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貯金2,000万円から始める資産運用10選 – 老後の安心を高める投資戦略

お持ちの2,000万円の貯蓄が将来への安心感をもたらす一方で、将来起こりうるインフレの影響を考慮すると、この金額だけでは十分ではない可能性があります。そのため、今こそ、その資産の一部を効果的に運用し、さらなる資産形成を目指す時です。

この記事では、2,000万円の貯金を持つ人々が資産運用を開始するメリット、そして推奨される資産運用方法をリスクごとに紹介します。

目次

2,000万円の貯金を持つ人が資産運用を始める利点

2,000万円という額は、長期間にわたる生活費に割り当てることができる安心感を提供します。しかしながら、現在の経済や社会における不確実性を鑑みると、追加の収入源を探求することも重要かもしれません。

貯蓄の一部を資産運用に回すことで、多くの利点が得られます。

メリット1: インフレリスクによる資産の減少を軽減

資産運用を開始することで、インフレによる資産の価値減少を抑制することが可能です。インフレとは、物価が上昇し、貨幣の相対的価値が低下する状況を指します。

日本では年間2%の物価上昇を目標とする経済政策が実施されており、国際通貨基金(IMF)の「World Economic Outlook Databases」によると、2022年の物価上昇率は1.989%(2022年10月時点)と報告されています。

物価上昇は着実に進んでいる一方で、普通預金や定期預金の金利はわずか0.001~0.2%に過ぎず、2,000万円を1年間預けてもたった200円~40,000円の利息しか得られません。これではインフレによる物価上昇に対抗することは難しいでしょう。

インフレの進行によっては「将来の2,000万円が現在の1,500万円相当の価値にしかならない」という状況が生じ得ます。これを避けるためにも、効果的な資産運用を行い、物価上昇に負けないように資産を増やすことが必要です。

メリット2.老後の資産形成の助けになる

老後の生活を安心して送るためには、資産運用が非常に有効な手段となります。皆さんは、自分たちの老後に必要な月々の生活費をどれくらい想定しているでしょうか。2022年度の生命保険文化センターによる調査では、夫婦二人での老後の生活に必要とされる最低限の日常生活費は平均で月額23.2万円とされています。

日本人の平均寿命を考慮すると、厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、2021年時点で男性は81.47歳、女性は87.57歳です。65歳から85歳までの20年間を夫婦で過ごすと想定した場合、最低限の生活を維持するためには、23.2万円×12ヶ月×20年=5,568万円が必要になります。

しかし、単に生きるための最低限の生活ではなく、「ゆとりある生活」を送りたいと思うと、さらに多くの資金が必要です。同じ調査によると、夫婦二人でゆとりある生活を送るには、1ヶ月あたり37.9万円が必要とされており、これを20年間続けると、合計で約9,096万円が必要になります。

老後の主な収入源として年金がありますが、これだけでは生活費に大きな不足が生じます。令和4年の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)の標準的な金額は月額21.9万円で、これを20年間受け取ると合計で5,256万円となります。これでは最低限の生活費に対して312万円、ゆとりある生活費に対しては3,840万円の不足が生じます。

退職金を加えても状況は改善されますが、厚生労働省によると、大学卒の管理・事務・技術職の平均的な退職金は約1,983万円です。この退職金を加えても、ゆとりある生活費に対しては1,857万円が不足します。つまり、2,000万円の貯金を持っていても、ほぼ全てを使い果たすことになるでしょう。

さらに、老後には介護のためのリフォームや介護施設への入居費用、家族への援助など、予想外の出費も発生する可能性があります。このような状況を踏まえると、2,000万円の貯金があっても、老後に安心して豊かな生活を送るためには、十分ではないことが理解できます。若いうちから資産運用を開始し、効率的に資産を増やすことが、より安定した未来への鍵となります。

メリット3.資産運用で不労所得を実現できる

資産運用によって不労所得を生み出すことは、老後の安定した生活を実現する上で非常に重要な戦略です。このアプローチにより、労働によらない収入源を確保することが可能になります。例えば、株式投資を行う場合、保有している株の価格が上昇することにより、実現しない限りは形のない含み益を生むことができます。そして、その株を売却することで、売買差益として具体的な利益を得ることができます。

さらに、株式投資では長期間にわたって株を保有し続けることで、定期的な配当金や株主優待などの利益を受け取ることもできます。これらは、株価の変動とは無関係に、保有しているだけで得られる収入です。このように、不労所得を生み出すことは、時間やエネルギーを別の活動に充てることができ、生活の質を高める一方で、経済的な安定をもたらします。

