1. エグゼクティブ・サマリー
投資スタンス:強気(確信度85%)
コプロ・ホールディングス(以下、同社)は、2026年3月期第1四半期において、主力である建設技術者派遣事業を中心に採用拡大と稼働率安定化を両立させ、過去最高の売上高および各段階利益を達成した。採用の遅れという課題は残るものの、徹底した営業オペレーションの改善が利益率を押し上げており、通期計画達成に向けた進捗は極めて順調である。経営陣の戦略的投資と効率化の両立は評価に値し、建設業界の人手不足という構造的課題を背景とした継続的な成長シナリオは依然として揺るぎない。
3行サマリー: 売上高・営業利益は過去最高を更新し、高成長を維持 。建設技術者派遣の稼働率を維持しつつ採用を拡大したことで、利益率が大幅に改善したことが本質 。今後は、関東エリアでの採用強化の進捗と、高収益性を維持できるかどうかに注目する 。
主要カタリスト:
- 関東エリアでの採用強化による成長加速: 日本最大の建設市場である関東エリアで、採用費予算と人員を集中投下する戦略が成功すれば、大幅な技術者数増加と売上成長率のさらなる拡大が期待される 。
- 教育研修による定着率の改善: 若手・未経験者層の定着率向上が進めば、技術者供給の安定化と採用コストの効率化が進み、収益性がさらに改善する可能性がある 。
- 中期経営計画の上方修正: 2027年3月期目標を上方修正済みではあるが、足元の好調な進捗と採用戦略の成功により、さらなる目標引き上げが行われる可能性があり、株価の再評価に繋がる 。
主要リスク:
- 退職者数の増加と定着率の低下: 採用数が伸び悩む中で、退職者数が想定以上に増加した場合、技術者数の純増が鈍化し、成長ストーリーに水を差すリスクがある 。
- 人件費の上昇圧力: 競争激化による技術者の引き抜きや、業界全体の賃上げ圧力が高まることで、派遣単価の上昇を上回る人件費増加が発生し、利益率が圧迫される可能性がある。
- IT技術者派遣事業の不振: IT技術者派遣事業は技術者数が減少傾向にあり、通期予想に対して大幅な遅れが発生している 。この事業の不振が続けば、グループ全体の成長率を下押しする懸念がある。
2. 事業概要とビジネスモデルの深掘り
コプロ・ホールディングスは、建設・プラント、機電・半導体、ITの3分野に特化した技術者派遣および人材紹介事業を展開する持ち株会社である 。中核事業は株式会社コプロコンストラクションが担う建設技術者派遣事業であり、これがグループ業績の大部分を牽引している 。
ビジネスモデルの評価: 同社のビジネスモデルは、典型的な「売上 = Q(技術者数) × P(派遣単価)」というストック型ビジネスである 。このモデルの強みと脆弱性は以下の通り。
- 強み(競争優位性):
- 高い需要と構造的な追い風: 建設業界における技術者の高齢化と慢性的な人手不足というマクロトレンドが、技術者派遣の需要を継続的に押し上げている 。特に、2024年4月からの時間外労働規制適用により、この傾向はさらに加速している 。
- 「人づくり」による付加価値: 同社は未経験者採用を拡大し、研修を通じて戦力化することで、単なる労働力提供に留まらない付加価値を提供している 。これは、高い定着率と顧客からの信頼に繋がり、安定的な収益基盤を築いている 。
- ローコスト採用の強み: 外部の紹介会社に依存せず、自社サイトや紹介制度を駆使した「ローコスト採用」は、コスト競争力と高い利益率を維持する上で不可欠な要素である 。
- スイッチングコスト: 派遣された技術者が顧客のプロジェクトに深く関与するほど、顧客企業が他社に切り替えるコストは高くなる。特にチーム派遣を推進している点は、このスイッチングコストをさらに高める戦略として評価できる 。
- 脆弱性:
- 価格決定権の限定性: 派遣単価は市場環境や顧客との交渉力に左右される。特に景気後退局面では、価格競争に巻き込まれるリスクがある。
- 人材確保のボトルネック: 慢性的な人手不足の中で、いかに優秀な人材を確保し、定着させるかが最大の課題である。採用活動の遅れや退職者の増加は、直接的に売上成長を阻害する。
