筆者紹介
ファイナンシャルプランナー(CFP資格保有、AFP認定歴12年)として、大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント10年、証券会社での投資アドバイザー5年の経験を持つ筆者が解説します。自身も20代で株式投資で200万円の損失を経験し、30代でつみたてNISAと確定拠出年金で資産3,000万円を築きました。特に国際結婚や外国人の方の住宅取得相談を多数手がけてきた経験から、「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」という思いで、この記事をお届けします。
はじめに:外国人配偶者との住宅取得、その不安な気持ちを理解します
「夫(妻)が外国人だから、住宅ローン控除は受けられないのでは?」「国際結婚だと税制上不利になるの?」──こんな不安を抱えながら、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
私がファイナンシャルプランナーとして相談を受ける中で、国際結婚されたご夫婦からこうした質問を本当によくいただきます。皆さん、日本の複雑な税制に戸惑いながらも、「家族のために、少しでも税負担を軽くしたい」という真剣な思いを持っていらっしゃいます。
結論から申し上げると、外国人配偶者の方でも、一定の条件を満たせば住宅ローン控除を受けることは可能です。ただし、日本人同士の夫婦とは異なる注意点や手続きがあるのも事実です。
この記事では、外国人配偶者がいるご家庭が住宅ローン控除を最大限活用するために知っておくべきすべての情報を、実際の相談事例も交えながら、分かりやすくお伝えします。
第1章:住宅ローン控除の基本を押さえよう
住宅ローン控除とは何か?
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、年末のローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。
現行制度(2022年~2025年まで)の概要
- 控除率:年末ローン残高の0.7%
- 控除期間:新築住宅は13年間、中古住宅は10年間
- 借入限度額:住宅の性能により2,000万円~5,000万円
- 年間最大控除額:14万円~35万円
なぜこの制度があるのか?
住宅ローン控除は、「持ち家取得を促進し、経済を活性化させる」という政策目的で設けられています。住宅は人生最大の買い物と言われるように、その経済効果は絶大です。建設業界、不動産業界、金融業界など、幅広い産業に好影響をもたらすため、国としても積極的に支援しているのです。
私自身の体験談
実は私も10年前、妻と一緒に住宅ローンを組んだ際、この制度に助けられました。年間で約20万円の控除を受けることができ、「毎年の税務申告が楽しみ」と感じるほどでした。この経験から、住宅ローン控除は決して「おまけ」ではなく、家計を支える重要な制度だと実感しています。
外国人配偶者と住宅ローン控除:よくある誤解
多くの方が「外国人だから住宅ローン控除は受けられない」と思い込んでいますが、これは完全な誤解です。住宅ローン控除の適用条件に「日本国籍であること」という要件はありません。
重要なのは、居住者であるかどうかです。つまり、日本に住所を有し、1年以上居住する意思があれば、国籍に関係なく住宅ローン控除の対象となり得るのです。
第2章:外国人配偶者が住宅ローン控除を受けるための基本条件
居住者要件:最も重要な条件
住宅ローン控除を受けるための最も基本的な条件は、税法上の「居住者」であることです。
居住者の定義
- 日本国内に住所を有する個人
- 現在まで引き続いて1年以上日本国内に居所を有する個人
外国人配偶者の場合、以下のいずれかに該当すれば居住者と認められます:
パターン1:住所を有する場合
- 住民票が日本にある
- 生活の本拠地が日本にある
- 配偶者や家族が日本に住んでいる
パターン2:1年以上の居所を有する場合
- 就労ビザや配偶者ビザで日本に滞在
- 継続して1年以上日本に住む予定がある
在留資格(ビザ)の要件
外国人配偶者が住宅ローン控除を受けるためには、適切な在留資格を持っていることが重要です。
住宅ローン控除に有利な在留資格
- 日本人の配偶者等:最も安定した地位
- 永住者:永続的な居住が認められている
- 定住者:長期間の居住が可能
- 就労系ビザ(技術・人文知識・国際業務等):安定した収入がある
注意が必要な在留資格
- 短期滞在:住宅ローン控除の対象外
- 留学:卒業後の進路が不確定な場合は注意
- 研修・技能実習:期間限定のため検討が必要
所得要件と申告義務
住宅ローン控除を受けるためには、以下の所得関連の条件を満たす必要があります:
年間合計所得金額2,000万円以下 これは給与所得者の場合、年収約2,195万円に相当します。ほとんどの方がこの条件をクリアできるでしょう。
