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農業副業の確定申告完全ガイド|税理士が教える節税テクニックと申告のコツ

こんにちは。ファイナンシャルプランナー(CFP資格保有)の田中と申します。大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年を経て、現在は税務相談も含めた総合的な資産形成アドバイスを行っています。

実は私自身、5年前から週末を利用して小さな農園を運営しており、野菜作りから始まった趣味が、今では年間50万円ほどの副収入を生む事業に成長しました。最初の年は確定申告のことを全く考えておらず、税務署で慌てて相談に行った経験があります。

「農業を副業として始めたいけれど、確定申告が複雑そうで不安…」 「どこまでが経費として認められるの?」 「会社にバレずに農業副業をする方法はある?」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。今回は、農業副業における確定申告の全てを、税務の専門知識と実体験を交えながら、どこよりも詳しく解説いたします。

目次

目次

  1. 農業副業の基本知識と魅力
  2. 農業所得の計算方法と種類
  3. 確定申告が必要になるケース
  4. 農業副業で計上できる経費一覧
  5. 青色申告vs白色申告の選択基準
  6. 会社員が農業副業をする際の注意点
  7. 実際の確定申告書作成手順
  8. よくあるトラブルと対処法
  9. 農業副業の将来設計

1. 農業副業の基本知識と魅力

農業副業が注目される3つの理由

近年、サラリーマンの副業として農業が注目を集めています。私のもとにも「週末農業を始めたい」という相談が月に10件以上寄せられるようになりました。

理由1:安定した食料需要と地域貢献 コロナ禍を経て、食料の安全保障に対する関心が高まっています。農業は人間が生きていく上で必要不可欠な産業であり、需要が完全になくなることはありません。また、地域の農地を活用することで、地域活性化にも貢献できます。

理由2:初期投資の選択肢が豊富 「農業=大規模投資」というイメージがありますが、実際は小さく始めることも可能です。市民農園を借りて年間3万円程度から始められますし、私のように中古の軽トラックと簡単な農具だけで本格的な栽培を開始することもできます。

理由3:節税効果と資産形成 適切に経費を計上することで、本業の給与所得と損益通算が可能になり、結果的に節税効果を得られる場合があります。ただし、これは農業を継続的に行い、将来的に利益を得る意思があることが前提となります。

私の農業副業体験談

5年前、当時38歳だった私は、将来の年金不安から何か副業を始めたいと考えていました。投資だけでは物足りなさを感じ、「自分の手で何かを生み出す仕事」に魅力を感じて農業を選択しました。

1年目:トマト栽培で大失敗(赤字15万円) 近所の貸し農園を月5,000円で借り、夏野菜のトマトとナスの栽培を開始。しかし、病気や害虫の知識不足で収穫量は期待の3分の1。投資した苗代、肥料代、農具代で年間20万円を支出したのに対し、収入はわずか5万円でした。

2年目:知識習得と品種選定(収支トントン) 農業技術センターの講習会に参加し、地域の農家さんとのネットワークを構築。病害虫対策を学び、地域に適した品種を選定した結果、収穫量が2倍に。支出18万円、収入19万円でほぼ収支均衡を達成しました。

3年目:販路開拓で黒字転換(利益12万円) 近隣の直売所への出荷を開始し、さらにSNSでの情報発信により個人客も獲得。支出20万円に対し、収入32万円で初めて黒字を達成。この年から青色申告を開始しました。

現在(5年目):安定収益と拡大計画(利益50万円) 現在は年間売上80万円、利益50万円を安定して確保。来年からはハウス栽培も検討しており、将来的には年間利益100万円を目標としています。

