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株式会社CSSホールディングス(2304)決算分析レポート:インバウンドの追い風とコスト増の綱引き――中計初年度、利益成長への試金石

記事タイトル:CSSホールディングス(2304): 主力事業の堅調さに隠れる収益性の課題――ROICはWACCを上回るも、成長加速には「次の一手」が不可欠

1. エグゼクティブ・サマリー(結論ファースト)

  • 投資スタンス:中立(Neutral)
    • 確信度:60%
    • 主力のスチュワード事業がインバウンド需要を的確に捉え、業績を下支えしている安定性は高く評価する。しかし、フードサービス事業におけるコスト増加分の価格転嫁の遅れや、全社的な販管費の増加が利益成長の足かせとなっている。ROICはWACCを上回り資本効率性は健全な領域にあるものの、株価が次のステージに進むには、新たな成長ドライバーの具体化と、既存事業の収益性改善が不可欠と判断し、「中立」とする。
  • 3行サマリー:何が起きたのか、なぜ重要なのか、次に何を見るべきか
    • 事実(What happened?): 2025年9月期3Q決算は、売上高が前年同期比8.6%増の144億円、営業利益が同1.3%増の6.1億円と増収営業増益を達成したが、親会社株主純利益は同6.3%減の3.7億円となった 。
    • 本質(Why it matters?): 好調なインバウンド市場を背景に、屋台骨であるスチュワード事業が二桁の増収増益を達成し全体を牽引した 。一方で、フードサービス事業が原材料高騰で減益となり 、成長戦略遂行のための販管費増加が営業増益率を低く抑えるなど、事業間のまだら模様とコスト増が利益構造を圧迫している。
    • 注目点(What’s next?): 喫緊の課題であるフードサービス事業での価格転嫁の進捗と、中期経営計画「Go Beyond! Next20」で掲げる「Xvalueユニット」 やTechMagic社との協業 といった、生産性向上と新たな価値創造に向けた施策が、具体的な利益貢献として現れるかどうかが最大の焦点となる。
  • 主要カタリストとリスク
    • ポジティブ・カタリスト(強気材料)
      1. 想定を上回るインバウンド需要の継続: 外資系大型ホテルの開業が続き、主力のスチュワード事業における新規受注が加速する可能性 。
      2. DX投資による生産性革命の本格化: TechMagic社の調理ロボット導入拡大 などによる省人化・標準化が、人手不足と人件費高騰という構造的課題を克服するゲームチェンジャーとなる。
      3. M&Aによる非連続な成長: 中計のテーマである『資本効率を高める投資の強化』 に基づく、高収益・高成長領域への戦略的M&Aの実行。
    • ネガティブ・リスク(弱気材料)
      1. コストプッシュ・インフレの長期化: 食材費や人件費の高騰が続き、価格転嫁が想定通りに進まないことでフードサービス事業の収益性がさらに悪化するリスク 。
      2. 深刻化する労働力不足: パート・アルバイトの純増数が前年同期比で大幅に減少しており 、人手不足がボトルネックとなり、受注機会の損失やサービス品質の低下につながる。
      3. 景気後退による設備投資の抑制: 景気後退局面において、企業のITV更新需要などが減退し、空間プロデュース事業の業績が下振れするリスク 。

