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株式会社はせがわ (8230) 2026年3月期 第1四半期決算分析レポート

1. エグゼクティブ・サマリー

投資スタンス:中立、確信度 60%

株式会社はせがわの2026年3月期第1四半期決算は、売上高は前年同期を上回ったものの、各段階利益で損失を計上する厳しい内容であった 。しかし、これは新たな中期経営計画の実行初年度における先行投資と市場環境の厳しさによる一時的な影響が大きく、経営陣が掲げる事業構造転換への道筋に大きな狂いはないと判断する 。ただし、既存事業の市場縮小という構造的な課題 に対し、新規事業がどれだけ早く収益貢献できるかという不確実性が高く、現時点では明確な強気スタンスを取るには時期尚早である。

3行サマリー:

  • 事実: 第1四半期は売上増収を達成したものの、販管費増による営業損失1.24億円を計上 。特に中核である仏壇仏具事業が計画未達であった 。
  • 本質: 既存事業の市場縮小 と人件費上昇 という構造的課題に対し、新中期経営計画に基づく新規事業(ピースフルライフサポート、飲食事業)への先行投資を加速させている過渡期にある 。
  • 注目点: 今後、既存事業の売上水準維持 と新規事業の成長 を両立できるか。特に、新中期経営計画の柱である「利益体質への転換」 の進捗を、次四半期以降の決算で注視する必要がある。

主要カタリストとリスク:

カタリスト(株価上昇要因)

  1. ピースフルライフサポート事業の急成長: 死亡者数増加というマクロトレンド を背景に、終活・相続サービスが顧客に浸透し、収益柱へと育つ兆候が見られた場合 。
  2. 中期経営計画の進捗上方修正: 既存事業の効率化と新規事業の成長が予想を上回り、通期計画が上方修正されることで、市場の評価が転換する 。
  3. M&A/資本提携の成功: 成長戦略としてM&Aを検討していると明言しており 、シナジー効果の高い企業買収が発表されれば、将来的な成長期待が高まる。

リスク(株価下落要因)

  1. 既存事業の想定以上の売上減: 仏壇仏具事業の市場縮小が加速し 、価格競争が激化することで、想定以上に売上が落ち込み、利益圧迫が続く 。
  2. 新規事業の立ち上がりの遅れ: ピースフルライフサポート事業や飲食事業への投資 が先行する一方で、収益化が遅延し、赤字が常態化するリスク 。
  3. コスト構造改革の失敗: 利益体質への転換 を掲げるも、人件費上昇 やデジタル投資 の効果が遅れ、利益率が改善しない。

2. 事業概要とビジネスモデルの深掘り

株式会社はせがわは、中核事業である仏壇仏具事業および墓石事業を軸に、終活・相続領域の「ピースフルライフサポート事業」 や飲食・ギフト事業 などを展開する企業である。

ビジネスモデルの評価: 同社の主要な収益モデルは「売上高 = 顧客数 × 平均購買単価」という小売業の基本モデルである

  • 強み:
    • ブランド力と信頼性: 長年の歴史を持つ「はせがわ」ブランドは、高単価な仏壇仏具・墓石の購入において重要な顧客からの信頼を獲得している。
    • 多角的なサービス: 仏壇・墓石といった有形商材に加え、ピースフルライフサポート事業 を通じて、終活・相続という無形サービスにまで事業領域を広げており、顧客のライフサイクルに沿った継続的な接点を持つことができる。これにより、顧客のスイッチングコストを高める効果が期待される。
    • 広範なチャネル: 全国に展開する実店舗 に加え、EC販売 、卸売 、提携取引先による「ギャラリーメモリア」 など、多様な販売チャネルを保有している。
  • 脆弱性:
    • 構造的な市場縮小: 宗教用具市場は、事業所数や年間商品販売額が減少傾向にあることがデータで示されており、今後も市場縮小が続くという構造的な課題に直面している 。
    • 価格競争への耐性: 仏壇仏具市場は事業所数が大きく減少しているものの 、多様な事業者やECの台頭により、価格競争のリスクは依然として存在する。
    • 人件費上昇リスク: 社会的要請に基づく人件費の上昇や、採用競争の激化に伴う人員不足が、利益率低下の課題となっている 。

