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ヒガシマル(2058)2026年3月期第1四半期決算分析レポート:本業の収益性悪化と通期計画達成への課題

投資スタンス:中立(確信度 60%)

株式会社ヒガシマルは、第1四半期に大幅な減益を計上し、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上しました 。これは、主に前期の先行需要の反動とコスト高騰の継続によるものであり、事業環境の厳しさを反映しています 。しかし、マリンテック株式会社の株式売却による特別利益の計上や、通期予想の据え置きは、一定の株価下支え要因となります 。足元の事業環境は不透明であり、価格転嫁や生産効率改善の効果が本格的に現れるか不確実なため、現状では慎重な姿勢を維持すべきと判断します。通期予想に対する進捗率が低く、下期での挽回が必須となるため、今後の動向を注意深く見守る必要があります。

サマリー:

  • 事実: 第1四半期は売上高が前年同期比11.7%減となり、営業利益は1百万円と大幅な減益を記録し、最終的に純損失を計上 。
  • 本質: 前期にあった駆け込み需要の反動減と、原材料やエネルギーコストの高止まり、販売競争の激化が複合的に作用し、収益性が大幅に悪化した 。一方で、子会社の株式売却益により、税金等調整前四半期純利益は増加している 。
  • 注目点: 通期予想の達成に向けた下期の回復シナリオの蓋然性、特に食品事業における価格転嫁の進捗とコスト削減効果の具体化、そして原材料価格の動向。

主要カタリストとリスク:

  • ポジティブ・カタリスト:
    1. 原材料価格の安定化とコスト削減効果の顕在化: 特に魚粉や小麦粉などの主要原材料価格の落ち着きと、生産効率改善が利益率改善に貢献 。
    2. 価格改定の浸透と販売競争の緩和: 食品事業における価格転嫁が市場に受け入れられ、売上が回復するとともに利益率が改善 。
    3. 水産事業における主力魚種の回復: 養殖環境の改善や魚価高騰が落ち着くことで、販売数量と収益性が安定化 。
  • ネガティブ・リスク:
    1. 想定以上のコスト高騰の継続: 原材料、燃料費、輸送費などの高騰が予想以上に長引き、価格転嫁が追いつかない 。
    2. 競争激化による売上減少: PB商品の販売不振や他社との価格競争により、特に食品事業の売上高がさらに落ち込む 。
    3. 通期業績予想の下方修正: 第1四半期の低調な進捗から、会社が通期計画の達成は困難と判断し、下方修正を発表 。

2. 事業概要とビジネスモデルの深掘り

株式会社ヒガシマルは、主に「水産事業」と「食品事業」の2つのセグメントで事業を展開しています

  • 水産事業: 養魚用配合飼料の製造・販売、鮮魚販売、クルマエビ・魚類養殖など 。
  • 食品事業: 即席麺、乾麺、皿うどん、ラーメン、カレールー、穀粉、かき揚げ類などの製造・販売 。

ビジネスモデルの評価: このビジネスモデルは、**「売上 = (養殖数量 × 販売価格) + (生産数量 × 販売価格)」**という基本的な数式で表されます。

  • 強み: 複数の事業セグメントを持つことで、事業ポートフォリオのリスク分散が図られています。特に、水産事業は養殖飼料から最終製品まで手掛けることで、垂直統合的なサプライチェーンを構築している点が強みと言えます 。
  • 脆弱性:
    • 価格変動リスク: 主要原材料である魚粉や小麦粉、パーム油の価格変動に収益性が大きく左右されます 。価格転嫁が遅れると、利益率が急激に悪化するリスクがあります 。
    • 市場環境への依存度: 水産事業は、養殖環境(水温など)や漁獲量に影響されやすく、需給バランスの調整が難しい側面があります 。食品事業は、個人消費や外食産業の動向に直接影響を受けます 。
    • PB商品への依存: PB(プライベートブランド)商品の販売が好調なセグメントがある一方で、PB商品の販売減少が全体売上を押し下げる要因にもなっており、特定の大口取引先への依存リスクが懸念されます 。

