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配偶者控除ガイド:適用条件、メリット、申請の全手順解説!

寒い季節が訪れ、一年の終わりが近づく頃、私たちの多くは会社から渡される年末調整の書類に目を通します。その中に、「配偶者控除」という項目があり、これが何を意味するのか、どのように私たちの税金に影響を与えるのか、深く理解している方は少ないかもしれません。

この配偶者控除とは一体何なのでしょうか?簡単に言えば、これは配偶者が稼ぐ金額に基づいて、あなたの所得税を減らすことができる日本の税制上の優遇措置です。具体的には、配偶者の年間所得が一定の金額以下であれば、その人の配偶者としてあなたが受けることができる税金の控除です。

この記事では、この配偶者控除がどのように機能するのか、どのように計算されるのか、そしてあなたが全額の恩恵を受けるために知っておくべき重要な情報を、明確かつ親しみやすい言葉で解説していきます。

配偶者控除は、適用されると所得税が大きく軽減されるため、この制度を理解し、正しく適用することは非常に重要です。間違って控除を受け損ねたり、計算ミスがあると、その結果、あなたが支払う税金が不必要に多くなってしまう可能性があります。だからこそ、この記事を通じて、配偶者控除の適切な申告の重要性と方法を、一緒に学んでいきましょう。

理解しやすく解説: 配偶者控除のメカニズムとその計算方法

「配偶者控除」という言葉、耳にしたことがあるかもしれませんね。これは、私たちが毎年支払う所得税や住民税を計算する際に非常に重要な役割を果たす「所得控除」の一種です。

ここで少し立ち止まって、所得税がどのように計算されるのか、基本をおさらいしましょう。所得税は、あなたの年間総所得から各種の所得控除(この中に配偶者控除も含まれます)を差し引いた金額に、所定の税率を適用して算出されます。

具体的な計算式は以下の通りです: 課税所得 = 総所得 – 各種所得控除 所得税 = 課税所得 × 税率

例を挙げましょう。もし給与所得が300万円で、所得控除が50万円だった場合、課税所得は250万円となります。所得控除が増えれば増えるほど、課税所得は減少し、結果的に支払う税金も少なくなるのです。

さて、ここで「配偶者控除」の舞台に戻りましょう。この控除は、配偶者の年間所得が特定の金額以下である場合に、納税者が受けることができる控除です。例えば、夫が会社員で、妻が家庭を守る専業主婦であれば、夫の年収から配偶者控除が差し引かれ、支払う税金が減少する、というわけです。

では、具体的にどのような条件の人が配偶者控除の対象になるのでしょうか?

配偶者控除が適用されるのは以下の条件を満たす人です:

  1. 納税者の配偶者であること。
  2. 納税者と同じ生計を営むこと。
  3. 年間所得が48万円以下であること。

「年間所得」とは、その年の1月1日から12月31日までの間に得た総所得のことを指します。なお、配偶者の給与収入が103万円までであれば、給与所得控除(55万円)が適用され、実質的な所得が103万円 – 55万円 = 48万円となり、配偶者控除の条件を満たすことができます。このため、パートで働く主婦などは、「103万円の壁」を意識して、この条件を満たすように給与を調整することがあります。

それでは、配偶者控除の具体的な金額について見ていきましょう。配偶者控除の金額は、納税者の所得額や配偶者の年齢に応じて異なります。以下にその早見表を示します。

配偶者の年齢はその年の12月31日時点でのものが適用されます。

納税者の所得 控除額 配偶者70歳未満 配偶者70歳以上 900万円以下 38万円 48万円 900万円超~950万円以下 26万円 32万円 950万円超~1,000万円以下 13万円 16万円

例えば、夫が会社員で妻が専業主婦の家庭の場合、夫の年収が高額であるほど配偶者控除の額は少なくなり、年収が1,000万円を超えると、この控除を受けることはできません。また、70歳以上の配偶者は「老人控除対象配偶者」として扱われ、70歳未満の人よりも控除額が高く設定されています。

このように、配偶者控除は一見複雑に見えるかもしれませんが、しっかりと理解し、適切に利用することで、家計に優しい結果をもたらす重要な制度なのです。

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

配偶者の所得条件「年間所得が48万円以下であること」を満たさない場合でも、配偶者の所得が一定額以下であれば、「配偶者特別控除」を利用することができます。

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の主な違いは以下の通りです。

  1. 適用される所得の範囲:
    • 「配偶者控除」は、配偶者の年間所得が48万円以下の場合に適用されます。
    • 「配偶者特別控除」は、配偶者の年間所得が48万円を超え、133万円以下の場合に段階的に適用されます。
  2. 控除額の違い:
    • 配偶者の所得が増加するにつれて、配偶者特別控除の控除額は減少します。一方、配偶者控除は一律の額です。

参考:国税庁「No.1195 配偶者特別控除」

1​ 配偶者特別控除の適用を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 納税者の配偶者であること。
  • 納税者と同じ生計を持つこと。
  • 年間所得が48万円超133万円以下であること。
  • 配偶者特別控除を他で利用していないこと。 など

