MENU

扶養の基準と手続き完全ガイド:年収別でわかる変動時期と必要なステップ

年収によって、家族を扶養することが許されます。多くの方が、家族を扶養するために労働の時間を変更することがあります。ですが、実際の扶養の基準について、しっかりと知識があるでしょうか。知らず知らずのうちに扶養のラインを越えてしまうこともあるかもしれません。

この文書では、扶養の基本と、扶養対象から除外される時期を詳しく紹介します。これを理解することで、不意に扶養対象外となることを予防できるでしょう。

目次

「扶養」という言葉の2つの意味

「夫の収入で生計を立てている」「子供が小さい時は扶養の中で働きたい」というように使われる「扶養」には、主に2つの定義があります。

  • 健康保険のもとでの扶養
  • 税務上の扶養

この2つについて、順番に詳しく見ていきましょう。

1. 健康保険上の扶養の概要

健康保険上の扶養は、保険料の計算に関連しています。被扶養者は、特別な保険料を支払うことなく、健康保険のサービスを利用できます。

誰が被扶養者として認識されるのか

健康保険の下での被扶養者は、主に被保険者の家族で、具体的には以下のような関係です。

  • 配偶者
  • 兄弟や姉妹
  • 両親
  • 祖父や祖母
  • 曾祖父母
  • 子供たち

これらの関係にある方は、一緒に住んでいる必要はありません。

被扶養者として認められる収入の条件

被扶養者は主に被保険者に支えられて生活していることが求められます。認定の条件は、家庭の状況によって異なることがあります。

世帯の状況被扶養者の収入基準
被保険者と同一世帯被扶養者の年間収入が130万円未満かつ、被保険者の年間収入の1/2未満
被保険者と別世帯被扶養者の年間収入が130万未満かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない

参考:全国健康保険協会「被扶養者の収入の基準」

収入が少ないだけで健康保険の扶養に入れるわけではない点を覚えておきましょう。

2. 税務上の扶養の詳細

健康保険上の扶養とは別に、税制度上の扶養も存在します。これは、所得税や地方税の計算に関わるものです。税務上の被扶養者は特定の条件を満たす家族として認定され、以下のような条件があります。

  • 納税者との血縁関係や婚姻関係
  • 納税者との共同生活
  • 年収が48万円以下

税制上の扶養家族がいる場合、様々な税控除を利用することができます。

基礎控除

特定の収入範囲の人たちが受けられる控除です。具体的な控除の金額は、納税者の収入によって変わります。

扶養控除

家族を扶養している場合に利用できる控除を指します。対象となるのは、年齢が16歳以上の方です。

配偶者控除

納税者と共同生活を送る法律上の配偶者が対象の控除です。年間の収入が48万円以下であることが基本条件となります。もし配偶者の収入が48万円を超え、133万円以下であれば、特別な控除が適用される場合があります。どちらの控除を利用するにしても、納税者の年間収入が1,000万円以下であることが必要です。

扶養対象から外れる瞬間はいつ?

今まで一定の条件下で扶養の対象であったけれど、パートやアルバイトでちょっとした収入を得るようになったら、いつから扶養の対象から外れるのか気になりますよね。

この疑問を解消するために、健康保険(社会保険)に関連する点と税の面からのポイントに分けて、ちょっと詳しく見てみましょう。

①社会保険の視点からの扶養

年間の給与収入が130万円を上回ると、あなたは社会保険上の扶養から外れることになります。要するに、年収が少しずつ上がってきて、扶養対象の条件をクリアしなくなる場合、ちゃんとした手続きが求められます。ここで注意したいのは、「年間収入」というのは、扶養対象である期間や、それが確定された日からの1年間の予想される収入のことを指しています。

給与が年間130万円以上になるという基準がありますが、ざっくりとした目安としては、月の給与が108,333円をコンスタントに超えてくる場合、扶養の対象からの手続きを考慮してみてください。

②税金の面から見た扶養

年収が150万円をこえてしまうと、残念ながら配偶者特別控除をフルには活用できなくなってしまいます。実は、平成30年1月にこの配偶者特別控除の基準が見直されて、夫がこの控除を使いたい場合、妻の年収が103万円から150万円にアップデートされました。この変更点、しっかりと把握しておきましょうね。

しかしながら、所得税の対象となるか否かを判断する「103万円のライン」という基準は、今のところ変わっていないので、それも頭に入れておくといいでしょう。

扶養対象から外れる時のステップ

もし、新しい仕事を始めて扶養の対象から外れる際には、きちんとした手続きを進めることが大切です。健康保険(社会保険)と税法上で、その手続きの方法が少し異なります。分かりやすく、それぞれの手続きについてガイドします。

①社会保険の観点での手続き

社会保険の観点から扶養の対象から外れる場合、「被扶養者変更届」を準備して提出する必要があります。例えば、年間収入が130万円を上回ったら、その事実が明らかになった日から5日以内に、被保険者自身が事業主を介して手続きを行わなければなりません。

そして、社会保険上の扶養の対象から外れた後、あなたは勤務先の社会保険に参加するか、もしくは国民年金や国民健康保険に入るかの選択をしなければなりません。

勤務先の社会保険への参加

もし勤務先の社会保険に参加を選んだ場合、事業主を通じて被保険者としての資格取得の手続きを進める必要があります。この場合、健康保険と厚生年金保険の双方に参加することになるので、年金手帳やマイナンバーカードを用意することをおすすめします。

国民年金や国民健康保険への参加

一方、勤務先の社会保険への参加を選ばず、国民年金や国民健康保険に参加する場合は、被扶養配偶者非該当の届出を、事業主を経由して行う必要があります。

そして、勤務先から資格喪失の証明書の発行を依頼しましょう。この証明書は、国民年金や国民健康保険に入るために、あなたがいつ扶養の対象から外れたのかを示す重要な書類となります。注意しておきたいのは、この手続きは扶養対象から外れた日から14日以内に最寄りの市役所や区役所で進める必要があります。

②税務の手続きについて

税務の観点から扶養の対象から外れる際、関連する「給与所得者の扶養控除等変更申告書」に記載している家族の名前の部分を更新することが大切です。年末に行う年末調整のタイミングでもこの手続きは可能ですが、予め扶養の対象から外れることがわかった時点で、早めに勤務先へ伝えると良いでしょう。

扶養対象外になった時の申告を怠ると?

もしも、あなたが扶養の対象から外れたのに、それに関する正式な手続きを行わなかった場合、定められた方法での保険料、年金、また税金の支払いが求められることになります。特に、国民年金や国民健康保険に独自に参加する際には、あなたの資格が喪失した日から過去に遡り、必要な保険料や年金の支払いを求められることが考えられます。

さらに、所得税の観点からの扶養に関しては、もしあなたが扶養対象者から外れたという情報を提出しなかった場合、年末の調整の際には、あたかも扶養対象者が存在するかのように処理されることになります。そうなった際、後から確定申告を通じて修正する作業が必要となります。

結論:あなたの収入、ちゃんと扶養内ですか?

この記事を通して、扶養の対象から外れる瞬間やその手続きに関する情報をお届けしました。健康保険(社会保険)や税法上、扶養の対象に関するルールや手続きの内容は少々異なります。

扶養の恩恵を正しく受け取るためには、自分の収入の状態をきちんと理解し、時々チェックをして、その収入が扶養の範囲内にあるかどうかを確かめることが大切です。毎年のように状況は変わるかもしれませんので、注意深く進めていくことをおすすめします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次