競争環境: 宗教用具業界は、事業所数の減少が示すように、競争環境が厳しさを増している 。主要な競合他社としては、同様の仏壇仏具専門店や、近年シェアを拡大しているEC事業者、さらには生活雑貨店などが挙げられる。

  • 相対的な強み:
    • 総合力: 仏壇仏具、墓石、屋内墓苑、そしてピースフルライフサポート事業 をトータルで提供できる企業は少なく、終活に関わるあらゆるニーズに応えられる「ワンストップソリューション」は強力な差別化要因となる。
    • 商品開発力: カリモク家具との共同開発 や、株式会社現代仏壇の買収 など、新たな顧客層を開拓するための商品開発に積極的である。
  • 相対的な弱み:
    • 利益率: 人件費上昇 などにより、利益率が圧迫されており、効率性の面ではEC専業の競合に劣る可能性がある。

3. 業績ハイライトと徹底的な財務分析

P/L分析

項目2026年3月期1Q (百万円)2025年3月期1Q (百万円)対前年同期増減率 (%)備考
売上高4,967 前年比較なし
営業利益△124 営業損失を計上
経常利益△125 経常損失を計上
親会社株主に帰属する四半期純利益△107 四半期純損失を計上

※2025年3月期第3四半期より四半期連結財務諸表を作成しているため、前年同期との比較増減率は記載されていない

営業利益のブリッジ分析(定性的分析): 前年同期の連結業績が非公開であるため、定量的なブリッジ分析は不可能である 。しかし、今回の決算短信では営業損失に至った主要因について、「仏壇仏具事業の売上高が計画に対し未達であった影響が大きく」 、結果として各段階利益が損失を計上したと説明されている 。売上総利益は31.76億円であった一方、販売費及び一般管理費は33.01億円と、販管費が売上総利益を上回ったことが営業損失の直接的な原因である 。販管費の増加は、新中期経営計画に基づく新規事業(ピースフルライフサポート事業、飲食・食品・雑貨事業など)への先行投資や、人件費の上昇 が影響していると推察される。

収益性の深掘り: 売上総利益率は$3176 / 4967 \approx 64.0%

と高水準である[cite:157][cites​tart]。これは、仏壇仏具という高単価・高付加価値商材が中心であることを示している。しかし、営業利益率は-124 / 4967 \approx -2.5%$と赤字に転落している 。これは、販管費の増加が売上総利益の伸びを上回った結果であり、特に売上高が計画未達であったことが収益性を大きく圧迫している 。今後、売上高の成長と同時に、販管費の効率化が急務となる。

B/S分析

項目2026年3月期1Q末 (百万円)2025年3月期末 (百万円)増減 (百万円)備考
総資産20,982 19,916 +1,066主に現金及び預金、商品の増加
純資産12,294 12,542 △248四半期純損失と配当支払いによる利益剰余金の減少
自己資本比率58.6% 63.0% △4.4pt純資産の減少と総資産の増加

運転資本の分析: 運転資本の計算には詳細な数値が必要だが、決算短信の記述から定性的な分析を行う。

  • 売上債権回転日数 (DSO): 受取手形、売掛金及び契約資産が2.05億円減少している 。これは債権回収の効率化、あるいは売上の減少が影響している可能性があり、DSOは改善傾向にあると推察される。
  • 棚卸資産回転日数 (DIO): 季節商品の仕入れなどにより、商品が3.53億円増加している 。これは売上増を見込んだ積極的な仕入れか、販売不振による在庫滞留を示唆する。今回の売上未達 という状況を考慮すると、後者のリスクが高い。在庫の質、特に仏壇仏具といった商品の陳腐化リスクは低いと考えられるが、過剰在庫はキャッシュフローを圧迫する要因となる。
  • 仕入債務回転日数 (DPO): 決算短信には詳細な記述がないが、売上の増加に伴い買掛金が増加している可能性もある。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の考察: 運転資本の状況から、DSOは改善傾向にあるものの、DIOの増加がキャッシュフローを圧迫している可能性がある。もしこれが在庫滞留によるものであれば、CCCは悪化しており、ビジネスがより多くのキャッシュを運転資金として必要としている状態と言える。今後、在庫の適正化がキャッシュ創出能力を改善させるための重要な経営課題となる。

