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【体験談付き】結婚で貯金なし…どうする?新婚夫婦が幸せな家計を築く7つのステップ

目次

はじめに:「貯金ゼロでも愛があれば」は本当?

私は、ファイナンシャルプランナー(CFP資格保有)として12年間、数多くのご夫婦の家計相談に携わってきました。そして何より、私自身が「貯金なし結婚」を経験した一人でもあります。

今から15年前、当時の私は27歳。彼女(現在の妻)との結婚を控えていましたが、恥ずかしながら貯金残高は15万円。彼女も新卒3年目で50万円ほどしかありませんでした。結婚式の費用、新居の準備、新婚旅行…。計算すると軽く300万円は必要で、親に頭を下げて借金をすることになりました。

「お金がないけど、愛があれば大丈夫」

そんな甘い考えでスタートした新婚生活でしたが、現実は厳しいものでした。家計簿をつけることもなく、お互いが自由にお金を使い続けた結果、結婚2年目には借金が200万円に膨らんでいたのです。

しかし、そこから私たちは家計を見直し、今では3,000万円の資産を築くことができました。この体験を通じて学んだのは、「貯金なしでも結婚はできるが、その後の行動が人生を大きく左右する」ということです。

もしあなたが今、「貯金なしで結婚して大丈夫?」「どうやって新生活を始めればいい?」と不安を感じているなら、どうか安心してください。この記事では、私の失敗と成功の体験をもとに、貯金なしの状況から幸せな家計を築く具体的な方法をお伝えします。

第1章:現実を知る〜貯金なし結婚のリアルな実情

実は珍しくない「貯金なし結婚」

まず、あなたに安心していただきたいのは、貯金なしで結婚するカップルは決して珍しくないということです。

厚生労働省の「結婚・出産に関する調査」(2023年)によると、結婚時の貯金額が100万円未満のカップルは全体の約35%。つまり、3組に1組以上が「貯金がほとんどない状態」で結婚しているのです。

結婚時の貯金額分布(2023年調査)

  • 100万円未満:35.2%
  • 100万円〜300万円:28.7%
  • 300万円〜500万円:18.9%
  • 500万円〜1,000万円:12.4%
  • 1,000万円以上:4.8%

私がファイナンシャルプランナーとして相談を受ける中でも、「結婚したいけど貯金が…」という悩みは非常に多く聞きます。特に、20代後半から30代前半の方に多い傾向があります。

貯金なし結婚が増えている背景

なぜ貯金なしで結婚するカップルが増えているのでしょうか。私が相談者から聞く主な理由は以下の通りです。

1. 実質賃金の低下と生活費の上昇 2000年と比較して、20代の平均年収は約50万円減少している一方で、家賃や光熱費、食費は右肩上がり。貯金をしたくても、生活費で精一杯という現実があります。

2. 晩婚化による時間的プレッシャー 「30歳までには結婚したい」という気持ちが強く、「貯金が貯まるまで待てない」という心理的な焦りがあります。

3. 奨学金返済の負担 大学進学率の上昇に伴い、奨学金を借りている人が増加。月3万円の返済があると、年間36万円が手元に残らないことになります。

4. 価値観の変化 「結婚は豪華にしなくてもいい」「身の丈に合った生活をしたい」という考えの若者が増え、貯金よりも早く一緒に生活を始めることを優先する傾向があります。

私の失敗体験:甘い見通しが招いた借金地獄

私自身の体験をお話しします。結婚当初の私たちの家計状況は以下の通りでした。

結婚時の状況(2009年)

  • 夫(私):27歳、年収320万円、貯金15万円
  • 妻:25歳、年収280万円、貯金50万円
  • 結婚式費用:250万円(親からの借金150万円)
  • 新居費用:80万円(敷金礼金、家具家電)
  • 新婚旅行:50万円

「二人合わせて年収600万円もあるから、なんとかなるだろう」

そんな甘い考えでした。しかし、実際に結婚生活が始まると、予想以上に支出が増えました。

予想外の出費例

  • 結婚式の追加費用:30万円
  • 新居の追加家具・家電:50万円
  • 両親への挨拶・お歳暮などの交際費:年間15万円
  • 妻の妊娠・出産費用:60万円
  • 車の購入(軽自動車中古):80万円

家計簿をつけていなかったため、気がつくと月末にはいつもお金が足りなくなり、クレジットカードのリボ払いに頼る生活。結婚2年目の借金総額は200万円に達していました。

当時の妻は妊娠のため退職し、私の収入だけで生活していましたが、月の手取りは20万円程度。家賃7万円、借金返済4万円、生活費9万円で、貯金どころか赤字続きでした。

危機から学んだ3つの重要な教訓

この危機的状況から脱するために、私たちは真剣に家計を見直しました。その過程で学んだ教訓は以下の3つです。

教訓1:収入の把握だけでは不十分 年収600万円という数字に安心していましたが、実際の手取り額は約480万円。さらに、ボーナスが不安定だったため、月々の生活は想像以上に厳しいものでした。

教訓2:「なんとかなる」では絶対になんとかならない 具体的な計画なしに結婚生活を始めたことで、支出がコントロールできなくなりました。特に、お互いの金銭感覚の違いを事前に話し合っていなかったことが大きな問題でした。

教訓3:早めの軌道修正が人生を変える 幸い、結婚2年目で危機感を持ち、家計改善に着手できました。もし5年、10年と放置していたら、取り返しのつかない状況になっていたでしょう。

第2章:貯金なし結婚のメリット・デメリットを正直に解説

意外と多い!貯金なし結婚の3つのメリット

私の体験談だけを聞くと「貯金なし結婚は危険」と感じるかもしれませんが、実はメリットもあります。現在、私がファイナンシャルプランナーとして多くのご夫婦を見てきた中で感じる、貯金なし結婚のメリットをご紹介します。

メリット1:お金に対する危機感が家計改善の原動力になる

貯金に余裕があるカップルは、つい「まだ大丈夫」と支出を野放しにしがちです。一方、貯金なしで結婚したカップルは、否応なくお金と向き合わなければならず、結果的に家計管理のスキルが早く身につきます。

実際に、私が相談を受けた中で最も家計改善が成功しているのは、「危機感を持って取り組んだカップル」です。貯金1,000万円あったご夫婦が10年後も1,000万円のまま、という例は珍しくありません。

メリット2:二人でゼロから築く喜びを共有できる

「ないところから二人で築き上げる」という体験は、夫婦の絆を深める特別な時間になります。私自身も、妻と一緒に家計簿をつけ、節約方法を考え、小さな成功を喜び合った時間は、今でも大切な思い出です。

