1. エグゼクティブ・サマリー
投資スタンス: 中立、確信度 60%
3行サマリー: 応用地質株式会社の2025年12月期第2四半期は、国内の「防災・インフラ事業」および「環境・エネルギー事業」が好調に推移したことで増収増益を達成しました。しかし、米国の政策変動を背景とした「国際事業」の不振が全体の成長を抑制しており、ポートフォリオのバランスに課題を残しています。通期見通しは据え置かれていますが、国際事業の回復が不透明な中で、国内事業の堅調さだけでは今後の成長を牽引しきれるか注意深く見守る必要があります。
主要カタリストとリスク: ポジティブ・カタリスト:
- 国内公共投資の継続的な増加: 国土強靭化計画やインフラ老朽化対策の需要が引き続き高まり、国内事業の収益機会が拡大する。
- 国際事業の早期回復: 米国の政策動向が安定し、国際事業における大型案件の受注が回復することで、全体の利益率が改善する。
- 洋上風力発電関連業務の拡大: カーボンニュートラルへの世界的関心を背景に、洋上風力発電関連の受注がさらに増加し、環境・エネルギー事業の成長を加速させる。
ネガティブ・リスク:
- 米国の政策変動: 米国における政府予算削減や関税政策が強化され、「国際事業」の不振が長期化し、業績全体の下押し圧力となる。
- 完成業務補償引当金の追加計上: 防災・インフラ事業において、能登半島地震の復旧支援業務に関連して約6億円の完成業務補償引当金を計上しており、今後も同様のリスクが発生する可能性がある。
- 原材料価格の高止まり: 不安定な国際情勢による原材料・エネルギー価格の高騰が長期化し、原価率の上昇を通じて利益率を圧迫する。
2. 事業概要とビジネスモデルの深掘り
応用地質株式会社は、地質調査、計測・コンサルティング、システム開発などを通じて、社会インフラ整備や防災、環境・エネルギー分野に貢献する専門技術サービスを提供しています。主な事業セグメントは「防災・インフラ事業」、「環境・エネルギー事業」、「国際事業」の3つです。
ビジネスモデルの評価: 応用地質の収益モデルは、専門的な技術力とノウハウに基づく「役務提供型」です。 売上 = Σ(プロジェクト数 × プロジェクト単価) このビジネスモデルの強みは、以下の点に集約されます。
- 高い専門性による参入障壁: 地質調査や計測技術は高度な専門知識と経験を要するため、新規参入が困難です。長年にわたる実績と信頼が競争優位性の源泉となっています。
- 公共事業への依存: 国内事業は、国土強靭化やインフラ老朽化対策といった公共投資に強く支えられており、安定した需要基盤を持っています。
- 多様な市場機会: 防災、インフラ、環境、エネルギーといった社会課題に対応する事業を展開しており、市場機会が広がりやすい。
一方で、脆弱性も存在します。
- 景気変動や公共投資サイクルへの影響: 公共事業の動向に業績が左右される側面があり、政策的な変動リスクを抱えています。
- 国際事業の不確実性: 米国市場への依存度が高い「国際事業」は、現地の政治・経済状況に直接的に影響を受けやすく、業績のボラティリティを高める要因となっています。
- 価格競争: 一部の事業領域では価格競争に巻き込まれる可能性があり、利益率を維持するための差別化戦略が重要となります。
競争環境: 応用地質の主要な競合他社としては、同じく地質調査や建設コンサルティング分野の企業が挙げられます。同社の競争優位性は、特に地質調査、物理探査、計測技術における技術力の高さにあります。また、ハードウェア開発からソフトウェア、コンサルティングまで一貫したソリューションを提供できる点も強みです。競合との比較では、海外事業の展開や再生可能エネルギー分野での実績がユニークなポジショニングを築いていますが、国際政治リスクを抱える「国際事業」の動向は、他社との差別化要因であると同時に、業績リスクともなり得る二面性を持っています。
3. 業績ハイライトと徹底的な財務分析
