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経済変動に応じた株式分類の紹介

経済の波に敏感な株式を指す用語が「シクリカル銘柄」であり、その変動に強い安定した性質を持つ株式は「ディフェンシブ銘柄」と称されています。

この文章を通じて、皆様にシクリカル銘柄とディフェンシブ銘柄の基本的な違い、そしてそれぞれが持つ独特な特徴について、より詳しくご説明することを目的としています。経済の良し悪しに左右される銘柄とそうでない銘柄を見分けることは、投資戦略を練る上で非常に重要なポイントになります。それぞれのカテゴリーがどのように異なるのか、どんな事情がそれを支えているのかを、一緒に掘り下げていきましょう。

目次

周期的影響を受ける株式の概要と展望

周期的、つまり一定の周期を描きながら変動する性質を持つ株式が「シクリカル銘柄」と呼ばれています。これらは経済の波に強く反応する性質を持ち、「景気循環に敏感な株」とも称されることがあります。

シクリカル銘柄の収益性は経済の好不況に深く関わっており、経済サイクルの各段階によって、その業績が大きく変動する傾向にあります。経済のサイクルは一般に次のように区分されます。

回復期→拡大期→後退期→低迷期

これらのサイクルを経て、シクリカル銘柄は大きな影響を受け、その価値は大きく上下することが特徴です。また、これらの銘柄は日本の代表的な株価指数である日経平均株価との関連が深いと言われています。

シクリカル銘柄の投資においては、景気の上昇局面において大きな収益のチャンスがありますが、反面、不景気時には株価が急落するリスクも背負っているため、投資は大きなリスクとリターンが伴うものとなります。

シクリカル銘柄に分類される典型的な業種には、以下のようなものがあります。

・電気機器業界では、日立製作所(6501)、パナソニック(6752)、ソニー(6758)などが挙げられます。

・輸送用機器業界では、デンソー(6902)、トヨタ自動車(7203)、スズキ(7269)などが知られています。

・鉄鋼業界には、神戸製鋼所(5406)、JFEホールディングス(5411)などがあります。

・化学業界では、クラレ(3405)、住友化学(4005)、三井化学(4183)などが挙げられます。

・非鉄金属業界からは、三井金属鉱業(5706)、三菱マテリアル(5711)、住友金属鉱山(5713)などがシクリカル銘柄として分類されます。

好景気のとき、シクリカル銘柄の株価は顕著に上昇し、企業業績が悪化している時でも、将来の景気回復を見越して株価が上昇することがあります。そして、業績が実際に改善すると、株価が2~3倍に跳ね上がる事例も少なくありません。

シクリカル銘柄の投資では、企業の個別分析はもちろんですが、全体的な景気の動向を見極めることが不可欠です。景気のバロメーターとしては、「GDP(国内総生産)」が一般的に用いられます。これは国内で生産された商品やサービスの総量を数値化したもので、経済の大きさを計る指標です。

GDPの速報値や予測値は、経済の先行きを推測する際に重要な情報源となります。これらのデータは、内閣府のウェブサイトなどで定期的に公開されています。

過去には、例えば2020年2月の内閣府による発表では、2019年10月から12月期のGDP速報値が消費税増税の影響で季節調整後で6.3%のマイナスという衝撃的な結果となりました。これは過去に消費税が増税された際にも同様のマイナス成長を記録しており、次の四半期も新型コロナウイルスの影響による経済の減速が予想されています。

もし2四半期連続で経済が縮小すれば、これは「テクニカル・リセッション」と呼ばれる状態にあたります。シクリカル銘柄はこうした景気の悪化に特に敏感であり、株価が大きく落ち込む傾向があります。2020年の初頭には、日本の株価が大きく下落し、特に景気に敏感なシクリカル銘柄の株価の下落が目立ちました。

これから先、シクリカル銘柄の価値は、4月以降の経済指標やGDPの動向によって大きく左右されるでしょう。投資家はこれらの動きに注目しながら、賢明な投資戦略を練る必要があるのです。

守備的投資の対象:ディフェンシブ銘柄の紹介

ディフェンシブ銘柄は、その名のとおり「守備的」で「堅牢」という性質を意味しています。つまり、このカテゴリに属する銘柄は、経済環境が不安定であっても一定の業績を保つ能力を持っています。

私たちの日々の生活に密接に関わる商品やサービスを提供するセクターに多く見られます。たとえば、食料品、公共インフラ、医薬品、通信サービスなどがこれに該当します。これらは人々の生活に不可欠なため、景気の動向に関わらず需要が安定しているのです。

