「保険料が安くて手軽だから、ネット保険でいいかな…」
20代の皆さん、ちょっと待ってください。
私は、CFP(Certified Financial Planner)資格を持つファイナンシャルプランナーとして、12年間で約3,000人の保険相談を受けてきました。大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント10年、証券会社での投資アドバイザー5年の経験もあります。
実は私自身、20代の頃に「保険料の安さ」だけを理由にネット保険に飛びついて、後々になって「もっと慎重に選ぶべきだった」と痛感した経験があります。当時、月額3,000円の医療保険に加入したのですが、いざ入院した時に「え?これって対象外なの?」という事態に直面し、思っていた給付金がもらえませんでした。
そんな苦い体験から、今では「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」という想いで、一人ひとりの価値観と生活スタイルに合った、無理のない保険選びをお手伝いしています。
この記事を読む前に、一つお伝えしたいことがあります。
私は決して「ネット保険が悪い」と言いたいわけではありません。実際、ネット保険で満足している20代の方もたくさんいます。ただ、テレビCMやインターネット広告では語られない「本当のデメリット」を知った上で、冷静に判断していただきたいのです。
この記事でお伝えする内容
- ネット保険の7つのデメリットとリアルな事例
- 20代の保険加入率と失敗しやすいパターン
- あなたがネット保険に向いているか判断する方法
- 後悔しない保険選びの具体的なステップ
約15分間、お時間をいただけるでしょうか。きっと、あなたの保険選びが変わるはずです。
20代の保険事情|「みんなどうしてる?」の実態
実は20代の半数以上が保険に加入している現実
「20代って保険に入らなくてもいいんじゃない?」と思っている方もいるかもしれませんが、実は生命保険文化センター「2022年度 生活保障に関する調査」によると、20代の生命保険加入率は51.5%となっています。
つまり、20代の2人に1人は何らかの保険に加入しているのが現実なのです。
さらに詳しく見ると、20代の年間保険料の平均は10.6万円で、月額では約9,000円。男女別では、男性が年間11.9万円(月額約1万円)、女性が年間9.6万円(月額8,000円)となっています。
20代が保険に加入するきっかけ|あなたに当てはまるものは?
20代の保険加入のきっかけを見ると、最も多いのが「家族や友人などにすすめられて」が約41%、次に「就職をしたので」が約32%、「結婚したので」「子どもが誕生したので」がそれぞれ約9%と続きます。
私が相談を受ける20代の方からよく聞く声はこんな感じです:
- 「新社会人になって、会社の先輩に『保険くらい入っておいた方がいいよ』と言われて…」
- 「親から『社会人になったら自分で保険に入りなさい』と言われて…」
- 「友人が病気で入院して、保険の大切さを実感した」
- 「結婚を機に、パートナーのためにも保険を考えるようになった」
もしかすると、あなたも似たような理由で保険を検討しているかもしれませんね。
20代の保険選びで最も重視されているのは「医療費への備え」
興味深いことに、20代の保険加入目的を見ると、「ケガや病気になった際の医療費のため」が約62%と圧倒的に多く、「万一死亡した時のため」は約15%に留まっています。
これは、20代の多くが「まだ若いから死亡リスクは低いけど、病気やケガで医療費がかかったら困る」と考えていることの表れです。
実際、私のところに相談に来る20代の方も、「とりあえず医療保険だけでも…」という方が8割以上を占めています。
ネット保険とは?|基礎知識を整理しよう
ネット保険の定義と特徴
ネット保険とは、見積もりや申込み、加入等の手続きをインターネット上で完結できる保険を、一般的に「ネット保険」と呼びます。
つまり、従来のように保険会社の営業担当者と面談したり、保険代理店に足を運んだりすることなく、パソコンやスマートフォンから手軽に加入できる保険のことです。
ネット保険で取り扱われている主な商品
