当サイト「マネーライフ」は情報提供のみを目的としており、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
目次
1. エグゼクティブサマリー
指標 | 1Q実績 | 前年同期比 | 専門家コメント |
---|---|---|---|
営業収益 | 78.18 億円 | +0.4 % | 消費低迷期でもプラス成長。既存店の粘りと賃貸収入の伸長が寄与。 |
営業利益 | 2.99 億円 | +8.4 % | 不動産賃貸の高採算化が主因。小売単体なら横ばい圏。 |
営業利益率 | 3.8 % | +0.28 pt | 業界平均(約3 %)を上回り、過去5年で最高水準。 |
四半期純利益 | 2.09 億円 | +4.7 % | 実効税率の低下も追い風。 |
要点
売上のわずか 2.7 % を占める不動産賃貸が 営業利益の37 % を稼ぎ、“ミニREIT化”が鮮明。小売の低成長を事業ポートフォリオ転換でカバーした決算。
2. セキチューとは?—ビジネスモデルの二面性
- 小売(ホームセンター):北関東を中心に24店舗。DIY・日用品・カー用品が主力。
- 不動産賃貸:店舗敷地の余剰区画をテナント化。売上比 2.7 % で利益貢献 37 %。
専門家視点
簿価ベースで固定資産が純資産の約40 %を占める 資産リッチ企業。小売単体の伸び悩みを、保有不動産の活用で補うハイブリッド経営へシフト中。
3. 数字と専門家コメント:1Q決算ハイライト
PL項目 | 数値 | コメント |
---|---|---|
売上総利益率 | 29.9 %(+0.1 pt) | 仕入れ交渉力改善が主因。値上げ効果は限定的。 |
販管費率 | 27.3 %(▲0.2 pt) | LED化・PPA契約で電気代を抑制しコスト最適化。 |
在庫回転日数 | 163日(△8日悪化) | AI発注導入前で在庫膨張。運転資本が最大の課題。 |
専門家コメント
利益率改善の裏側でキャッシュ創出力は頭打ち。次四半期に在庫を圧縮できるかがモメンタムの分岐点。
4. セグメント別──数値×洞察
4.1 ホームセンター事業
指標 | 実績 | YoY |
---|---|---|
売上高 | 76.07 億円 | ▲0.1 % |
セグメント利益 | 1.87 億円 | ▲8.3 % |
利益率 | 2.5 % | ▲0.2 pt |
洞察
物流費・人件費高騰で利益率が悪化。単純値上げは限界に近く、修理・工事など付帯サービス収入の拡充が急務。
4.2 不動産賃貸事業
指標 | 実績 | YoY |
---|---|---|
売上高 | 2.11 億円 | +24.9 % |
セグメント利益 | 1.12 億円 | +55.6 % |
利益率 | 53.0 % | +10.2 pt |
洞察
新規テナント契約の IRR は 15〜18 % と推計。高品質キャッシュフローが成長投資を自力で賄う好循環を形成。
5. 財務体質──数字×洞察
BS指標 | 1Q末 | 専門家コメント |
---|---|---|
自己資本比率 | 47.9 % | 借入余力は十分で堅実な財務基盤。 |
ネット有利子負債/EBITDA | 1.9倍 | 上場小売平均(約3倍)より低く、財務ストレス小。 |
在庫増加額 | +4.5 億円 | 資金拘束大。AI需要予測により90日以内の改善が目標。 |
6. 業界トレンドとポジショニング
- 国内ホームセンター市場:約3.9兆円、年率▲0.6 % で成熟。
- 再編加速:DCM×エンチョーなど、地方中堅は“買われる側”リスク。
- セキチューの PBR0.47倍 は含み資産を加味すると 実質0.35倍前後 と推計。
専門家コメント
規模の経済より 資産活用が勝ち筋。ハイブリッド化は再編局面で買収プレミアムを高める交渉カードになる。
7. ガイダンス評価とシナリオ分析
シナリオ | 前提 | 営業利益 | 株価インパクト(試算) |
---|---|---|---|
ベース | 既存店0 %、賃貸横ばい | 5.0 億円 | 現行株価に織込み済み |
アップサイド | 賃貸面積+5 %、在庫回転▲7日 | 6.2 億円 | +15 % |
ダウンサイド | 在庫処分で粗利▲0.5 pt | 4.0 億円 | ▲10〜12 % |
IRで聞くべき3点
- 駐車場モール化の ROI と投資回収年数
- AI発注導入のタイムラインと目標KPI
- 再編オファーへの経営スタンス
8. バリュエーション考察
- PBR0.47倍:土地再評価で実質0.35倍と推計。
- TOB余地:浮動株20 % × プレミアム30 % ⇒ 約14 億円で過半取得可能。
- 配当利回り2 %:減配耐性は高いが、増配余地は限定的。
専門家コメント
短期モメンタムより アセットバリュー+再編プレミアム を狙う中期保有が最適。
9. 投資論点・カタリスト
- 賃貸面積拡大—IRR15 %案件を積み上げキャッシュ改善
- 在庫圧縮—回転日数10日短縮で営業CF +5,000万円
- 業界再編—高資産・小規模ゆえ TOB 観測が高まる可能性
10. まとめ
セキチューは 「地方ホームセンター+高収益不動産」 というハイブリッドモデルで利益質を改善。PBR0.5倍割れと含み資産が投資妙味を高める一方、在庫膨張と流動性リスクをどう管理するかが鍵。再編シナリオ込みで中期妙味を探るバリュー銘柄と言える。
投資は自己責任で。 IR資料や店舗視察で現場感を確認したうえで判断を。
出所:2026年2月期 第1四半期決算短信ほか会社資料