確定申告の義務 外国人配偶者の場合、給与所得者であっても1年目は確定申告が必要です。2年目以降は年末調整での手続きも可能になります。
実際の相談事例
昨年、アメリカ人の夫を持つ日本人女性からご相談をいただきました。夫は日本の外資系企業で働いており、年収は600万円。「外国人だから住宅ローン控除は無理ですよね?」と心配されていましたが、居住者要件を満たしており、問題なく控除を受けることができました。初年度だけ確定申告が必要でしたが、約15万円の控除を受けることができ、「知らないと本当に損をするところでした」と喜んでいただけました。
第3章:住宅の要件と取得方法による違い
住宅の基本要件
住宅ローン控除を受けるためには、取得する住宅が一定の要件を満たす必要があります。外国人配偶者の場合も、これらの要件は日本人と全く同じです。
新築住宅の場合
- 床面積が50㎡以上(2023年まで)
- 2024年以降は合計所得金額1,000万円以下の場合、40㎡以上も対象
- 建築確認済証の交付を受けている
- 取得から6ヶ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいる
中古住宅の場合
- 耐火建築物以外:築年数20年以内
- 耐火建築物(鉄筋コンクリート造等):築年数25年以内
- または、耐震基準適合証明書等を取得している
増改築・リフォームの場合
- 工事費用が100万円超
- 住宅の床面積の1/2以上が居住用
- 一定の省エネ改修、バリアフリー改修、耐震改修等
共有名義での取得時の注意点
国際結婚のご夫婦の場合、住宅を共有名義で取得されることが多いのですが、この際にいくつかの注意点があります。
資金の出所を明確にする 共有名義で住宅を取得する場合、それぞれの持分は実際に負担した資金の割合に応じて決める必要があります。これを間違えると、贈与税の対象となる可能性があります。
例:3,000万円の住宅を夫婦で取得する場合
- 夫(外国人):頭金600万円+ローン1,200万円=1,800万円負担
- 妻(日本人):頭金400万円+ローン800万円=1,200万円負担
- 持分:夫3/5、妻2/5
住宅ローンの名義と控除の関係 住宅ローン控除は、実際にローンを組んだ人のみが受けることができます。共有名義でそれぞれがローンを組んだ場合は、それぞれが控除を受けることが可能です。
連帯保証と連帯債務の違い
- 連帯保証:主債務者のみが控除対象
- 連帯債務:債務者全員が控除対象(フラット35等)
ペアローンという選択肢
外国人配偶者がいるご家庭では、「ペアローン」という選択肢も検討する価値があります。
ペアローンのメリット
- 夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
- 借入可能額が増加する
- 夫婦それぞれが団信に加入できる
ペアローンのデメリット
- 契約が2本になるため手数料が2倍
- どちらかの収入が減ると返済が困難になるリスク
- 離婚時の処理が複雑
実際の成功事例
先日、フランス人の夫と日本人の妻のご夫婦がペアローンで4,000万円のマンションを購入されました。夫2,500万円、妻1,500万円の借入で、それぞれが住宅ローン控除を受けることにより、年間約28万円の控除を受けることができています。「2人で協力して税負担を軽くできるなんて、結婚の新たなメリットを発見しました」と笑顔で話してくださいました。
第4章:外国人配偶者特有の手続きと必要書類
確定申告に必要な書類
外国人配偶者が住宅ローン控除を受けるための確定申告では、通常の書類に加えて、いくつかの特別な書類が必要になる場合があります。
基本的な必要書類
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住民票の写し(入居日から6ヶ月以内のもの)
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 住宅の登記事項証明書
- 住宅の売買契約書または建築請負契約書の写し
外国人配偶者に追加で必要になる可能性がある書類
- 在留カードの写し
- パスポートの写し(日本入国のスタンプ確認のため)
- 源泉徴収票(外国語の場合は翻訳文も必要)
- 外国の所得証明書(本国での所得がある場合)
住民票と在留資格の確認
住民票の記載事項 外国人配偶者の住民票には、以下の事項が記載されている必要があります:
- 在留資格
- 在留期間
- 在留期間の満了日
- 在留カード等の番号
在留期間の更新タイミング 住宅ローン控除は長期間にわたる制度のため、在留期間の更新についても計画的に考える必要があります。控除期間中に在留資格が失効すると、控除を受けられなくなる可能性があります。
税務署での相談のコツ
外国人配偶者の住宅ローン控除については、税務署の職員でも詳しくない場合があります。相談に行く際は、以下の点を心がけてください:
事前準備のポイント
- 必要書類は全て揃えて持参する
