はじめに:つみたてNISAを始めたものの、やめてしまう人が急増中
こんにちは。CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)資格保有、AFP認定歴12年のファイナンシャルプランナーの田中です。大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年を経て、現在は独立系FPとして活動しています。
私自身、20代で株式投資で200万円の大損失を経験し、30代でつみたてNISAと確定拠出年金で資産形成に成功(現在資産3,000万円)した経験を持ちます。新婚時代には家計管理に失敗し、借金200万円を抱えた苦い過去もあります。そんな失敗と成功を重ねた私だからこそ、お金の不安で眠れない夜を過ごしている皆さまの心を軽くしたい、という思いでこの記事を書いています。
つみたてNISAを始めたけれど、途中でやめてしまった方、やめようか迷っている方、そして「つみたてNISAはやめたほうがいい」という情報に不安を感じている方へ
この記事では、実際につみたてNISAをやめた人たちの理由を徹底分析し、本当にやめるべきなのか、それとも継続すべきなのかを、一人ひとりの価値観と生活スタイルに合わせて判断できるよう、CFPとしての専門知識と豊富な相談経験をもとに、包み隠さずお話しいたします。
この記事で解決できること
- つみたてNISAをやめた人の本当の理由がわかる
- 自分の状況でやめるべきか継続すべきかが判断できる
- 新NISA時代の賢い投資戦略が理解できる
- よくある失敗パターンを避ける方法が身につく
つみたてNISAをやめた人が激増?5つの主要な理由とリアルな体験談
理由1:「全然増えない」という短期的な失望
相談者Aさん(会社員・28歳)の証言 「2年間毎月3万円ずつ投資したのに、コロナショックで評価額が元本を下回ってしまいました。『20年続ければ絶対に増える』と言われていたのに、現実は厳しくて…。結局、不安になって全部売却してしまいました。」
つみたてNISAをやめる最も多い理由が、この「期待していたほど増えない」という短期的な失望です。実際に、金融庁の調査データを見ると、保有期間5年以下では約10〜20%の確率でマイナスリターンになることがあります。
私自身の失敗体験から 私も20代の頃、「投資すればすぐに儲かる」という甘い考えで株式投資を始め、200万円を失いました。当時の私は、短期的な値動きに一喜一憂し、感情的な判断で大きな損失を出してしまったのです。この経験から学んだのは、投資は「時間を味方につける」ものだということ。つみたてNISAの真価は、10年、20年という長期スパンで初めて発揮されるのです。
実は20年保有すれば失敗確率はほぼゼロ 金融庁の「つみたて早わかりガイドブック」によると、資産・地域を分散した積立投資を20年間継続した場合、年率2〜8%のプラスリターンに収まり、元本割れの確率はほぼ0%となっています。しかし、5年以下の短期保有では、年率-8〜14%と大きくブレるため、マイナスになる可能性も高いのが現実です。
理由2:毎月の積立が家計を圧迫
相談者Bさん(主婦・35歳)の証言 「子供の教育費や住宅ローンがあるのに、無理して月33,000円(年間40万円の満額)で始めました。でも、急な出費が重なって生活費が足りなくなり、結局つみたてNISAの資金を取り崩すことに。手数料や税金のことを考えると、もったいない結果になってしまいました。」
家計に無理は禁物 つみたてNISAの年間投資枠40万円(月約33,000円)という数字だけを見て、「満額投資しなければ損」と考える方が多いのですが、これは大きな誤解です。実際には、月1,000円や3,000円といった少額から始められますし、ライフステージに応じて金額を調整することも可能です。
私がお客様にお伝えしているのは、**「貯金ゼロで投資を始めてはいけない」**ということ。まずは生活費3〜6か月分の緊急時資金を確保し、その上で余裕資金の範囲内で投資を始めることが重要です。
理由3:商品選びの迷いと後悔
相談者Cさん(公務員・42歳)の証言 「最初は全世界株式のインデックスファンドを選んだのですが、SNSで『アメリカ株の方が儲かる』という情報を見て、頻繁に商品を変更してしまいました。その度に売却と買い直しで、結局非課税枠を無駄に消費してしまい、嫌になってやめました。」
