https://money-life.net/保険の見直しで年間20万円削減|現役fpが語る『本/日本人が1世帯あたり年間に払っている保険料の平均は約38〜40万円(生命保険文化センター調査)。月換算で3万円以上です。「なんとなく入った」「勧められるままに更新した」保険をそのままにしておくと、生涯で数百万円単位の過払いになります。
この記事では、保険見直しで年間20万円削減を実現した具体的な事例をもとに、何をどう削るか・何を残すかを公的保障の仕組みから整理して解説します。「どこから手をつければいいか分からない」という方こそ読んでください。
📋 この記事でわかること
- 日本の公的保障(高額療養費・遺族年金)で実際にどこまでカバーされるか
- 2026年8月の高額療養費改正で何が変わるか
- 「削っていい保険」と「絶対に残すべき保険」の見分け方
- 年間20万円削減の具体的なビフォー・アフター事例
- ライフイベント別(結婚・出産・住宅購入・子供独立)の見直しポイント
- 保険見直しの5ステップと今すぐ使えるチェックリスト
そもそも、保険は何のためにあるのか
保険の本質は「自分一人では賄えない大きなリスクに備えるもの」です。言い換えれば、貯蓄や公的保障で対応できるリスクには、民間保険は不要です。
多くの人が保険を払いすぎている最大の理由は「日本の公的保障がどれほど手厚いか」を知らないまま加入しているからです。まず公的保障の実力を正確に把握することが、保険見直しの出発点です。
公的保障の実力:民間保険が「本当に必要な部分」はどこか
① 高額療養費制度:入院しても自己負担には上限がある
病気や手術で医療費が高額になっても、公的保険加入者には「高額療養費制度」があります。一定額を超えた分は後から払い戻されるため、どれだけ重い病気でも自己破産するような医療費を請求されることはありません。
| 年収の目安 | 月額自己負担の上限(現行) | 2026年8月改正後(予定) |
|---|---|---|
| 約1,160万円超 | 約25万2,600円+α | 引き上げ(詳細確認要) |
| 約770万〜1,160万円 | 約16万7,400円+α | 約11万円程度に(38%増) |
| 約370万〜770万円(一般的な会社員) | 約8万100円+α | 段階的引き上げ |
| 〜約370万円(住民税課税) | 約5万7,600円 | 段階的引き上げ |
| 住民税非課税世帯 | 約3万5,400円 | 据え置き(配慮あり) |
高額療養費でカバーされないもの(民間保険で備える価値があるもの)
| 費用の種類 | 高額療養費の対象 | 実際の費用感 |
|---|---|---|
| 差額ベッド代(個室・準個室) | 対象外 | 1日平均6,354円(厚労省調査)。個室は1万円超も |
| 入院中の食事代 | 対象外 | 1食460円×3食×入院日数 |
| 先進医療・自由診療 | 対象外 | がん陽子線治療などは100万円超のケースも |
| 通院・入院中の交通費 | 対象外 | 長期通院で積み上がる |
| 入院中の収入減少 | 対象外 | 自営業・フリーランスは特に深刻 |
| 保険適用の治療費(3割自己負担分) | 上限あり | 上限以内の3割負担は自己負担 |
② 遺族年金:死亡保障をいくら用意すべきかの基準
会社員・公務員が亡くなった場合、遺族には遺族基礎年金+遺族厚生年金が支給されます。
| 遺族年金の種類 | 受給条件 | 年間受給額の目安 |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 子のいる配偶者または子(子が18歳年度末まで) | 約81万円+子の加算(1人目・2人目各約23万円) |
| 遺族厚生年金 | 会社員・公務員の遺族(子がいなくても妻は受給可) | 亡くなった方の厚生年金の報酬比例部分の3/4 |
年間20万円削減の実例:ビフォー・アフター
「保険の見直しで年間20万円削減」は決して誇張ではありません。以下は30代共働き夫婦の典型的な見直し事例です。
この事例で削れた理由
| 削った・変えた保険 | 理由 |
|---|---|
| 終身保険(死亡保障3,000万)→ 収入保障保険に縮小 | 遺族年金でカバーされる部分が大きく、3,000万円は過剰。収入保障保険で必要額だけを安く手当て |
| 入院日額1万円 → 5,000円に縮小 | 高額療養費で月8万円が上限のため、日額1万円の医療保険は過剰補償になりやすい |
| 女性特有疾病特約付き保険を整理 | 特約の保障内容が他の医療保険と重複していた |
| 学資保険 → NISA積立に切替 | 学資保険の返戻率は低く、NISAで運用した方が期待リターンが高い。死亡保障も親の生命保険で対応 |
削っていい保険・絶対に残すべき保険
| 保険の種類 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 高額な終身死亡保険(独身・子なし) | 削减検討 | 残す家族がいない場合、高額な死亡保障は不要 |
| 入院日額1万円超の医療保険 | 縮小検討 | 高額療養費で自己負担に上限あり。過剰になりやすい |
| 更新型保険(10年更新・定期保険) | 要確認 | 更新のたびに保険料が大幅に上がる。50代での更新後は倍増も |
| 不要な特約(各種ライダー) | 整理検討 | 特約だけで月数千円になるケースも。主契約に残したまま特約だけ解約可能 |