副業や複業に頼らなくても、資産運用を通じて第二、第三の収入源を確保することは、資産運用の大きなメリットの一つです。これは特に退職後の生活を考慮するとき、重要になります。退職後には、定期的な収入が減少するため、不労所得は生活費を補うための重要な手段となります。また、このような収入源は、予期せぬ経済的な困難や緊急時の財政的なサポートとしても機能します。

したがって、資産運用による不労所得の獲得は、経済的な安定と老後の安心につながる重要な要素です。この方法は、時間とリスク管理を適切に行うことで、長期的に見て経済的な利益を最大化し、生活の質を向上させることができます。

2,000万円で始めるおすすめの資産運用方法9選

資産運用を行う際には、自分に合った投資方法を見極めることが非常に大切です。リスクとリターンは密接に関連しており、投資を始める前に「どの投資が自分のニーズに最適か」を慎重に検討する必要があります。

ここでは、リスクとリターンのバランスに基づいて、さまざまな投資方法を「ローリスク・ローリターン」「ミドルリスク・ミドルリターン」「ハイリスク・ハイリターン」という3つのカテゴリに分けて紹介します。

ローリスク・ローリターンの投資方法

リスクが低く、それに比例してリターンも低い投資方法には、「債券」と「保険」が含まれます。これらの投資は、価格の大きな変動が少ないため、大きな利益を得ることは難しいかもしれませんが、元本を大きく減らすリスクも少なく、安定して利益を積み重ねることが可能です。

資産運用1:円建て債券(国債)

債券は、国や企業が資金を調達するために発行する有価証券です。債券に投資すると、満期までの間、定期的に利子を受け取ることができ、満期時には投資した元本と利子が返済されます。

特に、「個人向け国債」などの国債は、日本政府が発行元であり、日本のような先進国の信用と政治的安定性が背景にあります。国債に投資する日本人投資家には、為替リスクの心配もありません。

リスクを最小限に抑えつつ、確実に利子を受け取りたい方に適しています。ただし、外貨建ての国債の場合は、為替リスクが存在し、為替の変動によっては元本割れのリスクも考慮する必要があります。

資産運用2:信用度の高い社債

社債は、企業が資金を調達するために発行する有価証券です。債券では一般的に、発行体の信用度と利回りが反比例する傾向があります。したがって、一般企業が発行する社債は国債よりも高い利回りが期待できますが、国債に比べると安全性に関しては注意が必要です。

特に、債券や発行体の「格付け」が低い債券に投資する場合、デフォルト(債務不履行)のリスクがあり、投資した資金が返ってこない可能性も考慮する必要があります。安定した利回りを求めつつ、ある程度のリスクを受け入れられる投資家に適しています。

資産運用3.貯蓄型の保険

貯蓄型保険は、資産運用としても活用可能な生命保険の一種です。これには終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などが含まれ、契約解約時に返戻金を受け取ることができたり、契約満期時に満期保険金が支払われたりする特徴があります。

例えば、終身保険では、保険料の払込期間終了後に解約すれば、払い込んだ保険料以上の解約返戻金を受け取ることが可能です。また、万が一の際には、遺族への死亡保険金として葬儀費用などに使用できます。ただし、注意が必要なのは、定期保険や収入保障保険などの掛け捨て型保険には貯蓄機能がなく、資産運用には向いていない点です。

ミドルリスク・ミドルリターンの投資

ミドルリスク・ミドルリターンの投資は、ローリスクな商品と比較して価格変動が大きいため、短期的には元本割れのリスクがあります。しかし、長期的な投資を行いリスクを分散させることで、資産の大幅な増加が期待できます。バランスの良いリスクとリターンの関係から、多くの投資家にとってメインの資産運用手段として適していると言えます。

資産運用4:投資信託・ETF

投資信託は、多くの投資家から資金を集め、プロの運用会社やファンドマネージャーがこれを運用する商品です。得られた運用益は、投資口数に応じて投資家に還元されます。個別株投資のように自分で銘柄の選定や売買を行う必要がないため、投資初心者にも取り組みやすい方法です。

また、少額から投資することが可能で、最小100円からの投資も可能です。これは、大きな金額を一度に投資することに抵抗がある人にとっても、気軽に投資に参加する機会を提供します。特にインデックスファンドのような、特定の指数に連動する投資を選択すれば、その指数に含まれる全銘柄への間接投資を通じて、リスクを抑えた投資が実現可能です。

一方で、ETF(上場投資信託)は市場に上場している投資信託で、株式のようにリアルタイムでの売買が可能です。分散投資の利点を活かしつつ、より柔軟に運用できるのが魅力です。しかし、自動積立投資に対応していないものが多いため、定期的な積立を希望する人には不向きかもしれません。