商品の乗り換え(スイッチング)の落とし穴 つみたてNISAでは、一度使用した非課税枠は復活しません。そのため、商品を変更する際は売却→買い直しという手順が必要で、これにより貴重な非課税枠を消費してしまいます。
シンプルが最強 私の15年の相談経験から言えるのは、最もパフォーマンスが良いのは、シンプルな商品を長期間保有し続けた人だということです。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のような低コストの全世界株式インデックスファンド1本に絞って、ひたすら積み立て続けることが、結果的に最も効率的な資産形成につながります。
理由4:投資への恐怖心と罪悪感
相談者Dさん(会社員・29歳)の証言 「親から『投資はギャンブル』と教わって育ったので、つみたてNISAを始めても常に罪悪感がありました。少しでも評価額が下がると『やっぱり投資なんてするんじゃなかった』と思ってしまい、精神的に耐えられなくなってやめました。」
投資への心理的ハードル 日本では長らく「投資=危険」という価値観が根強く、投資を始めても心理的な不安から継続できない方が多いのが現実です。しかし、現在の日本では、預金金利はほぼゼロ、一方で物価は上昇しており、「何もしないリスク」の方が大きくなっています。
私が投資への恐怖心を克服した方法 私自身も最初は投資への恐怖心がありました。しかし、以下の3つの考え方で克服しました:
- 少額から始める:月1,000円程度なら、外食を1回我慢する程度の金額
- 勉強を続ける:正しい知識があれば恐怖心は和らぐ
- 長期視点を持つ:一時的な損失は「安く買える機会」と捉える
理由5:新NISA開始による混乱と誤解
相談者Eさん(会社員・38歳)の証言 「2024年から新NISAが始まると聞いて、つみたてNISAは終わってしまうのかと思い、慌てて全部売却してしまいました。後で調べたら、そのまま保有していても良かったと知り、後悔しています。」
新NISA移行時の誤解 2024年からの新NISA制度開始時、多くの方が制度変更について誤解し、不要な売却を行ってしまいました。実際には、2023年までのつみたてNISAで購入した商品は、最長20年間非課税で保有し続けることができます。
つみたてNISAを「やめたほうがいい人」の特徴と判断基準
絶対にやめたほうがいい人
1. 生活費3か月分の貯金がない人
投資は余裕資金で行うものです。緊急時の備えがない状態での投資は、家計破綻のリスクを高めます。
2. 1〜2年で利益を出したい人
つみたてNISAは長期投資が前提の制度です。短期で利益を求める方には向いていません。
3. 借金(住宅ローン除く)がある人
クレジットカードのリボ払いやカードローンなど、高金利の借金がある場合は、まずそちらの返済を優先すべきです。
4. 投資額の減少に精神的に耐えられない人
投資には値動きがつきものです。一時的な損失でパニックになってしまう方は、まず少額から始めて慣れることが必要です。
一時的にやめることを検討すべき人
1. 家計が赤字続きの人
まずは家計の見直しを行い、黒字化してから投資を再開しましょう。
2. 大きなライフイベント(結婚・出産・マイホーム購入等)を控えている人
一時的に投資を停止し、必要資金を確保してから再開することをお勧めします。
3. 転職や独立を検討している人
収入が不安定になる可能性がある場合は、状況が安定してから再開しましょう。
専門家が語る「つみたてNISAで本当に失敗するパターン」
失敗パターン1:感情的な売買を繰り返す
失敗事例 「コロナショックで評価額が30%下落した時に怖くなって全部売却。その後株価が回復したタイミングで『今度こそ』と思って再び投資を開始したものの、今度は高値掴みになってしまい、また下落…この繰り返しで、結局大きな損失を出してしまいました。」
対策 積立投資の最大のメリットは「ドルコスト平均法」による購入価格の平準化です。相場が下がった時ほど多くの口数を購入でき、長期的には有利になります。感情に流されず、機械的に積み立てを続けることが成功の秘訣です。
失敗パターン2:高コスト商品を選択
失敗事例 「銀行の窓口で勧められた投資信託の信託報酬が年率1.5%だったのですが、その重要性を理解していませんでした。20年間で300万円のコストがかかることを後で知り、愕然としました。」