ネット保険で取り扱われる保険の種類は、生命保険(死亡保険)では定期保険、終身保険、収入保障保険、医療保険では定期型医療保険、終身型医療保険、引受基準緩和型医療保険、がん保険では定期型がん保険、終身型がん保険などがあります。
一見すると、対面販売の保険と同じような商品が揃っているように見えますが、実はここに「第一の落とし穴」があります。後ほど詳しく説明しますね。
ネット保険の最大の魅力は「保険料の安さ」
ネット保険の保険料が割安な理由は、実店舗や対面での対応が不要なため、対面販売に比べて店舗運営費や人件費が削減でき、保険料を低く設定できるからです。
確かに、同じような保障内容であれば、ネット保険の方が月額で1,000円〜3,000円程度安くなることも珍しくありません。
20代の方にとって、この保険料の安さは大きな魅力ですよね。手取り15万円〜25万円程度の収入の中で、少しでも保険料を抑えたいというのは当然の気持ちです。
ネット保険の7つのデメリット|CFPが見たリアルな事例
ここからが、この記事の本題です。私が12年間で約3,000人の保険相談を受ける中で、実際に目の当たりにしてきた「ネット保険のデメリット」を、具体的な事例と共にお話しします。
デメリット1:「すべて自分で判断」する重い責任
ネット保険は、比較検討から必要な保障内容の決定等までをすべて自分で進める必要があります。
【実際の相談事例】 田中さん(24歳・会社員)の場合:
田中さんは就職と同時に、インターネットで見つけた月額2,500円の医療保険に加入しました。「入院日額5,000円」という文字だけを見て、「安いし、これで十分だろう」と思ったそうです。
ところが、1年後に盲腸で緊急入院した際、給付金の申請をしたところ、「手術給付金は対象外」「入院給付金も4日目から」という条件があることを初めて知りました。
結果的に、3日間の入院で手術を受けたにも関わらず、給付金は一切受け取れませんでした。
田中さんは私のところに相談に来て、こう言いました:
「保険のことをちゃんと勉強していない自分が悪いんですが、もし対面で説明を受けていたら、こんなことにはならなかったと思います。月額料金だけで選んでしまったことを後悔しています。」
このように、保険の専門用語や細かい給付条件を正しく理解せずに加入してしまうリスクがあります。
デメリット2:商品の種類と特約の選択肢が限られている
ネット保険は、商品の内容がシンプルで分かりやすい反面、商品の種類や特約の選択肢が少ない傾向にあります。また、年金保険や学資保険のようないわゆる「貯蓄型」の保険は、ネット保険ではほとんど扱っていません。
【実際の相談事例】 佐藤さん(26歳・看護師)の場合:
佐藤さんは医療従事者として働く中で、「がんの家族歴があるから、がん保険を手厚くしたい」と考えていました。ネット保険でがん保険を探したところ、基本的な保障はあるものの、「がん先進医療特約」や「がん通院特約」などの選択肢が少なく、自分が本当に欲しい保障が見つかりませんでした。
結局、複数のネット保険を組み合わせることも検討しましたが、管理が複雑になることを懸念し、最終的には対面販売の保険に加入することにしました。
佐藤さんはこう振り返ります:
「ネット保険は確かに安いですが、私のように特定のリスクに対して手厚い保障が欲しい場合は、選択肢が限られてしまうことを実感しました。」
デメリット3:専門用語の理解不足による「勘違い加入」
重要事項説明書や約款は専門用語で記載されているため、保険になじみがない人にとっては、理解することが難しく、保険についての理解が不十分なまま加入すると、「給付金を受け取れると思ったのに保障が適用されなかった」などの事態に陥りやすくなってしまいます。
【実際の相談事例】 山田さん(23歳・システムエンジニア)の場合:
山田さんは、ネット保険の医療保険で「先進医療特約」が付いているプランに加入しました。「先進医療って、最新の治療を受けられるんですよね?」と私に確認してきたのですが、実は山田さんは「先進医療」と「自由診療」の違いを理解していませんでした。
先進医療は、厚生労働大臣が認定した特定の治療法のみが対象で、すべての最新治療が含まれるわけではありません。また、実施できる医療機関も限定されています。