2. 農業所得の計算方法と種類

農業所得とは何か

農業所得とは、農作物の販売などによって得た収入から、種苗費、肥料費、農具費などの必要経費を差し引いた金額のことです。税法上は「事業所得」に分類されます。

農業所得 = 農業収入 - 必要経費

収入として計上すべきもの

現金収入

  • 農作物の販売代金
  • 農作業の受託収入
  • 農業用機械の貸付収入
  • 農業関連の補助金・助成金

現物収入(重要ポイント) 多くの方が見落としがちなのが現物収入です。自家消費した農作物も、実は収入として計上する必要があります。

私も最初の年、家族で食べたトマトやナスの分を収入計上していませんでした。税務署の方に指摘されて初めて知ったのですが、自家消費分は「時価」で収入として計上し、同額を家事費として経費計上する必要があります。

具体的な計算例:

  • 市場価格200円/kgのトマトを10kg自家消費
  • 収入:2,000円を計上
  • 経費:家事費2,000円を計上
  • 結果:所得への影響はゼロ

経費として認められる支出の判断基準

税務署が最も注目するのは「農業との関連性」です。以下の3つの基準で判断されます。

1. 業務関連性 その支出が農業事業に直接関係しているか

2. 合理性 支出金額が事業規模に対して適正か

3. 継続性 一時的な支出ではなく、継続的な事業活動に必要か

3. 確定申告が必要になるケース

副業農業で確定申告が必要な条件

給与所得者の場合

  • 農業所得が年間20万円を超える場合
  • 農業所得が20万円以下でも住民税の申告は必要

個人事業主の場合

  • 農業所得の金額に関係なく、必ず確定申告が必要

20万円ルールの注意点

「副業の所得が20万円以下なら確定申告不要」というルールは、所得税に関してのみ適用されます。住民税については、金額に関係なく申告が必要です。

私の相談者の中にも、この点を誤解して住民税の申告を怠り、後日役所から通知が来て慌てた方がいらっしゃいました。

実例:年間売上30万円、経費15万円の場合

  • 農業所得:15万円
  • 所得税の確定申告:不要
  • 住民税の申告:必要

損失が出た場合の取り扱い

農業で損失が出た場合、給与所得などの他の所得と損益通算することができます。これにより、源泉徴収された所得税の還付を受けられる可能性があります。

私の1年目の例:

  • 給与所得:500万円
  • 農業所得:-15万円(損失)
  • 損益通算後の総所得:485万円
  • 結果:所得税約3万円の還付

ただし、農業を単なる趣味として行っている場合は損益通算できません。「将来的に利益を得る意思があり、継続的に事業として行っている」ことが条件となります。

4. 農業副業で計上できる経費一覧

種苗費・肥料費・農薬費

種苗費

  • 野菜や果樹の苗代
  • 種子代
  • 球根代
  • 接ぎ木苗の代金

注意点: 家庭菜園と農業事業の境界が曖昧な場合は、事業割合を明確にする必要があります。私は農園の区画図を作成し、事業用と自家消費用の面積比率を記録しています。

肥料費

  • 化学肥料
  • 有機肥料(牛糞、鶏糞など)
  • 土壌改良材
  • 堆肥

農薬費

  • 殺虫剤
  • 殺菌剤
  • 除草剤
  • 展着剤

農具費・機械費

農具費

  • スコップ、クワ、鎌などの手工具
  • ホース、スプリンクラー
  • 支柱、ネット、マルチ

機械費

  • 耕運機の購入費(減価償却)
  • 軽トラックの購入費(事業用割合分)
  • 草刈り機、チェーンソー

私の減価償却の実例: 中古軽トラック(50万円で購入)の場合

  • 法定耐用年数:4年
  • 事業用割合:60%(農業用途での使用時間比率)
  • 年間償却額:50万円 × 60% ÷ 4年 = 7.5万円

地代・家賃

農地の賃借料

  • 田畑の賃貸料
  • 市民農園の利用料
  • 農業用倉庫の賃料

自宅の一部を事業用に使用する場合 自宅の一部を農作物の保管や農機具の収納に使用している場合は、使用面積に応じた家賃や固定資産税を経費計上できます。

計算例:

  • 自宅面積:100㎡
  • 事業用使用面積:10㎡(農具保管用)
  • 月額家賃:10万円
  • 経費計上可能額:10万円 × 10㎡/100㎡ = 1万円/月