資産運用5.不動産投資・REIT

不動産投資は、将来性のある土地や建物を購入し、それらを運用することで利益を得る投資方法です。このタイプの投資の大きな特徴は、株式や債券とは異なり、具体的な物理的資産(不動産)を保有することです。株式と比べると価格変動のリスクが比較的低く、適度な元手があればローンを利用して投資に挑戦することが可能です。

しかし、不動産投資の主な収益源は家賃収入であるため、空室が発生すると予定した利回りが得られない可能性があり、その結果、赤字に陥るリスクもあります。

一方で、物理的な不動産への直接投資ではなく、不動産投資信託(REIT)を通じて間接的に不動産市場に参入する方法もあります。日本での不動産投資信託はJ-REITとして知られており、これらの特徴は高い配当利回りにあります。J-REITは、収益の90%以上を分配することで法人税の免除を受けられるため、利益の大部分が投資家に還元される構造になっています。

配当を目的とした株式投資

株式投資は、企業の株式を購入し、その企業の株主となることで、株価の上昇による売却益や配当金を得る方法です。ただし、どの株式を選ぶかは非常に重要で、将来性や価格の割安さなどをしっかり分析する必要があります。

例えば、日本のソニーや米国のApple、Teslaなどのハイテク関連株は「グロース株」と呼ばれ、長期的な成長トレンドにある場合、株価が数倍に跳ね上がる可能性があります。これに対して、食品や金融、エネルギーなどの成熟した市場の株式は「バリュー株」として知られており、株価の大きな上昇は期待しにくいものの、高い配当を提供する銘柄が多いのが特徴です。

バリュー株を長期保有することで、定期的に配当や株主優待を受け取ることができます。また、これらの株はグロース株に比べて価格の変動が小さいため、比較的リスクが低いと言えます。

金利が上昇すると一般的にグロース株の価格は下落する傾向がありますが、そのような状況下では高配当のバリュー株が注目されることが多いです。適切なタイミングでバリュー株に投資することで、売買差益を得る機会もあります。投資家にとっては、市場の動向をしっかりと分析し、適切な投資時期を見極めることが成功の鍵となります。

資産運用7.ヘッジファンド

ヘッジファンドは、一般に私募ファンドとして知られる特殊な投資方法です。このファンドは金融機関や富裕層から資金を集め、様々な投資戦略を用いて利益を追求します。ヘッジファンドは投資信託に似た仕組みを持ちますが、主要な違いは公募されない点にあります。

ヘッジファンドは、株式や債券の投資に加えて、先物取引や信用取引などさまざまな手法を駆使し、市場の状況に関係なく利益を目指す設計になっています。この柔軟性と高いリスク管理能力が、ヘッジファンドの大きな特徴となっています。

資産運用8.ロボアドバイザー

一方、ロボアドバイザーはAIを活用した資産運用のサービスです。このサービスには、投資家個々に最適なポートフォリオを提案する「アドバイス型」と、投資資金を預けるだけで自動的に資産運用を行ってくれる「投資一任型」の二つのタイプがあります。

ロボアドバイザーの大きなメリットは、金融知識がなくても安心して投資を行える点です。多忙で市場を常にチェックする時間がない人や、投資に関する初心者であっても、ロボアドバイザーを利用することで効率的な資産運用を行うことが可能です。AIによる分析と管理に基づく投資戦略は、投資のプロと同様の成果をもたらすことが期待されています。

これらの資産運用方法は、リスク許容度や投資に対する姿勢、さらには個人の生活スタイルや時間の制約などに応じて選択することが重要です。ヘッジファンドはより積極的な投資戦略を求める富裕層や専門投資家向けであり、ロボアドバイザーは時間や知識に制約のある一般投資家に最適な選択肢となり得ます。

ハイリスク・ハイリターンの投資

ハイリスク・ハイリターンの投資カテゴリーの中で、特に先物取引は注目に値します。この取引手法は、将来の特定の時期に特定の価格で商品や金融商品を売買する約束を行うものです。取引を開始する際には実際のお金の受け渡しは行われず、取引の決済時に価格の差額分が受け渡されます。

資産運用9.先物取引

先物取引の魅力は、買いからでも、あるいは売りから(空売り)でも取引を開始できる点にあります。これにより、市場が上昇している時だけでなく、市場が下落している局面でも利益を目指すことが可能になります。

さらに、証拠金として一定の担保を提供することにより、レバレッジを利かせた大きな取引を行うこともできます。これにより、比較的少額の資金でも大規模な取引を行うことが可能となり、大きなリターンを得るチャンスがあります。しかし、これには同時に大きなリスクも伴いますので、初心者はまずはミドルリスク・ミドルリターンの投資に慣れ、徐々に自分のリスク許容度に応じて先物取引を始めることが推奨されます。