競争環境: 食品事業では、マルタイ、サンポー食品、五木食品といった九州を拠点とする食品メーカーと競合します。水産事業では、日本農産工業、フィード・ワンなどの大手飼料メーカーや、地域の中小養殖業者との競争に直面しています。同社の相対的な強みは、特定のニッチな市場(皿うどん、クルマエビ養殖など)におけるブランド力と専門性です 。一方、弱みは、スケールメリットにおいて大手メーカーに劣る点であり、原材料の調達や生産コストで不利な立場に置かれる可能性があります


3. 【最重要】業績ハイライトと徹底的な財務分析

P/L分析

項目2026年3月期 1Q2025年3月期 1Q増減額 (百万円)前年同期比 (%)
売上高3,052百万円3,455百万円-403-11.7%
営業利益1百万円16百万円-15-93.8%
経常利益3百万円54百万円-51-94.4%
親会社株主に帰属する四半期純利益△37百万円101百万円-138

営業利益のブリッジ分析: 前年同期の営業利益16百万円から当期1百万円への変動は、主に以下の要因に分解されます

  • ①売上数量/ミックス変動: 売上高が403百万円減少 。これは、前期の駆け込み需要の反動 やPB商品の販売減少 、主力商品の販売不振 が主な原因であり、粗利額を押し下げる最大の要因となりました。
  • ②価格/原価率変動: 売上原価率は、前年同期の82.1%から81.0%へ改善しているものの 、売上高の減少を補うには至っていません。原材料価格の高止まり やコスト高騰 が利益を圧迫し続けた結果、売上総利益は38百万円減少しました 。
  • ③販管費変動: 販管費は前年同期の601百万円から578百万円へと23百万円減少しています 。これは主に運賃諸掛の減少によるものですが 、売上高の減少幅に比べると削減効果は限定的であり、利益率を大きく改善するまでには至っていません。

結論: 売上数量の減少とそれに伴う売上総利益の減少が、営業利益の大幅な減益の主因です。コスト削減努力は認められるものの、売上高の落ち込みを吸収するには至っていません。

収益性の深掘り:

  • 粗利率: 前年同期17.9%に対し、当期は19.0%と改善 。これは、販売価格の改定や製品ミックスの変化によるものと推測されます。
  • 営業利益率: 前年同期0.5%に対し、当期は0.03%とほぼゼロにまで落ち込んでいます 。売上高の減少に対し、販管費の削減が追いつかず、固定費負担が増加したことが原因と考えられます。
  • 事業セグメント別分析:
    • 水産事業: 売上高は20.2%減と大幅に減少 。養魚用配合飼料の反動減やエビ・ハマチ飼料の販売不振が要因です 。しかし、セグメント利益は44.8%増と大幅に改善 。これは、魚類養殖事業における沖縄県外向けの出荷増加 や、飼料価格の改定、生産効率改善が奏功したためと考えられます。
    • 食品事業: 売上高は0.5%増と微増にとどまり 、セグメント利益は前年同期の50百万円の黒字から13百万円の損失に転落しました 。原材料価格の高騰 や販売競争の激化 が響き、価格転嫁が十分に浸透していない状況が浮き彫りになりました。

B/S分析

項目2026年3月期 1Q2025年3月期 通期増減額 (百万円)
総資産13,908百万円14,226百万円-318百万円
純資産5,038百万円5,134百万円-96百万円
自己資本比率36.2%36.1%+0.1pt

運転資本の分析 (2025年3月期通期と2026年3月期1Qの比較):

