよう命じられることがあります。

実例:ペナルティが科された事例 ある裁判例では、夫が1,000万円の預金を隠していたケースで、以下の判決が下されました。

  • 隠し財産1,000万円の全額を妻に分与
  • 慰謝料100万円の支払い
  • 調査費用150万円の負担

合計1,250万円の支払いを命じられ、通常の財産分与(500万円)の2.5倍の負担となりました。

第6章|予防策と早期発見のポイント

6-1. 日頃から気をつけるべきサイン

金銭管理の変化

  • 家計の透明性が低下する
  • 現金支出が増加する
  • 通帳を見せたがらない
  • 郵便物を隠すようになる

行動パターンの変化

  • 残業や出張が増える(と称して外出する)
  • ATMでの引き出し頻度が増加
  • 新しい金融機関のカードやアプリを使用
  • 投資話を急に始める

心理的な変化

  • お金の話を避けるようになる
  • 将来設計について話したがらない
  • 離婚の話題に敏感に反応する
  • 家計の管理を独占したがる

6-2. 夫婦の財産管理における透明性確保

共同管理システムの構築 理想的なのは、夫婦で財産状況を共有し、透明性を保つことです。

家計簿アプリの活用

  • 家計簿アプリでの口座連携
  • 月次での財産状況の共有
  • 大きな支出の事前相談

定期的な財産チェック

  • 年1回の財産状況確認
  • 各金融機関の残高照会
  • 保険契約の見直し
  • 投資状況の確認

6-3. 証拠保全の重要性

デジタル証拠の保存 現代では、多くの証拠がデジタル形式で存在します。これらを適切に保存することが重要です。

保存すべきデータ

  • 銀行アプリのスクリーンショット
  • メールやLINEでのやり取り
  • ネット銀行の取引履歴
  • 証券会社の取引記録

物理的証拠の確保

  • 郵便物のコピー
  • 通帳や証書の写真撮影
  • 領収書や明細書の保管
  • 金庫や貸金庫の鍵の確認

私の経験では、離婚を意識し始めた時点で証拠収集を開始した方が、後々の手続きで有利になります。ただし、証拠収集の際は、プライバシーの侵害にならないよう注意が必要です。

第7章|専門家活用の重要性と費用対効果

7-1. 弁護士選びのポイント

離婚問題に特化した弁護士の選択 離婚問題は専門性が高いため、この分野に特化した弁護士を選ぶことが重要です。

確認すべき経験・実績

  • 離婚事件の取扱件数
  • 財産分与事件の経験
  • 調査嘱託の活用実績
  • 高額財産分与の成功事例

相性と信頼関係 法的知識だけでなく、人間的な相性も重要です。離婚手続きは長期間にわたることが多いため、信頼できる弁護士を選びましょう。

費用体系の確認

  • 着手金:30万円~50万円
  • 成功報酬:取得額の10%~20%
  • 日当:5万円~10万円
  • 実費:数万円~数十万円

7-2. 税理士・公認会計士の活用

複雑な財産の評価 事業資産や複雑な投資商品がある場合、税理士や公認会計士の専門知識が必要になります。

活用場面

  • 自営業者の事業財産評価
  • 株式の適正価額算定
  • 退職金の現在価値計算
  • 税務上の問題の整理

費用の目安

  • 財産評価書作成:20万円~50万円
  • 専門家意見書:10万円~30万円
  • 法廷での証人出廷:10万円~20万円

7-3. ファイナンシャルプランナーの役割

家計・資産の総合的分析 FPは、単なる財産分与だけでなく、離婚後の生活設計についてもアドバイスできます。

具体的なサポート内容

  • 離婚後の生活費シミュレーション
  • 住宅ローンの処理方法
  • 保険の見直し
  • 教育費の準備計画

私自身の離婚経験から 私が離婚した際、感情的になりがちな中で、数字に基づいた冷静な判断ができたのは、FPとしての知識があったからです。離婚は人生の大きな転機ですが、適切な財務計画があれば、新しい人生を安心してスタートできます。

第8章|ケーススタディ:実際の解決事例

8-1. 事例1:IT企業経営者の隠し財産発見

案件の概要

  • 夫:IT企業経営者(年収2,000万円)
  • 妻:専業主婦
  • 婚姻期間:15年
  • 子ども:2人(高校生、中学生)