2. 事業概要とビジネスモデルの深掘り

CSSホールディングスは、3つの異なる事業セグメントを運営することで、事業ポートフォリオを構築している。

  1. スチュワード事業: ホテルやレストランの厨房管理(食器洗浄等)を請け負う中核事業 。
  2. フードサービス事業: 従業員食堂や高齢者施設等で食事を提供する事業 。
  3. 空間プロデュース事業: 映像・音響・セキュリティ設備等の設計・施工を行う事業 。
  • ビジネスモデルの評価:労働集約型ストックビジネスの安定性と脆弱性
    • 収益モデルの構造:
      • 売上=∑i=1n​(顧客数i​×契約単価i​)+スポット案件売上
        • (i = スチュワード、フードサービス、空間プロデュース)
    • 強み(Strengths):
      • ストック型の安定性: スチュワード事業とフードサービス事業は、主に年間契約に基づく業務委託であり、安定した収益基盤を形成している。解約率が低ければ、景気変動に対する耐性は比較的高い。
      • 参入障壁: 特にスチュワード事業は、衛生管理のノウハウ、大規模施設に対応できる人材供給力、全国展開のネットワークが参入障壁となる。長年の実績と顧客との信頼関係が競争優位性の源泉である。
      • 事業ポートフォリオ: 性質の異なる3事業を運営することで、特定市場の変動リスクを分散している。例えば、空間プロデュース事業が景気感応度が高い一方、フードサービス(特に高齢者施設向け)はディフェンシブな性格を持つ。
    • 脆弱性(Weaknesses):
      • 労働集約型モデル: 売上成長が従業員数に大きく依存するため、人手不足や人件費高騰の影響を直接的に受けやすい 。生産性の抜本的な向上がなければ、利益成長は常にコスト増の圧力に晒される。
      • 限定的な価格交渉力: フードサービス事業において、クライアントへのコスト転嫁が「喫緊の課題」 となっている点から、価格決定力が強いとは言えない状況がうかがえる。これは、顧客企業のコスト削減圧力と、競合他社との競争環境に起因すると考えられる。
      • 低い資本集約度と利益率: 労働集約型であるため、投下資本は比較的小さいものの、それが高い利益率に結びついているわけではない。特にフードサービス事業の利益率は極めて低い水準にある。
  • 競争環境
    • スチュワード事業: 全国展開する競合は限定的とみられ、品質と信頼性で差別化を図る。人手不足を背景に、これまで内製化していた施設からのアウトソーシング需要を取り込めている点が強み 。
    • フードサービス事業: シダックス(4837)や、非上場の大手(LEOC、エームサービス等)がひしめく激戦区。規模の経済で劣る同社は、ケアフード といった特定領域での専門性や、小回りの利くサービスで対抗する必要がある。
    • 空間プロデュース事業: 専門業者や電設会社など競合は多岐にわたる。同社は金融機関向けの監視カメラシステム等で強みを持つが 、案件ごとの収益変動が大きいフロー型ビジネスである。

3. 【最重要】業績ハイライトと徹底的な財務分析

P/L分析:増収効果を飲み込むコスト増、利益成長の鈍化が鮮明に

3Q累計 連結経営成績(百万円) | 項目 | 2025年9月期 3Q | 2024年9月期 3Q | 増減額 | 増減率 | | :— | :— | :— | :— | :— |

| 売上高 | 14,447 | 13,299 | +1,148 | +8.6% |

| 営業利益 | 613 | 605 | +8 | +1.3% |

| 経常利益 | 636 | 627 | +9 | +1.4% |

| 純利益 | 369 | 394 | -25 | -6.3% | 出典:

売上は堅調に推移したが、利益の伸びは極めて限定的だ。この利益構造の変化を可視化するため、営業利益の変動要因を分解する。

  • 【必須】営業利益のブリッジ分析:増収効果はどこへ消えたのか?
    • 前年同期 営業利益:605百万円
    1. ① 売上数量/ミックス変動効果:+197百万円
      • 売上高の増加(+1,148百万円) に伴う売上総利益の増加。
      • 計算:当期売上総利益(2,456百万円) – 前期売上総利益(2,259百万円) = +197百万円 。
      • 示唆:売上総利益率は17.0%で横ばい 。これは、好採算のスチュワード事業の売上構成比が上昇したことによるミックス改善効果が、フードサービス事業の原価高騰を相殺した結果と推察される。ミックス改善がなければ、営業利益は減益だった可能性が高い。
    2. ② 販管費変動効果:-189百万円
      • 販売費及び一般管理費が1,654百万円から1,843百万円へ増加 。
      • 示唆:中計達成に向けた営業体制の強化や人材投資 、SaaS導入 といった将来への投資が先行している。この投資が将来の収益拡大に繋がるかが問われる。
    • 当期 営業利益:613百万円(605 + 197 – 189)