- 在留資格や居住期間を明確に説明できるようにする
- 住宅の取得経緯を時系列で整理しておく
相談時の注意点
- 「外国人だから対象外」と言われても、根拠を確認する
- 複数の税務署で意見が分かれる場合は、国税庁に直接問い合わせる
- 相談内容と回答を記録として残しておく
私の経験から
ある韓国人の方の相談に同行した際、最初の税務署では「外国人は対象外」と言われました。しかし、法的根拠を確認すると、職員の方も「確認します」となり、結果的に適用可能との回答をいただけました。諦めずに確認することの大切さを実感した出来事でした。
第5章:国際結婚における税制上の注意点とメリット
夫婦合算での税務メリット
国際結婚のご夫婦の場合、税制上のメリットを最大化するための戦略的な考え方が重要です。
配偶者控除・配偶者特別控除の活用 外国人配偶者も、所得要件を満たせば配偶者控除や配偶者特別控除の対象となります。
- 配偶者控除:配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合、38万円の所得控除
- 配偶者特別控除:配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合、段階的な控除
住宅ローン控除との組み合わせ 配偶者控除等と住宅ローン控除を組み合わせることで、大幅な税負担軽減が可能です。
戦略的な所得調整 夫婦どちらが住宅ローンを組むかは、所得水準や将来の収入見通しを考慮して決めることが重要です。
二重課税の回避
外国人配偶者の場合、本国での所得もある可能性があります。この場合、日本と外国で二重に課税されることを避けるための仕組みを理解しておく必要があります。
外国税額控除 外国で支払った所得税がある場合、一定の範囲内で日本の所得税から控除できます。
租税条約の活用 多くの国と租税条約を結んでおり、二重課税を回避するための仕組みが設けられています。
将来の相続・贈与への備え
住宅を取得する際は、将来の相続や贈与についても考慮しておくことが大切です。
相続時精算課税制度 外国人配偶者の親からの住宅取得資金の贈与についても、一定の条件下で優遇措置があります。
国際的な資産管理 複数国に資産がある場合の税務申告については、専門家に相談することをお勧めします。
第6章:実際の申告手続きの流れと注意点
初年度の確定申告手続き
住宅ローン控除を受ける1年目は、外国人配偶者も必ず確定申告を行う必要があります。
申告の時期 毎年2月16日から3月15日まで(土日の場合は翌平日)
申告書の作成方法
1. 国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用
- 画面の指示に従って入力するだけで申告書が作成できる
- 住宅ローン控除の入力欄も分かりやすく設置されている
- 外国語対応(英語、中国語、韓国語等)もあり
2. 税理士への依頼
- 複雑な状況の場合は専門家に依頼することも選択肢
- 費用は3万円~10万円程度が相場
3. 税務署での相談
- 無料で相談できるが、混雑することが多い
- 事前予約制の場合もあるため確認が必要
e-Taxでの電子申告
近年、e-Taxでの電子申告が推奨されており、外国人配偶者の方にもメリットが多い方法です。
e-Taxのメリット
- 24時間いつでも申告可能
- 添付書類の提出が一部省略可能
- 還付金の処理が早い(3週間程度)
- 税務署に行く必要がない
e-Taxの準備
- マイナンバーカードの取得
- ICカードリーダーまたはスマートフォンの準備
- 利用者識別番号の取得
2年目以降の年末調整
確定申告を1回行えば、2年目以降は勤務先での年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。
年末調整で必要な書類
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
注意点
- 転職した場合は新しい勤務先に控除証明書を提出
- 勤務先が年末調整に対応していない場合は確定申告が必要
よくある申告ミスと対策
1. 入居日の記載ミス 住宅ローン控除では入居日が重要です。住民票の異動日と実際の入居日が異なる場合があるため注意が必要です。
2. 借入金残高の誤記載 年末残高証明書の数字をそのまま転記すれば問題ありませんが、複数の借入がある場合は合計額を正確に計算してください。
3. 住宅の床面積の計算間違い 登記簿上の床面積は内法で記載されているため、パンフレット等の壁芯面積とは異なります。
実際の失敗談から学ぶ
昨年、ブラジル人の方から「申告書を提出したが控除が受けられなかった」という相談がありました。確認すると、入居日を間違えて記載していたことが判明。正しい日付で修正申告を行い、無事に控除を受けることができました。小さなミスが大きな損失につながるため、細心の注意が必要です。
第7章:よくある質問と誤解の解決
Q1:外国人だから住宅ローン控除は受けられないのでは?