水道光熱費

電気代

  • 農業用ポンプの電気代
  • 温室やハウスの暖房費
  • 農作物保管用冷蔵庫の電気代

ガス代

  • ハウス暖房用のガス代
  • 農作物の乾燥や加工用のガス代

水道代

  • 農業用水として使用した水道料金

運搬費・旅費交通費

運搬費

  • 農作物の出荷にかかる運送費
  • 肥料や農機具の運搬費

旅費交通費

  • 農地への交通費(ガソリン代、電車代)
  • 農業技術研修への参加費用
  • 農業展示会への参加費用

私のガソリン代計算方法: 農地が自宅から20km離れている場合

  • 往復40km × 週2回 × 52週 = 年間4,160km
  • 燃費15km/L、ガソリン160円/Lとして
  • 年間ガソリン代:4,160km ÷ 15km/L × 160円 = 約4.4万円

通信費・消耗品費

通信費

  • 農業関連の電話代
  • インターネット代(農業用途分)
  • 携帯電話代(事業用割合分)

消耗品費

  • 農作業用手袋、長靴
  • 事務用品(帳簿、ファイル)
  • 梱包材料
  • 10万円未満の農具

接待交際費・会費

接待交際費

  • 農産物の販路開拓のための接待費
  • 農業関係者との懇親会費用

会費

  • 農業協同組合の年会費
  • 農業関連団体の会費
  • 農業雑誌の購読料

外注費・雇人費

外注費

  • 農作業の一部を外部に委託した費用
  • 機械作業の委託費

雇人費

  • 収穫期のアルバイト代
  • 農作業補助者への日当

減価償却費

対象となる資産

  • 10万円以上の農機具
  • 農業用車両
  • ハウス、温室などの設備
  • パソコン(農業用途分)

耐用年数の例

  • 軽トラック:4年
  • 耕運機:7年
  • ビニールハウス:14年
  • パソコン:4年

経費計上時の注意点

1. 領収書の保管 すべての支出について領収書やレシートを保管してください。電子帳簿保存法の改正により、2024年1月からは電子取引については電子保存が義務化されています。

2. 家事按分の明確化 自家用と事業用が混在する支出については、合理的な基準で按分する必要があります。私は以下のような基準を設けています:

  • 車両:走行距離または使用時間
  • 通信費:通話時間またはデータ使用量
  • 電気代:使用面積または使用時間

3. 事業実態の証明 税務調査時に事業実態を証明できるよう、以下の書類を整備しています:

  • 作付け計画書
  • 栽培日誌
  • 売上管理表
  • 顧客管理表
  • 写真記録

5. 青色申告vs白色申告の選択基準

青色申告の特典

65万円の青色申告特別控除 複式簿記による記帳と貸借対照表・損益計算書の作成により、最大65万円の特別控除を受けられます。

私の節税効果計算:

  • 農業所得:80万円
  • 青色申告特別控除:65万円
  • 課税対象所得:15万円
  • 節税効果:約10万円(所得税・住民税合計)

青色事業専従者給与 配偶者や親族に支払った給与を経費として計上できます。ただし、以下の条件があります:

  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上
  • 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族
  • その年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事

損失の繰越し 事業で損失が生じた場合、翌年以後3年間にわたって各年分の所得金額から控除できます。

少額減価償却資産の特例 30万円未満の減価償却資産を年間300万円まで一括償却できます。

白色申告のメリット

記帳の簡便性 簡易な帳簿での記録が可能で、複式簿記の知識が不要です。

提出書類の少なさ 確定申告書と収支内訳書のみで申告が完了します。

青色申告承認申請のタイミング

青色申告をするためには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

提出期限:

  • 1月1日~1月15日に事業開始:その年の3月15日まで
  • 1月16日以降に事業開始:事業開始日から2ヶ月以内

私の失敗談: 1年目は白色申告で確定申告を行い、2年目から青色申告に変更しました。しかし、青色申告承認申請書の提出を忘れており、2年目も白色申告になってしまいました。結果的に約8万円の節税機会を逃してしまい、非常に後悔しています。