納税者の年間所得が1,000万円を超える場合、配偶者特別控除を利用することはできません。

2​ 配偶者特別控除の金額は、納税者と配偶者の年間所得の合計によって異なります。以下にその詳細を示します。

配偶者の年間所得 | 納税者の年間所得

900万円以下900万円超~950万円以下950万円超~1,000万円以下
48万円超~95万円以下38万円26万円
95万円超~100万円以下36万円24万円
100万円超~105万円以下31万円21万円
105万円超~110万円以下26万円18万円
110万円超~115万円以下21万円14万円
115万円超~120万円以下16万円11万円
120万円超~125万円以下11万円8万円
125万円超~130万円以下6万円4万円
130万円超~133万円以下3万円2万円

例えば、配偶者が70歳未満で年間所得が「48万円超~95万円以下」の場合、配偶者特別控除は配偶者控除と同額です。

また、納税者の年間所得が950万円を超え、1,000万円以下で、配偶者の年間所得が130万円を超え、133万円以下の場合、控除額は最も少ない1万円となります。

配偶者控除額の計算シミュレーションと考え方

配偶者控除や配偶者特別控除の額は、夫婦の年間所得や配偶者の年齢などによって異なります。具体的な金額を理解するために、モデルケースを使ってシミュレーションしてみましょう。ここでは、夫婦ともに70歳未満で、収入が給与のみの場合を考えます。

  1. 年収(給与収入)から給与所得控除を引いた金額が「年間所得」となります。年収162万5,000円までの給与所得控除額は55万円で、それ以上の年収では控除額が年収に応じて増え、最大で195万円までとなります。
  2. 例えば、納税者の年収が700万円、配偶者の年収が95万円の場合:
    • 納税者の年間所得は520万円(給与所得控除180万円)、配偶者の年間所得は40万円(給与所得控除55万円)。
    • 納税者の年間所得が1,000万円以下で、配偶者の年間所得が48万円以下のため、配偶者控除が適用され、控除額は38万円となります。
  3. もし納税者の年収が1,100万円、配偶者の年収が180万円の場合:
    • 納税者の年間所得は905万円(給与所得控除195万円)、配偶者の年間所得は125万円(給与所得控除55万円)。
    • 配偶者の年間所得が48万円を超えるため、配偶者控除は受けられませんが、配偶者特別控除が可能で、その額は8万円です。
  4. 納税者本人の年収が1,195万円を超える場合、納税者の年間所得は1,000万円を超えるため、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません。

配偶者の年収が201万円を超えると、配偶者特別控除は受けられなくなります。配偶者の年収がこの水準に近い場合、控除額は最大でも3万円となり、それほど大きな額ではありません。ですから、給与を抑えるよりも、収入を増やして夫婦の手取りを増やす方が効果的です。

また、配偶者が出産手当金や育児休業給付金を受け取っている場合でも、配偶者控除・配偶者特別控除の適用が可能です。これらの給付は非課税であり、配偶者の所得には含まれません。夫婦が共に会社員で共働きの場合でも、特定の条件を満たしていれば、所得控除を受けることができます。

配偶者の年収によって現れる「〇〇〇万円の壁」とは何か?

従業員の配偶者がパートタイムやアルバイトで働く際、年収の基準としてよく引き合いに出されるのが「〇〇〇万円の壁」です。

「〇〇〇万円」は、この金額を超えると税金や社会保険などの負担が増える年収の節目を指します。

それでは、各「〇〇〇万円の壁」について詳しく見ていきましょう。

年収100万円の壁:住民税が課せられる 「年収100万円の壁」とは、住民税が課される年収の境界を指します。

パートタイムやアルバイトであっても、年収が100万円を超えると住民税が課されるようになります。

住民税には「所得割」と「均等割」という2種類があり、年収100万円を超えると「所得割」が課されます。

所得割:所得金額に応じた地方税で、税率は10%です。 均等割:所得者全員(免除制度がある)に課される地方税で、税額は全国一律で5,000円です。 住民税を避けるために、年収を100万円以下に抑えようとする人もおり、「年収100万円の壁」と称される理由です。

年収103万円の壁:所得税が課せられる、配偶者控除の影響 「年収103万円の壁」とは、配偶者控除が適用される配偶者の年収上限額を指します。

これは、所得税が課される年収の節目でもあります。

給与所得者の所得税を計算する際には、年収から「給与所得控除」と「基礎控除」を差し引いた後、所得税率が適用されます。

年収162万5,000円以下の場合、給与所得控除は55万円、基礎控除は48万円となります。

控除の合計が103万円であるため、年収103万円以下であれば所得税は課されません。

配偶者の年収を103万円以下に抑えると、所得税は発生せず、加えて配偶者控除の適用を受けられます。

年収106万円の壁:社会保険料が課せられる(一定の条件下) 「年収106万円の壁」とは、社会保険料が課される年収の節目を指します。

社会保険料には「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の3種類が含まれます。

40歳未満の人は、介護保険料は課されません。

しかし、年収が106万円を超え、社会保険に加入するのは以下の条件を満たす従業員のみです。

勤務先が「従業員101人以上の企業」または「100人以下だが社会保険加入に労使間の合意がある企業」 週の所定労働時間が20時間以上 2ヶ月以上の雇用が見込まれている 学生でない 国の「社会保険料適用拡大」政策により、2022年10月から対象となる企業の従業員数が「501人以上」から「101人以上」に変更されました。