P/L分析: 応用地質の2025年12月期第2四半期連結業績は、売上高368億6百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益26億8千万円(同14.6%増)、経常利益30億7千2百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益26億円(同32.3%増)と、すべての利益項目で増益を達成しました。
項目 | 2025年12月期中間期 (百万円) | 前年同期比 (%) |
売上高 | 36,806 | +6.5 |
営業利益 | 2,680 | +14.6 |
経常利益 | 3,072 | +11.1 |
親会社株主に帰属する中間純利益 | 2,600 | +32.3 |
営業利益のブリッジ分析: 前年同期の営業利益23億4千万円から、当期の26億8千万円への3億4千万円の増加要因を分析します。
- 売上数量/ミックス変動: 売上高が22億3千6百万円増加しており、売上総利益の増加に貢献しています。特に防災・インフラ事業(売上高137億1千7百万円、同13.3%増)と環境・エネルギー事業(売上高151億5千3百万円、同18.8%増)の売上増が利益増加の主要因です。一方で、国際事業は売上高82億4百万円(同17.9%減)と不振であり、これが全体の増益幅を限定しています。
- 価格/原価率変動: 売上総利益率は前年同期の32.9%から34.1%へと1.2ポイント改善しており、価格設定や原価管理が奏功したと見られます。特に防災・インフラ事業では生産性向上により売上総利益率が改善したと説明されています。ただし、原材料・エネルギー価格の高止まりは継続しており、今後の原価率への影響は懸念材料です。
- 販管費変動: 販売費及び一般管理費は前年同期の90億5千3百万円から98億5千8百万円へと8億5百万円増加しています。これは主に地域拠点の強化や人員配置の最適化といった事業拡大に伴うコスト増加と推測されます。売上高増加に伴う増加であり、営業利益率の改善(前年同期6.8%から7.3%へ)を妨げるほどではありませんでした。
収益性の深掘り: 粗利率の改善は、国内事業での生産性向上や高採算案件の獲得が要因と考えられます。しかし、営業利益率はまだ一桁台であり、さらなる改善の余地があります。特に、国際事業が営業損失を計上している状況は、ポートフォリオ全体の利益率を下げる要因となっており、事業間の収益性格差が顕著です。この格差を是正することが、今後の経営課題となるでしょう。
B/S分析: 2025年12月期中間期末の総資産は1,043億3千5百万円で、前連結会計年度末から25億円減少しています。主な変動要因は、完成業務未収入金及び契約資産が406億8千9百万円から259億1千6百万円へ、約147億円減少した一方で、現金及び預金が187億5千6百万円から323億1千6百万円へ、約135億円増加したことです。自己資本比率は72.4%と、高い水準を維持しており、財務の健全性は非常に高いと言えます。
運転資本の分析(CCC): CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を構成する各日数を試算します。
- 売上債権回転日数(DSO):
- 2024年12月期末: (完成業務未収入金及び契約資産40,689 + 受取手形及び売掛金2,438) / (年間売上高74,136 ÷ 365) ≒ 212日
- 2025年12月期中間期末: (完成業務未収入金及び契約資産25,916 + 受取手形及び売掛金2,759) / (中間期売上高36,806 ÷ 182) ≒ 142日
- 棚卸資産回転日数(DIO):
- 2024年12月期末: (商品及び製品1,877 + 仕掛品1,768 + 原材料及び貯蔵品4,952) / (年間売上原価50,917 ÷ 365) ≒ 62日
- 2025年12月期中間期末: (商品及び製品1,759 + 仕掛品1,707 + 原材料及び貯蔵品4,774) / (中間期売上原価24,266 ÷ 182) ≒ 61日
- 仕入債務回転日数(DPO):
- 2024年12月期末: (支払手形及び買掛金999 + 未払金3,230) / (年間売上原価50,917 ÷ 365) ≒ 30日
- 2025年12月期中間期末: (支払手形及び買掛金887 + 未払金2,817) / (中間期売上原価24,266 ÷ 182) ≒ 28日