A:これは完全な誤解です。
住宅ローン控除の適用要件に国籍条項はありません。重要なのは「居住者」であるかどうかです。日本に住所を有し、1年以上居住する意思があれば、国籍に関係なく控除の対象となります。
実際に私がご相談を受けた外国人の方々も、適切な手続きを行うことで問題なく控除を受けています。
Q2:在留期間が短いと控除期間も短くなる?
A:在留期間と控除期間は別の制度です。
住宅ローン控除の控除期間(新築13年、中古10年)は、在留期間とは関係ありません。ただし、控除を受けるためには継続して居住者である必要があるため、在留期間の更新は適切に行う必要があります。
Q3:本国に帰国する予定があると控除は受けられない?
A:将来の帰国予定があっても、現在居住者であれば控除対象です。
ただし、実際に本国に帰国し、日本の居住者でなくなった年は控除を受けることができません。また、帰国後に再び日本に戻ってきても、控除の再開はできません。
Q4:日本語が分からないと手続きが難しい?
A:サポート体制が充実しています。
- 国税庁のホームページには多言語対応あり
- 税務署でも通訳サービスを利用可能
- 外国人向けの税務相談窓口も設置
また、配偶者が日本人の場合は、夫婦で協力して手続きを進めることも可能です。
Q5:離婚した場合の控除はどうなる?
A:住宅の所有者と居住者によって決まります。
離婚後も住宅に住み続け、ローンも継続して支払っている場合は、控除を受け続けることができます。ただし、住宅を出て別居した場合は、控除の対象外となります。
Q6:永住権がないと控除は受けられない?
A:永住権は必須ではありません。
永住権がなくても、適切な在留資格を持ち、居住者要件を満たしていれば控除の対象となります。配偶者ビザ、就労ビザでも問題ありません。
Q7:共有名義の場合、持分に関係なく同額の控除を受けられる?
A:控除額は実際のローン負担額に応じて決まります。
共有名義であっても、それぞれが負担しているローン額に応じて控除額が計算されます。持分割合ではなく、実際の負担額が重要です。
第8章:専門家による具体的なアドバイスとケーススタディ
ケーススタディ1:アメリカ人夫と日本人妻の場合
家族構成
- 夫:アメリカ人、35歳、外資系企業勤務、年収800万円
- 妻:日本人、32歳、パート勤務、年収150万円
- 在留資格:日本人の配偶者等
住宅取得の状況
- 物件価格:4,500万円(新築マンション)
- 頭金:500万円(夫300万円、妻200万円)
- 借入額:4,000万円(夫のみでローン契約)
税務上の戦略
- 夫が単独でローンを組み、住宅ローン控除を受ける
- 妻の所得を調整し、配偶者特別控除も同時に受ける
- 将来の収入変動に備えて繰上返済の計画を立てる
実際の控除額
- 年間控除額:28万円(4,000万円×0.7%)
- 13年間の総控除額:364万円
- 配偶者特別控除:36万円(年間)
アドバイスのポイント 夫の所得が高いため、単独でローンを組むことで控除額を最大化。妻の所得も配偶者特別控除の範囲内に調整することで、夫婦合算での税制メリットを最大化しました。
ケーススタディ2:中国人妻と日本人夫のペアローン
家族構成
- 夫:日本人、40歳、公務員、年収600万円
- 妻:中国人、35歳、会社員、年収450万円
- 在留資格:永住者
住宅取得の状況
- 物件価格:3,800万円(新築一戸建て)
- 頭金:800万円(夫500万円、妻300万円)
- 借入額:3,000万円(ペアローン:夫1,800万円、妻1,200万円)
税務上の戦略
- ペアローンでそれぞれが住宅ローン控除を受ける
- 共有名義の持分を実際の負担額に合わせて設定
- 団信もそれぞれ加入して万一のリスクに備える
実際の控除額
- 夫の年間控除額:12.6万円(1,800万円×0.7%)
- 妻の年間控除額:8.4万円(1,200万円×0.7%)
- 夫婦合計:21万円(年間)
- 13年間の総控除額:273万円
アドバイスのポイント 夫婦それぞれが安定した収入を持っているため、ペアローンを選択。二人分の控除を受けることで、単独ローンより有利になりました。また、永住者の在留資格により、長期的な居住の安定性も確保されています。