2,000万円で始めるおすすめの年代別ポートフォリオ

「2,000万円を持つ人」がどのようなポートフォリオを選ぶべきかは、年齢やリスク許容度によって大きく異なります。たとえば、債券は価格変動が少なく、資産を守るのに適していますが、資産を大きく増やすのには向いていません。一方で、株式投資や投資信託は高リスクであり、価格の大きな変動に耐えられなければ、投資の意味が失われてしまいます。

適切なポートフォリオを組むには、ミドルリスク・ミドルリターンとローリスク・ローリターンの投資方法を上手く組み合わせることが重要です。一般的には、自分の年齢に相当する比率で債券などの安全資産を保有することが推奨されます。たとえば、30代や40代の投資家は、成長を期待できる株式や投資信託をポートフォリオに含めつつ、安定した債券でリスクをバランス良く管理することが理想的です。

【30代のポートフォリオの一例】

項目ポートフォリオに占める投資比率
国内債券10%
外国債券20%
国内株式30%
外国株式50%

スクロールできます

【40代のポートフォリオの一例】

項目ポートフォリオに占める投資比率
国内債券15%
外国債券25%
国内株式20%
外国株式30%
国内不動産投資10%
※1年間のローン支払額

2,000万円の貯金を効率よく資産運用するポイント

2,000万円を資産運用に充てる際、効率的かつ効果的な運用を実現するためにはいくつかの重要なポイントを把握しておくことが必要です。

複利効果を活用する

まず、複利効果の活用が重要です。複利とは、投資で得た利益を再投資することによって、利益がさらなる利益を生み出す効果を指します。たとえば、利益を自動的に再投資してくれる投資信託などの商品を選ぶことで、この複利効果を享受できます。一方で、毎月分配型の商品は、毎月定額の利益を受け取ることができますが、長期的な資産増加の観点からは最適ではないこともあります。受け取った分配金を再投資することは可能ですが、税金が引かれる点を考慮する必要があります。

投資のタイミングと対象を分散させる

次に、投資のタイミングや対象の分散が重要です。すべての資金を同時に同一の投資対象に投じることは、リスクを一点に集中させることになります。例えば、株式投資を行う場合、高値で購入するリスクを考慮し、購入タイミングや投資対象を分散させることが賢明です。これにより、一部の投資が損失をもたらしたとしても、他の投資から利益を得る可能性が高まります。

投資のプロに相談する

さらに、投資のプロに相談することも非常に重要です。インターネット証券を利用して簡単に投資を開始できる時代ですが、知識や経験が不足している場合、予期せぬ損失を被るリスクもあります。特に、大きな額の資金を運用する際には、プロの意見を参考にすることで、リスクをより適切に管理し、効率的な資産運用を目指すことが可能です。

想定利回りに基づく将来の受け取り額のシミュレーション

最後に、2,000万円の資産運用における将来の受け取り額のシミュレーションを行うことも役立ちます。想定利回りを0.01%、0.5%、3.0%、5.0%と設定し、これらの利回りで複利運用した場合の資産の増加を見積もることで、投資の目標設定やリスク管理に役立つ洞察を得ることができます。

これらのポイントを考慮しながら資産運用を行うことで、2,000万円の貯金を最大限に活用し、将来に向けた安定した資産形成を目指すことができるでしょう。

非課税制度の活用

非課税制度として特に注目すべきは、iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISA(少額投資非課税制度)です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、加入者が自分で運用商品を選定し、掛金を拠出・運用する私的年金制度です。この制度の大きなメリットは、拠出した掛金が所得控除の対象となること、運用中の利益が非課税となること、そして受け取り時にも税制上の優遇が受けられることです。ただし、60歳以降でなければ掛金と利益の合計を受け取ることができません。

NISA

NISAは、日本に在住する18歳以上の個人投資家向けの税制優遇制度で、譲渡益や配当金が非課税になります。現行のNISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、それぞれに異なる投資額上限と非課税期間が設定されています。2024年からは新NISAが開始され、より高額の投資が可能になり、非課税保有期間も無制限になります。

まとめ

2,000万円の貯金を持っていても、老後資金として不足する可能性があります。資産運用を通じて、インフレに対抗し資産形成を図ることが重要です。ただし、ハイリスク・ハイリターンの投資だけに偏ると大きな損失のリスクがありますし、逆にローリスクの投資だけでは資産増加が十分でない可能性があります。適切なリスクバランスを考慮したポートフォリオを構築し、自身のリスク許容度に応じた投資を行うことが効率的な資産運用の鍵となります。

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