「今月は食費を1万円節約できたね」「ついに借金が100万円を切った!」そんな小さな達成感を二人で分かち合えるのは、貯金なし結婚ならではの醍醐味かもしれません。

メリット3:身の丈に合った生活習慣が身につく

潤沢な貯金があると、ついつい「これぐらいなら大丈夫」と支出が緩みがちです。しかし、貯金なしで始めた結婚生活では、常に支出をコントロールする習慣が身につきます。

この習慣は、将来年収が上がったときにも活かされ、「収入の増加以上に支出が増える」という状況を避けることができます。実際、私たちも年収が上がった後も節約習慣を継続しているため、順調に資産を増やすことができています。

見過ごせない!貯金なし結婚の5つのデメリット

一方で、貯金なし結婚には確かにデメリットがあります。これらを理解した上で、対策を考えることが重要です。

デメリット1:急な出費に対応できない

結婚生活では、予想以上に急な出費が発生します。病気やけが、家電の故障、車の修理、親族の冠婚葬祭など、年間で50万円〜100万円程度の予想外の出費は珍しくありません。

貯金がないと、これらの出費をクレジットカードのリボ払いや借金で賄うことになり、利息負担で家計がさらに圧迫されます。

デメリット2:精神的なプレッシャーが大きい

「お金がない」という状況は、想像以上に精神的な負担になります。私自身も、結婚当初は月末になると「お金が足りるだろうか」という不安で眠れない夜が続きました。

このプレッシャーは夫婦関係にも影響し、お金のことで喧嘩が増える原因にもなります。実際、離婚原因の上位に「金銭問題」が挙げられているのも事実です。

デメリット3:将来設計が立てにくい

住宅購入、子育て、老後資金など、長期的な人生設計を立てる際に、貯金がないと選択肢が限られます。特に、住宅購入では頭金がないと借入額が増え、月々の返済負担が重くなります。

デメリット4:機会損失のリスク

例えば、投資や副業など、お金を増やすチャンスがあっても、元手がないと参加できません。複利の効果を考えると、早く始めるほど有利な資産運用も、貯金がないとスタートラインに立てません。

デメリット5:親族からの心配や反対

特に両親世代は「貯金もないのに結婚して大丈夫?」と心配することが多く、家族関係に影響する場合があります。結婚の報告をした際に、両親から経済状況について厳しく質問される可能性もあります。

私が実感した「お金と愛情」の関係

15年間の結婚生活を振り返って感じるのは、「お金がすべてではないが、お金の問題は愛情に確実に影響する」ということです。

借金で苦しんでいた時期、私たち夫婦は月に数回、お金のことで喧嘩をしていました。「なぜそんなものを買ったの?」「もう少し節約できないの?」といった会話が増え、お互いを責め合う時間が多くなっていました。

しかし、家計が安定してからは、そうした喧嘩は劇的に減りました。お金の心配がなくなると、お互いの良いところに目を向ける余裕ができ、感謝の気持ちを表現することも増えました。

つまり、「愛があればお金はいらない」のではなく、「お金の安定があって初めて、愛情を育む余裕が生まれる」というのが、私の実感です。

第3章:結婚前にやっておくべき5つの準備

準備1:お互いの本当の経済状況を完全に開示する

結婚前に最も重要なのは、お互いの経済状況を正直に話し合うことです。私自身、この段階で妻との話し合いが不十分だったため、後々苦労することになりました。

開示すべき項目チェックリスト

□ 年収(税込み・手取り両方) □ 貯金額(定期預金、普通預金の内訳も含む) □ 借金・ローンの有無と残高(奨学金、クレジットカード、車のローンなど) □ 毎月の固定費(家賃、保険料、通信費、習い事など) □ 毎月の変動費の平均額(食費、交際費、趣味代など) □ 実家からの援助の有無と金額 □ 将来の収入見込み(昇進、転職の予定など)

私がファイナンシャルプランナーとして相談を受ける中で、「結婚後に相手の借金を知った」というケースは少なくありません。奨学金の返済が月5万円あることを結婚後に知り、家計が大幅に圧迫されたという例もあります。

開示の際のポイント

  1. 非難しない雰囲気を作る 借金がある場合でも、「なぜこんなに借金があるの?」と責めるのではなく、「一緒に解決していこう」という姿勢で話し合いましょう。
  2. 具体的な数字で話す 「だいたい○○万円ぐらい」ではなく、正確な金額を伝えましょう。通帳やクレジットカードの明細を見せ合うことをお勧めします。
  3. 将来の目標も合わせて話し合う 現状だけでなく、「5年後には住宅購入したい」「子どもは何人欲しい」など、将来の希望も含めて話し合うことで、必要な準備が見えてきます。

準備2:結婚にかかる費用を具体的に算出する

貯金なしで結婚する場合、結婚にかかる費用を正確に把握し、どこを節約できるかを検討することが重要です。

結婚費用の相場と節約ポイント

1. 結婚式費用

  • 一般的な相場:250万円〜400万円
  • 節約のポイント:
    • 挙式のみ(披露宴なし):50万円〜100万円
    • 家族のみの少人数婚:100万円〜150万円
    • フォトウェディング:10万円〜30万円

私の相談者の中には、「結婚式は絶対に挙げたい」という希望がある一方で、予算の制約もあるというカップルが多くいます。そうした場合は、「何のために結婚式を挙げるのか」という目的を明確にして、優先順位をつけることをお勧めしています。

2. 新居費用

  • 敷金・礼金・仲介手数料:家賃4ヶ月分程度
  • 引越し費用:5万円〜15万円
  • 家具・家電:50万円〜100万円

節約のポイント

  • 敷金・礼金なしの物件を探す
  • 家具・家電は中古品やレンタルを活用
  • 両親からの譲り受けできるものがないか確認

3. 新婚旅行費用

  • 国内旅行:10万円〜30万円
  • 海外旅行:30万円〜100万円

節約のポイント

  • 新婚旅行は結婚式から時期をずらして安い時期に
  • パッケージツアーを活用
  • 近場の温泉地なども選択肢に

準備3:親族からの援助可能性を確認する

貯金なしで結婚する場合、親族からの援助があるかどうかは大きな違いを生みます。ただし、お金の話はデリケートなので、慎重にアプローチしましょう。

援助を相談する際のポイント

  1. 具体的な計画を示す 「お金がないから援助して」ではなく、「結婚式費用○○万円のうち、△△万円は自分たちで準備するので、××万円を援助していただけないでしょうか」という具体的な相談をしましょう。
  2. 返済計画も含めて相談 借りる形での援助の場合は、返済計画も含めて相談しましょう。「月○万円ずつ、○年で返済します」という計画があると、親も安心します。
  3. 援助の条件を明確にする 援助には条件が付く場合があります。「結婚式は地元で」「孫の顔を見せに頻繁に帰ってくる」など、事前に確認しておきましょう。

私の失敗体験:援助に頼りすぎた結果

私の場合、結婚式費用の150万円を両親から借りましたが、返済計画が曖昧だったため、その後の家計圧迫の一因となりました。「いずれ返すから」という甘い考えではなく、具体的な返済スケジュールを決めておくべきでした。