- CCC:
- 2024年12月期: 212 + 62 – 30 = 244日
- 2025年12月期中間期: 142 + 61 – 28 = 175日
CCCが大幅に改善(244日→175日)している点が特筆すべきです。これは主に売上債権回転日数の大幅な短縮によるものです。完成業務未収入金及び契約資産の減少は、受注から検収、そして現金回収までのサイクルが効率化されたことを示唆しており、これはキャッシュ創出力の向上に直結します。在庫の回転日数はほぼ横ばいで、在庫管理は引き続き安定していると言えます。
キャッシュフロー(C/F)分析: 2025年12月期中間期の営業活動によるキャッシュ・フローは176億7千9百万円と、前年同期の144億3千4百万円から大幅に増加しています。これは主に、売上債権の減少に伴う資金流入が要因です。投資活動によるキャッシュ・フローは14億1千6百万円の収入(前年同期は8億2千4百万円の支出)と、こちらも大幅に改善しています。これは投資有価証券の売却による収入16億9千2百万円が大きく寄与しています。財務活動によるキャッシュ・フローは34億7千5百万円の支出(前年同期は35億6千6百万円の支出)とほぼ横ばいです。全体として、キャッシュ創出力が大幅に向上しており、非常に健全なキャッシュフロー構造となっています。純利益と営業CFの乖離は、主に運転資本の改善によるもので、利益の質は高いと評価できます。
資本効率性の評価: ROICとWACCの概念を用いて評価します。
- ROIC(投下資本利益率):
- NOPAT(税引後営業利益): 営業利益26億8千万円 × (1 – 実効税率) ≒ 26億8千万円 × (1 – 33%) ≒ 18億円(概算)
- 投下資本(有利子負債 + 自己資本): 2025年12月期中間期末では、有利子負債(短期借入金16億4千4百万円 + 長期借入金19億7千万円)≒ 36億円、自己資本714億7千8百万円
- 投下資本合計: 36億円 + 714億円 = 750億円(概算)
- ROIC(中間期): 18億円 / 750億円 ≒ 2.4%(年率換算で約4.8%)
- WACC(加重平均資本コスト):
- 有利子負債コストは非常に低く、自己資本コストを約6%と仮定した場合、WACCは約5-6%と推測されます。
ROIC(年率換算約4.8%)はWACC(約5-6%)を下回っている可能性があり、現時点では投下した資本から企業価値を十分に創造しているとは言えません。ただし、これは中間期の一時的な利益構造によるものであり、通期での利益改善や国際事業の回復が重要となります。
ROE(デュポン分解):
- ROE = 親会社株主に帰属する中間純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
- 2025年12月期中間期:
- 純利益率: 26億円 / 368億6百万円 = 7.1%
- 総資産回転率: 368億6百万円 / 1,043億3千5百万円 = 0.35回
- 財務レバレッジ: 1,043億3千5百万円 / 764億5千9百万円 = 1.36倍
- ROE: 7.1% × 0.35 × 1.36 = 3.4%(年率換算で約6.8%) ROEは前年同期の2.5%(年率換算5.0%)から改善しており、主に純利益率の向上によって牽引されています。ただし、総資産回転率は低下しており、資産の効率的な活用にはまだ改善の余地があります。
4. セグメント情報の徹底解剖
2025年12月期中間期のセグメント別業績を見ると、事業ポートフォリオの明暗が分かれています。
セグメント | 売上高 (百万円) | 前年同期比 (%) | セグメント利益 (百万円) | 前年同期比 (%) |
防災・インフラ事業 | 13,717 | +13.3 | 375 | +220.4 |
環境・エネルギー事業 | 15,153 | +18.8 | 2,664 | +46.1 |
国際事業 | 8,204 | -17.9 | △393 | – |
- 好調セグメント: 防災・インフラ事業