  • 売上債権回転日数 (DSO):
    • 2025年3月期: (1,947百万円 / 14,271百万円) × 365日 = 49.9日
    • 2026年3月期1Q: (2,137百万円 / (3,052百万円 x 4)) × 365日 = 64.0日
    • 考察: DSOが大幅に増加しており、売上債権の回収に時間がかかっていることを示唆しています 。これは、顧客基盤の悪化や与信管理の緩み、または特定の取引先での回収サイトの長期化が原因である可能性があり、今後のキャッシュフロー悪化リスクとして注視すべき点です。
  • 棚卸資産回転日数 (DIO):
    • 2025年3月期: ((822百万円 + 398百万円 + 1,837百万円) / (2,836百万円 x 4)) × 365日 = 98.7日
    • 2026年3月期1Q: ((890百万円 + 186百万円 + 1,756百万円) / (2,471百万円 x 4)) × 365日 = 96.1日
    • 考察: DIOは若干改善 。特に仕掛品が大幅に減少しており、これは生産調整や在庫管理の効率化によるものと推測できます 。在庫の質については、滞留期間の長期化は確認できないものの、食品事業におけるPB商品の販売不振 が今後の在庫増加や陳腐化リスクにつながる可能性があります。
  • 仕入債務回転日数 (DPO):
    • 2025年3月期: (579百万円 / (2,836百万円 x 4)) × 365日 = 18.7日
    • 2026年3月期1Q: (785百万円 / (2,471百万円 x 4)) × 365日 = 29.0日
    • 考察: DPOが大幅に増加しており、支払サイトの長期化がキャッシュフロー改善に一時的に貢献しています 。しかし、これはサプライヤーに対する交渉力の変化や、資金繰りの悪化を示唆している可能性もあるため、注意が必要です。
  • CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル):
    • 2025年3月期: 49.9日 + 98.7日 – 18.7日 = 129.9日
    • 2026年3月期1Q: 64.0日 + 96.1日 – 29.0日 = 131.1日
    • 結論: CCCは若干悪化しており、運転資本管理の効率性が低下していることを示しています。これは、売上債権の回収遅延が主な要因であり、今後のキャッシュ創出力にマイナスの影響を与える可能性があります。

キャッシュフロー(C/F)分析

当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、直接的な分析は困難です 。しかし、B/Sの変化から間接的に推測すると、純利益の赤字 にもかかわらず、運転資本の増加が限定的であること、そしてマリンテック株式会社の株式売却による特別利益 があったことから、投資活動によるキャッシュフローはプラスであった可能性が高いです。また、短期借入金や長期借入金が減少しており、財務活動によるキャッシュフローはマイナスであったと推測されます

利益の質: 親会社株主に帰属する四半期純利益は$\triangle$37百万円の赤字である一方、税金等調整前四半期純利益は213百万円の黒字です 。この大きな乖離は、マリンテック株式会社の株式売却による特別利益2億10百万円を計上したためであり 、実質的な本業の稼ぐ力は極めて弱い状態にあります。利益の質は低く、本業の収益改善が急務であると言えます。

資本効率性の評価

ROIC vs. WACC: ROIC (Return on Invested Capital) = EBIT × (1 – Tax Rate) / Invested Capital 当期のEBITは1百万円であり、非常に低いため、ROICは極めて低い水準にあると推測されます 。WACC(加重平均資本コスト)は、一般的な日本の中堅企業を想定すると3%~5%程度と見積もられます。当社のROICがWACCを大きく下回っていることは明らかであり、この状態が続けば、企業価値を創造するどころか、むしろ破壊している状況であると評価せざるを得ません。

ROEのデュポン分解: ROE = (純利益 / 売上高) × (売上高 / 総資産) × (総資産 / 自己資本) 当期の純利益は赤字であるため、ROEはマイナスとなります

  • 純利益率: 大幅なマイナス。本業の不振と特別利益の一過性によるものです。
  • 総資産回転率: 売上高の減少と総資産の減少幅が同程度であるため、大きな変化はないと推測。
  • 財務レバレッジ: 自己資本の減少幅が負債の減少幅よりも小さいため、財務レバレッジは若干低下していると推測されます 。

結論: 当社の資本効率性は極めて低い水準にあり、企業価値を創造するビジネスモデルに転換できるかどうかが、今後の最大の焦点となります。


4. 【核心】セグメント情報の徹底解剖

各セグメントの売上・利益分析 (前年同期比)

  • 水産事業:
    • 売上高: 16億19百万円 (△20.2%)
    • セグメント利益: 1億3百万円 (+44.8%)
  • 食品事業:
    • 売上高: 14億32百万円 (+0.5%)
    • セグメント利益: △13百万円 (前年同期は50百万円の黒字)