青色申告に必要な帳簿

現金出納帳 農業事業に関する現金の入出金を記録します。

売掛帳・買掛帳 売上や仕入れで掛け取引がある場合に作成します。

固定資産台帳 10万円以上の農機具や設備について記録します。

総勘定元帳 すべての取引を勘定科目別に分類して記録します。

私が使用している会計ソフト: 個人的にはクラウド型の会計ソフト「freee」を使用しています。銀行口座やクレジットカードと連携でき、レシート撮影機能もあるため、記帳作業が大幅に効率化されました。月額1,000円程度のコストですが、税理士費用と比較すると非常に経済的です。

6. 会社員が農業副業をする際の注意点

就業規則の確認

まず最初に確認すべきは、勤務先の就業規則です。多くの企業で副業が解禁されていますが、以下の点は特に注意が必要です。

競業避止義務 農業が本業と競合関係にある場合は禁止される可能性があります。

時間的制約 本業に支障をきたさない範囲での活動が条件となります。

私の勤務先での事例: 私が銀行員時代、副業申請の際に以下の条件が付けられました:

  • 平日の農作業は禁止
  • 取引先との利益相反がないこと
  • 本業の守秘義務に抵触しないこと
  • 年間収入の上限は本業の20%以内

住民税の特別徴収対策

農業副業が会社にバレる最も多いケースが、住民税の特別徴収による発覚です。

対策方法: 確定申告書第二表の「住民税に関する事項」で「自分で納付」を選択することで、副業分の住民税を自分で納付(普通徴収)できます。

注意点: この方法でも完全にバレないとは限りません。以下の場合は会社に通知される可能性があります:

  • 副業収入が給与所得の場合
  • 市区町村の事務処理ミス
  • 住民税額の大幅な変動

社会保険への影響

農業副業は個人事業主としての活動のため、基本的に社会保険への直接的な影響はありません。ただし、以下の点は注意が必要です。

雇用保険 農業で従業員を雇用する場合は、雇用保険の加入義務が生じます。

労災保険 農業は特別加入制度があり、任意で労災保険に加入できます。

年末調整との関係

農業副業の所得は年末調整では処理されないため、必ず確定申告が必要です。

重要な注意点: 年末調整で配偶者控除や扶養控除を受けている場合、農業副業の所得により控除要件を満たさなくなる可能性があります。

7. 実際の確定申告書作成手順

必要書類の準備

収入関係

  • 農産物の販売記録
  • 領収書やレシート
  • 入金確認書

支出関係

  • 種苗、肥料、農薬の購入レシート
  • 農機具の領収書
  • ガソリン代の領収書
  • 農地賃貸借契約書

その他

  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 銀行の取引明細書
  • 前年の確定申告書控え

収支内訳書の作成(白色申告の場合)

1. 収入金額の記入 農産物の種類別に売上高を記入します。

トマト:300,000円
ナス:150,000円
キュウリ:100,000円
合計:550,000円

2. 所得金額の計算 収入金額から必要経費を差し引いて所得金額を算出します。

3. 専従者控除額 青色事業専従者給与がある場合は記入します。

私の2年目の収支内訳書(抜粋):

収入金額:190,000円
必要経費:
 種苗費:25,000円
 肥料費:30,000円
 農具費:40,000円
 地代家賃:60,000円
 その他:20,000円
 合計:175,000円
所得金額:15,000円

青色申告決算書の作成

損益計算書の作成 青色申告では損益計算書の作成が必要です。主要な項目を説明します。

売上(収入)金額

  • 農産物売上
  • 農作業受託収入
  • 雑収入

売上原価 農業の場合、一般的には以下のように計算します:

売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高

販売費及び一般管理費 農業の場合、以下のような科目が該当します:

  • 種苗費
  • 肥料費
  • 農具費
  • 減価償却費
  • 租税公課
  • 荷造運賃
  • 水道光熱費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 接待交際費
  • 損害保険料
  • 修繕費
  • 消耗品費
  • 外注工賃
  • 地代家賃
  • 雑費