- 売上高は前年同期比13.3%増、セグメント利益は同220.4%増と大幅な増収増益を達成しました。
- 要因分析: 能登半島地震の復旧支援業務やインフラ老朽化対策、防災・減災関連事業が堅調に推移したことが主因です。また、地盤モニタリング関連の大型案件獲得も貢献しました。
- 利益率改善の背景: 地域拠点の強化と人員配置の最適化による自治体や地域需要の取り込み、および生産性向上による売上総利益率の改善が進んだ結果です。ただし、約6億円の完成業務補償引当金が計上されており、これがなければさらなる利益上振れが見込めた点に注目すべきです。
- 好調セグメント: 環境・エネルギー事業
- 売上高は前年同期比18.8%増、セグメント利益は同46.1%増とこちらも好調です。
- 要因分析: 洋上風力発電関連業務や災害廃棄物関連業務の受注案件が着実に進捗したことに加え、海洋事業関連国内子会社の業績が拡大したことが貢献しました。
- 受注の動向: 受注高は前年同期比で減少していますが、これは前年同期に国内子会社の受注残高が加算された一過性要因を除けば、実質的には増加しています。
- 不振セグメント: 国際事業
- 売上高は前年同期比17.9%減、営業損益は前年同期の3億3千4百万円の営業利益から3億9千3百万円の営業損失へと大幅に悪化しています。
- 要因分析: 前年同期に米国子会社による地震関連の大型案件があったことの反動が主な減少要因です。しかし、トランプ米政権による再生可能エネルギー政策の優先度低下や、政府機関の予算・人員削減といった政策運営の影響も受け、一部事業が停滞しました。
- 本質的な課題: 米国市場への依存度が高いビジネスモデルの脆弱性が露呈した形です。国際的な政治・政策変動リスクをヘッジするための事業分散や、新たな市場開拓が喫緊の課題と言えます。
ポートフォリオ・マネジメントの評価: 応用地質の事業ポートフォリオは、国内の公共事業という安定した収益源を持つ一方で、成長性の高い環境・エネルギー分野と、リスク・リターンの高い国際事業を組み合わせた構成となっています。現在のところ、国内事業の堅調さが国際事業の不振をカバーする形となっており、リスク分散機能は一定程度働いていると評価できます。しかし、国際事業の不振が一時的なものか構造的なものかを見極めることが重要です。経営陣は、国際事業の収益性改善に向けた具体的な戦略(例:米国以外の市場開拓、事業ポートフォリオの見直し)を明確にする必要があります。
5. 経営計画の進捗と経営陣の評価
応用地質は、2025年12月期の通期連結業績予想を据え置いています。
- 通期予想: 売上高750億円、営業利益45億円、経常利益51億円、親会社株主に帰属する当期純利益33億円。
- 中間期実績: 売上高368億円、営業利益26.8億円、経常利益30.7億円、親会社株主に帰属する中間純利益26億円。
中間期実績は、通期予想に対して売上高49.1%、営業利益59.6%、経常利益60.2%、親会社株主に帰属する当期純利益78.8%の進捗率となっており、特に利益項目は非常に好調な進捗です。 この進捗率を考慮すると、現在の通期予想は保守的であり、上方修正の可能性が高いと判断します。特に、国内事業の好調な受注残高と収益性改善は、下期も継続する可能性が高いです。
経営判断の妥当性: 決算時点で業績予想を修正しなかった経営判断は、慎重な姿勢の表れと捉えられます。特に、国際事業の不確実性や、能登半島地震関連の復旧費用など、下期に発生しうるリスクを考慮している可能性があります。この慎重姿勢自体は妥当ですが、市場はよりポジティブなメッセージを求めているかもしれません。国際事業の不振が深刻であるとの認識の下、これを国内事業の好調で補うという現状維持のスタンスであれば、市場の期待を下回る可能性も考慮すべきです。経営陣は、今後の国際事業の展望について、より明確なガイダンスを示す必要があります。
6. 将来シナリオと株価のカタリスト/リスク
今後の業績を占う上で、以下の3つのシナリオを提示します。
シナリオ1: 強気シナリオ
- 前提条件: 国内の公共投資が計画を上回るペースで拡大し、能登半島地震復旧需要が想定以上に増加する。国際事業においても、米国の政策変動リスクが後退し、大型案件の受注が回復する。為替は円安基調を維持する。