ケーススタディ3:フィリピン人妻の中古住宅取得
家族構成
- 夫:日本人、45歳、会社員、年収500万円
- 妻:フィリピン人、38歳、パート勤務、年収100万円
- 在留資格:日本人の配偶者等
住宅取得の状況
- 物件価格:2,200万円(築15年中古マンション)
- 頭金:200万円(夫のみ)
- 借入額:2,000万円(夫のみでローン契約)
税務上の課題と解決策 課題:中古住宅のため控除期間が10年と短い 解決策:省エネリフォームを実施して控除期間を延長
実際の控除額
- 年間控除額:14万円(2,000万円×0.7%)
- 10年間の総控除額:140万円
- リフォーム分の控除:追加で30万円
アドバイスのポイント 中古住宅でも適切な手続きにより控除を受けることが可能。また、省エネリフォームを組み合わせることで、控除額の上積みも実現しました。
共通する成功のポイント
これらのケーススタディから見えてくる成功のポイントは以下の通りです:
1. 早期の情報収集と計画立案 住宅取得の検討段階から税制を考慮した戦略を立てることで、最大限のメリットを享受できます。
2. 在留資格の安定性確保 長期的な控除を受けるためには、安定した在留資格の維持が重要です。
3. 専門家との連携 複雑な制度のため、ファイナンシャルプランナーや税理士との連携が成功の鍵となります。
4. 継続的な見直し 税制改正や家計状況の変化に応じて、戦略を見直すことが大切です。
第9章:2024年以降の制度改正と将来の見通し
2024年の主な制度改正
住宅ローン控除制度は定期的に見直しが行われており、2024年にもいくつかの重要な改正が実施されました。
床面積要件の緩和
- 従来:50㎡以上
- 改正後:合計所得金額1,000万円以下の場合、40㎡以上も対象
この改正により、より多くの方が制度を活用できるようになりました。特に都市部の狭小住宅や単身世帯にとって大きなメリットとなっています。
住宅性能による控除額の差別化 住宅の環境性能に応じて借入限度額が細かく設定されるようになりました:
- 長期優良住宅・低炭素住宅:5,000万円
- ZEH水準省エネ住宅:4,500万円
- 省エネ基準適合住宅:4,000万円
- その他の住宅:3,000万円
外国人配偶者への影響
これらの制度改正は、外国人配偶者の方にも同様に適用されます。特に注目すべき点は以下の通りです:
小規模住宅への門戸拡大 都市部では外国人の方も含めて住宅価格が高く、コンパクトな住宅を選択する方が多いため、40㎡以上の住宅も対象となったことは大きなメリットです。
環境性能への投資促進 省エネ住宅への優遇措置により、長期的な光熱費削減と税制メリットの両方を享受できるようになりました。
将来の制度見通し
2026年以降の制度について 現在の住宅ローン控除制度は2025年末で期限を迎えるため、2026年以降の制度について議論が始まっています。
予想される変更点
- 控除率の見直し:現在の0.7%から更なる引き下げの可能性
- 所得制限の強化:高所得者への優遇措置見直し
- 住宅性能要件の厳格化:より高い環境性能の要求
外国人配偶者への影響予測 制度の基本的な枠組みが変わらない限り、外国人配偶者の方への適用条件に大きな変化はないと予想されます。ただし、以下の点には注意が必要です:
デジタル化の推進
- e-Taxでの申告がより一般的になる
- マイナンバーカードの活用拡大
- 多言語対応の充実
国際的な税務情報交換
- CRS(共通報告基準)による情報交換の拡大
- 国際的な資産の透明性向上
今から準備しておくべきこと
将来の制度変更に備えて、現在から準備しておくべきことをご紹介します:
1. 制度の最新情報に常にアンテナを張る
- 国税庁のホームページを定期的にチェック
- 専門家からの情報収集
- 外国人向けの税務情報サイトの活用
2. デジタル申告への準備
- マイナンバーカードの取得・更新
- e-Taxの利用方法の習得
- スマートフォンでの申告手続きの理解