結論として、3Qの営業利益は「増収効果」と「販管費増」の綱引きとなり、結果としてほぼ横ばいに留まった。 利益成長を再加速させるには、①原価率の改善(価格転嫁)、②販管費増を上回るトップラインの更なる成長、または③販管費の効率化が不可欠である。

B/S分析:資産効率は改善の兆し

項目2025年6月末2024年9月末増減
総資産6,008百万円5,931百万円+77百万円
純資産2,921百万円2,674百万円+247百万円
自己資本比率48.6%45.1%+3.5 pt
出典:

自己資本比率は改善し、財務の健全性は向上している。より重要な運転資本の効率性について、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を分析する。

  • 【必須】運転資本の分析:CCCは標準的、在庫管理に改善が見られる
    • 前提:
      • 年間売上高(予測): 19,230百万円
      • 年間売上原価(3Q実績から年換算): 11,990 ÷ 3 × 4 = 15,987百万円
      • 売上債権: 1,995百万円
      • 棚卸資産: 515百万円(商品・製品485 + 仕掛品12 + 原材料18)
      • 仕入債務: 496百万円
    • 算出結果:
      • DSO(売上債権回転日数): 1,995 ÷ (19,230 / 365) = 37.8日
      • DIO(棚卸資産回転日数): 515 ÷ (15,987 / 365) = 11.8日
      • DPO(仕入債務回転日数): 496 ÷ (15,987 / 365) = 11.3日
      • CCC = DSO + DIO – DPO = 37.8 + 11.8 – 11.3 = 38.3日
    • 考察:
      • CCC 38.3日は、BtoBサービス業として標準的な水準であり、運転資本のコントロールは適切に行われていると評価できる。
      • 特筆すべきは、棚卸資産が前期末比で減少している点である(商品及び製品が545百万円→485百万円) 。これは空間プロデュース事業で前期の大型案件に関連する在庫が掃け、在庫の質が改善した可能性を示唆しており 、キャッシュフローに対してポジティブな動きである。

キャッシュフロー(C/F)分析:利益の質は悪くない

当3Q累計期間の連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない 。しかし、純利益と運転資本の増減から簡易的に営業キャッシュフローを推計すると、純利益(369百万円) に減価償却費等の非現金支出を加算し、運転資本の増減(売上債権減、棚卸資産減など) を考慮すると、純利益と同程度かそれを上回るキャッシュを創出できている可能性が高い。アクルーアル(利益とキャッシュフローの乖離)は小さく、利益の質は悪くないと判断する。

資本効率性の評価:ROICはWACCを上回り、企業価値を創造

  • 【必須】ROIC vs WACC
    • ROIC(投下資本利益率)の算出:
      • NOPAT(税引後営業利益): 657百万円(通期予想営業利益) × (1 – 実行税率42.1%※) = 380百万円
        • ※実行税率 = 法人税等合計 268百万円 ÷ 税金等調整前四半期純利益 637百万円
      • 投下資本: 2,921百万円(純資産) + 450百万円(短期借入金) = 3,371百万円
      • ROIC = 380 ÷ 3,371 = 11.3%
    • WACC(加重平均資本コスト)の推計:
      • 株主資本コストを6.5%(CAPMで推計)、負債コストを1.1%(税引後)と仮定。
      • WACC = 約5.8%
    • 評価: ROIC (11.3%) > WACC (5.8%) であり、同社は投下した資本を上回るリターンを生み出し、企業価値を創造していると評価できる。これは投資家にとって最も重要なポジティブ要素の一つである。
  • ROEのデュポン分解
    • ROEの変動要因を分析すると、純利益率の低下がROE全体を押し下げていることがわかる。総資産回転率と財務レバレッジは比較的安定しており、やはり収益性の改善がROE向上の鍵を握る。中計目標の「ROE15%以上」 の達成には、純利益率の大幅な改善が必須条件となる。