貸借対照表の作成 青色申告特別控除65万円を受けるためには貸借対照表の作成が必要です。

私の農業貸借対照表の特徴:

  • 現金:売上代金の一時保管
  • 売掛金:出荷先への未収金
  • 棚卸資産:収穫済み未販売の農産物
  • 固定資産:農機具、軽トラック
  • 買掛金:肥料代等の未払金
  • 元入金:事業開始時の元手

確定申告書の作成

第一表の記入 収入金額等、所得金額等、所得から差し引かれる金額、税金の計算の各欄に記入します。

農業所得の記入箇所:

  • 収入金額等:営業等欄
  • 所得金額等:営業等欄

第二表の記入 所得の内訳、雑損控除、寄附金控除等の詳細を記入します。

住民税に関する事項(重要): 農業副業分の住民税を普通徴収にする場合は、「自分で納付」を選択します。

電子申告(e-Tax)の活用

メリット:

  • 24時間受付
  • 最大65万円の青色申告特別控除
  • 添付書類の提出省略
  • 還付金の早期振込

必要な準備:

  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダー(スマートフォンでも可)
  • e-Tax用のソフトウェア

私のe-Tax体験談: 最初はマイナンバーカードの設定で苦労しましたが、一度設定してしまえば毎年の申告が非常に楽になりました。特に、確定申告期間中の税務署の混雑を避けられるのは大きなメリットです。

8. よくあるトラブルと対処法

税務調査対応

農業副業の税務調査ポイント 税務署が農業副業で注目するポイントは以下の通りです:

事業実態の有無 単なる趣味なのか、事業として行っているのかを判断されます。

私が税務調査で指摘された点: 3年目に書面による税務調査を受けました。主な指摘事項は以下の通りです:

  1. 自家消費分の収入計上漏れ 家族で消費した野菜の分を収入として計上していませんでした。指摘を受けて修正申告を行い、追加納税額は約3,000円でした。
  2. 事業用車両の按分根拠 軽トラックの事業用割合60%の根拠を求められました。運転日誌を作成していたため、問題なく説明できました。
  3. 農機具の減価償却 中古の耕運機の取得価額と耐用年数について確認されました。購入時の領収書と耐用年数表を提示して説明しました。

対応のポイント:

  • 正直に説明する
  • 根拠資料を準備しておく
  • 分からないことは分からないと答える
  • 税理士の同席を検討する

帳簿記録の不備

よくある記録漏れ

  1. 現金売上の記録漏れ
  2. 自家消費分の計上漏れ
  3. 按分計算の根拠不明
  4. 領収書の紛失

対策方法:

  • 売上は即座に記録
  • 自家消費分も忘れずに記録
  • 按分基準を文書化
  • 領収書はスマホで撮影してクラウド保存

経費の過大計上

注意すべき経費

  1. 家事費との按分が不適切
  2. 事業関連性が薄い支出
  3. 金額が事業規模に比して過大

私の失敗例: 1年目に家族旅行の一部を「農業視察」として計上しようとしましたが、税理士に相談して取り下げました。明らかに家族旅行であり、農業との関連性を証明できないためです。

消費税の課税事業者判定

消費税の基本ルール 農業も消費税の対象となります。基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となります。

農業特有の注意点

  • 農協への出荷も消費税の対象
  • 直売所での販売も消費税の対象
  • 自家消費分は消費税の対象外

私の現状: 現在の売上高は年間80万円程度のため、当面は免税事業者のままです。しかし、規模拡大により売上高が増加した場合は、消費税の課税事業者となる可能性があります。

源泉徴収税額の取り扱い

農業で源泉徴収されるケース 一般的に農業では源泉徴収されませんが、以下のケースでは源泉徴収される場合があります:

  • 農作業の受託(法人からの依頼)
  • 農業指導料の受取
  • 講演料等の受取

処理方法: 源泉徴収された場合は、確定申告で所得税額から控除されます。

9. 農業副業の将来設計

規模拡大の判断基準

売上高別の事業ステージ

年間売上50万円未満:趣味的農業

  • 週末の楽しみとしての位置づけ
  • 経費率が高く、利益は期待しない
  • 家族での体験重視

年間売上50万円~200万円:副業農業

  • 一定の利益確保が可能
  • 青色申告による節税効果
  • 本業に支障のない範囲での活動

年間売上200万円~500万円:準事業農業

  • 専用設備の導入検討
  • 雇用の検討
  • 法人化の検討開始

年間売上500万円以上:本格農業

  • 法人化の検討
  • 本業からの転身検討
  • 設備投資の本格化

法人化の検討

法人化のメリット

  1. 社会的信用の向上
  2. 節税効果(所得が多い場合)
  3. 経費の範囲拡大
  4. 欠損金の繰越期間延長(10年)

法人化のデメリット

  1. 設立・維持コストの発生
  2. 会計処理の複雑化
  3. 社会保険料の負担増
  4. 赤字でも住民税均等割の負担

私の法人化シミュレーション: 現在の売上規模(年間80万円)では、法人化のメリットはありません。年間売上が300万円を超え、所得が200万円を超えるようになったら法人化を検討する予定です。

事業承継の準備

農地の取得・承継 農地を取得する場合は、農地法による許可が必要です。また、相続時の特例措置もあります。

技術の習得・継承 農業技術は経験に依存する部分が大きいため、早期からの技術習得が重要です。

販路の確保・拡大 安定した販路の確保は事業継続の鍵となります。

持続可能な農業経営

環境への配慮

  • 有機農業の導入
  • 土壌保全対策
  • 生物多様性の保護

地域との連携

  • 地産地消の推進
  • 農業体験の提供
  • 地域イベントへの参加

技術革新の活用

  • ICT農業の導入
  • ドローンによる管理
  • AI を活用した収量予測

私の5年後の目標:

  1. 年間売上150万円、利益80万円の達成
  2. 有機JAS認証の取得
  3. 6次産業化(加工・販売)への参入
  4. 農業体験事業の開始
  5. 地域農業の担い手としての役割

まとめ:農業副業で豊かな人生を

農業副業の確定申告について、税務の専門知識と実体験を交えながら詳しく解説してまいりました。

最初は複雑に思える確定申告も、基本的なルールを理解し、日々の記帳を習慣化することで、決して難しいものではありません。むしろ、適切な申告を行うことで、節税効果を得ながら、将来に向けた資産形成につなげることができます。

私自身、5年前に始めた小さな農業副業が、今では年間50万円の安定した副収入を生み、さらには人生に新たな価値と充実感をもたらしてくれています。週末に土に触れ、自然の中で汗を流す時間は、日々のストレス解消にもなり、家族との絆も深まりました。

農業副業は、単なる副収入の手段ではありません。持続可能な社会の実現に貢献し、地域コミュニティとのつながりを深め、そして何より「自分の手で価値を生み出す」喜びを味わえる、非常に意義深い活動です。

確定申告という税務面での正しい知識を身につけることで、安心して農業副業に取り組み、その恩恵を最大限に享受していただければと思います。皆様の農業副業が成功し、豊かな人生につながることを心から願っています。

最後に、確定申告で困った時の相談先:

  • 税務署の無料相談(確定申告期間中)
  • 税理士会の無料相談
  • 青色申告会の相談サービス
  • 農業協同組合の税務相談

一人で悩まず、専門家の力も借りながら、着実に農業副業を発展させていきましょう。土から生まれる豊かさが、皆様の人生を彩ることを心より祈っております。


この記事は、ファイナンシャルプランナー(CFP資格保有)の実体験と専門知識に基づいて作成しています。税務に関する詳細は、必ず税理士や税務署にご相談ください。また、農業に関する法規制は地域により異なる場合がありますので、地元の農業委員会等にもご確認ください。

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