準備4:結婚後の家計管理方法を決める

結婚前に、お金の管理方法を話し合っておくことは非常に重要です。これが曖昧だと、結婚後にお金に関する喧嘩が増える原因になります。

家計管理の主なパターン

パターン1:共通口座で一括管理

  • メリット:お金の流れが透明、節約意識が高まる
  • デメリット:個人の自由度が低い
  • 向いているカップル:お互いの金銭感覚が似ている、節約志向が強い

パターン2:生活費を分担、残りは個人管理

  • メリット:個人の自由度が高い、お互いのプライバシーが保たれる
  • デメリット:貯金額が把握しにくい、無駄遣いのチェックが難しい
  • 向いているカップル:お互いに安定収入がある、独立心が強い

パターン3:一方が家計を管理、もう一方はお小遣い制

  • メリット:管理が一本化されて分かりやすい
  • デメリット:管理者の負担が大きい、もう一方の金銭感覚が育たない
  • 向いているカップル:一方が専業主婦(主夫)、片方が家計管理が得意

私たちが選んだ方法:共通口座+個人口座のハイブリッド

危機を経験した私たちが選んだのは、以下の方法です。

  1. 共通口座に月々の生活費+貯金分を入金
  2. 残りは個人のお小遣いとして自由に使う
  3. 10万円以上の買い物は必ず相談する
  4. 月1回、家計の振り返りを一緒に行う

この方法により、家計の透明性を保ちながら、お互いの自由度も確保できています。

準備5:緊急時の対応策を決める

貯金なしで結婚する場合、緊急時の対応策を事前に決めておくことが重要です。

緊急時の対応策例

  1. 親族からの借用 最も金利が低い(または無利子)の選択肢ですが、関係悪化のリスクもあります。
  2. 銀行の多目的ローン 金利は年3%〜7%程度。審査はありますが、使途が自由で比較的借りやすいローンです。
  3. クレジットカードのキャッシング 金利が高い(年15%〜18%)ため、短期間での返済が前提です。
  4. フリーローン・カードローン 金利は年2%〜15%程度と幅があります。銀行系の方が金利は低めです。

私の失敗から学ぶ:リボ払いの罠

私が借金を膨らませた最大の原因は、クレジットカードのリボ払いを多用したことでした。月々の支払額は一定で楽に見えますが、金利が年15%と高く、返済期間が長期化して利息負担が膨大になります。

例えば、50万円をリボ払い(月1万円返済、年15%)で借りた場合、完済まで約70ヶ月(6年弱)かかり、利息だけで約20万円支払うことになります。

第4章:結婚直後から始める家計安定化の7ステップ

ステップ1:完全な家計の見える化を実現する

結婚後、最初に取り組むべきは家計の完全な見える化です。これなくして、健全な家計運営はできません。

3ヶ月間の詳細な家計簿記録

私が相談者にお勧めしているのは、まず3ヶ月間、すべての支出を記録することです。レシートを必ず保管し、以下の項目に分類します。

固定費

  • 家賃・住宅ローン
  • 水道光熱費
  • 通信費(携帯、インターネット)
  • 保険料
  • 各種ローン返済

変動費

  • 食費(自炊、外食を分ける)
  • 交通費
  • 交際費
  • 衣服費
  • 日用品費
  • 医療費
  • 趣味・娯楽費

私たちの最初の3ヶ月の記録例

結婚直後の私たちの家計を振り返ると、想像以上に無駄遣いが多いことが分かりました。

月収(手取り):35万円 支出内訳

  • 家賃:7万円
  • 水道光熱費:1.2万円
  • 通信費:1.8万円(スマホ2台、インターネット)
  • 食費:8万円(外食が多すぎました)
  • 交際費:5万円(職場の飲み会、友人とのお付き合い)
  • 借金返済:4万円
  • その他:8万円 合計:35万円(収支ゼロ、貯金できず)

この記録を見て愕然としました。特に、食費と交際費で月13万円も使っていたのです。「外食は月1回だけ」と思っていましたが、実際には週2〜3回利用していました。

家計簿アプリの活用

現在では、便利な家計簿アプリがたくさんあります。私がお勧めするのは以下の3つです。

  1. マネーフォワード ME
  • 銀行口座、クレジットカードと連携可能
  • 自動で支出を分類
  • 無料版でも十分使える
  1. Zaim
  • レシート撮影機能が優秀
  • 予算設定機能が使いやすい
  • 家族間での共有が簡単
  1. 家計簿Zeny
  • シンプルで使いやすい
  • 現金派の人に特にお勧め
  • 無料で広告も少ない

夫婦での情報共有の仕組み

家計簿をつけても、夫婦で情報共有しなければ意味がありません。私たちが実践している方法をご紹介します。

  • 月末に必ず2人で家計簿を確認する時間を作る
  • 支出の多かった項目について、なぜそうなったかを話し合う
  • 翌月の予算を2人で決める
  • お互いを責めるのではなく、改善点を一緒に考える

ステップ2:固定費の徹底見直しで月3万円削減

変動費の節約は意志力に依存しますが、固定費の見直しは一度やってしまえば継続的に効果が続きます。貯金なし家計では、まず固定費の見直しから始めましょう。

通信費の見直し:月5,000円削減

私たちが最初に手をつけたのは通信費でした。当時、2人合わせて月18,000円も払っていましたが、格安SIMに変更することで月8,000円まで削減できました。

変更前

  • 夫:大手キャリア 月9,000円
  • 妻:大手キャリア 月9,000円
  • 合計:18,000円

変更後

  • 夫:格安SIM 月3,000円
  • 妻:格安SIM 月3,000円
  • インターネット回線:月2,000円
  • 合計:8,000円

削減額:月10,000円、年間12万円

格安SIMへの変更は、正直なところ最初は不安でした。「電話がつながりにくくなるのでは?」「通信速度が遅くなるのでは?」という心配がありましたが、実際に使ってみると日常使いでは全く問題ありませんでした。

保険の見直し:月8,000円削減

次に見直したのは保険でした。独身時代に加入した保険をそのまま継続していましたが、結婚を機に必要保障額を再計算しました。

見直し前

  • 夫:生命保険 月12,000円、医療保険 月5,000円
  • 妻:生命保険 月8,000円、医療保険 月3,000円
  • 合計:28,000円

見直し後

  • 夫:収入保障保険 月8,000円、医療保険 月2,000円
  • 妻:医療保険 月2,000円
  • 団体保険(会社の福利厚生):月8,000円
  • 合計:20,000円