好調セグメント(水産事業)と不振セグメント(食品事業)の要因比較:

  • 水産事業:
    • 市場環境: 養殖飼料は、前期の駆け込み需要の反動減というネガティブ要因があったものの 、外食・業務用向け商材の売買は好調に推移 。魚類養殖事業では販売単価の高い沖縄県外向け出荷が増加し、売上・利益に貢献しました 。
    • コスト要因: 魚粉価格が下落し、魚類飼料の値下げ改定を実施 。これにより利益率が圧迫された側面もありますが、生産効率の改善と販売ミックスの最適化により、利益の増加を実現したと推測されます。
  • 食品事業:
    • 市場環境: インバウンド需要や個人消費の増加はあったものの、原材料やエネルギー関連コストの高騰が継続 。他社との拡販競争も厳しさを増しており、価格転嫁が困難な状況にあります 。
    • 製品ポートフォリオ: 即席麺や乾麺では、PB商品の販売減少が全体を押し下げました 。一方、皿うどん類やカップ麺、カレールー類は好調に推移しており 、製品ごとの明暗が分かれる結果となりました。特に、PB商品への依存度の高さが売上変動リスクとなっていることが明確になりました。

ポートフォリオ・マネジメントの評価: 全体として、事業ポートフォリオはリスク分散の機能を果たしているとは言えません。水産事業は利益を確保したものの、食品事業の損失を補いきれず、全社の営業利益は大幅な減益となりました 。食品事業におけるPB商品への依存、価格競争の激化といった構造的な課題が露呈しており、抜本的な事業戦略の見直しが求められます。特に、コスト高騰下での価格決定力(プライシングパワー)の弱さは深刻な懸念事項です。


5. 経営計画の進捗と経営陣の評価

通期計画に対する進捗:

  • 売上高: 通期計画14,271百万円に対し、第1四半期は3,052百万円で進捗率21.4% 。
  • 営業利益: 通期計画390百万円に対し、第1四半期は1百万円で進捗率0.3% 。
  • 経常利益: 通期計画368百万円に対し、第1四半期は3百万円で進捗率0.8% 。
  • 純利益: 通期計画199百万円に対し、第1四半期は$\triangle$37百万円で進捗率はマイナス 。

評価: 第1四半期の進捗率は、特に利益面で極めて低い水準にあります。通期計画を達成するためには、残りの3四半期で、売上高で約11,200百万円、営業利益で約389百万円を稼ぎ出す必要があります。会社は通期予想を据え置いていますが 、これは「第2四半期以降の売上高の割合が高くなる季節的特徴がある」という前提に基づいています 。しかし、前年の駆け込み需要の反動が大きかったことを考慮すると、通期目標達成のハードルは非常に高いと言えます。経営陣の需要予測能力には疑問符がつき、コスト高騰や販売競争の激化といった厳しい事業環境を過小評価していた可能性があります。今回の決算を受けて計画を修正しなかった経営判断は、市場の信頼を維持するためのポジショントークと解釈すべきであり、現実的な達成可能性については懐疑的な見方をしています。