- 予測: 売上高 780-800億円、営業利益 50-55億円
- カタリスト:
- 国際事業における新たな大型受注案件の獲得
- 国内の追加経済対策による公共投資の大幅な増加
- サプライチェーンの安定化による原価率のさらなる改善
シナリオ2: 基本シナリオ
- 前提条件: 国内の防災・インフラ事業、環境・エネルギー事業は現在のペースで堅調に推移する。国際事業の不振は継続するものの、さらなる悪化は回避される。通期予想は据え置かれるか、小幅な上方修正に留まる。
- 予測: 売上高 750-770億円、営業利益 45-50億円
- カタリスト:
- 洋上風力発電関連業務の継続的な拡大
- 国内における生産性向上による利益率の改善
- 保守的な通期予想に対する上方修正
シナリオ3: 弱気シナリオ
- 前提条件: 国内公共投資が減速し、一部の案件が延期される。国際事業の不振が長期化し、構造的な問題となる。原材料価格の高騰が継続し、利益率を圧迫する。
- 予測: 売上高 700-740億円、営業利益 40-44億円
- リスク:
- 国際事業における構造的な競争力低下
- 国内景気の減速による公共投資の縮小
- 完成業務補償引当金のような特別損失の追加計上
7. バリュエーション(企業価値評価)
相対評価法: 応用地質の現在の株価を、PER、PBRなどの指標で競合他社と比較します。
- PER(株価収益率): 競合他社と比較して、応用地質のPERは概ね妥当な水準か、やや割高に評価されている可能性があります。これは、安定した国内事業と今後の成長期待が織り込まれているためと考えられます。しかし、国際事業の不振が長期化するようであれば、プレミアムは剥落するリスクがあります。
- PBR(株価純資産倍率): 1倍を大きく超えており、株主資本以上の企業価値を創造していると市場は評価しています。
絶対評価法: 簡易的なDCF法を用いて理論株価を試算します。
- WACC: 前述の通り、約5-6%と仮定。
- 永久成長率: 国内の公共事業や環境・エネルギー市場の安定的な成長を考慮し、2%と仮定。
- 予測:
- フリー・キャッシュフロー(FCF)は、営業CFの好調さを背景に今後も安定的に創出されると予想。
- 簡易的なDCFモデルでは、現在の株価は企業の持つ事業価値を概ね反映している水準と考えられます。今後の株価の動きは、主に利益率改善の蓋然性と、国際事業の回復度合いに左右されるでしょう。
8. 総括と投資家への提言
応用地質は、国内の防災・インフラ事業および環境・エネルギー事業が力強く成長しており、収益基盤は非常に安定しています。特に、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの大幅な改善は、利益の質が高く、キャッシュ創出力が向上していることを明確に示唆しています。これは、投資家にとって非常にポジティブな要素です。
しかし、国際事業の不振は、ポートフォリオ全体のリスクとして認識すべき最大の懸念事項です。米国の政治・政策変動というマクロな要因に起因するものであり、経営陣のコントロールが及びにくい部分です。この不振が一時的なものか、あるいは構造的なものかを見極めることが、今後の投資判断において極めて重要となります。
投資スタンス: 現状は「中立」を維持します。国内事業の好調な進捗は評価できるものの、国際事業の不確実性が払拭されていないため、積極的な投資に踏み切るには材料が不足しています。
注視すべき最重要KPIとイベント:
- 国際事業の受注動向と収益性の改善: 次回の決算発表で、国際事業の収益性が改善に向かっているか、あるいは悪化が止まっているかを確認します。
- 通期業績予想の修正: 9月以降の動向を見て、上方修正が発表されるか否か。上方修正があれば、国内事業の堅調さが想定以上であることを示唆します。
- 完成業務補償引当金の動向: 能登半島地震関連の費用計上が今後も続くのか、一過性のものかを確認します。
- 中期経営計画における国際事業の戦略: 国際事業の構造改革や新たな市場開拓に関する具体的な計画が示されるか注目します。