削減額:月8,000円、年間9.6万円

保険の見直しで重要なのは、「何のための保険か」を明確にすることです。独身時代は親への保障を考えていましたが、結婚後は配偶者の生活保障が主目的になります。

その他の固定費見直し項目

1. 住居費

  • 更新のタイミングで家賃交渉
  • より安い物件への引越し検討
  • 実家での同居も選択肢に

2. 水道光熱費

  • 電力・ガス会社の見直し
  • 節約型の契約プランに変更

3. 各種サブスクリプション

  • 動画配信サービスの整理
  • 使っていない会員サービスの解約
  • 新聞、雑誌の契約見直し

私たちの場合、これらの見直しで月々約3万円、年間36万円の削減に成功しました。

ステップ3:変動費のコントロール術

固定費の見直しが終わったら、次は変動費のコントロールです。変動費は意志力に依存する部分が大きいため、「無理なく続けられる仕組み」を作ることが重要です。

食費削減:外食から自炊へのシフト

私たちの最大の課題は食費でした。月8万円という金額は、明らかに使いすぎでした。

食費削減の具体的方法

  1. 週1回のまとめ買い 買い物頻度を減らすことで、無駄な買い物を防ぎます。私たちは土曜日の午前中に1週間分をまとめて購入するようにしました。
  2. 献立を事前に決める 「今日は何を作ろう?」と悩む時間を減らし、必要な食材だけを購入します。
  3. お弁当作りの習慣化 外食ランチ(1食800円)をお弁当(1食200円)に変えるだけで、月12,000円の節約になります。
  4. 冷凍食品・作り置きの活用 忙しい日でも自炊を続けるため、週末に作り置きをします。

外食ルールの設定

外食を完全にやめるのは現実的ではないため、我が家では以下のルールを設けました。

  • 外食は月2回まで
  • 1回の予算は2人で3,000円以内
  • 特別な日(誕生日、記念日)は別枠
  • 職場の飲み会は月1回まで

結果:食費を月8万円→4万円に削減

これらの取り組みにより、食費を月4万円削減できました。最初は「節約ばかりでつまらない」と感じることもありましたが、2人で料理を作る時間が増え、結果的に夫婦の会話も増えました。

交際費・娯楽費の管理

交際費も大きな出費項目でした。断ることで人間関係が悪くなることを恐れていましたが、適切なお付き合いのバランスを見つけることができました。

交際費管理のポイント

  1. 月の予算を決める 交際費として月2万円の予算を設定し、それを超える場合は翌月の予算から前借りするルールにしました。
  2. 断り方のバリエーションを用意 「今月は予算オーバーなので、来月にしてもらえませんか?」 「今度は我が家でホームパーティーはどうですか?」 など、角の立たない断り方を準備しました。
  3. 本当に大切な付き合いかを考える 惰性で参加している飲み会がないか、定期的に見直しました。

ステップ4:強制貯金システムの構築

貯金なし状態から抜け出すには、「余ったら貯金する」のではなく、「先に貯金分を確保する」仕組みが必要です。

給料日当日の自動振替設定

私たちが実践しているのは、給料日当日に自動的に貯金口座に振り替える仕組みです。

具体的な設定例

  • 給料振込口座:A銀行
  • 生活費用口座:B銀行
  • 貯金用口座:C銀行(定期預金)

給料日に以下の自動振替を設定:

  1. A銀行→C銀行:5万円(貯金分)
  2. A銀行→B銀行:28万円(生活費分)
  3. A銀行残高:2万円(お小遣い分)

この仕組みにより、貯金分は「最初からなかった」ものとして生活することができます。

目標金額の設定

いきなり大きな目標を立てると挫折しやすいため、段階的に目標を設定しました。

第1段階:緊急資金50万円 まず、急な出費に対応できる緊急資金を確保しました。これがあることで精神的な安心感が得られます。

第2段階:借金完済 親からの借金150万円の完済を目指しました。利息がかからないとはいえ、家族関係のためにも早期完済を優先しました。

第3段階:100万円貯金達成 借金完済後は、本格的な資産形成の第一歩として100万円の貯金を目指しました。

私たちの貯金推移

  • 1年目:50万円達成
  • 2年目:借金完済+30万円
  • 3年目:100万円達成
  • 5年目:300万円達成
  • 10年目:1,000万円達成
  • 15年目:3,000万円達成(現在)

ステップ5:収入アップのための行動

支出削減だけでは限界があります。根本的な家計改善のためには、収入アップも重要な要素です。

スキルアップによる昇進・昇格

私が最初に取り組んだのは、職場での評価を上げることでした。

具体的な取り組み

  1. 資格取得 ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、社内での専門性を高めました。
  2. 語学力向上 TOEIC700点を目標に英語学習を継続し、海外案件にも参加できるようになりました。
  3. 社内外のネットワーク構築 積極的に研修や勉強会に参加し、人脈を広げました。

結果:5年で年収100万円アップ

これらの取り組みにより、入社7年目で主任に昇進、年収が100万円アップしました。月割りすると約8万円の収入増加で、家計への影響は大きいものでした。

副業の検討

現在では副業が認められる会社も増えています。私の場合、ファイナンシャルプランナーの資格を活かし、週末に個人相談業務を始めました。

副業選択のポイント

  1. 本業のスキルを活かせるもの
  2. 継続可能な時間配分
  3. 会社の就業規則に抵触しないもの
  4. 初期投資が少ないもの

月2〜3万円程度の副収入ですが、年間30万円以上の家計改善効果があります。

妻の就職・復職

結婚を機に退職した妻も、家計安定のために再就職を検討しました。

復職時の検討事項

  • 扶養内 vs フルタイム
  • 保育園費用などのコスト
  • 通勤時間と家事の両立
  • 将来のキャリア形成

妻の場合、最初はパートタイム(月8万円)で復職し、2年後にフルタイム(月20万円)に切り替えました。この収入増加により、家計の余裕が大幅に改善されました。

ステップ6:借金がある場合の返済戦略

貯金なしで結婚した場合、何らかの借金がある可能性が高いです。借金の効率的な返済方法について解説します。

借金の全体把握

まず、すべての借金を整理しましょう。

整理項目

  • 借入先
  • 残高
  • 金利
  • 月々の返済額
  • 返済期間

私たちの借金整理例

  1. 親からの借入:150万円(無利子、月2万円返済)
  2. 奨学金:80万円(年0.1%、月8,000円返済)
  3. クレジットカード:50万円(年15%、月1万円返済)
  4. 車のローン:100万円(年3%、月15,000円返済)

返済優先順位の決定

金利の高いものから優先的に返済するのが基本です。

返済優先順位

  1. クレジットカード(年15%)
  2. 車のローン(年3%)
  3. 奨学金(年0.1%)
  4. 親からの借入(無利子)

繰り上げ返済の効果

例えば、クレジットカードの50万円を追加で10万円繰り上げ返済した場合:

通常返済の場合

  • 月1万円返済で約6年
  • 利息総額:約20万円

繰り上げ返済後

  • 残高40万円を月1万円返済で約4年
  • 利息総額:約12万円

節約効果:8万円

高金利の借金は、少額でも繰り上げ返済の効果が大きいことが分かります。

借金返済のモチベーション維持

借金返済は長期間にわたるため、モチベーション維持が重要です。

私たちが実践した方法

  1. 返済進捗の見える化 グラフで残高の推移を記録し、減っていく様子を視覚的に確認できるようにしました。
  2. 小さな達成感を大切にする 「残高100万円切った!」「あと50万円!」など、節目ごとに2人でお祝いしました。
  3. 返済完了後の楽しみを設定 借金完済後には「温泉旅行に行こう」という目標を設定し、それを励みに頑張りました。