6. 将来シナリオと株価のカタリスト/リスク

3つの将来シナリオ

  • 強気シナリオ (蓋然性 20%):
    • 前提条件: 下期にかけて原材料価格(特に小麦粉、魚粉)がさらに安定化し、生産効率改善と価格改定の効果が本格的に現れる。食品事業の不振セグメントが回復し、PB商品の販売が好調に転じる。為替レートは安定的に推移。
    • 予測レンジ:
      • 売上高: 14,000百万円~14,500百万円
      • 営業利益: 350百万円~400百万円
    • カタリスト:
      • 新たな主力PB商品の獲得または既存商品の販売回復。
      • 食品事業における大規模な価格改定の成功。
      • 季節性要因を上回る販売の急回復。
  • 基本シナリオ (蓋然性 60%):
    • 前提条件: 原材料やコスト高は緩やかに落ち着くが、販売競争は継続。食品事業の不振が続き、水産事業の好調がそれを補う形となる。季節性要因により下期は回復するが、前期の反動減を完全に吸収することはできない。
    • 予測レンジ:
      • 売上高: 13,500百万円~14,000百万円
      • 営業利益: 200百万円~300百万円
    • カタリスト:
      • 水産事業における新規顧客獲得や養殖魚の出荷量増加。
      • 食品事業における一部製品(皿うどん、カレールー等)の販売好調継続。
      • コスト削減策の着実な実行。
  • 弱気シナリオ (蓋然性 20%):
    • 前提条件: 原材料やエネルギーコストの高騰が予想以上に続き、価格転嫁が失敗。販売競争がさらに激化し、PB商品の売上減少が加速。マクロ経済の減速により、個人消費や外食需要が低迷。
    • 予測レンジ:
      • 売上高: 12,500百万円~13,500百万円
      • 営業利益: 50百万円~150百万円
    • リスク:
      • 他社製品への顧客流出。
      • 原材料価格の再高騰。
      • 通期業績予想の下方修正。

7. バリュエーション(企業価値評価)

相対評価法: 類似企業(競合他社)の平均PER、PBRと比較することで、同社の株価が割安か割高かを評価します。現状の株価では、通期計画PER(PER = 株価 / EPS)は、EPSが50.54円のため、株価が2,000円だと仮定すると約39.6倍となります 。これは一般的な食品・水産関連企業のPERと比較して割高であり、成長期待が織り込まれているか、あるいは低利益が一時的であると市場が判断していることを示唆しています。ただし、当期の純利益は子会社売却益で嵩上げされているため、本業の利益に基づくPERはさらに高くなります。

結論: 現在の株価は、今後のV字回復やコスト環境の改善に対する強い期待が反映されている可能性があり、現状の業績から見れば割高と判断します。

絶対評価法(簡易DCF法): 簡易的なDCF法を用いて理論株価を試算します。

  • 仮定:
    • フリーキャッシュフロー (FCF): 営業CF – 投資CF。当期は情報不足のため、簡便的に通期純利益と減価償却費(102百万円)をベースに試算 。
    • WACC: 4.0%
    • 永久成長率: 0.5%
  • 試算: 割引率であるWACCが、現状のROICを大きく上回っているため、このままの収益性では企業価値はマイナスに傾くことになります。しかし、事業の継続性を前提とすれば、将来の収益改善を織り込む必要があります。仮に通期計画の純利益199百万円が達成できると仮定しても、WACCを超えるROICを達成するのは困難であり、現在の株価は、将来の劇的な収益性改善を強く織り込みすぎている可能性があります。

8. 総括と投資家への提言

株式会社ヒガシマルの第1四半期決算は、前年同期の駆け込み需要の反動減と、食品事業における価格転嫁の遅れによる収益性の悪化が明確に表れた内容でした 。水産事業のセグメント利益は増加したものの、全体をカバーするには至らず、本業の稼ぐ力が極めて脆弱な状態にあります 。マリンテック株式会社の株式売却益という一過性の要因で最終利益が嵩上げされている点も、利益の質に対する懸念を強めます

投資スタンス: 中立を維持します。通期計画の達成には、下期での大幅な回復が不可欠であり、その蓋然性は現状では低いと見ています。現在の株価は、厳しい事業環境を十分に反映しているとは言えず、今後の業績回復が期待通りに進まない場合、下方修正リスクが高まると考えます。

今後の監視ポイント:

  • 最重要KPI: 食品事業のセグメント利益率の推移。これが改善しなければ、通期計画達成は困難。
  • 原材料価格の動向: 特に小麦粉、魚粉の価格が安定するか。
  • 運転資本の効率性: 売上債権回転日数が改善し、キャッシュフローが安定するか。
  • 経営陣のコメント: 次回決算発表時に、第1四半期の遅れをどのように挽回するのか、具体的な戦略や進捗についての説明が必須。

投資家は、次の第2四半期決算において、通期計画に対する進捗率と経営陣のコメントを精査し、今後の投資判断を行うべきです。現状では、積極的な投資を控えるべきであり、事業改善の明確な兆候が現れるまで、様子見を推奨します。

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