ディフェンシブ銘柄の特色には以下のような点があります。

・安定した配当収益 ディフェンシブ銘柄は、投資家にとって魅力的な配当利回りを持っていることが多いです。これは、長い時間をかけて発展し、成熟した段階にある企業が多いからです。これらの企業は旺盛な成長を見せる新興企業ほどの成長率は見込めないかもしれませんが、その代わりに安定した収益を株主に還元する傾向があるのです。

2020年3月の時点で、東京証券取引所一部上場企業の平均配当利回りは約2.41%でしたが、ディフェンシブ銘柄はこれを上回る傾向にあります。

・株価上昇の潜在性 ディフェンシブ銘柄は生活必需品を取り扱う企業が多いため、安定した業績を保ちやすいですが、株価が急激に上昇する可能性は比較的低めです。したがって、短期間での価格上昇を目的とした投資戦略には必ずしも適していないかもしれません。

・市場の下落時の強さ 必需品を提供する企業群であるため、市場が下落傾向にあっても、ディフェンシブ銘柄の業績は大きくは影響を受けません。これは、消費者が景気に関係なくこれらの製品やサービスを購入し続けるからです。結果として、市場が不安定な時でも、シクリカル銘柄に比べて株価の大幅な下落は少なくなる傾向があります。

市場が後退期から低迷期に移行する際には、ディフェンシブ銘柄はしばしばシクリカル銘柄よりも良好な成績を収めることがあります。

しかしながら、ディフェンシブ銘柄であっても株価が下落するリスクはゼロではありません。投資家は、ポートフォリオ内で複数の銘柄に分散投資を行うなどして、リスクを管理することが求められます。安全な投資とはいえ、市場の変動に完全に左右されないわけではないので、慎重な投資戦略が重要です。

ベータ値を用いた株式市場の動向分析

株式市場において、特定の銘柄が全体の市場動向、特に代表的な株価指数である日経平均株価にどれだけ連動するかを判断する際に、「ベータ値」という尺度が用いられます。

このベータ値とは、市場全体に対する個別株の感応度を示す指標で、株式が市場の動きにどの程度影響を受けるかを数値化したものです。一般的に、ベータ値が1に近づくか、それを超える銘柄は、市場の動きに敏感な「シクリカル銘柄」とみなされます。

対照的に、ベータ値が1よりも明らかに低い、あるいはマイナスの値を持つ銘柄は、経済の波に強い「ディフェンシブ銘柄」と考えることができます。ベータ値が1である場合、市場がどのように動こうと、その銘柄は市場と同じ方向に同じ割合で動くと予測されます。

例えば、もしベータ値が0.5の銘柄を持っていると、市場が1%の下落を経験した際には、その銘柄は0.5%の下落に留まります。これが守備的な資質、すなわち市場の動きに対する抵抗力を示しています。

また、珍しいケースとしては、市場が下落すると逆に上昇する、ベータ値がマイナスの銘柄も存在します。こうした銘柄は、市場が下落している時でも利益を生み出す可能性があり、リスクヘッジとしての価値を持つことがあります。

ベータ値は、「MSNマネー」などの金融情報サービスで確認することができます。たとえばソニー(6758)のように、ベータ値が1.12であれば、市場が1%の動きを見せた場合に1.12%動くと予想され、この値が1を超えることからシクリカル銘柄と位置付けることができます。

しかしながら、ベータ値は過去の市場データに基づいて算出されるため、未来の市場動向を確実に予測するものではありません。実際に2008年の金融危機や2020年のパンデミックに見られたような市場の大きな変動時には、ベータ値が低い、あるいはマイナスの銘柄であっても価格が大幅に下落することがあり、これは投資家が注意すべき点です。ベータ値は有用なツールである一方で、リスク管理のためには他の要因も考慮に入れる必要があります。

投資銘柄の選択基準:市況に敏感な銘柄と安定志向の銘柄

景気の影響で業績が大きく動くのがシクリカル銘柄、影響を受けにくいのがディフェンシブ銘柄です。

シクリカル銘柄は、景気動向で株価が大きく動くので、GDPなどの経済統計で景気判断することが大切。

短期間で大きく稼げる可能性もありますが、その分リスクも高いので注意してください。

一方のディフェンシブ銘柄は業績が安定していて、景気動向に影響を受けにくい銘柄です。

そして、成熟産業の大企業が多く、配当利回りが高いという特徴があります。

配当をもらいながら、長期保有するのに向いています。

ただし、ディフェンシブ銘柄でも株価が下落する可能性はあります。

1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散するなどしてリスクを軽減させるようにしましょう。

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