さらに、2024年10月には、「従業員数が51人~100人の企業」も対象になります。

参照:厚生労働省「平成28年10月からの厚生年金保険・健康保険の加入対象拡大について(社会保険適用拡大)」 参照:厚生労働省「従業員数500人以下の事業主の皆様へ」

年収130万円の壁:社会保険料が課せられる 先述の社会保険の加入条件を満たさない場合でも、年収が130万円を超えると、勤務先の社会保険に加入しなくてはなりません。

自営業の場合は、国民年金や国民健康保険に加入します。

例えば、夫が会社員で妻がパートタイム労働者の場合、妻の年収が130万円以下であれば、夫の扶養として健康保険料や年金保険料の支払いは不要ですが、年収が130万円を超えると扶養から外れます。

社会保険料は給与の約15%となり、手取り収入は減少しますが、これは100万円や103万円の壁を超えた場合よりも大きな負担と感じられることでしょう。

しかし、社会保険に加入することで、将来の年金受給額が増えるメリットもあります。

参照:厚生労働省「社会保険について」

年収150万円の壁:配偶者特別控除の適用限界 「年収150万円の壁」とは、配偶者特別控除が適用される配偶者の年収上限額を指します。

配偶者の年収が150万円以下であれば、配偶者特別控除(最大で38万円)が適用されますが、年収が150万円を超えるとこの控除の適用が受けられなくなります。

この制度は、配偶者の年収が増えるとともに控除額が減少していくため、150万円の壁を超えると税金の負担が急増します。

参照:国税庁「所得税の控除について」

年収200万円の壁:所得税率が変わる 「年収200万円の壁」とは、所得税率が変わる年収の節目を指します。

所得税率は所得金額に応じて段階的に上昇します。

年収が200万円を超えると、所得税率が5%から10%に上昇します。

所得税率の上昇により、手取り収入は減少しますが、社会保険料の15%に比べれば影響は少ないでしょう。

参照:国税庁「所得税の税率について」

以上のように、「〇〇〇万円の壁」とは、税金や社会保険などの負担が増える年収の節目を指し、多くのパートタイムやアルバイト労働者が直面する問題です。

「〇〇〇万円の壁」を超えると、手取り収入が減少しますが、将来の年金受給額の増加など、メリットも存在します。

年収を増やすことで生じる負担とメリットを理解し、バランスの取れた働き方を模索することが重要です。

配偶者控除・配偶者特別控除の手続き方法

電子申請を行う場合、国税庁が提供する「e-Tax」システムを使用します。このシステムを利用すると、紙の書類を作成・郵送する手間が省け、24時間いつでも申告が可能です。ただし、e-Taxを利用するには、予め利用者登録(IDとパスワードの取得)が必要です。

参考:国税庁「e-Taxのご利用方法」

また、確定申告の締め切りは原則として2月16日から3月15日までですが、年によって異なる場合があります。確定申告を行う際には、その年の締め切り日を事前に確認し、期限内に申告を完了させるようにしましょう。

締め切りを過ぎた場合、遅延措置として罰則が科せられる可能性があります。これには、遅延金や加算税などが含まれ、申告額に応じて金額が決まります。

配偶者控除や配偶者特別控除は、家計に大きな影響を与える重要な制度です。手続きは複雑に感じるかもしれませんが、適切に行うことで税金の負担を適正に保ち、家計を助けることができます。不明点がある場合は、税務署や税理士に相談することも重要です。

まとめ:配偶者控除とは何か理解して負担を抑えよう

まとめとして、配偶者控除と配偶者特別控除は、税制上のメリットを利用して家計の税負担を軽減する重要な手段です。これらの制度は、配偶者の収入が一定の基準以下である場合に、納税者の所得税を減少させることを目的としています。

  1. 配偶者控除の適用を受けるためには、納税者の年収が1,000万円以下であること、また配偶者の年収が103万円以下(但し、1.03万円を超える収入がある場合は、その分だけ控除額が減少します)であることが条件となります。
  2. 控除の適用を受けるには、年末調整時または確定申告時に必要な手続きを行う必要があります。会社員の場合は年末調整を、自営業者や確定申告が必要な会社員の場合は確定申告を通じて手続きが行われます。
  3. 配偶者の収入が控除の上限を超えると、そのメリットを受けることができなくなるため、収入管理には注意が必要です。
  4. 手続きの際には、配偶者の収入や必要な書類の提出漏れがないよう、十分に注意を払いましょう。誤った情報が提供された場合、後に修正申告が必要になることがあります。

配偶者控除や配偶者特別控除を適切に活用することで、家計の経済的負担を減らし、より安定した生活を送ることが可能になります。これらの控除のルールや申告方法について正しく理解し、適切に手続きを行うことが重要です。必要に応じて、専門家のアドバイスを求めることも考慮しましょう。

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