山田さんのように、専門用語を「なんとなく」理解したつもりで加入してしまうケースは、20代の方によく見られます。
デメリット4:加入後の手続きやサポートも「すべて自分で」
ネット保険では、加入申込みの手続きをはじめ、保険金の手続きなどを自分で行います。また、保障の見直しや住所変更などの際も、みずからインターネット上で手続きするのが一般的です。
【実際の相談事例】 鈴木さん(25歳・営業職)の場合:
鈴木さんは転職と同時に引っ越しをしたのですが、ネット保険の住所変更手続きを忘れていました。その後、病気で入院した際に給付金の申請をしたところ、「契約者の現住所が確認できない」として、給付金の支払いが大幅に遅れてしまいました。
対面販売の保険であれば、担当者から「住所変更の手続きはお済みですか?」といった確認の連絡が来ることもありますが、ネット保険では基本的にすべて自己管理です。
鈴木さんは私にこう相談してきました:
「正直、保険の手続きって面倒で、つい後回しにしてしまうんです。でも、いざという時に困るのは自分なので、もう少しサポートがあるといいのですが…」
デメリット5:給付金請求時の「意外な落とし穴」
私が最も心配しているのが、このデメリットです。保険に加入する時は簡単でも、いざ給付金を請求する時になって初めて分かる「厳しい現実」があります。
【実際の相談事例】 高橋さん(27歳・事務職)の場合:
高橋さんは、ネット保険の医療保険に加入していました。ストレスによる胃潰瘍で2週間入院することになり、給付金の申請をしたところ、「精神的な要因による疾患は対象外」と言われてしまいました。
高橋さんは約款をもう一度読み返したところ、確かに小さい文字で「心因性疾患は除く」と書かれていました。対面販売であれば、このような除外事項についても担当者から説明を受けることが多いのですが、ネット保険では自分で読み込む必要があります。
高橋さんはこう話していました:
「約款なんて、正直言って、読んでもよく分からないんです。こんな大事なことが小さい文字で書かれているなんて…もっと分かりやすく説明してくれる人がいればよかったです。」
デメリット6:保障内容の見直しタイミングを逃しやすい
対面販売であれば、保険会社の営業担当者や保険ショップ経由で加入する場合、保障の見直しタイミングも相談しながら決めることができますが、ネット保険の場合、保障の見直しタイミングも自分で考える必要があります。
【実際の相談事例】 吉田さん(28歳・公務員)の場合:
吉田さんは22歳の時にネット保険の医療保険に加入し、その後結婚、出産を経験しましたが、保険の見直しを一度もしていませんでした。私のところに相談に来た時、「もしかして、保険を見直した方がいいのでしょうか?」と聞かれました。
詳しく話を聞いてみると、現在の保険では「出産や女性特有の病気」に対する保障が不十分で、また「配偶者の保障」についても全く考慮されていませんでした。
20代は人生の変化が激しい時期です。就職、転職、結婚、出産、住宅購入など、ライフステージが変わるたびに必要な保障も変わりますが、ネット保険では「見直しのタイミング」を教えてくれる人がいません。
デメリット7:「安さの理由」を理解せずに加入するリスク
最後のデメリットは、多くの20代の方が見落としがちな点です。
ネット保険の保険料が安い理由は、予定事業費率(保険会社の運営コストの割合)を押さえることができるからですが、一方で、基本的にはシンプルな保障内容の保険商品が多く、選択肢があまり広くありません。
【実際の相談事例】 渡辺さん(29歳・研究職)の場合:
渡辺さんは「とにかく安い保険に入りたい」という理由でネット保険を選びました。月額1,800円の医療保険だったのですが、詳しく内容を確認すると、「入院給付金は60日まで」「手術給付金は入院を伴う場合のみ」「先進医療特約なし」という内容でした。
私が「なぜこの保険を選んだのですか?」と聞くと、渡辺さんは「正直、よく分からないですが、安いから…」と答えました。
その後、もう少し保険料を上乗せして、より充実した保障内容の保険に変更することになりましたが、渡辺さんはこう言いました:
「安さにばかり目がいって、肝心の保障内容をちゃんと理解していませんでした。安いのには理由があるんですね。」
20代のネット保険失敗パターン|あなたは大丈夫?