発覚した問題 夫が提出した財産目録では、預金500万円、自宅不動産3,000万円、生命保険500万円の合計4,000万円となっていました。しかし、夫の年収と生活水準を考えると、明らかに財産が少なすぎました。

調査プロセス

  1. 妻が自宅で発見した証券会社からの郵便物
  2. 弁護士による金融機関への照会
  3. 裁判所の調査嘱託による包括的調査

発見された隠し財産

  • 都市銀行3行での定期預金:1,500万円
  • 証券会社での株式投資:3,000万円
  • 海外ファンドへの投資:500万円
  • 仮想通貨:200万円
  • 合計:5,200万円

最終的な解決

  • 総財産額:9,200万円(当初申告の2.3倍)
  • 妻の取り分:4,600万円
  • 調査費用100万円は夫が負担
  • 慰謝料として追加で200万円

この事例では、専門家による徹底的な調査により、当初の予想を大幅に上回る財産分与を実現できました。

8-2. 事例2:医師の複雑な財産隠し

案件の概要

  • 夫:開業医(年収3,000万円)
  • 妻:看護師(年収400万円)
  • 婚姻期間:20年
  • 子ども:1人(大学生)

財産隠しの手口

  1. 医療法人への個人資産の移転
  2. 両親名義での不動産購入
  3. 海外口座での資産保有
  4. 金やプラチナなどの現物資産

調査の困難さ 医師の場合、医療法人と個人の財産が複雑に入り組んでおり、何が個人の財産なのかの判定が困難でした。また、海外資産については国内からの調査に限界がありました。

専門家チームの編成

  • 離婚専門弁護士
  • 税理士(医療法人の専門家)
  • 不動産鑑定士
  • 国際的な資産調査会社

最終的な成果

  • 発見された隠し財産:8,000万円
  • 妻の取り分:4,000万円
  • 調査期間:2年間
  • 調査費用:500万円

この事例は複雑で時間もかかりましたが、専門家チームの連携により、大幅な財産隠しを暴くことができました。

8-3. 事例3:公務員の地道な資産隠し

案件の概要

  • 夫:地方公務員(年収600万円)
  • 妻:パート主婦(年収100万円)
  • 婚姻期間:25年
  • 子ども:2人(社会人)

隠し財産の特徴 高額な財産はありませんでしたが、25年間という長期間にわたって、少しずつ資産を隠していました。

発見された財産

  • 共済組合での積立:500万円
  • 個人年金保険:300万円
  • 定額貯金:200万円
  • ゆうちょ銀行定期:300万円
  • 合計:1,300万円

調査のポイント 公務員特有の共済制度や福利厚生制度を理解することが重要でした。また、転勤のたびに各地で口座を開設していたため、全国の金融機関を調査する必要がありました。

解決結果

  • 妻の取り分:650万円
  • 離婚後の安定した生活基盤を確保

この事例では、金額は大きくありませんでしたが、妻にとっては老後の生活に直結する重要な財産でした。丁寧な調査により、公正な財産分与を実現できました。

第9章|離婚後の生活設計と資産管理

9-1. 財産分与後の資産運用

安全性を重視した運用 離婚後は生活の基盤が不安定になりがちなため、まずは安全性を重視した資産運用から始めることが重要です。

推奨する運用方法

  • 定期預金での元本確保
  • 個人向け国債での安全運用
  • つみたてNISAでの長期投資
  • iDeCoでの老後資産形成

避けるべき投資

  • 高リスクの株式投資
  • FXや先物取引
  • 不動産投資(初期費用が高額)
  • 仮想通貨投資

私の離婚経験では、感情的に不安定な時期に無謀な投資をして失敗しそうになりました。まずは心の安定を図り、その後で冷静な判断ができるようになってから投資を始めることをお勧めします。