| 医療保険(先進医療特約付き) | 維持推奨 | 先進医療(陽子線・重粒子線など)は高額療養費の対象外。特約保険料は月数百円で安い |
| 就業不能保険・所得補償保険 | 維持推奨 | 長期就業不能は公的保障(傷病手当金)では不十分なケースあり。特に自営業・フリーランスは必須 |
| がん保険 | 維持推奨 | がん治療は長期化・高額化しやすく、先進医療・自由診療も多い。保険料も比較的安価 |
| 収入保障保険(子どもが小さい間) | 維持推奨 | 子の独立まで保障が続く掛け捨て型。同等の死亡保障を終身保険より安く持てる |
| 介護保険(60代以降) | 要検討 | 公的介護保険があるが、施設入所の費用は月15〜30万円以上。貯蓄が少ない場合は検討価値あり |
ライフイベント別:保険を見直すべきタイミング
死亡保障を増やす・受取人を変更する
独身時代は死亡保障が少なくてよかったが、配偶者が生活を依存するなら収入保障保険で補う。受取人を「親」から「配偶者」に変更する手続きも必須。
死亡保障を大幅に増額するタイミング
子の養育費・教育費が必要保障額に一気に加算される。収入保障保険を子の独立年齢まで手当て。医療保険も親の方を優先。子ども保険は優先度低め。
死亡保障を減らせるケースが多い
住宅ローンには団体信用生命保険(団信)が付帯し、死亡時にローンが完済される。この分だけ民間生命保険の死亡保障を削減できる。保険料節約の大きなチャンス。
死亡保障を大幅削減・医療保険を終身型に
子の教育費が不要になった時点で収入保障保険・定期保険の必要額は激減。一方、加齢で医療リスクが高まるため医療保険は終身型に切り替えるのが合理的。
傷病手当金・遺族厚生年金の変化に注意
会社員から自営業・フリーランスになると、傷病手当金(休業補償)・遺族厚生年金がなくなる。就業不能保険・所得補償保険の必要性が一気に高まる。
死亡保障はほぼ不要に
ローン完済・子どもが独立済みなら、葬儀費用(100〜200万円)程度の死亡保障で十分。高額な保険料を払い続けるメリットはほぼない。
必要保障額の計算方法
「いくらの死亡保障が必要か」は感覚ではなく計算で出します。
計算式:必要保障額 = 遺族の必要総額 − 遺族年金の総受給見込み額 − 現在の貯蓄・資産
保険見直しの5ステップ:今すぐ始められる手順
保険証券を全部引っ張り出して一覧化する
加入している保険の「保険会社・保険種類・月額保険料・満期日・受取人・主な保障内容」を1枚の表にまとめる。ここで「こんなに払っていたのか」と気づくことが多い。
公的保障の確認をする(ねんきんネット活用)
「ねんきんネット」で自分の遺族厚生年金の見込み額を確認。健保組合の傷病手当金(月収の2/3・最長18ヶ月)も把握する。公的保障の実力を知らないと「必要な保障額」が計算できない。
必要保障額を計算する
上記の計算式で「本当に必要な死亡保障額」を数字で出す。感覚で「5,000万円は必要」と思っていても、計算すると2,000万円で十分だったというケースは珍しくない。
重複・過剰保障を特定して削減案を作る
複数の保険で同じリスクをカバーしていないか確認。入院保障が3重になっているケースも実在する。削れる特約・縮小できる保障額を書き出す。
FP(ファイナンシャルプランナー)に無料相談する
自分だけで判断が難しい場合は保険代理店や無料FP相談を活用。ただし「保険販売が目的のFP」は提案が偏る可能性があるため、独立系FPか複数社取扱いの代理店を選ぶことが重要。
今すぐ使える:保険見直しチェックリスト
- 加入している保険の保険証券を全部確認した(保障内容・保険料・満期・受取人)
- 5年以上見直しをしていない保険がある
- 結婚・出産・住宅購入・子の独立など、ライフステージが変わったのに見直していない
- 月の保険料合計が家計収入の8%を超えている
- 「なんとなく不安だから」という理由で入っている保険がある
- 高額療養費制度の月額上限をすでに把握している
- 受取人が独身時代のまま(親になっている)の保険がある
- 更新型の定期保険があり、次の更新時の保険料を確認していない
- 学資保険の返戻率とNISA運用を比較したことがない
- 自分の遺族年金の見込み額を「ねんきんネット」で確認したことがない
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 日本の公的保障(高額療養費・遺族年金・傷病手当金)は非常に手厚く、民間保険が本当に必要な部分は「公的保障でカバーできない不足分だけ」
- 2026年8月から高額療養費の月額自己負担上限が引き上げ。特に年収770万円超の層は見直しのタイミングになりうる
- 「削っていい保険」の最有力は高額な終身死亡保険・入院日額1万円超の医療保険・不要な特約。「絶対残す」のはがん保険・先進医療特約・就業不能保険(特に自営業)
- 住宅購入で団信が付くと死亡保障の必要額が大幅減。子の独立でも必要保障額は激減する
- 見直しは「保険証券の一覧化→公的保障の確認→必要保障額の計算→重複の特定→FP相談」の5ステップで進める
- 解約するなら「新しい保険に入ってから」が鉄則。健康なうちに動くことが最重要
保険の見直しは「節約」ではなく「必要な保障を適正なコストで持つ」という家計の最適化です。毎月何万円もの保険料を払い続けながら、その保険が本当に必要かどうかを一度も検証していないとしたら、今日がその最初の機会です。