これまで3,000人以上の相談を受けてきた経験から、20代の方がネット保険で失敗しやすいパターンをまとめました。あなたに当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
失敗パターン1:「保険料の安さ」だけで選ぶ
こんな人は要注意:
- 「とりあえず安い保険に入っておけばいいや」と思っている
- 保険料を月額3,000円以下に抑えたいと考えている
- 保障内容よりも料金を重視している
なぜ失敗するのか: 安い保険には必ず理由があります。保障範囲が狭い、給付条件が厳しい、保障期間が短いなど、どこかで「コストカット」されているのです。
失敗パターン2:「みんな入ってるから」という理由で選ぶ
こんな人は要注意:
- 友人や同僚に勧められるままに加入を検討している
- 「20代なら医療保険だけでOK」と思い込んでいる
- 自分の家族構成や将来設計を考えずに保険を選んでいる
なぜ失敗するのか: 保険は非常に個人的なものです。同じ20代でも、独身か結婚しているか、家族に病歴があるか、将来の収入見込みはどうかなど、人それぞれ必要な保障は異なります。
失敗パターン3:「とりあえず今だけ」のつもりで加入する
こんな人は要注意:
- 「今は最低限の保険で、将来見直せばいいや」と思っている
- 現在の収入や支出状況だけで保険を選んでいる
- 将来のライフプランを具体的に考えていない
なぜ失敗するのか: 保険は年齢が上がるほど保険料が高くなります。また、健康状態によっては将来加入できなくなる可能性もあります。「とりあえず」のつもりが、結果的に高い代償を払うことになりかねません。
失敗パターン4:専門用語を「なんとなく」理解したつもりで選ぶ
こんな人は要注意:
- 約款や契約のしおりをしっかり読まない
- 「入院日額」「手術給付金」「先進医療」などの言葉の正確な意味を理解していない
- 「大丈夫だろう」という楽観的な気持ちで加入している
なぜ失敗するのか: 保険の専門用語には、一般的な意味と保険業界での意味が異なるものが多くあります。勘違いしたまま加入すると、いざという時に期待していた給付金が受け取れない可能性があります。
あなたはネット保険に向いている?|簡単チェックリスト
ここまでデメリットをお話ししてきましたが、すべての20代の方にネット保険が不向きというわけではありません。以下のチェックリストで、あなたがネット保険に向いているかどうか確認してみましょう。
ネット保険に向いている人の特徴
以下の項目に多く当てはまる場合は、ネット保険を検討してもよいでしょう:
□ 保険に関する基本的な知識がある
- 医療保険、死亡保険、がん保険の違いを説明できる
- 「免責期間」「給付限度日数」「約款」の意味を理解している
- 過去に保険について勉強したことがある
□ 自分で情報収集・比較検討ができる
- 複数の保険会社のWebサイトを比較検討する時間がある
- 契約書類や約款を読むことに抵抗がない
- 分からないことは自分で調べたり、問い合わせしたりできる
□ 将来のライフプランが明確
- 結婚、出産、住宅購入などの予定がある程度決まっている
- 必要な保障内容を自分で判断できる