4. 【核心】セグメント情報の徹底解剖

セグメント売上高(百万円)前年同期比営業利益(百万円)前年同期比
スチュワード7,086+11.8%518+10.2%
フードサービス3,346+15.2%88-5.9%
空間プロデュース4,025-0.9%185-15.5%
調整額-202
連結合計14,447+8.6%613+1.3%
  • 好調セグメント:スチュワード事業
    • 要因: 連結営業利益の84%を稼ぎ出す屋台骨 。インバウンド需要の回復・拡大を背景に、外資系ブランドを中心とした大型ホテルの開業が続き、新規案件を12件獲得したことが直接的な増収要因 。人手不足を背景に内製化していた企業からのアウトソース需要も取り込んでおり、市場環境は極めて良好である。
    • 示唆: この事業の安定成長が続く限り、全社業績は底堅く推移する。今後の注目点は、労働力確保 と、DXによる生産性向上で、旺盛な需要を取りこぼさずに利益率を維持・向上できるかにある。
  • 不振セグメント:フードサービス事業
    • 要因: 売上は15.2%増と大きく伸長したものの、営業利益は5.9%減という典型的な「増収減益」に陥った 。主因は「米を筆頭に食材価格の高騰が顕著」 であり、コスト増を販売価格に転嫁しきれていない。営業利益率は僅か2.6% (88÷3,346) であり、収益性は極めて脆弱だ。
    • 示唆: この事業の収益性改善は全社の利益成長における最大の課題。価格交渉の成否が今後の業績を大きく左右する。万博関連のレストラン運営 など話題性はあるが、まずは足元の収益構造を立て直すことが急務である。
  • 課題セグメント:空間プロデュース事業
    • 要因: 前期に大型案件があった反動で減収減益 。一過性の要因ではあるが、セグメント利益が15.5%減少 しており、全社の利益成長の足を引っ張った。
    • 示唆: 金融業界のITV更新需要など底堅い需要はあるものの 、本質的に景気や企業の投資サイクルに左右されるフロー型ビジネス。ポートフォリオの一角としては機能しているが、安定的な成長ドライバーと見るには不確実性が高い。
  • ポートフォリオ・マネジメントの評価
    • 現状は、スチュワード事業の「一本足打法」で全社の利益を支えている構図。フードサービス事業は売上規模こそ大きいものの、利益貢献は限定的で、むしろリスク要因化している。経営陣には、フードサービス事業の抜本的な収益改善策(不採算案件からの撤退も含む)か、あるいはポートフォリオ内での位置づけを再定義するような、より踏み込んだ判断が求められる。

5. 経営計画の進捗と経営陣の評価

  • 通期計画に対する進捗評価
    • 通期業績予想:売上高19,230百万円、営業利益657百万円 。
    • 3Q終了時点の進捗率:売上高 75.1%、営業利益 93.3%
  • 経営陣の判断に対する評価:保守的なのか、下振れリスクを認識しているのか?
    • 営業利益の進捗率は93.3%と極めて高く、通期計画の上方修正が視野に入る水準である。にもかかわらず、同社は「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:無」 とし、計画を据え置いた。
    • この判断は、2つの解釈が可能である。
      1. 保守的な姿勢: 経営陣が極めて慎重であり、確実に見通せるまで予想を引き上げない方針。
      2. リスクの認識: 4Q(7-9月)に、フードサービス事業における更なるコスト増、賞与の増加、あるいは空間プロデュース事業の失速といった、現時点では織り込まれていない下振れリスクを具体的に認識している可能性。
    • 投資家としては、後者の可能性を念頭に置くべきである。上方修正をしなかったという「アクションを取らなかったこと」自体が、経営陣からの慎重なメッセージと受け取るのが妥当であろう。経営の需要予測能力、あるいはリスク管理能力が問われる局面だ。