キャッシュフロー(C/F)分析

当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない 。しかし、B/Sの変動からそのストーリーを読み解くことは可能である。

  • 現金及び預金は10.09億円増加している 。これは短期借入金が3.75億円、長期借入金が9.25億円増加したこと による財務CFのプラス寄与が主因であると推察される。
  • 営業CFは、親会社株主に帰属する四半期純損失1.07億円を計上している ことから、減価償却費59百万円 や運転資本の変動を加味しても、マイナス、あるいはゼロ近傍だったと推測される。純損失と営業CFの乖離(アクルーアル)を評価するには、詳細なC/F情報が必要となるため、今回の開示情報では判断が難しい。

資本効率性の評価

ROIC vs. WACC:

  • ROICは、税引後営業利益を投下資本(有利子負債+株主資本)で割って算出する。今回の決算では営業利益がマイナスであるため、ROICは大きくマイナスとなり、WACCを大幅に下回っている。
  • これは、現時点では投下した資本から企業価値を創造できておらず、むしろ破壊している状況を示している。
  • しかし、これはあくまで四半期決算の一時的な結果であり、新中期経営計画の先行投資期間であることを考慮する必要がある。今後、新規事業の収益化とコスト削減が進み、営業利益がプラスに転じることが、ROIC > WACCという健全な状態への回帰に不可欠である。

ROEのデュポン分解: ROE = (当期純利益 / 売上高) × (売上高 / 総資産) × (総資産 / 自己資本)

  • 純利益率:-107百万円 / 4,967百万円 = -2.1% 。純利益がマイナスであるため、純利益率もマイナスとなり、ROEは大きく悪化している。
  • 総資産回転率:売上高49.67億円、総資産209.82億円で計算すると、4967/20982≈0.24 。回転率は低下傾向にある可能性が高い。
  • 財務レバレッジ:総資産209.82億円、自己資本122.94億円で計算すると、20982/12294≈1.71 。レバレッジは前連結会計年度末の19916/12542≈1.59 から上昇しており、借入による資金調達が増えたことが示唆される。

結論として、ROEの悪化は、主に純利益率のマイナス転落と総資産回転率の低下によるものである。財務レバレッジの上昇は、収益が改善しない状況下では、株主リスクを高める要因となりうる。

4. セグメント情報の徹底解剖

株式会社はせがわの事業は、主に「はせがわ」と「現代仏壇」の2つの報告セグメントに区分される

  • はせがわ事業: 仏壇仏具・墓石の小売販売が中心 。東日本と西日本に分かれており、東日本が売上高25.14億円、西日本が6.48億円で、仏壇仏具事業全体では31.62億円を計上 。墓石事業は10.26億円、屋内墓苑事業は77百万円、飲食・食品・雑貨事業は80百万円、ピースフルライフサポート事業は49百万円の売上であった 。
  • 現代仏壇事業: 仏壇仏具の小売および卸売が中心で、売上高は3.73億円 。
  • その他: EC販売(小売)1.30億円、卸売販売他73百万円など 。

各セグメントの分析:

  • 仏壇仏具事業(はせがわ・現代仏壇): 全社売上高49.67億円に対し、仏壇仏具関連事業(はせがわ、現代仏壇、その他EC・卸売)の合計売上高は36.65億円 (3162+373+130+73) 。依然として事業の中核を担っている。しかし、今回の決算では「売上高が計画に対し未達であった」と明記されており 、市場縮小 と競争激化 の影響を直接的に受けている。
  • 墓石事業: 売上高10.26億円 。墓石に加え、樹木葬や永代供養墓にも注力しており、特に墓石と樹木葬を同一施設内で提案する戦略は、顧客ニーズの多様化に対応する試みとして評価できる 。
  • ピースフルライフサポート事業: 報告セグメントとして今回から独立 。売上高は49百万円 。死後事務委任や遺産整理など、今後の市場成長が見込まれる領域であり 、ここに資源を集中させる経営判断は妥当である。ただし、現時点での売上貢献度は1%程度に過ぎず、今後、既存事業とのシナジーをいかに創出していくかが鍵となる 。
  • 飲食・食品・雑貨事業: 売上高80百万円 。返礼品やギフト商材の販売 に加え、飲食店「田ノ実」の2号店を新規出店するなど、事業拡大の兆しが見られる 。