- 保険の見直し時期を自分で管理できる
□ シンプルな保障で満足できる
- 複雑な特約は必要ない
- 基本的な医療保障があれば十分だと思う
- 貯蓄型の保険よりも掛け捨て型を希望している
□ 手続きを自分で管理することに不安がない
- 住所変更や受益者変更などの手続きを忘れずにできる
- 給付金請求の際も、自分で必要書類を準備できる
- 保険会社とのやり取りを電話やメールで行うことに抵抗がない
ネット保険に向いていない人の特徴
一方、以下の項目に多く当てはまる場合は、対面販売の保険を検討した方がよいでしょう:
□ 保険についてよく分からない
- 保険の種類や仕組みがよく分からない
- 専門用語を見ると頭が痛くなる
- 約款を読む自信がない
□ 誰かに相談しながら決めたい
- 一人で決断することに不安がある
- プロのアドバイスを直接聞きたい
- 家族や友人以外の第三者の意見も参考にしたい
□ 将来のことがまだよく分からない
- 結婚や出産の予定が未定
- 転職や転居の可能性がある
- 収入が不安定で、将来設計が立てにくい
□ 充実した保障が欲しい
- 医療保険だけでなく、死亡保障も検討している
- がんや生活習慣病への手厚い備えが欲しい
- 貯蓄型の保険にも興味がある
□ アフターサービスを重視する
- 加入後も定期的に見直しの提案をしてほしい
- 給付金請求の際はサポートしてほしい
- 保険以外のライフプランニングも相談したい
CFPが教える|後悔しない保険選びの5つのステップ
ここからは、私が12年間で培った経験をもとに、20代の方が後悔しない保険選びをするための具体的なステップをお伝えします。
ステップ1:現在の家計状況を正確に把握する
保険を選ぶ前に、まずは家計の「現在地」を確認しましょう。
確認すべき項目:
- 手取り月収と年収
- 毎月の固定費(家賃、水道光熱費、通信費、食費など)
- 毎月の変動費(交際費、娯楽費、被服費など)
- 現在の貯蓄額
- 毎月の貯蓄可能額
保険料の目安: 一般的に、保険料は手取り収入の5〜7%をひとつの目安として考えることができます。
例えば、手取り月収が20万円の場合、保険料の目安は月額1万円〜1.4万円程度です。
ただし、この金額はあくまで目安です。家賃や奨学金の返済などで固定費が多い場合は、保険料を抑えめにする必要があります。
ステップ2:本当に必要な保障を整理する
20代の方によく「どんな保険に入ればいいですか?」と聞かれますが、この質問には正解がありません。なぜなら、必要な保障は人それぞれ異なるからです。
考えるべきポイント:
医療保障について:
- 現在、健康保険以外に医療費をカバーできる貯蓄はあるか?
- 家族に病歴があり、特定の病気が心配か?
- 自分の職業で、特にリスクが高い病気やケガはあるか?
死亡保障について:
- 現在、養うべき家族(配偶者、子ども、親など)はいるか?
- 自分が亡くなった場合、葬儀費用を誰が負担するか?
- 奨学金などの借金があり、家族に迷惑をかけたくないか?
就業不能保障について:
- 病気やケガで働けなくなった場合、会社の制度はどうなっているか?
- 収入が途絶えた場合、どのくらいの期間なら貯蓄で生活できるか?