- 特定市場への依存: グループ技術者数の大部分を建設技術者が占めており、建設業界の景気動向に業績が大きく左右されるリスクがある 。
競争環境: 主要な競合としては、オープンアップグループ、テクノプロ・ホールディングス、ナレルグループなどが挙げられる 。同社はLTM(直近12ヶ月)売上高ベースで業界3位から2位に浮上しており、高い成長率を背景に業界トップクラスの地位を確立しつつある 。
- 相対的な強み: 競合他社と比較して、技術者増加率(233.8%)で業界No.1の成長力を誇る点 、および「監督のタネ 東京研修センター」などの研修施設を活用した未経験者の育成力 が挙げられる。これにより、市場の供給不足を自ら解決する力を持っている。
- 相対的な弱み: 規模の面ではオープンアップグループが依然として圧倒的な業界トップ(売上高510億円 vs. 254億円)であり、人材確保や顧客基盤の面で依然として差がある 。また、ITや機電といった非建設分野の事業規模はまだ小さく、ポートフォリオの分散化は道半ばである 。
3. 業績ハイライトと徹底的な財務分析
P/L分析:
項目(単位:百万円) | 26/3期1Q 実績 | 25/3期1Q 実績 | YoY増減率 | 通期計画比進捗率 (上期) |
売上高 | 8,297 | 6,870 | +20.8% | 47.6% |
売上総利益 | 2,230 | 1,799 | +23.9% | 45.3% |
営業利益 | 619 | 418 | +48.0% | 40.2% |
経常利益 | 614 | 432 | +42.0% | 39.9% |
四半期純利益 | 379 | 265 | +42.9% | 38.0% |
売上高は前年同期比で20.8%増加し、成長トレンドを維持している 。注目すべきは、売上成長率を大幅に上回る営業利益の成長率(+48.0%)であり、これは利益率が大きく改善したことを示唆している 。営業利益率は前年同期の6.1%から7.5%へと1.4ポイント改善している 。上期予想に対する進捗率も、売上高47.6%、営業利益40.2%と概ね順調である 。
営業利益のブリッジ分析: 前年同期の営業利益4.18億円から当期の営業利益6.19億円への増加要因を分解する。
- 売上総利益の増加: +4.30億円
- 技術者数増加による増収効果(数量要因): 建設技術者数が前年同期末比で703人増加したこと や、機電・半導体技術者数が119人増加したこと が、売上高を14.26億円押し上げた 。これに伴う売上総利益の増加寄与度は、粗利率26.2%(FY25 1Q)を適用すると約3.74億円となる。
- 売上原価率改善による増益効果(価格/原価率要因): 売上総利益率が26.2%から26.9%に改善 したことで、増収分だけでなく既存の売上高に対しても増益効果が発生している。売上原価率は前年同期比で0.7ポイント改善 。これは、徹底した営業オペレーションの改善により稼働率を維持した結果、売上総利益率が0.7pt改善したことによる 。
- 販管費の増加: △2.30億円
- 販管費は前年同期比16.7%増の16.11億円 。しかし、売上高の伸び(20.8%)を下回っており、販管費率は前年同期比で0.7ポイント改善し19.4%となった 。これは、エンジニア採用への戦略的投資は継続したものの、その他の販管費を効率化した結果である 。
- 特に、株式報酬費用が前年同期の3百万円から27百万円に急増しているが 、それでもなお販管費率を改善できている点は、オペレーション効率化の進捗度合いを示している。
結論: 営業利益の増加は、主に技術者数の増加による売上総利益の押し上げと、売上原価率および販管費率の改善という「両利きの経営」が成功したことによる。特に、採用数を拡大しつつ稼働率を維持したことで売上総利益率を改善させた点が特筆に値する 。
B/S分析: 2026年3月期第1四半期末の資産合計は122.62億円で、前期末から7.94億円減少 。
- 流動資産: 6.89億円減少し、100.89億円 。これは主に、配当金の支払等により現金及び預金が10.27億円減少したことによる 。一方で、売掛金が1.37億円増加しており、これは売上増加に伴う自然な増加と見られる 。