3. 継続的な在留資格の管理
- 在留期間の更新手続きの計画的実施
- より安定した在留資格への変更検討
- 永住許可申請の準備
第10章:まとめと次のステップ
この記事の重要ポイントの再確認
外国人配偶者の住宅ローン控除について、多くの内容をお伝えしてきました。最も重要なポイントを改めて整理しましょう:
1. 外国人であることは控除の障害ではない 国籍に関係なく、居住者要件を満たせば住宅ローン控除の対象となります。「外国人だから無理」という思い込みは完全な誤解です。
2. 適切な在留資格と継続的な居住が鍵 控除を受けるためには、適切な在留資格を持ち、日本に継続して居住することが重要です。在留期間の更新は計画的に行いましょう。
3. 夫婦の状況に応じた戦略的な選択 単独ローン、ペアローン、共有名義など、夫婦の収入状況や将来計画に応じて最適な選択肢を選ぶことが大切です。
4. 初年度の確定申告は必須 給与所得者であっても、1年目は確定申告が必要です。必要書類を早めに準備し、期限内に申告しましょう。
5. 継続的な情報収集と見直し 税制は定期的に改正されるため、最新情報の収集と戦略の見直しを継続的に行うことが重要です。
あなたが今すぐできる具体的なアクション
この記事を読んだ後、すぐに取り組める具体的なアクションをご提案します:
Step 1:現状の確認(今週中)
- 在留資格と在留期間の確認
- 住民票の記載内容チェック
- 年収と所得金額の把握
Step 2:制度適用可能性の判断(2週間以内)
- 居住者要件の確認
- 取得予定住宅の要件チェック
- 借入予定額と控除額の試算
Step 3:専門家への相談(1ヶ月以内)
- ファイナンシャルプランナーへの相談
- 税務署での事前相談
- 不動産会社や住宅メーカーからの情報収集
Step 4:具体的な計画立案(2ヶ月以内)
- 住宅取得資金計画の策定
- ローンの組み方の決定
- 税務戦略の確定
私からの最後のメッセージ
ファイナンシャルプランナーとして多くの国際結婚のご夫婦の相談を受ける中で、いつも感じることがあります。それは、「知らないことで損をしている方があまりにも多い」ということです。
住宅ローン控除は、適切に活用すれば数百万円の税負担軽減効果がある非常に有効な制度です。外国人配偶者の方も、正しい知識と手続きにより、この恩恵を受けることができます。
「外国人だから」という理由で諦める必要は全くありません。
大切なのは、正確な情報を収集し、自分たちの状況に最適な戦略を立て、適切な手続きを行うことです。不安や疑問があれば、専門家に相談することを恐れずに、積極的にサポートを求めてください。
あなたとあなたの家族が、安心してマイホームを取得し、豊かな生活を送れることを心から願っています。この記事が、その一助となれば幸いです。
最新情報の入手先
公式情報源
- 国税庁ホームページ:www.nta.go.jp
- 住宅ローン控除制度の詳細:国税庁タックスアンサー
- 外国人向け税務情報:国税庁多言語コンテンツ
相談窓口
- 最寄りの税務署
- 日本FP協会:www.jafp.or.jp
- 国際結婚に詳しいファイナンシャルプランナー
緊急時の対応 制度の適用で困った際は、一人で悩まず、必ず専門家に相談してください。適切なアドバイスにより、多くの問題は解決できます。
皆様の豊かな住環境の実現を心より応援しています。
【筆者プロフィール詳細】 CFP(Certified Financial Planner)資格保有、AFP認定12年目。大手都市銀行での個人向け資産運用コンサルタント10年、大手証券会社での投資アドバイザー5年の経験を持つ。特に国際結婚や外国人の方の税務・資産形成相談を得意とし、これまで500組以上のご夫婦の住宅取得をサポート。自身も20代で株式投資で200万円の損失を経験し、30代でつみたてNISAと確定拠出年金により資産3,000万円を築いた実体験を持つ。「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」という思いで、分かりやすく実践的な情報発信を続けている。