ステップ3:公的保障制度を正しく理解する
多くの20代の方が見落としているのが、「公的保障制度」の存在です。
知っておくべき制度:
高額療養費制度: 医療費が高額になった場合、所得に応じて自己負担限度額が設定されています。例えば、年収300万円の場合、月額の医療費自己負担限度額は約8万円程度です。
傷病手当金: 会社員や公務員の場合、病気やケガで働けなくなった時に、給料の約3分の2を最大1年6ヶ月間受け取ることができます。
遺族基礎年金・遺族厚生年金: 万が一の場合、配偶者や子どもが遺族年金を受け取ることができます。
これらの制度を理解した上で、「足りない部分」を民間の保険で補うという考え方が重要です。
ステップ4:複数の選択肢を比較検討する
ここで初めて、具体的な保険商品の検討に入ります。
比較すべきポイント:
ネット保険の場合:
- 複数の保険会社のWebサイトで見積もりを取る
- 保障内容を詳細に比較する(給付条件、保障期間、特約の有無など)
- 約款や契約のしおりを必ず読む
- 分からない点は保険会社に直接問い合わせる
対面販売の場合:
- 複数の保険代理店や保険会社で相談する
- 担当者の説明をしっかり聞き、不明な点は遠慮なく質問する
- 提案された保険の内容を自分でも確認する
- セカンドオピニオンを求めることも検討する
重要な注意点: どちらの場合も、「その場で即決しない」ことが大切です。少なくとも1週間は検討期間を取り、冷静に判断しましょう。
ステップ5:定期的な見直しの仕組みを作る
保険は「入って終わり」ではありません。ライフステージの変化に合わせて、定期的に見直すことが重要です。
見直しのタイミング:
- 就職・転職時
- 結婚時
- 出産時
- 住宅購入時
- 収入に大きな変化があった時
- 家族構成に変化があった時
ネット保険を選んだ場合の注意点: ネット保険を選んだ場合は、見直しのタイミングを自分で管理する必要があります。スマートフォンのカレンダーアプリに「保険見直し」の予定を入れるなど、工夫しましょう。
おすすめの見直し頻度:
- 20代のうちは年1回
- 大きなライフイベントがあった時は都度
20代のライフステージ別|おすすめの保険選び
20代といっても、独身なのか結婚しているのか、子どもがいるのかによって、必要な保障は大きく異なります。ライフステージ別のアドバイスをお伝えします。
独身の20代の場合
最優先で検討すべき保障:
- 医療保険(入院・手術に備える)
- 死亡保険(葬儀費用程度の少額保障)
考慮すべきポイント:
- 両親に金銭的な負担をかけたくない場合は、死亡保険も検討
- 奨学金などの借金がある場合は、その返済額をカバーできる死亡保障を検討
- 将来的に結婚・出産の予定がある場合は、保険料が上がりにくい終身保険も選択肢
ネット保険vs対面販売: 独身の場合は、比較的シンプルな保障で済むため、保険の知識がある方はネット保険でも問題ありません。ただし、将来のライフプランが不明確な場合は、対面販売で相談した方が安心です。
結婚したばかりの20代の場合
最優先で検討すべき保障:
- 夫婦それぞれの医療保険
- 主たる生計維持者の死亡保険(配偶者の生活費を考慮)
- 専業主婦(主夫)の場合は、家事代行費用も考慮した死亡保険
考慮すべきポイント:
- 配偶者の就労状況や収入を考慮して死亡保障額を決定
- 将来の出産・育児を見据えた保障設計
- 夫婦の年収合計に対する保険料負担を検討
ネット保険vs対面販売: 結婚により保障の考え方が複雑になるため、保険の知識に不安がある場合は対面販売がおすすめです。特に、夫婦それぞれの保障バランスについては、プロのアドバイスが有用です。
子どもがいる20代の場合
最優先で検討すべき保障:
- 夫婦それぞれの医療保険
- 主たる生計維持者の高額な死亡保険(子どもの養育費・教育費を考慮)
- 学資保険(教育費の準備)
- 就業不能保険(収入減少に備える)
考慮すべきポイント:
- 子どもの人数と年齢を考慮した死亡保障額の設定
- 教育費の準備方法(学資保険vs投資vs貯蓄)
- 妻(夫)の就労復帰時期と保障設計の関係
ネット保険vs対面販売: 子どもがいる場合は、必要な保障が多岐にわたるため、対面販売でしっかりと相談することをおすすめします。特に、死亡保障額の算定や教育費の準備については、専門的な知識が必要です。
よくある質問|20代の保険選びの疑問にお答えします
12年間で3,000人以上の相談を受ける中で、20代の方からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. ネット保険と対面販売の保険、結局どちらがいいの?
