本記事は、公開情報に基づく筆者個人の見解であり、売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断は必ずご自身で行ってください。
目次
パレモ・ホールディングス 2026年2月期 1Q 決算ハイライト
今期 Q1 | 前期 Q1 | 増減率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 33.85 億円 | 38.03 億円 | ▲11.0% |
営業利益 | ▲0.14 億円 | 0.78 億円 | ― |
経常利益 | ▲0.17 億円 | 0.72 億円 | ― |
親会社株主純利益 | ▲0.24 億円 | 0.72 億円 | ― |
EPS | ▲2.06 円 | 6.03 円 | ― |
自己資本比率 | 22.1% | 22.4% | ▲0.3pt |
出所:2026 年 2 月期 第 1 四半期決算短信
Quick View
- 既存店売上は 96.6%とマイナス。
- 営業赤字転落だが、粗利率 53.4%(+0.6pt) と改善。
- ガイダンス据え置きのため、Q2 以降で営業利益 3.6 億円の挽回が必須。
業績を左右した 6 つの論点
1. 需要減速は“天候”だけが原因ではない
- コロナ後の買替サイクル一巡+低価格 SPA との価格比較容易化でシェアが流出。
- 同業ハニーズ HD 既存店 98.3%と比較すると、構造的競争劣位が示唆される。
2. 粗利率改善の真因
- 春物軽羽織・初夏物の値引き抑制が奏功。
- 在庫回転率は 推計 1.8→2.0 倍と改善し、値下げ損失を圧縮。
3. SG&A の粘着性
- 販管費▲109 百万円に留まり、固定費体質は依然重い。
- 240 店舗(+5 出店 ▲9 退店)でも人件費と地代家賃の負荷が高い。
4. キャッシュフローと流動性
- 現金及び預金は ▲5.3 億円(期首比)、ネットキャッシュは ▲3.4 億円。
- 預け金+2.3 億円増は季節的な商品仕入が主因。
5. ガイダンス達成確度
- 通期営業利益 3.5 億円予想に対し、Q1 実績 ▲0.14 億円。
- 過去 5 年平均では 上期営業益進捗 75〜80% が常態。未達リスクは小さくない。
6. 中計 2 年目 KPI
- 雑貨比率はわずか+0.4pt。
- EC 売上+12%も構成比 6%前後で規模不足。
ガイダンス進捗とシナリオ分析
会社計画 | Q1 実績 | 進捗 | |
---|---|---|---|
売上高 | 151 億円 | 34 億円 | 22.4% |
営業利益 | 3.5 億円 | ▲0.14 億円 | ― |
純利益 | 2.6 億円 | ▲0.24 億円 | ― |
ベースケース: 上期既存店 98%、粗利率 54%、販管費率 51%で 営業利益 2.2 億円 → 通期 3.0 億円(▲15%下振れ)
ブルケース: 既存店 100%回復+粗利率 55%維持で 計画線上
ベアケース: 既存店 95%+販管費削減遅延で 営業赤字継続
財務健全性とキャッシュフロー
- 自己資本比率 22.1% と低めだが、長短借入 18.6 億円は返済年数 5 年超で流動性リスクは限定的。
- 決算短信ではキャッシュフロー計算書が非開示。減価償却 3,154 万円(短信 p.7)が手がかり。
同業比較とバリュエーション
指標 | パレモ HD | ハニーズ HD | しまむら | アダストリア |
---|---|---|---|---|
時価総額(億円) | 33 | 514 | 5,585 | 1,970 |
P/S (TTM) | 0.23 倍 | 0.54 倍 | 0.60 倍 | 0.54 倍 |
EV/EBITDA (会社計画) | 4.7 倍 | 5.9 倍 | 4.2 倍 | 6.5 倍 |
ROE | 2.7% | 7.8% | 10.2% | 12.3% |
所見:割安感はあるが ROE・ROIC の低さが株価ディスカウント要因。収益安定化がなければ“バリュートラップ”に注意。
投資家が押さえるべき 5 つのチェックポイント
- Q2 で粗利率 55%が維持できるか
- 雑貨事業の独自商品比率 とリピート率の向上余地
- EC・アプリ会員数 の四半期推移(KGI/KPI の公開を要望)
- 固定費削減ロードマップ と退店ペース
- 資本政策:普通株主への配当再開時期と借入金返済計画
まとめ:今後の株価ドライバー
- 粗利率改善 → 営業黒字化 が業績モメンタムの第一条件
- OMO 戦略と EC 比率拡大 が成長ストーリーの核
- 店舗スクラップ&ビルドの成果 次第でバリュエーションが再評価される可能性
メディア向けコメント
「パレモHDは“値下げ依存”から脱却する一方、固定費と EC 弱含みという二つの壁に挑む局面。粗利率 55%の死守が V 字回復の試金石だ。」
免責事項・著作権について
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- 記事内容の引用・転載は出典を明記のうえご活用ください(例:「マネーライフ『パレモHD 2026 年 2 月期 1Q 決算分析』より」)。