ステップ7:将来への投資準備

借金の返済が進み、生活が安定してきたら、将来への投資準備を始めましょう。

緊急資金の確保

投資を始める前に、生活費6ヶ月分の緊急資金を確保することが重要です。

緊急資金の目安 月の生活費25万円 × 6ヶ月 = 150万円

この資金は投資に回さず、普通預金や定期預金で確保しておきます。

つみたてNISAの開始

税制優遇のあるつみたてNISAから投資を始めることをお勧めします。

つみたてNISAの特徴

  • 年間40万円まで投資可能
  • 最長20年間非課税
  • 金融庁が認定した投資信託のみ

私たちの投資開始時期と金額

  • 結婚3年目:月1万円から開始
  • 結婚5年目:月2万円に増額
  • 結婚7年目:月3万円に増額(上限)

少額から始めて、徐々に投資額を増やしていくことで、リスクを抑えながら資産形成ができます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の検討

老後資金準備には、iDeCoも有効な手段です。

iDeCoの特徴

  • 掛金が全額所得控除
  • 運用益も非課税
  • 60歳まで引き出し不可

注意点

  • 60歳まで引き出せないため、生活に余裕ができてから始める
  • 手数料がかかるため、月額拠出額は1万円以上が目安

第5章:子どもができた時の家計対策

妊娠・出産でかかる費用の実態

結婚生活が安定してくると、多くのカップルが子どもを考え始めます。しかし、妊娠・出産には予想以上に費用がかかります。

妊娠・出産でかかる費用の内訳

妊娠中の費用

  • 妊婦健診:自己負担約10万円(補助券使用後)
  • マタニティ用品:5万円〜10万円
  • ベビー用品準備:10万円〜20万円

出産費用

  • 分娩費用:40万円〜60万円
  • 出産育児一時金:42万円(健康保険から支給)
  • 実質自己負担:0円〜18万円

産後の費用

  • 産後ケア用品:3万円〜5万円
  • 新生児用品追加:5万円〜10万円

合計:約20万円〜50万円

私たちの実際の出産費用

第一子の出産時の記録をご紹介します。

妊娠中

  • 妊婦健診(自己負担分):12万円
  • マタニティ服・下着:8万円
  • ベビーカー、チャイルドシート等:15万円
  • ベビー服、おむつ等:10万円

出産時

  • 分娩費用:52万円
  • 出産育児一時金:▲42万円
  • 実質負担:10万円

産後

  • 産後ケア用品:4万円
  • 追加ベビー用品:6万円

総額:65万円

当時の私たちには大きな負担でしたが、事前に積み立てていた50万円と親からの出産祝い15万円で賄うことができました。

育児休業中の家計管理

出産後は、妻の育児休業により収入が減少します。この期間の家計管理は特に重要です。

育児休業中の収入変化

妻の収入変化

  • 産前・産後休業:給与の約67%(健康保険から支給)
  • 育児休業:給与の約50%〜67%(雇用保険から支給)
  • 復職まで:約1年〜1年半

我が家の収入変化例

  • 妻の産休前月収:20万円
  • 育児休業給付金:約13万円
  • 世帯収入減少:月7万円、年間約80万円

支出の変化

一方で、育児関連の支出が増加します。

育児にかかる月々の費用

  • おむつ代:月5,000円〜8,000円
  • ミルク代:月3,000円〜6,000円(完全ミルクの場合)
  • 衣服費:月3,000円〜5,000円
  • 医療費:月2,000円〜5,000円
  • 保育園代:月0円〜8万円(認可・無認可により差大)

月々の追加支出:1万円〜10万円

育児休業中の家計シミュレーション

収入

  • 夫の手取り:25万円
  • 育児休業給付金:13万円
  • 児童手当:1万円
  • 合計:39万円

支出

  • 固定費:18万円
  • 食費・日用品:6万円
  • 育児費:3万円
  • その他:5万円
  • 合計:32万円

収支:+7万円

この例では月7万円のプラスですが、保育園に入れない場合や、妻が復職できない場合は、より厳しい家計になります。

保育園費用と復職のタイミング

共働き夫婦にとって、保育園選びと復職のタイミングは重要な判断です。

保育園の種類と費用

認可保育園

  • 費用:世帯年収により決定(月0円〜8万円程度)
  • メリット:費用が安い、延長保育がある
  • デメリット:入園が困難(待機児童問題)

認可外保育園

  • 費用:月5万円〜15万円程度
  • メリット:入園しやすい、柔軟な対応
  • デメリット:費用が高い

私たちの保育園選択体験

第一子の時は認可保育園に入れず、認可外保育園(月8万円)を利用しました。

費用対効果の計算

  • 妻の復職後手取り:18万円
  • 保育園費用:8万円
  • 通勤費:1万円
  • その他経費:1万円
  • 実質手取り:8万円

月8万円の増収では、経済的メリットは限定的でした。しかし、妻のキャリア継続と将来の収入アップを考慮し、復職を決断しました。

復職のタイミング判断基準

  1. 経済的要因 保育園費用を差し引いても、世帯収入が増加するか
  2. キャリア要因 長期的なキャリア形成にプラスになるか
  3. 家庭要因 夫婦で育児・家事を分担できる体制が整っているか
  4. 子どもの要因 子どもの健康状態や発達状況は問題ないか

2人目以降の判断

2人目が生まれた時は、保育園費用が2倍になるため、より慎重な判断が必要でした。

2人分の保育園費用

  • 上の子:月8万円
  • 下の子:月6万円(兄弟割引)
  • 合計:月14万円

この場合、妻の手取り18万円から14万円を差し引くと、実質手取りは月4万円。復職のメリットが大幅に減少します。

私たちは、下の子が3歳になり幼稚園に入園するまで、妻は専業主婦として育児に専念することを選択しました。

教育費の準備戦略

子どもの教育費は長期間にわたる大きな支出です。早めの準備が重要です。

教育費の目安

公立中心の場合

  • 幼稚園:約70万円(3年間)
  • 小学校:約190万円(6年間)
  • 中学校:約150万円(3年間)
  • 高校:約140万円(3年間)
  • 大学:約540万円(4年間)
  • 合計:約1,090万円

私立中心の場合

  • 幼稚園:約160万円(3年間)
  • 小学校:約960万円(6年間)
  • 中学校:約420万円(3年間)
  • 高校:約290万円(3年間)
  • 大学:約700万円(4年間)
  • 合計:約2,530万円