A1. 正直に申し上げると、「どちらが良い」という答えはありません。重要なのは、「あなたにとってどちらが適しているか」です。
ネット保険が適している方:
- 保険に関する基本的な知識がある
- 自分で情報収集・比較検討ができる
- シンプルな保障で満足できる
- 保険料を抑えたい
対面販売が適している方:
- 保険についてよく分からない
- プロのアドバイスを受けたい
- 複雑な保障設計が必要
- アフターサービスを重視する
私の経験上、20代の約6割の方は「対面販売の方が安心」とおっしゃいます。特に、保険の知識がない状態でネット保険に加入して、後から相談に来られる方が多いのが現実です。
Q2. ネット保険の保険料の安さは本当?落とし穴はないの?
A2. ネット保険の保険料が安い理由は、営業マンを雇う必要がなく、地域ごとに事務所を構える必要もないため、運営コストを大幅に削減できるからです。
保険料の安さ自体は本物ですが、「なぜ安いのか」を理解することが重要です。
安さの理由:
- 人件費の削減(営業担当者、事務スタッフの削減)
- 店舗運営費の削減(実店舗が不要)
- 商品設計のシンプル化(複雑な特約を削除)
- 事務処理の効率化(ペーパーレス化、システム化)
注意すべき点:
- 保障内容がシンプルになっている
- 特約の選択肢が少ない
- アフターサービスが限定的
- 給付条件が厳しい場合がある
安さには必ず理由があります。その理由を理解した上で、自分のニーズと合致するかを判断することが大切です。
Q3. 20代で保険に入るのは早すぎる?まだ必要ないのでは?
A3. これは本当によく聞かれる質問です。実際、直近の入院時の保険の充当割合(保険の給付金でまかなった金額が、実際の治療費や逸失収入に占める割合)は、20代で76.5%、30代で75.5%と、療養費や逸失収入の大半を保険でカバーした事実がうかがえます。
20代で保険が必要な理由:
- 貯蓄が少ない時期だから 20代は一般的に貯蓄が少なく、突発的な医療費に対応しにくい時期です。
- 保険料が最も安い時期だから 年齢が上がるほど保険料は高くなります。同じ保障内容でも、20代と30代では月額1,000円以上の差が出ることも珍しくありません。
- 健康なうちに加入すべきだから 年齢が上がると、健康状態によっては保険に加入できなくなる可能性があります。
- 社会人としての責任が生じるから 独身であっても、自分の医療費や葬儀費用を誰かに負担させるわけにはいきません。
ただし、「とりあえず何でもいいから保険に入る」のではなく、「自分に必要な保障を適切に選ぶ」ことが重要です。
Q4. ネット保険で加入した後、対面販売の保険に変更できる?
A4. はい、変更は可能ですが、いくつか注意点があります。
変更時の注意点:
- 年齢による保険料上昇 年齢が上がった分、新しい保険の保険料は高くなります。
- 健康状態の影響 健康状態に変化があった場合、新しい保険に加入できない可能性があります。
- 空白期間のリスク 現在の保険を解約してから新しい保険に加入するまでの間は、保障がない状態になります。
おすすめの変更手順:
- 現在の保険は継続したまま、新しい保険の検討を始める
- 新しい保険の申込み・審査を完了させる
- 新しい保険の保障開始を確認してから、古い保険を解約する
私の相談者の中にも、ネット保険から対面販売の保険に変更された方は多くいらっしゃいます。「保険は一度入ったら変更できない」ということはありませんが、計画的に進めることが重要です。
Q5. 家族や友人にネット保険を勧められました。どう判断すればいい?