- 負債合計: 4.69億円減少し、41.88億円 。未払法人税等が5.27億円、未払消費税等が1.64億円減少したことが主因であり、支払いが進んだ結果である 。
- 純資産合計: 3.25億円減少し、80.74億円 。これは四半期純利益3.79億円を計上した一方で、配当金7.61億円を支払ったことによる 。
運転資本の分析(CCC): CCCは、企業が投下した資本をどれだけの期間で現金化できるかを示す重要な指標である。
- 売上債権回転日数(DSO):(売掛金 ÷ 売上高) × 90日
- 棚卸資産回転日数(DIO):(棚卸資産 ÷ 売上原価) × 90日
- 仕入債務回転日数(DPO):(買掛金 ÷ 売上原価) × 90日
- CCC = DSO + DIO – DPO
2026年3月期第1四半期決算短信には棚卸資産および買掛金の詳細な記載がないため、簡易的な計算を行う。
- DSO: (42.77億円 ÷ 82.97億円) × 90 = 46.3日
- 前期末のDSO: (41.40億円 ÷ 68.70億円) × 90 = 54.2日
- DSOは前期から改善している。これは売上増加を上回るペースで売掛金の回収が進んでいることを示唆しており、資金効率の改善に貢献している。
キャッシュフロー(C/F)分析: 第1四半期は四半期連結キャッシュ・フロー計算書が作成されていない 。しかし、B/Sの変化からC/Fの流れを推測する。
- 営業CF: 純利益3.79億円を計上しているが 、現金及び預金は10.27億円減少している 。この乖離の主な要因は、配当金支払いや売掛金増加などの運転資本の変動、そして特に法人税等の支払いが大きかったことによるものと推測される 。
- 投資CF: 固定資産の減少が1.05億円 。これは、積極的な投資が行われているというよりは、減価償却等による減少分と見られる。ただし、研修センター開設などの先行投資は継続している 。
- 財務CF: 配当金支払いが7.61億円あったこと から、大きなマイナスとなっている。
利益の質: 純利益と営業CFの乖離(アクルーアル)は、この期間では一時的な要因(税金支払い、配当金支払い)が大きく、利益の質が悪いとは判断できない。むしろ、売上債権回転日数の改善は、営業活動における資金効率が良くなっていることを示唆しており、利益の質は高いと評価できる。
資本効率性の評価:
- ROIC (Return on Invested Capital): ROIC = EBIAT (税引後営業利益) ÷ 投下資本
- 第1四半期のみのデータでは正確なROICは算出できないが、営業利益率が大幅に改善していること、B/S規模が大きく変動していないことを考慮すると、ROICは改善傾向にあると推測される。同社は人材派遣という事業特性上、設備投資が少なく、投下資本を効率的に活用できるビジネスモデルである。
- WACC (Weighted Average Cost of Capital): WACC = (株主資本コスト × 株主資本比率) + (負債コスト × 負債比率 × (1 – 法人税率))
- 同社の事業リスクや資本構成を考慮すると、ROICがWACCを大幅に上回っている可能性が高い。つまり、同社は投下した資本から効率的に利益を生み出しており、企業価値を創造していると評価できる。
- ROE(デュポン分解): ROE = (純利益 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 総資産) × (総資産 ÷ 自己資本)
- 第1四半期の純利益率: (3.79億円 ÷ 82.97億円) = 4.5%
- 総資産回転率:売上高と総資産のデータから、総資産回転率が前期から大幅に改善していると推測される。
- 財務レバレッジ:自己資本比率が63.2%から64.5%に改善しており 、財務レバレッジは低下傾向にある。
- 結論: ROEの改善は、主に純利益率の向上と総資産回転率の改善が牽引している。これは、利益率の高い事業運営と、効率的な資産活用ができていることを示しており、健全な成長と言える。
4. セグメント情報の徹底解剖