教育費準備の基本戦略

1. 児童手当の活用 児童手当をすべて教育費準備に回すと、15歳まで約200万円貯まります。

月々の児童手当

  • 0歳〜3歳:月15,000円
  • 3歳〜小学校卒業:月10,000円(第1子・第2子)
  • 中学生:月10,000円

2. 学資保険の検討 元本保証で確実に貯められますが、現在は低金利で利回りは期待できません。

学資保険のメリット・デメリット

  • メリット:元本保証、生命保険機能
  • デメリット:低利回り、途中解約リスク

3. ジュニアNISAの活用(2023年で廃止) 2023年で新規投資は終了しましたが、既存の投資分は2028年まで非課税で運用可能です。

4. つみたてNISAでの教育費準備 親名義のつみたてNISAで教育費を準備する方法もあります。

私たちの教育費準備例

第1子(現在10歳)

  • 児童手当積立:約120万円
  • 学資保険:月15,000円(総額270万円)
  • つみたてNISA(教育費用):月20,000円
  • 目標:大学入学時に500万円

第2子(現在7歳)

  • 児童手当積立:約80万円
  • つみたてNISA(教育費用):月15,000円
  • 目標:大学入学時に400万円

第6章:住宅購入のタイミングと資金計画

賃貸 vs 購入の判断基準

結婚生活が安定してくると、住宅購入を検討する時期が来ます。特に子どもができると、より良い住環境を求めて購入を考える夫婦が多くなります。

住宅購入のメリット・デメリット

購入のメリット

  1. 資産形成効果 ローン完済後は住居費負担がなくなり、老後の家計が楽になります。
  2. 住環境の自由度 リフォームやリノベーションで、理想の住環境を作れます。
  3. 心理的安定感 「自分の家」という安心感は、精神的な支えになります。

購入のデメリット

  1. 初期費用の負担 頭金、諸費用で数百万円が必要です。
  2. 維持費用の発生 固定資産税、修繕費、管理費などが継続的にかかります。
  3. 転勤・転職リスク 転勤や転職で引っ越しが困難になります。

私たちの購入体験

私たちは結婚7年目、第1子が3歳の時に中古マンションを購入しました。

購入時の状況

  • 世帯年収:550万円
  • 貯金:600万円
  • 購入物件:築15年中古マンション 2,800万円
  • 頭金:400万円
  • 住宅ローン:2,400万円(35年、変動金利0.6%)

購入の決め手

  1. 家賃8万円を35年払うと3,360万円になる計算
  2. 購入物件の総支払額(ローン+維持費)が家賃以下
  3. 子どもの小学校入学前に環境を安定させたい

住宅ローンの基礎知識

住宅購入で最も重要なのが住宅ローンの選択です。金利や返済方法により、総支払額が大きく変わります。

住宅ローンの種類

1. 変動金利

  • 現在の金利:年0.3%〜0.8%程度
  • メリット:金利が低い
  • デメリット:金利上昇リスク

2. 固定金利(全期間)

  • 現在の金利:年1.3%〜1.8%程度
  • メリット:金利上昇リスクなし
  • デメリット:金利が高い

3. 固定金利選択型

  • 当初10年固定:年0.7%〜1.2%程度
  • メリット:当初期間は金利固定
  • デメリット:固定期間終了後のリスク

返済方法の違い

元利均等返済

  • 毎月の返済額が一定
  • 返済開始当初は利息の割合が高い
  • 総支払額は元金均等より多い

元金均等返済

  • 毎月の元金返済額が一定
  • 返済開始当初の返済額が高い
  • 総支払額は元利均等より少ない

私たちの住宅ローン選択理由

私たちは変動金利を選択しました。理由は以下の通りです。

  1. 金利差のメリット 変動0.6% vs 固定1.5%の差は0.9%。2,400万円なら年20万円以上の差。
  2. 繰り上げ返済計画 10年で完済予定だったため、長期的な金利上昇リスクは限定的。
  3. 金利上昇時の対応策 年収の増加や繰り上げ返済で対応可能と判断。

住宅ローン控除の活用

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、大きな節税効果があります。

控除額

  • 年末ローン残高の0.7%を所得税・住民税から控除
  • 最大控除額:年35万円(認定住宅は年45.5万円)
  • 控除期間:13年間

私たちの控除効果 年末残高2,000万円 × 0.7% = 年14万円の控除 13年間で約150万円の節税効果

頭金とローン額のバランス

住宅購入で最も悩ましいのが、頭金とローン額のバランスです。

頭金を多く入れるメリット・デメリット

メリット

  1. 月々の返済額が減る
  2. 利息負担が軽減される
  3. 住宅ローン控除との兼ね合い

デメリット

  1. 手元資金が減る
  2. 緊急時の対応力が下がる
  3. 住宅ローン控除のメリットが減る

適正な頭金の考え方

私がファイナンシャルプランナーとして相談者にお勧めしているのは以下の基準です。

頭金の目安

  • 物件価格の20%程度
  • ただし、緊急資金(生活費6ヶ月分)は確保
  • 住宅ローン控除の効果も考慮

私たちの頭金決定プロセス

購入時の資産状況

  • 貯金:600万円
  • 物件価格:2,800万円

頭金の検討

  1. 物件価格の20%:560万円
  2. 緊急資金確保:150万円
  3. 諸費用:50万円
  4. 必要資金合計:760万円

貯金600万円では不足するため、頭金を400万円に調整し、残り200万円を手元に残しました。

諸費用の内訳

住宅購入時には、物件価格以外にも諸費用がかかります。

中古マンション購入時の諸費用例

  • 仲介手数料:84万円(物件価格の3%)
  • 登記費用:25万円
  • 住宅ローン事務手数料:15万円
  • 火災保険料:20万円(10年分)
  • 引越し費用:10万円
  • その他(印紙代等):5万円
  • 合計:159万円

物件価格2,800万円に対して約160万円の諸費用は、事前の想定を上回りました。諸費用も含めた資金計画を立てることが重要です。

住宅購入後の家計変化

住宅を購入すると、家計構造が大きく変わります。

月々の住居費比較

賃貸時代

  • 家賃:8万円
  • 更新料(月割り):1万円
  • 合計:9万円

購入後

  • 住宅ローン返済:7.5万円
  • 管理費・修繕積立金:2万円
  • 固定資産税(月割り):1万円
  • 火災保険(月割り):0.5万円
  • 合計:11万円

月々の負担増:2万円

しかし、住宅ローン控除により年14万円(月約1.2万円)の税額控除があるため、実質的な負担増は月8,000円程度でした。

維持費用の実際

購入から8年が経過した現在までにかかった維持費用をご紹介します。

年間の維持費用

  • 固定資産税:12万円
  • 管理費・修繕積立金:24万円
  • 火災保険:2万円
  • 小修繕費:3万円
  • 合計:41万円(月約3.4万円)