6. 将来シナリオと株価のカタリスト/リスク

  • 基本シナリオ(確率50%):
    • 内容: 会社計画(売上192億円、営業利益6.6億円)を達成。スチュワード事業は堅調を維持。フードサービスの価格転嫁は緩やかに進むが、利益率の劇的な改善には至らない。空間プロデュースは横ばい圏で推移。
    • 前提: マクロ経済は現状維持、インバウンド需要は高止まり。
  • 強気シナリオ(確率25%):
    • 内容: 売上200億円、営業利益8.0億円へ上振れ。
    • カタリスト: 円安の更なる進行でインバウンドが爆発的に増加し、スチュワード事業が計画を大幅に超過。フードサービス事業で戦略的な価格改定が成功し、利益率が2-3pt改善。TechMagic導入効果が想定より早く発現する。
  • 弱気シナリオ(確率25%):
    • 内容: 売上185億円、営業利益5.5億円へ下振れ。
    • リスク: 新たな地政学リスクや感染症でインバウンド需要が急減速。異常気象等で食材価格が再高騰し、フードサービス事業が赤字化。深刻な人手不足でスチュワード事業が機会損失を被る。

7. バリュエーション(企業価値評価)

  • 相対評価法
    • 同社の事業ポートフォリオはユニークであり、完全な競合は存在しない。フードサービス事業の競合(シダックス等)や、人材サービス、設備工事会社などと比較しても、事業モデルの違いから単純なPERやPBR比較は難しい。
    • しかし、ROICがWACCを上回っている点、安定したストックビジネスを中核に持つ点、インバウンドという明確な成長テーマを持つ点は、一定のプレミアム評価を受ける根拠となりうる。一方で、低い利益率と労働集約型モデルはディスカウント要因となる。
  • 絶対評価法(簡易DCF)
    • 主要な仮定:
      • WACC: 5.8%
      • 永久成長率(g): 0.2%(国内の成熟市場を考慮)
    • これらの仮定に基づき、将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引くと、現在の株価は妥当な範囲内にある可能性が高い。大幅な割安感も割高感も見出しにくい。バリュエーションを大きく動かすのは、将来のキャッシュフロー予測の変化、すなわち中期経営計画の達成確度である。

8. 総括と投資家への提言

  • 核心的な投資魅力と最大の懸念事項
    • 投資魅力:
      1. インバウンド市場の拡大という抗いがたいマクロトレンドの恩恵を直接享受できる、主力のスチュワード事業の盤石なビジネスモデル
      2. ROIC > WACC という、株主価値を創造している健全な資本効率性。
      3. 増配を発表 するなど、株主還元への意識。
    • 最大の懸念事項:
      1. コスト増加を吸収しきれない脆弱な利益構造。特にフードサービス事業の低収益性は全社の足を引っ張るアキレス腱となっている。
      2. 労働集約型ビジネスからの脱却の遅れ。人手不足と人件費高騰は構造的な問題であり、DX投資の効果が発現するまで、利益は常に圧迫され続ける。
  • 投資家への提言:明確な「買い」シグナルを待つ
    • 我々は、**株式会社CSSホールディングスに対する投資スタンスを「中立(Neutral)」**とする。主力事業の安定性は評価できるものの、現在の株価はそれを概ね織り込んでおり、さらなる上昇を牽引するだけの利益成長の力強さが見られない。
    • 投資家は、単なる増収ではなく、**「利益を伴った成長」**へと同社がシフトできるかを見極める必要がある。
  • 今後、投資家が注視すべき最重要KPI
    1. フードサービス事業のセグメント利益率: 価格転嫁が成功しているかを示す最重要指標。これが改善傾向に転じれば、ポジティブなシグナル。
    2. パート・アルバイトの純増減数と一人当たり売上高: 労働力の確保状況 と生産性の動向を測る上で重要。
    3. 通期業績予想の修正の有無: 会社が上方修正に踏み切るか、あるいは期末に着地する実績が計画をどれだけ上回るか。経営陣の姿勢と、潜在的な収益力を測るリトマス試験紙となる。

これらのKPIに明確な改善が見られ、中期経営計画で掲げる成長戦略が絵に描いた餅でなく、具体的な利益として結実し始めたとき、初めて同社への強気な投資判断が可能となるだろう。それまでは、忍耐強くその変化の兆しを待つべきである。

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