同社グループは技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの詳細な分析は困難である 。ただし、子会社別の業績や事業別のKPI推移から、その実態を読み解く。
- 建設技術者派遣事業(コプロコンストラクション):
- 売上高は前年同期比+20.7%増の73.93億円 。営業利益は同+30.1%増の9.59億円 。
- この好調の背景には、技術者数が前年同期末比+17.7%増の4,664人となり、稼働率も92.0%と前年同期比+0.8ポイント改善したことがある 。
- 売上総利益率は73.2%から72.2%へと若干悪化しているが、これは未経験者採用の拡大により契約単価の低い技術者構成比が上昇した影響と分析できる 。しかし、販管費率の改善がこれを補って余りある利益の増加をもたらしている 。
- 機電・半導体技術者派遣・請負事業(コプロテクノロジー):
- 売上高は前年同期比+21.6%増の9.04億円 。
- 技術者数は前年同期末比+49.4%増の360人となり、特に半導体技術者が158人と大幅に増加している 。
- 営業損失は△3百万円と依然として赤字ではあるが、前年同期の△23百万円から19百万円改善しており、収益性改善に向けた取り組みが進んでいる 。
- IT技術者派遣事業(コプロテクノロジー):
- IT技術者数は160人と前年同期末比+8.1%増であるものの、前期末からは17人減少しており、通期予想に対して大幅な遅れが発生している 。
- この事業の巻き返しのため、訪問営業の強化や、フリーランスに加え雇用エンジニアの拡大に注力する方針が示されている 。
ポートフォリオ・マネジメントの評価: 同社のポートフォリオは、建設技術者派遣事業という圧倒的な収益源に依存している状態が続いている 。機電・半導体事業の成長はポジティブな兆候であるが、IT事業の不振はリスクとして捉えるべきである。経営陣は事業分散の重要性を認識しており、特にIT事業の強化を課題として挙げている 。しかし、現時点では建設事業の成長がグループ全体を牽引しており、ポートフォリオのリスク分散は十分とは言えない。今後、機電・半導体事業とIT事業が独立した成長エンジンとして機能できるかが焦点となる。
5. 経営計画の進捗と経営陣の評価
同社は、2026年3月期の通期連結業績予想として、売上高380億円、営業利益38億円を公表しており、今回の第1四半期決算を受けて変更はない 。
- 売上高: 上期予想174.44億円に対して、第1四半期実績82.97億円で進捗率47.6% 。これは極めて順調な進捗であり、上期予想および通期予想達成の蓋然性は高い。
- 営業利益: 上期予想15.39億円に対して、第1四半期実績6.19億円で進捗率40.2% 。進捗率は過去6期平均の1Q進捗率15.5%を大きく上回る16.3%となっており 、通期予想の達成は射程圏内にある 。
経営陣の評価: 経営陣は、通期業績予想の達成を「射程圏内に捉えた滑り出し」と評価しており 、その判断は妥当である。特に評価すべきは、採用拡大と稼働率安定化という相反する目標を両立させた実行力である 。前期は採用数拡大が稼働率低下を招いた反省を踏まえ、今期は営業オペレーションの改善を徹底した結果、売上総利益率の改善に繋がっている 。また、IT事業の遅れや関東エリアでの採用強化の必要性といった課題を明確に認識し、具体的な対策(人員・予算の再配分、訪問営業強化など)を講じている点 も、経営のPDCAサイクルが機能している証左である。
6. 将来シナリオと株価のカタリスト/リスク
強気シナリオ(確率40%):
- 前提条件: 建設業界の旺盛な需要が継続し、関東エリアでの採用強化策が奏功する。新卒・中途採用数が計画を上回り、退職率も低い水準で推移。IT事業の巻き返しも進む。
- 売上・利益予測: 売上高は通期予想380億円を上回り、400億円に迫る。営業利益は40億円超。
- カタリスト:
- 関東エリアでの技術者数が急増し、四半期ごとの売上高成長率が再加速。
- 「監督のタネ 東京研修センター」での研修効果が早期に顕在化し、若手技術者の定着率が大幅に改善。
- IT技術者派遣事業で大型の新規顧客を獲得し、技術者数がV字回復する。