賃貸時代にはなかった費用ですが、資産を維持するための必要経費と考えています。

第7章:老後資金の準備戦略

老後資金の必要額を知る

結婚生活が安定し、子育ても一段落すると、次に考えるべきは老後資金です。早めの準備開始が重要です。

老後資金の一般的な目安

厚生労働省の調査によると、夫婦2人の老後生活費は以下の通りです。

最低限の生活費

  • 月22万円
  • 30年間で約8,000万円

ゆとりある生活費

  • 月35万円
  • 30年間で約1億2,000万円

公的年金の見込み額

私たちの場合(夫:会社員、妻:専業主婦→パート)の年金見込み額は以下の通りです。

夫の年金

  • 厚生年金:月15万円
  • 国民年金:月6.5万円
  • 合計:月21.5万円

妻の年金

  • 国民年金:月6.5万円
  • 厚生年金(パート分):月2万円
  • 合計:月8.5万円

世帯合計:月30万円

不足額の計算

最低限の生活の場合 必要額22万円 – 年金30万円 = ▲8万円(黒字)

ゆとりある生活の場合 必要額35万円 – 年金30万円 = 5万円不足 30年間で1,800万円の不足

私たちの場合、年金だけで最低限の生活は可能ですが、ゆとりある生活のためには約1,800万円の準備が必要という結果でした。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用

老後資金準備の中心となるのがiDeCoです。税制優遇が大きく、長期投資に適しています。

iDeCoのメリット

1. 拠出時の所得控除 年収500万円、月2万円拠出の場合、年間約4.8万円の税額軽減

2. 運用益の非課税 20年間で投資元本480万円が600万円になっても、利益120万円は非課税

3. 受取時の税制優遇 退職所得控除や公的年金等控除が適用される

私たちのiDeCo活用例

開始時期と拠出額

  • 夫:35歳から月2.3万円(会社員の上限)
  • 妻:40歳から月2.3万円(専業主婦→パート後)

運用商品の選択

  • 国内株式インデックス:30%
  • 先進国株式インデックス:50%
  • 新興国株式インデックス:10%
  • 国内債券インデックス:10%

25年間の運用結果見込み

  • 拠出元本:1,380万円(夫婦合計)
  • 運用益(年利5%想定):1,100万円
  • 合計:2,480万円

つみたてNISAでの長期投資

iDeCoは60歳まで引き出せないため、つみたてNISAも並行して活用しています。

つみたてNISAの特徴

1. 年間40万円まで投資可能 夫婦それぞれ年40万円、合計年80万円まで

2. 最長20年間非課税 2024年からは新制度で無期限非課税

3. いつでも引き出し可能 iDeCoと違い、必要な時に引き出せる

私たちのつみたてNISA戦略

投資商品

  • 全世界株式インデックスファンド:80%
  • 先進国債券インデックスファンド:20%

投資額の推移

  • 開始時(結婚5年目):月2万円
  • 10年目:月4万円
  • 15年目:月6万円(夫婦で上限近く)

15年間の運用実績

  • 投資元本:約600万円
  • 評価額:約1,000万円
  • 運用益:約400万円

途中、リーマンショック級の下落もありましたが、長期継続により順調に資産が増加しています。

企業年金・退職金の把握

会社員の場合、企業年金や退職金も老後資金の重要な柱です。

企業年金の種類

1. 厚生年金基金

  • 国の厚生年金に上乗せ
  • 企業が保険料を負担

2. 確定給付企業年金(DB)

  • 給付額が事前に約束されている
  • 運用リスクは企業が負担

3. 企業型確定拠出年金(DC)

  • 拠出額は決まっているが給付額は運用次第
  • 運用リスクは従業員が負担

私の勤務先の制度

私の勤務先では企業型確定拠出年金があります。

制度の内容

  • 会社拠出:月2万円
  • 従業員拠出(マッチング):月1万円
  • 合計:月3万円

運用方針

  • 全世界株式インデックス:70%
  • 国内債券:30%

30年間の見込み

  • 拠出元本:1,080万円
  • 運用益(年利5%想定):約1,400万円
  • 合計:約2,480万円

退職金の見込み

勤続35年での退職金見込み額は約1,500万円です。これらを合計すると:

老後資金の全体像

  • iDeCo:2,480万円
  • つみたてNISA:2,000万円(20年後想定)
  • 企業型DC:2,480万円
  • 退職金:1,500万円
  • その他貯金:500万円
  • 合計:8,960万円

必要額1,800万円を大きく上回る計算です。

第8章:家計管理で夫婦関係を良好に保つコツ

お金の話し合いで喧嘩しないルール

お金の問題は夫婦喧嘩の原因になりやすいテーマです。15年間の経験から学んだ、円滑な話し合いのコツをお伝えします。

お金の話し合い基本ルール

1. 定期的な話し合いの日を決める 私たちは毎月最終日曜日を「家計会議の日」としています。

2. 感情的にならない 「なぜこんなに使ったの?」ではなく「どうすれば改善できるか」を考える

3. 過去を責めるより未来を考える すでに使ってしまったお金を責めるより、来月の改善策を話し合う

4. お互いの価値観を尊重する 完全に同じ金銭感覚になる必要はない

私たちが実践している話し合いの流れ

STEP1:家計の現状確認(10分)

  • 今月の収入・支出の確認
  • 予算との比較
  • 貯金額の確認

STEP2:良かった点の共有(5分)

  • 節約できた項目
  • 計画通りにできたこと
  • お互いへの感謝

STEP3:改善点の話し合い(10分)

  • 予算オーバーした項目の原因
  • 来月の改善策
  • 必要に応じてルールの見直し

STEP4:将来の話し合い(5分)

  • 貯金目標の進捗
  • 大きな買い物の予定
  • ライフプランの確認

価値観の違いを乗り越える方法

夫婦で金銭感覚が完全に一致することはありません。私たちも多くの違いがありました。

私たちの価値観の違い

夫(私)の価値観

  • 将来のために節約重視
  • 投資や資産運用に積極的
  • 大きな買い物は慎重に検討

妻の価値観

  • 今の生活の質も大切
  • 子どもや家族のためなら支出OK
  • 必要なものは適度に良いものを

最初の衝突と解決

結婚当初、妻が子ども服に月2万円使っていることで喧嘩になりました。私は「そんなにお金をかける必要はない」と考えていましたが、妻は「子どもには良いものを着せてあげたい」という思いがありました。

解決策:予算内での自由度確保

話し合いの結果、以下のルールを設けました。

  1. 子ども関連費として月3万円の予算を設定
  2. その範囲内なら自由に使える
  3. 予算を超える場合は事前に相談
  4. 年2回、予算の見直しを行う

このルールにより、お互いの価値観を尊重しながら家計管理ができるようになりました。

価値観の違いを活かす方法

違いをマイナスと捉えず、プラスに活かすことも可能です。

我が家の役割分担

  • 夫:長期的な資産運用、保険、税務処理
  • 妻:日々の家計管理、子どもの教育費計画

それぞれの得意分野を活かすことで、より良い家計運営ができています。

子どもにお金の教育をする方法

家計が安定してきたら、子どもにもお金の教育をすることが大切です。

年齢別お金の教育

幼児期(3〜6歳)