A5. 家族や友人からのアドバイスは貴重ですが、保険選びにおいては「他人の意見」だけで決めるのは危険です。
考慮すべきポイント:
- その人の状況と自分の状況は同じか? 年齢、性別、家族構成、収入、健康状態、価値観など、すべてが同じ人はいません。
- その人は保険について詳しいか? 「なんとなく良さそう」という理由で勧めている可能性もあります。
- 具体的な根拠があるか? 「みんな入ってるから」「安いから」だけでなく、具体的な理由があるかを確認しましょう。
私からのアドバイス: 家族や友人の意見は「参考情報の一つ」として受け取り、最終的には自分で判断することが大切です。不安な場合は、複数の専門家の意見を聞くことをおすすめします。
まとめ|あなたにとって最適な保険選びのために
長い記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事では、ネット保険の7つのデメリットを中心にお話ししてきましたが、私が最もお伝えしたかったのは、**「安さだけで保険を選ぶのではなく、自分にとって本当に必要な保障を考えてほしい」**ということです。
重要なポイントの振り返り
- ネット保険は「万人向け」ではない 保険の知識があり、シンプルな保障で満足できる方には適していますが、そうでない方には向いていません。
- デメリットを理解した上での選択が大切 ネット保険のデメリットを理解し、それでも「自分には合っている」と判断できる場合は、良い選択肢になります。
- 20代は人生の変化が激しい時期 就職、転職、結婚、出産など、ライフステージの変化に合わせて保険も見直す必要があります。
- 保険は「目的」があって選ぶもの 「何のために保険に入るのか」を明確にしてから、商品を選びましょう。
私からの最後のアドバイス
20代の皆さんには、**「保険は人生のパートナー」**だと思って選んでいただきたいのです。
結婚相手を選ぶ時に、「とりあえず安い人でいいや」とは思わないですよね?保険も同じです。長い人生を共に歩むパートナーとして、慎重に選んでください。
もちろん、結婚相手と違って、保険は後から変更することも可能です。でも、最初から自分に合ったものを選べれば、それが一番いいですよね。
次にすべきアクション
この記事を読んで、「自分にはネット保険が向いているかもしれない」と思った方は:
- 複数の保険会社で見積もりを取る
- 約款や契約のしおりを必ず読む
- 分からない点は保険会社に問い合わせる
- 最低1週間は検討期間を取る
一方、「やっぱり対面で相談したい」と思った方は:
- 複数の保険代理店や保険会社で相談する
- 担当者の説明をしっかり聞く
- セカンドオピニオンを求める
- 提案内容を自分でも確認する
最後に
私は、CFPとして、そして一人の生活者として、**「お金は人生を豊かにするための手段。無理をしてまで保険料を払うものではない」**と考えています。
保険は「安心」を買うものですが、保険料の負担で日々の生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。家計とのバランスを考えながら、無理のない範囲で必要な保障を確保してください。
また、保険だけでなく、貯蓄や投資による資産形成も大切です。20代という若い時期から、バランスの取れたマネープランを立てていきましょう。
もし、この記事を読んで保険選びに不安を感じたり、具体的な相談をしたいと思ったりした場合は、遠慮なく専門家に相談してください。私たちCFPは、皆さんの人生に寄り添い、最適なアドバイスを提供することが使命だと考えています。
あなたの20代が、経済的にも心理的にも安心できる、素晴らしい時期になることを心から願っています。
【筆者プロフィール】
CFP(Certified Financial Planner)資格保有、AFP認定歴12年 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年 証券会社での投資アドバイザー経験5年 これまでに3,000人以上の保険・資産運用相談を担当
自身の投資・保険経験: 20代で株式投資で200万円の損失を経験するも、30代でつみたてNISAと確定拠出年金により資産形成に成功(現在資産3,000万円)。新婚時代に家計管理に失敗し借金200万円を経験するも、独自の家計管理法で完済し貯金体質に転換。これらの失敗と成功の両方を経験しているからこそ、読者の気持ちに深く寄り添ったアドバイスを心がけている。
想い:「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」「一人ひとりの価値観と生活スタイルに合った、無理のない資産形成を提案したい」