対策 信託報酬(運用管理費用)は毎年かかる隠れたコストです。年率0.1〜0.2%程度の低コスト商品を選ぶことで、長期的なリターンを大きく改善できます。
失敗パターン3:分散投資への理解不足
失敗事例 「日本株が好調だった時期に、日本株のファンドだけに集中投資していました。しかし、その後日本株が低迷し、他の地域の株が好調だったことを知り、分散投資の重要性を痛感しました。」
対策 「全世界株式インデックスファンド」のように、世界中の株式に分散投資できる商品を選ぶことで、特定の国や地域の低迷リスクを軽減できます。
新NISA時代の賢い選択:つみたて投資枠 vs 成長投資枠
2024年から始まった新NISA制度の変更点
新NISA制度では、従来のつみたてNISAは「つみたて投資枠」として継続され、大幅な制度拡充が図られました。
主な変更点
- 年間投資枠:40万円 → 120万円(3倍に拡大)
- 非課税期間:20年 → 無期限
- 制度実施期間:2042年まで → 恒久化
- 非課税保有限度額:800万円 → 1,800万円(成長投資枠と合算)
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け戦略
つみたて投資枠を優先すべき人
- 投資初心者
- 商品選びに不安がある人
- 毎月コツコツ積み立てたい人
- 低コストで運用したい人
成長投資枠を活用すべき人
- まとまった資金を一括投資したい人
- 個別株やREITにも投資したい人
- より幅広い商品から選択したい人
併用戦略のススメ
私がお客様にお勧めしているのは、以下のような併用戦略です:
基本戦略
- つみたて投資枠:毎月5〜10万円で全世界株式インデックスファンドを積立
- 成長投資枠:ボーナス時等にまとまった資金で同じファンドを追加購入
応用戦略
- つみたて投資枠:全世界株式で基盤を構築
- 成長投資枠:個別株やテーマ型ETFでアクセントを追加
私が考える「つみたて投資を成功させる5つの鉄則」
鉄則1:生活防衛資金を確保してから始める
投資を始める前に、必ず生活費の3〜6か月分を預金で確保しましょう。これがあることで、投資中に一時的な損失が発生しても、慌てて売却する必要がなくなります。
鉄則2:家計の10〜20%以内で投資する
投資に回すお金は、家計収入の10〜20%以内に抑えることが重要です。これにより、投資による心理的負担を軽減できます。
鉄則3:商品は1〜3本に絞る
複雑な商品選択は避け、「全世界株式インデックスファンド」1本、または「先進国株式」+「新興国株式」の2本程度に絞ることをお勧めします。
鉄則4:年1回のリバランスで十分
頻繁な売買は避け、年1回程度のリバランス(資産配分の調整)で十分です。ただし、新NISAでは売却枠の復活があるため、より柔軟な運用も可能になりました。
鉄則5:10年は解約しない覚悟で始める
つみたて投資の効果を実感するには、最低でも10年、できれば20年の継続が必要です。この覚悟を持って始めることが重要です。
よくある質問と専門家の回答
Q1:つみたてNISAで損をしたらどうすればいいですか?
A1: 一時的な損失は投資の常です。重要なのは、その損失が「含み損」なのか「実現損」なのかを理解することです。売却せず保有し続けている限り、将来回復する可能性があります。私の経験では、5年以上保有した方のほとんどがプラスリターンを得ています。
Q2:新NISAが始まったので、旧つみたてNISAは売却すべきですか?
A2: いいえ、急いで売却する必要はありません。旧つみたてNISAの商品は最長20年間非課税で保有できます。ただし、新NISAでは売却枠が復活するため、戦略的な売却を検討する余地はあります。
Q3:コストが高い商品を保有している場合の対処法は?
A3: 信託報酬が年率1%を超える商品は、低コスト商品への乗り換えを検討しましょう。ただし、旧NISAでは非課税枠が復活しないため、新NISAでの運用開始とあわせて検討することをお勧めします。
Q4:暴落時はどう対応すればいいですか?
A4: 暴落は「バーゲンセール」と考えましょう。同じ金額でより多くの口数を購入できるため、長期的にはプラス要因となります。余裕資金があれば、一時的に積立額を増やすことも検討できます。
Q5:いつまで続ければいいですか?