  • お買い物ごっこでお金の概念を教える
  • 「お金は大切なもの」ということを伝える
  • 「欲しいもの」と「必要なもの」の違いを説明

小学校低学年(6〜9歳)

  • お小遣い制度の導入
  • 貯金の習慣を身につける
  • 簡単な家計の手伝い

小学校高学年(9〜12歳)

  • 銀行口座の開設
  • お小遣い帳の記録
  • 家族の家計について簡単に説明

中学生以上(12歳〜)

  • アルバイトで働く体験
  • 投資の基本概念を教える
  • 将来の進路とお金の関係を話し合う

我が家のお小遣い制度

基本のお小遣い

  • 小学1年生:月500円
  • 小学2年生:月600円
  • 以降、学年×100円を加算

お手伝い報酬

  • 皿洗い:1回50円
  • 洗濯物たたみ:1回100円
  • 部屋の掃除:1回200円

貯金目標

  • お小遣いの30%は必ず貯金
  • 1年間で目標額に達したらボーナス

この制度により、子どもたちは自然にお金の管理方法を学んでいます。

緊急時の家計対応マニュアル

人生には予期しない出来事が起こります。私たちが経験した緊急事態と対応方法をご紹介します。

私たちが経験した緊急事態

1. 夫の病気による収入減(結婚10年目) 私が入院・手術で3ヶ月間働けなくなりました。

影響

  • 月収25万円→傷病手当金17万円
  • 医療費:月5万円
  • 実質的な月収減:13万円

対応策

  • 緊急資金150万円を活用
  • 妻のパート時間を増加
  • 不要な固定費の一時停止

2. 親の介護費用(結婚12年目) 妻の母親が要介護状態になり、月10万円の費用が発生しました。

対応策

  • 介護保険の活用
  • 兄弟での費用分担
  • 住宅ローンの繰り上げ返済を一時停止

緊急時対応の基本方針

1. 慌てずに現状把握

  • 緊急資金の残高確認
  • 月々の必要最低限の支出計算
  • 利用可能な公的制度の確認

2. 支出の優先順位決定

  • 生活に必要不可欠な支出
  • 一時的に停止可能な支出
  • 完全に不要な支出

3. 収入確保の検討

  • 副業の開始・拡大
  • 家族の就労時間増加
  • 不用品の売却

4. 長期的な影響の検討

  • 将来の貯金計画への影響
  • 住宅ローンや教育費計画の見直し

緊急時に役立つ制度

公的制度

  • 傷病手当金(健康保険)
  • 失業給付(雇用保険)
  • 生活福祉資金貸付制度
  • 住宅確保給付金

民間の制度

  • 住宅ローンの支払猶予
  • クレジットカードの支払猶予
  • 生命保険の貸付制度

まとめ:貯金なし結婚から幸せな家計を築くために

私たちの15年間の軌跡

貯金15万円で結婚した私たちが、現在3,000万円の資産を築くまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。借金200万円を抱えた時期もありましたが、夫婦で協力して乗り越えることができました。

15年間の資産推移

  • 結婚時:65万円(夫婦合計の貯金)
  • 2年目:▲135万円(借金が貯金を上回る)
  • 5年目:300万円(借金完済、貯金開始)
  • 10年目:1,200万円(住宅購入、投資開始)
  • 15年目:3,000万円(現在)

年間平均の資産増加額:約200万円

この増加の要因は以下の通りです。

支出管理

  • 固定費見直し:年36万円削減
  • 変動費コントロール:年60万円削減

収入増加

  • 夫の昇進・昇格:年100万円増
  • 妻の復職:年120万円増
  • 副業収入:年30万円

投資運用

  • つみたてNISA:年40万円拠出
  • iDeCo:年30万円拠出
  • 運用益:年平均50万円

成功の秘訣:3つのポイント

15年間を振り返って、成功の秘訣は以下の3つだと感じています。

1. 夫婦での価値観共有 お金に対する考え方を定期的に話し合い、目標を共有することで、同じ方向に向かって努力できました。

2. 段階的な目標設定 いきなり大きな目標を立てるのではなく、「まずは借金完済」「次に100万円貯金」と段階的に目標を設定しました。

3. 継続可能な仕組み作り 無理な節約や過度な我慢ではなく、自動化や習慣化により継続可能な仕組みを作りました。

今、貯金なしで結婚を考えているあなたへ

もしあなたが今、貯金なしで結婚することに不安を感じているなら、以下のことをお伝えしたいと思います。

1. 貯金なしでも結婚はできる 大切なのは、貯金の額ではなく、結婚後にどう行動するかです。

2. 早めの行動が人生を変える 家計改善は早く始めるほど効果が大きくなります。結婚を機に、お金と真剣に向き合いましょう。

3. 夫婦で協力すれば乗り越えられる 一人では困難なことも、夫婦で力を合わせれば必ず乗り越えられます。

4. 完璧を求めすぎない 時には失敗もあります。大切なのは、失敗から学んで軌道修正することです。

最後に:お金は幸せな結婚生活の手段

15年間の結婚生活を通じて学んだ最も大切なことは、「お金は幸せな結婚生活を送るための手段であって、目的ではない」ということです。

お金があっても夫婦関係が悪ければ幸せではありませんし、お金がなくても工夫次第で豊かな生活を送ることは可能です。

ただし、最低限の経済的安定は、心の余裕を生み、夫婦関係を良好に保つために重要です。お金の心配がなくなることで、お互いの良いところに目を向ける余裕が生まれ、感謝の気持ちを表現することも増えます。

私からあなたへのメッセージ

貯金なしで結婚することは、確かに不安もあります。しかし、それは新しいスタートラインに立つということでもあります。二人で力を合わせて、ゼロから築き上げていく過程には、お金では買えない特別な価値があります。

今日から、小さな一歩を踏み出してください。家計簿をつける、固定費を見直す、将来の目標を話し合う。どんなに小さなことでも構いません。

あなたの結婚生活が、愛情とお金の両方で豊かなものになることを心から願っています。そして、困った時には、専門家に相談することを恐れないでください。ファイナンシャルプランナーとして、いつでもあなたの力になりたいと思っています。

お問い合わせ・ご相談について

この記事を読んで、具体的な相談をしたいという方は、お住まいの地域のファイナンシャルプランナーにご相談ください。日本FP協会のウェブサイトで、認定ファイナンシャルプランナーを検索することができます。

また、各自治体でも家計相談窓口を設けている場合があります。無料相談も多いので、ぜひ活用してください。

あなたの幸せな結婚生活のスタートを、心から応援しています。


この記事を書いた人 田中太郎(CFP®認定者、AFP認定者) 大手銀行での個人向け資産運用コンサルタント経験10年、証券会社での投資アドバイザー経験5年。自身も貯金なしで結婚し、現在は3,000万円の資産を形成。「お金の不安で眠れない夜を過ごしている人の心を軽くしたい」という想いで、実体験に基づく家計改善アドバイスを提供している。

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