ポートフォリオ・マネジメントの評価: 経営陣は、既存の仏壇仏具・墓石事業という成熟市場 から、終活・相続サービスという成長市場へと事業ポートフォリオの軸足を移そうとしている 。この戦略は、仏壇仏具事業の市場縮小という構造的課題への対応策として極めて妥当である。しかし、新規事業の売上がまだ限定的であり、既存事業の不振をカバーするまでには至っていない 。ポートフォリオのバランスが安定するまでには、中期的な時間軸での評価が必要となる。

5. 経営計画の進捗と経営陣の評価

通期計画の進捗: 株式会社はせがわは、2026年3月期の連結業績予想を、売上高228.00億円、営業利益7.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益3.80億円と据え置いている

第1四半期の実績は、売上高が通期計画の21.8% (4967/22800) 、営業利益がマイナス1.24億円と計画の7.00億円に対し大きく遅れている状況である 。

  • 経営陣の需要予測能力と実行力: 第1四半期の実績は、通期計画に対する進捗が著しく遅れている。特に、営業利益が四半期で既に赤字を計上しているにもかかわらず、通期予想を据え置くという経営判断は、今後の四半期で大幅な挽回を見込んでいることを示唆している。この挽回は、以下のようなシナリオが前提となっていると推察される。
  1. 仏壇仏具事業の回復: 計画未達であった仏壇仏具事業が、夏期商戦以降に売上を大きく伸ばす。
  2. 新規事業の収益化加速: ピースフルライフサポート事業などの成長事業が、先行投資を上回るペースで売上と利益を創出する。
  3. 販管費の抑制: 第1四半期に集中した先行投資が、第2四半期以降は抑制され、利益率が改善する。

これらの前提が実現しなければ、通期計画の達成は極めて困難となる。経営陣は、市場の厳しさを認識しつつも、新中期経営計画の戦略を着実に実行することで目標達成を目指すという強い意志を示している。しかし、その実行力が市場から評価されるには、第2四半期以降の進捗で具体的な成果を出す必要がある。現時点では、通期計画達成の蓋然性は低いと評価せざるを得ない。

6. 将来シナリオと株価のカタリスト/リスク

今後12~24ヶ月の業績について、以下の3つのシナリオを提示する。

「強気」シナリオ(蓋然性 20%):

  • 前提条件: 日本の死亡者数増加というマクロトレンドを背景に、ピースフルライフサポート事業の認知度が急上昇し、相談件数が飛躍的に増加 。これが既存の仏壇仏具・墓石事業へのクロスセルに繋がり、既存事業の売上減を完全に相殺する。同時に、人件費の上昇を上回るデジタル化による生産性向上が実現し、販管費率が低下。
  • 売上・利益予測レンジ: 売上高 230億円~240億円、営業利益 8億円~10億円。
  • カタリスト:
    • ピースフルライフサポート事業の顧客獲得単価(CAC)と顧客生涯価値(LTV)がポジティブに開示される。
    • 新規事業とのシナジーによる既存事業の売上回復が明確に数字で示される。
    • 利益体質への転換に関する具体的なKPI(例:営業店業務の刷新による人時生産性の向上率)が公表され、計画を上回る進捗が見られる 。

「基本」シナリオ(蓋然性 60%):

  • 前提条件: 仏壇仏具事業の市場縮小は緩やかに進むが、商品ブランド展開 やM&A による商品力強化が寄与し、一定の売上水準は維持される 。ピースフルライフサポート事業は着実に成長するものの、収益貢献は限定的。販管費は一定水準で推移し、経営計画の達成はギリギリとなる。
  • 売上・利益予測レンジ: 売上高 220億円~230億円、営業利益 6億円~7億円。
  • カタリスト:
    • 四半期ごとに計画に対する進捗が着実に開示され、経営陣の実行力が証明される。
    • 既存事業の効率化に関する具体的な施策(例:デジタル化による業務効率改善)が進む 。
    • 季節要因のある仏壇仏具事業において、夏期・年末商戦が好調に推移し、売上未達を一部挽回する 。