A5: 明確な目標時期を設定することが重要です。例えば「老後資金として65歳まで」「子供の教育資金として15年後まで」など、目的に応じて期間を決めましょう。新NISAでは無期限なので、より柔軟な運用が可能です。
2024年以降の投資環境と戦略の変化
インフレ時代における投資の重要性
2022年以降、日本でも物価上昇が顕著になり、「現金だけでは資産価値が目減りする」時代に入りました。つみたて投資による資産の実質価値維持・増大の重要性がさらに高まっています。
AI・テクノロジー革命と長期投資
AI技術の発展により、今後20年で経済構造が大きく変化することが予想されます。この変化の恩恵を受けるためには、テクノロジー企業を多く含む全世界株式への長期投資が有効と考えられます。
ESG投資の普及
環境・社会・ガバナンスを重視するESG投資が主流になりつつあります。新NISAでは、ESGをテーマとした投資信託も選択肢として考慮できます。
実際の相談事例から学ぶ成功と失敗の分かれ道
成功事例:着実に資産を積み上げたTさん(会社員・45歳)
背景 2018年からつみたてNISAを開始。当初は月2万円から始め、昇給に合わせて段階的に月5万円まで増額。
投資商品 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」一本に集中
結果 6年間で投資元本360万円が約480万円に成長(年率約4.8%)
成功要因
- 生活に無理のない金額設定
- シンプルな商品選択
- 市場の変動に動じない継続力
- 段階的な増額による効率化
失敗事例:短期売買を繰り返したUさん(自営業・38歳)
背景 2019年からつみたてNISAを開始。最初の2年は順調に積立を継続。
問題行動
- コロナショックで含み損に耐えられず全売却
- 株価回復後、高値で再投資
- SNSの情報に踊らされて頻繁に商品変更
- 短期的な利益を求めて一般NISAに変更
結果 4年間で投資元本200万円が約150万円に減少
失敗要因
- 感情的な投資判断
- 短期思考
- 情報に振り回される投資スタイル
- 制度の理解不足
今からつみたて投資を始める人への具体的アドバイス
新NISAでの賢いスタート方法
ステップ1:目標設定と期間の明確化
まず、何のために、いつまでに、いくら必要なのかを明確にしましょう。
例:老後資金の場合
- 目標金額:2,000万円
- 投資期間:30年
- 必要な月額投資:約4万円(年率5%想定)
ステップ2:証券会社選び
手数料の安いネット証券を選びましょう。特に以下の点を重視:
- つみたて投資枠の対象商品数
- 最低積立金額(100円〜1,000円程度)
- ポイント還元サービス
- 使いやすいアプリやWEBサイト
ステップ3:商品選択
投資初心者には以下の商品をお勧めします:
最優先候補
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックスファンド
理由
- 低コスト(信託報酬0.1%台)
- 全世界への分散投資
- 純資産総額が大きく安定
ステップ4:積立設定
最初は少額(月1万円程度)から始め、慣れてきたら段階的に増額しましょう。
失敗を避けるためのメンタル管理
投資日記をつける
月1回、以下の項目を記録することをお勧めします:
- 投資額
- 評価額
- 市場の状況
- 自分の感情
これにより、感情的な判断を避け、客観的な投資ができるようになります。
情報との付き合い方
SNSやネットの情報に一喜一憂せず、信頼できる情報源(金融庁、証券会社の公式サイトなど)から情報を得るようにしましょう。
まとめ:つみたて投資は「やめる」べきか「続ける」べきか
つみたてNISAをやめた人の理由を分析した結果、多くの場合、制度そのものの問題ではなく、投資に対する理解不足や感情的な判断が原因であることがわかりました。
やめるべき人
- 生活に余裕がない人
- 短期利益を求める人
- 投資への恐怖心が強すぎる人
続けるべき人
- 長期視点で資産形成したい人
- 少額からでもコツコツ続けられる人
- 市場の変動に一定の理解がある人
新たに始めるべき人
- まとまった貯金がある人
- インフレ対策を考えている人
- 老後資金に不安がある人
私からの最後のメッセージ
15年間、数千人の資産形成相談に携わってきた経験から言えることは、**「完璧なタイミングなど存在しない」**ということです。重要なのは、自分の価値観と経済状況に合った無理のない範囲で、できるだけ早く始めることです。
つみたて投資は魔法ではありません。一夜にして大きな利益をもたらすものでもありません。しかし、時間をかけてコツコツと続けることで、着実に資産を増やし、将来の経済的不安を軽減する力があります。
新NISA制度の拡充により、より多くの方にとって投資が身近になりました。しかし、制度がどれだけ優れていても、利用する人の理解と継続なくしては意味がありません。
「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」
これが私の使命です。もし、つみたて投資について不安や疑問がおありでしたら、お一人で悩まず、専門家にご相談することをお勧めします。一人ひとりの価値観と生活スタイルに合った、無理のない資産形成のお手伝いをいたします。
つみたて投資は、決して「やめる」「やめない」の二択ではありません。自分に合った方法で、自分のペースで、着実に歩み続けることが、最も大切なのです。
著者プロフィール 田中(仮名)/ CFP®・AFP認定者 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年を経て独立。自身の投資失敗・成功体験をもとに、一人ひとりの価値観に寄り添った資産形成アドバイスを提供している。
本記事の内容は2025年7月時点の制度・税法に基づいています。制度改正により内容が変更される可能性があります。投資は自己責任で行い、不明な点は専門家にご相談ください。