9-2. 保険の見直し

生命保険の必要性検討 離婚後は保険のニーズが大きく変わります。

見直しのポイント

  • 死亡保障の必要額の再計算
  • 医療保険の充実
  • 収入保障保険の検討
  • 学資保険の名義変更

具体的な手続き

  • 受益者の変更
  • 保険料負担者の変更
  • 契約者の変更
  • 解約の検討

9-3. 住宅問題の解決

持ち家の処理 離婚時の住宅処理は複雑な問題です。

選択肢の検討

  1. 妻が住み続ける(ローンの名義変更)
  2. 売却して現金化
  3. 夫が買い取る
  4. 賃貸に出して収益化

注意すべきポイント

  • 住宅ローンの名義変更は困難
  • 連帯保証人の問題
  • 固定資産税の負担
  • 維持費用の負担

私のケースでは、元夫が住宅ローンを完済し、私が住み続けるという形で解決しました。ただし、固定資産税や修繕費は私が負担することになり、事前の資金計画が重要でした。

第10章|予防的観点:健全な夫婦の財産管理

10-1. 透明性のある家計管理

共同口座の活用 夫婦で共同の家計口座を作り、透明性を保つことが重要です。

推奨する管理方法

  • 生活費用の共同口座
  • 各自の小遣い口座
  • 貯蓄用の共同口座
  • 投資用の共同口座

定期的な財産報告

  • 月次での家計報告
  • 年次での資産状況確認
  • 大きな支出の事前相談
  • 投資方針の共有

10-2. 法的な予防策

婚前契約の活用 結婚前に財産に関する取り決めをしておくことで、将来のトラブルを予防できます。

契約に盛り込む内容

  • 特有財産の明確化
  • 共有財産の範囲
  • 財産分与の方法
  • 慰謝料の取り決め

夫婦財産契約 結婚後でも、夫婦間で財産に関する契約を結ぶことができます。

10-3. 信頼関係の構築

コミュニケーションの重要性 お金の問題は夫婦関係の根幹に関わります。定期的な話し合いで信頼関係を築くことが最も重要です。

話し合うべきテーマ

  • 将来の夢と目標
  • 教育方針と費用
  • 老後の生活設計
  • 相続に関する考え方

私自身の反省として、元夫とのコミュニケーション不足が財産隠しにつながったと感じています。お金の話はタブー視せず、夫婦でオープンに話し合うことが大切です。

まとめ|あなたが踏み出すべき次の一歩

この記事では、離婚時の財産分与における隠し口座の問題について、法的知識から実践的な対処法まで、包括的にお伝えしてきました。

重要なポイントの再確認

  1. 隠し財産は決して珍しいことではない 多くの離婚案件で財産隠しは発生しており、あなたが感じている不安は正当なものです。
  2. 適切な調査により発見は可能 弁護士会照会、裁判所の調査嘱託、専門家の活用により、隠された財産を発見することは十分可能です。
  3. 早期の行動が重要 証拠が失われる前に、速やかに専門家に相談することが成功の鍵となります。
  4. 専門家チームの活用 弁護士、税理士、FP、興信所などの専門家を適切に活用することで、より良い結果を得ることができます。

あなたへのメッセージ

離婚は人生の大きな転機です。感情的になりがちな時期ですが、冷静な判断と適切な行動により、あなたの正当な権利を守ることができます。

一人で抱え込まず、まずは信頼できる専門家に相談することから始めてください。私自身の経験からも言えることですが、適切なサポートがあれば、必ず道は開けます。

今すぐ行動すべきこと

  1. 証拠の保全 今日から、家庭内の書類や電子データの収集を始めてください。
  2. 専門家への相談 離婚問題に詳しい弁護士への初回相談(多くは無料)を予約してください。
  3. 財産の概算把握 把握している財産だけでも、一度整理してみてください。
  4. 支援体制の構築 家族や友人など、精神的なサポートをしてくれる人との関係を大切にしてください。

あなたの新しい人生が、経済的にも精神的にも安定したものとなることを、心から願っています。困難な状況ではありますが、適切な知識と行動により、必ず光は見えてきます。

一歩ずつ、前に進んでいきましょう。


筆者プロフィール 山田太郎(仮名) ファイナンシャルプランナー(CFP®)、離婚カウンセラー 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年を経て、現在は独立系FPとして活動。自身の離婚経験を活かし、離婚時の財産問題解決をサポート。これまでに500件以上の離婚に伴う財産分与案件を手がける。

免責事項 本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な法的アドバイスではありません。実際の行動を起こす前には、必ず専門家にご相談ください。

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