「弱気」シナリオ(蓋然性 20%):

  • 前提条件: 仏壇仏具事業の市場縮小が予想以上に加速し、価格競争が激化。売上未達が常態化し、第2四半期以降も営業赤字が続く。新規事業への投資も空回りし、コスト増だけが先行する。人件費上昇の圧力に耐えきれず、利益率がさらに悪化。
  • 売上・利益予測レンジ: 売上高 200億円~210億円、営業利益 0億円~1億円。
  • リスク:
    • 仏壇仏具事業の売上が計画を大幅に下回り、通期計画が下方修正される 。
    • ピースフルライフサポート事業などの先行投資が利益を圧迫し続け、赤字額が拡大する。
    • 借入金が増加し、財務の健全性が損なわれる 。

7. バリュエーション(企業価値評価)

相対評価法: 現状、同社は営業赤字のため、PERは計算できない。PBR(株価純資産倍率)は株価を純資産で割って算出されるが、同社の株価を純資産122.94億円 で割ると、一定の倍率となる。競合と比較して、同社のPBRが割高か割安かを判断する必要がある。

  • プレミアム評価の根拠:
    • 構造的な市場課題に対し、新規事業への積極的な投資という明確な成長戦略を持っている 。
    • 財務体質が健全であり、自己資本比率は58.6%と高い水準を維持している 。
    • 仏壇仏具事業で培われたブランド力と顧客基盤 を、新規事業へ活かせる可能性。
  • ディスカウント評価の根拠:
    • 既存事業の市場縮小という構造的課題 。
    • 新規事業の収益貢献が不透明であり、先行投資期間が長期化するリスク。
    • 今期は既に営業赤字を計上しており、収益性の不安定さ。

これらの点を総合的に考慮すると、現時点では、将来の成長期待と事業リスクが拮抗しているため、競合比で大きくプレミアムやディスカウントで評価される状況にはない。市場の評価は、今後の新規事業の進捗状況によって大きく変動すると考えられる。

絶対評価法: 営業赤字の現状では、DCF法による理論株価の算出は現実的ではない。将来のフリーキャッシュフローの予測が困難であるためだ。今後、収益性が改善し、安定したキャッシュフローが創出されるようになってから、再度詳細なDCF分析を行うことが妥当である。

8. 総括と投資家への提言

今回の決算は、はせがわが「転換期」にあることを明確に示した。既存事業の市場縮小という逆風 に抗い、新規事業の育成と事業構造改革を断行するという経営陣の強い意志は評価できる 。しかし、第1四半期で既に営業赤字を計上しており 、通期計画達成のハードルは極めて高い。

投資家への提言としては、現時点では「中立」スタンスを維持することを推奨する。株価が先行して動く可能性があるが、その判断は以下に示す最重要KPIやイベントを注意深く監視してから行うべきである。

投資家が注視すべき最重要KPIとイベント:

  • 売上高の対計画進捗率: 特に、第2四半期以降の仏壇仏具事業の売上動向。市場縮小のトレンド の中で、いかに売上未達を挽回できるかが鍵となる 。
  • ピースフルライフサポート事業の売上成長率と利益率: 新規事業が利益に貢献し始めているかを確認する。売上成長だけでなく、利益率が黒字化に向かっているかどうかが重要である 。
  • 販管費の推移: 第1四半期に増加した販管費 が、第2四半期以降に抑制され、利益率が改善しているか。
  • 中期経営計画に関する進捗開示: 経営陣が掲げる「既存事業の進化発展」「新規事業の成長」「利益体質への転換」 という4つの重点課題に対する具体的な進捗報告に注目する。
  • 新たなM&Aや資本提携の発表: 成長戦略の実行を加速させるための新たな動きがあれば、株価の重要なカタリストとなる 。
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