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しまむら(8227)2026年2月期第1四半期決算分析|成長の持続性と投資価値を徹底検証

目次

はじめに

衣料品ディスカウントチェーン大手のしまむら(8227)が2025年6月30日に発表した2026年2月期第1四半期決算について、詳細な分析を行います。コロナ後の消費環境が変化する中で、同社の業績動向と今後の成長戦略について投資家視点で解説します。

決算ハイライト

主要業績指標

項目2026年2月期1Q実績前年同期増減率
売上高1,683億69百万円1,644億66百万円+2.4%
営業利益153億11百万円145億79百万円+5.0%
経常利益158億12百万円151億61百万円+4.3%
四半期純利益108億2百万円104億35百万円+3.5%
1株当たり四半期純利益146.96円141.97円+3.5%

決算のポイント

増収増益を達成 – 全ての利益指標で前年同期を上回る
営業利益率9.1% – 高い収益性を維持
自己資本比率86.3% – 健全な財務基盤
ROE水準 – 年換算で約8.6%の高収益性

業績分析

売上高分析

売上高:1,683億69百万円(前年同期比+2.4%)

しまむらの第1四半期売上高は堅調な成長を示しました。この成長の背景には以下の要因があります:

成長要因

  1. 商品力強化の効果
    • 自社開発ブランド(PB)の好調:「FIBER DRY」が累計販売1億1,500万枚達成
    • 新企画商品の寄与:「ヘビロテ」「ラクっと!」「どこでもっと!」シリーズ
  2. 販売力向上施策
    • インフルエンサー・キャラクター活用企画の拡大
    • オンラインストアと実店舗の相互送客促進

外部環境の影響

  • 消費環境: 食料品価格上昇による家計圧迫で消費者の節約志向継続
  • 天候要因: 5月の雨量増加が夏物衣料販売に一部影響

利益率分析

営業利益率:9.1%(前年同期:8.9%)

利益率の改善は同社の競争力の高さを示しています:

利益率改善要因

  • 粗利率向上: PB・JB商品比率の増加により粗利率が改善
  • 販管費効率化: デジタル活用による販促効率の向上
  • 商品回転率向上: 在庫管理の最適化

セグメント別業績

主力セグメントの動向

しまむら事業

  • 売上高: 1,219億23百万円(前年同期比+1.7%)
  • 店舗数: 1,416店舗(+2店舗-2店舗)
  • 特徴: PB商品「FIBER DRY」が牽引、気温変動に強い売上構造構築

アベイル事業

  • 売上高: 172億56百万円(前年同期比+5.3%)
  • 店舗数: 316店舗(増減なし)
  • 特徴: ギャルファッション展開でターゲット層拡大、5月連休で単日売上最高記録

バースデイ事業

  • 売上高: 224億64百万円(前年同期比+2.3%)
  • 店舗数: 336店舗(増減なし)
  • 特徴: 入園・入学需要取り込み、SNS活用販促が奏功

シャンブル事業

  • 売上高: 44億円(前年同期比+6.6%)
  • 店舗数: 123店舗(増減なし)
  • 特徴: 2024年型レイアウト店舗の売上好調

海外事業(思夢樂)

  • 売上高: 4億28百万NT$(20億63百万円、前年同期比+9.1%)
  • 店舗数: 43店舗(-1店舗)
  • 特徴: SNS・インフルエンサー活用でブランド認知度向上

財務状況分析

貸借対照表分析

資産の部

総資産:5,846億89百万円(前期末比+175億44百万円)

  • 流動資産: 3,849億92百万円
    • 現金・預金: 1,455億14百万円(前期末比-156億85百万円)
    • 商品: 747億79百万円(前期末比+179億49百万円)
    • 売掛金: 223億77百万円(前期末比+86億51百万円)

負債・純資産の部

  • 自己資本比率: 86.3%(前期末88.3%)
  • 純資産: 5,045億79百万円(前期末比+36億3百万円)