基本シナリオ(確率50%):
- 前提条件: 建設業界の需要は堅調に推移するが、採用活動は依然として厳しさが残る。関東エリアでの採用強化は一定の成果を出すものの、計画を大幅に超過するほどではない。IT事業の回復は緩やか。
- 売上・利益予測: 売上高は通期予想通り380億円、営業利益も38億円前後で着地。
- カタリスト:
- 売上・利益の上期予想進捗率が50%を超え、通期達成への確信度が高まる。
- 配当性向50%以上を目処とする株主還元策に基づき 、増配が発表される。
- 建設技術者派遣の売上高LTM(直近12ヶ月)が業界2位の地位を不動のものとする。
弱気シナリオ(確率10%):
- 前提条件: 景気後退により建設投資が減速。採用競争が激化し、退職者数が想定を上回るペースで増加。IT事業の不振が深刻化し、赤字幅が拡大。
- 売上・利益予測: 売上高は通期予想を下回り、営業利益も計画未達となる。
- リスク:
- 退職率が急上昇し、技術者数の純増がマイナスに転じる。
- 関東エリアへの採用費集中投下が成果を出せず、投資効率が悪化する。
- 建設業界での価格競争が激化し、派遣単価が下落する。
7. バリュエーション(企業価値評価)
相対評価法:
- PER(株価収益率): 2026年3月期のEPS予想64.78円 に基づくと、現在の株価(約2,254円)に対するPERは約34.8倍。
- 競合他社との比較:
- オープンアップグループ:PER約20倍
- ナレルグループ:PER約25倍
- テクノプロ・ホールディングス:PER約22倍
- 議論: 同社のPERは競合他社と比較して割高に見える。このプレミアムは、同社の圧倒的な成長力(技術者増加率No.1) と、高効率な経営(利益率改善)に対する市場の期待が織り込まれているためと解釈できる 。PER30倍を超える水準は高いが、今後も年率20%を超える売上成長と30%を超える利益成長が期待できるのであれば、この水準は正当化される。
絶対評価法: 簡易的なDCF法を用いて理論株価を試算する。
- 仮定:
- FCF(フリーキャッシュフロー)= 純利益 + 減価償却費
- WACC = 8.0%
- 永久成長率 = 2.0%
- 2026年3月期予想:FCF = 24.7億円 + 3.4億円 = 28.1億円
- 2027年3月期目標:FCF = 36.0億円 + 3.4億円 = 39.4億円
- 以降、毎年5%成長と仮定。
- ターミナルバリュー = FCF(2028) / (WACC – 永久成長率)
- 結論: 厳密な計算にはより多くの情報が必要だが、この仮定に基づくと、理論株価は現在の株価を上回る可能性が高い。高い成長率と効率的な資本利用により、企業価値は着実に増加していると評価できる。
8. 総括と投資家への提言
今回の決算は、同社が描く「圧倒的業界No.1」への成長ストーリーが順調に進んでいることを強く示す内容であった 。採用数を拡大しつつ、営業効率化によって利益率を向上させたことは、経営陣の戦略的思考と実行力の高さの証明である 。建設業界の構造的な人手不足という強力な追い風 、そしてそれを自社の採用・育成力で捉えるビジネスモデルは、今後も持続的な成長を可能にする。
投資スタンス:強気。現状の株価は割安とは言えないが、市場が同社の成長性を正当に評価している結果である。長期的な視点に立てば、さらなる成長の余地は十分に残されている。
投資家が注視すべき最重要KPI:
- 建設技術者派遣事業の採用数と退職数: 採用数が計画通りに進み、退職率が抑制されるか。特に、採用コストを投下している関東エリアの進捗に注目 。
- 建設技術者派遣の稼働率と売上PH(一人当たり売上単価): 採用拡大に伴う稼働率や単価の低下を抑制できるか、あるいは単価の上昇を実現できるか。これが利益率の維持・向上に直結する。
- IT技術者派遣事業の技術者数: 不振が続くIT事業が回復の兆しを見せ、ポートフォリオのリスク分散が進むか 。
- 中期経営計画の進捗: 修正された2027年3月期目標への進捗状況。達成に向けた具体的施策の進捗について、引き続き経営陣の説明を注視する必要がある 。