財務健全性評価

強固な財務基盤

自己資本比率86.3% – 業界トップクラスの安定性
有利子負債ゼロ – 財務リスク極小
潤沢な現金 – 1,455億円の現金・預金

資本効率

  • ROE(年換算): 約8.6%
  • ROA(年換算): 約7.4%
  • 総資産回転率: 健全な水準を維持

キャッシュフロー分析

キャッシュフロー概況

項目当期実績前年同期増減
営業CF△34億59百万円40億65百万円△75億24百万円
投資CF△496億6百万円△142億13百万円△353億92百万円
財務CF△76億63百万円△54億80百万円△21億83百万円

分析ポイント

営業キャッシュフローの一時的悪化

営業CFのマイナスは主に以下の季節要因によるものです:

  • 在庫増加: 179億13百万円(夏物商材の仕入れ拡大)
  • 売上債権増加: 86億51百万円
  • 税金支払い: 96億7百万円

これらは第1四半期特有の一時的要因であり、構造的な問題ではありません。

投資活動の積極化

  • 有価証券運用: 1,290億円の取得(資金運用の高度化)
  • 設備投資: 21億1百万円(新規出店・既存店改装)

通期業績予想

会社計画(据え置き)

項目通期予想前期実績増減率
売上高6,926億40百万円6,654億90百万円+4.1%
営業利益606億90百万円592億20百万円+2.4%
経常利益619億90百万円603億10百万円+2.3%
当期純利益428億58百万円418億98百万円+2.3%

進捗率評価

第1四半期の業績は通期計画に対して順調な進捗を示しています:

  • 売上高進捗率: 24.3%(例年並み)
  • 営業利益進捗率: 25.2%(計画を上回るペース)

投資判断と今後の注目ポイント

投資判断:BUY(買い推奨)

推奨理由

1. 安定的な収益性

  • 営業利益率9%超の高収益体質
  • ディフェンシブ性と成長性の両立

2. 強固な財務基盤

  • 自己資本比率86.3%
  • 景気変動への耐性

3. 成長戦略の実行力

  • PB・JB商品戦略の成功
  • デジタル活用による効率化

4. 株主還元の充実

  • 配当予想205円(前期200円)
  • 配当利回り約3.0%(想定株価6,800円)

今後の注目ポイント

短期的注目点(6ヶ月以内)

  1. 第2四半期業績 – 夏物商材の販売動向
  2. 在庫回転率 – 仕入れ拡大の効果測定
  3. 新業態展開 – ディバロ事業の成長加速

中長期的注目点(1-3年)

  1. DX推進効果 – オムニチャネル戦略の収益寄与
  2. 海外展開 – 思夢樂事業の拡大ペース
  3. ESG対応 – サステナブル商品展開

リスク要因

外部リスク

  • 消費環境悪化 – 可処分所得減少の影響
  • 原材料価格上昇 – 粗利率圧迫要因
  • 天候不順 – 季節商材販売への影響

内部リスク

  • 競合激化 – EC事業者との競争
  • 人手不足 – 店舗運営コスト上昇
  • 為替変動 – 海外事業への影響

目標株価

目標株価:7,500円(現在株価から約10%上昇余地)

算出根拠

  • PER: 15倍(業界平均)
  • 予想EPS: 583.07円(会社予想)
  • 配当利回り: 2.7%程度を想定

まとめ

しまむらの2026年2月期第1四半期決算は、厳しい消費環境の中でも着実な成長を示す内容でした。特に以下の点が評価できます:

  1. 全利益指標での増益達成
  2. PB商品戦略の成功継続
  3. 財務基盤の安定性維持
  4. デジタル活用による効率化進展

投資判断としては、安定した収益基盤と成長戦略の実行力を評価し、BUY(買い推奨) とします。

ディフェンシブ性と成長性を併せ持つ同社は、ポートフォリオの中核銘柄として長期保有に適した投資対象と考えられます。


免責事項: 本分析は公開情報に基づく投資参考情報であり、投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。

データ出所: 株式会社しまむら 2026年2月期第1四半期決算短信

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